□DOMOTENASI Tea For Two✕Happy birthday ♡Dear♡ Erwin Smith ■D(原作軸エルリ) 作:笛の吹けない笛吹き
原作:進撃の巨人 ふしぎ駄菓子屋銭天堂
タグ:ボーイズラブ クロスオーバー エルリ リヴァイ エルヴィン誕生祭 おもてなしティー お茶会
俺は、ファルコに車椅子を押してもらいヒィズルの国を観て回っていた。まぁ
「…オニャンコポン…俺は、向こうの喫茶店で暫く茶をしばいてるから俺に構わず自由にして来い」とオニャンコポンに言ってやれば、オニャンコポンは俺の気遣いを聡く察してくれて「―ありがとうございます―兵長」と。微笑み「気になる店があったので買い物だけして来ます!!小一時間で戻りますので!!」と。俺に手を振りヒィズルの繁華街の中を駆けていった。オニャンコポンに手を振り返し。さてと。と、指の欠けた手で車椅子の車輪部分を回し喫茶店へと移動する。二本も指がありゃ十分だ。
……自力で移動だって出来るからな。
そして喫茶店へと向かう途中だった。
繁華街の反対側の様々な店が建ち並ぶ…店と店の隙間の奥に…何だ?…店か?…あんなとこにも店があんのか?
…不思議に思い俺は何だか無性に、その店の事が何故だか気になり誘われる様に…その店へと車椅子を走らせた。
車椅子がやっと通れる程の隙間を縫って出た場所には、何だか凄くヒィズルっぽい店が
ヒィズルの言葉で掲げられた看板は残念ながら俺には読めねぇが、賑やかな店の外観や店の壁に貼られた広告の絵から察するに…たぶん…菓子屋か何かだろう…。不思議な雰囲気だった。
「ニャ〜〜」
不意にインクの様に黒い猫が俺の前を横切り。その不思議な店の前に座り一声、何かを報せる様に鳴く。首元の赤い首輪の
すると。――ガラガラっっっ!!と店のドアが開き。
中から店主だろうか大柄でふくよかな白髪の女店主?が出てきた。キヨミの様な服を着ている……。
「――おやおや。
スミマル?と呼ばれた黒猫は「ニャ〜〜」と女店主に嬉しそうに鳴いて店の中へと我が物顔で入っていった。
どうやら。この不思議な店の看板猫って
黒猫を見送って、女店主が俺へと向き直り言う。
「いらっしゃぃませ―幸運のお客様ー
「…ゼニ…テンドー?」聞き慣れない言葉に俺が聞き返せば、女店主は微笑んで言う。
「―はぃ。幸運なお客様の前にだけ現れる。ふしぎ駄菓子屋でござんす―さぁさ。どうぞ中へ――」
女店主に誘われる
「(ಠ_ಠ)━☆゚.*・。゚」俺は思わず息を呑んだ。
暖かみのある店内に所狭しと陳列された
カラフルで凄く賑やかな駄菓子屋だった。
ふと菓子の山の中に金色に輝く缶を見つけた。
吸い寄せられる様にその輝く金色の缶を手に取る。
「―おや。
そう言って妖艶に微笑む女店主に俺は
「……これは、紅茶か?」
俺の問いに女店主は妖艶な微笑みを湛えた
「ーええ。
「…
不思議気に俺が聞き返せば女店主は、ふくよかで色白な頬を揺らし「ふふふ」と柔和に微笑み。
「―オ・モ・テ・ナ・シ―おもてなし―で、ござんす―」
女店主がふっくらとした色白な左手を『オ・モ・テ・ナ・シ』の言葉に合わせて、花の蕾のように縮めた形を作り。最後に両手を合わせるジェスチャーを混じえて説明してくれた。
「…ああ。もてなす方の…おもてなし…か…」女店主の説明を理解した俺は改めて、その《おもてなしティー》とやらをマジマジと見詰める。金色の缶にはティーパーティーを楽しむ人々の楽しそうな光景が描かれていた……。
――ドクンッ❣❣ドクンッ❣❣と心臓が高鳴る……。
こんなに欲しいと思った紅茶は、地下街に居た頃に飲み屋のイカツイ店主が腕相撲に勝ったら店の
「…この紅茶をもらおう…いくらだ?」俺が問えば。
ふくよかな女店主は嬉しそうに微笑み言った。
「―はい…お代は、ヒィズル元年の五円玉でござんす…―」
「…ゴエン…だま?」
俺が聞き返せば、女店主は妖艶に微笑み言う。
「―金色に輝く…真ん中に穴が空いた…お金でござんす―」
「…ああ。このコインの事か…」俺は、コインケースから金色に輝く真ん中に穴が空いたコイン…ゴエンだま…と、言うらしい。……を女店主に手渡した。
女店主は嬉しそうに…その…ゴエンだま…と言う金色に輝く真ん中に穴が空いたコインを受け取り…。
……不思議な事を言った。
「―お買い上げありがとうござんす―おもてなしティーをお客様用のティーカップに注げば□D
最後は何を言ってんのかわかんねぇな女店主。状態だったが、唯一つ…俺には…わかる。…コイツは本物の上等な紅茶だ…。高鳴る自分の心臓の音を聞きながら。
俺は、その不思議な菓子屋を後にした――――…………。
□D。*゚+■D。*♡
ガビやファルコ、オニャンコポンとの楽しかった旅から戻り。俺は一人暮らしをして居る小屋の一室で、旅の思い出に浸りながら……ふと。あの不思議な菓子屋の紅茶を思い出した。
頬杖をつき窓から緑萌ゆる遠くに小さく海の青が
『おもてなしティーをお客様用のティーカップに注げば□D
「…おもてなしティー…孤独を癒す大切な方…か」
俺の大切な方々は、
「……はぁ」思わず溜め息が洩れた……。
俺は、元々結構…寂しがり屋だ…。
俺は、いま孤独だぞ……。
「…孤独のティータイム…と、洒落込むか……」俺は座って黄昏ていた居間の木のテーブルに手をついて、ゆっくりと立ち上がりテーブルの端に立て掛けてあった杖を頼りに不思議な紅茶おもてなしティーを淹れる為にキッチンへと向かった。ヤカンに水を入れて火にかける……。お湯が沸くまでの間に棚に置いてあった金色のおもてなしティーの紅茶缶を手に取る。何度見ても賑やかな絵だな。金色の紅茶缶に描かれたティーパーティーを楽しむ人々……。
……いいな……。心の底から羨ましかった。
心に風が吹いている…乾いた風が。その乾いた風に煽られて…心が砂の様に崩れてゆきそうだった。…寂しい。
何だか泣きそうになってきた。…ぐすりっ
涙がチョチョ切れるぜぃ…。鼻をすすりながら金色の紅茶缶の
……スゲェ良い香りがする……。
今迄、嗅いだ紅茶の中で一番スゴイ芳醇な香り……。
乾いた心に爽やかな風が吹き渡り―ー。
寂しい心が何だか優しく解れてゆくような……。
そんな紅茶の香りがした……。香りを嗅いだだけで孤独な心が濃厚に満たされてゆくような気がした――。
紅茶缶に付属されていた銀色のティーキャディースプーンも何だか短い持ちて部分がティーポットを模していて可愛いデザインで洒落てやがる。俺は、心をワクワクとワクワクさんさせて♡たっぷり四杯ティーキャディースプーンで山盛りに掬って、白磁器のティーポットへと入れた時に
ーー俺は今、楽しいぞ。
白磁器のティーポットに沸いたばかりの新鮮なお湯を注ぐ。二分程の待ち時間の間に白磁器のティーポットと白磁器のカップを一応、二つ。居間の木のテーブルへと一つずつ運び椅子に座る……。そして、お待ちかねとばかりに淹れあがった紅茶をティーカップへと注ぐーーーー。
「…おお❣❣…スゲェな…」
ティーカップに揺蕩う赤色がかったとても美しい琥珀色の紅茶。深く透き通るその色は、真紅の金色…。浮き立つ心に俺は、初めて紅茶を呑んだ時の事を思い出した…。
「…母さんが、淹れてくれた紅茶みたいだ…」
独り
すると――どうだろう――、
おもてなしティーの芳醇な香りが居間を包み込み……。
「―リヴァイ―」
優しく柔らかい懐かしい声で名を呼ばれた。
「――母さん……」
驚く俺の目の前にはクシェル母さんの姿。
……夢か?目の前で起きている事が信じられず。自らに残された左眼で目の前に現れたクシェル母さんを見詰める。
ー脳裏にあの不思議な菓子屋の女店主の言葉を思い出すー
『おもてなしティーをお客様用のティーカップに注げば□D
……まさか!?……本当に。……こんなことが!?
「……まぢかや……」
驚き過ぎて…これは、一体どういう状況だ?状態だが…。
「…ずっと…見ていたわ…あなたの事を…私のリヴァイ」
母さんの優しい声に何だか…全てが決壊した。
主に涙腺が崩壊しちまった…。
残された左眼からしか涙は流れないが…。
母さんは白くて繊細な指で、俺の涙を拭ってくれた。
「相変わらず…静かに泣くのね…」
俺を優しく抱き締めて、母さんも夜空色の瞳から流星の様な涙を幾筋も流した。
「…母さん…ずっと…会いたかった…」
俺は幼い頃の様にクシェル母さんの柔らかな胸で泣いた。
――こうして俺の孤独なティータイムは終わりを告げた。
それから俺は、孤独の風が心に吹くたびに。
おもてなしティーを淹れた。
次に現れたのは、ケニーだった。
俺は、ケニー言いたくても言えなかった事を伝えた。
「…俺を…育ててくれて…ありがとう…俺は、ケニー。アンタを―父親の様に思っている―」
「―はっ、バカが!俺は、ただの叔父貴だ―そして…ドチビ…テメェは、俺の誇りだ―」ケニーは、冷めたおもてなしティーの最後の一口を煽り飲み。
「…じゃぁな…リヴァイ」
そう言って、ケニーは居なくなった。
ほんの一瞬、地下街でケニーと別れた時の事を思い出し。
胸が締め付けられたが俺は……もう寂しくは無かった。
――その次に心に孤独の風が吹いた時。
俺は、ティーカップを三つ用意してみた……。
もしかしたら…会いに来てくれるかも知れない…。
懐かしい二人を想いながら…俺は、三つのティーカップにおもてなしティーを注ぐ――――――。
ーーーーすると。居間の木のテーブル…俺の正面に置いたティーカップの向こうに…懐かしい二人の姿が
「…ファーラン…イザベル……」
懐かしい二人の姿に残された左眼の視界が滲む……。
「―リヴァイ―」「―アニキ―」
二人は、あの頃の
地下街に居た頃の懐かしい昔話しをしながらーーあの頃の様に俺達は三人で寄り添い合って穏やかな幸せの中で紅茶を飲んだーーーー。
――それから程なくして再三再四(繰り返し何度も)孤独の風が心に吹く度に俺は、おもてなしティーを淹れた。
四度目は、ティーカップを五つ用意した…………。
彼等は、来てくれるだろうか…………。
俺は、かつての部下達の面影を想い…おもてなしティーを木のテーブルに並べた五つの白磁器のティーカップに白磁器のティーポットで順番に注いでいった…。
――すると――どうだろう――……。
温かで芳醇な紅茶の香りと共に木のテーブルを囲む様に座る。かつての部下達の姿が、
「―ペトラ…―オルオ…―グンタ…―エルド…」
かつての部下達の名を呼んで、俺は懺悔した。
「…すまなぃっ…俺は、お前達を…死なせてしまった…」
かつての部下達を映す左眼から涙が流れ落ち。懺悔し頭を下げたら涙の粒が木のテーブルに濃い染みをつくった。
「そんな!兵長は何も悪くありません!私達が不甲斐なかっただけでっ!」ペトラが泣きながら言い。
「そうです!!」「そうですよ!!」
エルドとグンタも口々にそう言ってくれた。
「ーーそうです!兵長!頭を上げてくださぃっ――ガリっ!」オルオは相変わらず。大事であろう台詞の所で舌を噛んだ。
「ふふ」俺は、あの頃と変わらない部下達の暖かさに。
つい
するとペトラとオルオとエルドとグンタにも笑顔が
俺は、かつての部下達と調査兵団に居たあの頃の様に。
賑やかに楽しく紅茶を飲んだーーーー。
ーー……
――そうして、五度目のお茶会だ……。
おもてなしティーの金色に輝く紅茶缶を手に取れば…だいぶ軽くなっていた…。おそらく今回と後、一回で茶葉が無くなってしまうだろう。何とも言えない一抹の寂しさを抱え…孤独の風が心に吹く
アイツらの捧げた
居間の木のテーブルに並べた五つの白磁器のティーカップに白磁器のティーポットで、おもてなしティーを注いだーーーーーー。
――すると。俺の目の前には、
「―よぉ…お前ら、来てくれたのか…―」
左眼に尊い仲間達を映して、俺は名前を呼んだ。
「―…ミケ。―…ナナバ。―…モブリット。―…ハンジ…」
俺に名前を呼ばれた仲間達は、かつての様に優しく微笑み。俺達は兵舎で良くした様に楽しく茶を囲んだーーーーーーーーーー。
「またリヴァイの紅茶が飲めるなんてね(^_-)-☆」
ナナバが、
「…ああ。とても良い香りだ…」ミケが相変わらず。鼻をスンスンとさせて紅茶の香りを嗅いでいる。
「ああ。この紅茶は、不思議な菓子屋で買った□Dおもてなしティーだ■D」俺が得意気に言ってやれば。
「兵長、不思議な菓子屋とは?」モブリットが不思議そうに俺に訊き。
「なになに〜〜!?妖しい店!?おもてなしティーってなんなのさ!?」ハンジが興味津々に鼻息荒く訊いてくる。
「確かに。妖しいかと聞かれれば、妖しい雰囲気の店だった。妙な菓子が、たくさん売っててな…
「へぇ~〜?!おもてなしティーねぇ〜〜!!」
ハンジは目を光らせて金色の紅茶缶をくまなく見て言う。
「…何だろ?缶の側面と缶の中の底の部分に何か書いてあるようだけど…説明書きかな?」
「……だろうな」俺が相づち言えば、ハンジは不思議気に紅茶缶を見詰めて何やらブツブツと言っている……。
「…けど、側面は解るけど…缶の中の底の部分なんて見えにくいところに説明書きなんて書くかな?」
「…さぁな。何は、ともあれ不思議な紅茶だ…」
俺は、おもてなしティーを指が欠けた右手で上から鷲掴み――ズズッ。と啜り。不思議な女店主が説明してくれた事をそのままハンジに伝えて聞かせた。
「―おもてなしティーをお客様用のティーカップに注げば□D
「――……そう。それで、リヴァイは私達を……この不思議なお茶会に招いてくれたんだ――」ハンジは眼鏡の奥のキャメル色の瞳を優しく細めて俺に言う。
途端に何だか気恥ずかしくなったが全くもってその通りだしな。と思い「…ああ。そうだ…」と俺は素直に
何だか暖かい空気感の中で、ハンジが紅茶缶の中身を確かめながら言う。
「……もう。残り少ないね」
「ああ……。後、一回分で無くなる」
「そっか。―じゃあ、大切な最後の一杯は、リヴァイの特別な人に捧げないとね…―でないと。君は一生、片想いのままだよ…」
「…相変わらず…巨人とは片想いのままなオマエには、言われたくねぇょ」
「はは!!巨人はいなくなっちゃったけどさ!!私は思うんだよね!!どちら片方が、いなくなっちゃうとさ…物語的には美しい…だけど。やっぱり愛し合う二人にはさぁ…ずっと一緒に居て欲しいんだよね…」消えゆく
「じゃぁね!リヴァイ―…エルヴィンによろしく…―」
そして、皆…消えていった…。俺は、あの日…土煙の中でアイツらを見送った時みてぇに…切なく
「……余計な、お世話だ…クソメガネ…」
――俺は、もう孤独では無かった。
そもそも最初から、俺は孤独では無かったんだな。
クシェル母さんが俺を生んでくれて……。
ケニーが俺を育ててくれた……。
ファーランやイザベルと地下街を生き抜いた……。
ペトラやオルオやエルドやグンタが俺を支えてくれた。
ミケやナナバやモブリットにハンジが仲間で居てくれた。
――……そして、エルヴィン……――
お前に…おもてなしティーの最後の一杯を…捧げよう。
やはり…この日しか無かった…。俺が、一番…
――10月14日。
…その日は、エルヴィン・スミス…
……誕生日…だしな…。紅茶だけ出すのもなんだと思い。
俺は、台所で
…まぁ、作ったっつっても…アレだ。クッキーの上にマロンクリームを絞っただけの簡単な物だ。
それをティーカップやティーポットと同じ白磁器の平皿の上に載せて居間の木のテーブルへ置く。
台所へと戻り。おもてなしティーの随分と軽くなっちまった金色の缶を手に取り。改めて見詰める。輝く金色が、
相変わらず―
空になった紅茶缶を覗けば、ハンジが言っていた様に。
何か小さな字で文字が書かれている……。
ヒィズルの文字だから…俺には、読めねぇが…。
たぶん…ハンジの言う通り…説明書きだろう。
ハンジは、こんなところに説明書き?と不思議気にしていたが、元々結構、不思議な紅茶だしな……。
と。俺は、あまり深く考えず沸かしておいたヤカンの湯をティーポットへと注ぐ。
二分程の紅茶の待ち時間の間にティーカップを二つ。
俺とエルヴィンの分を居間の木のテーブルへ向かい合わせに置いて、紅茶が良い具合に蒸れたティーポットを台所へと迎えに行き。居間へと戻り。最初は俺のティーカップへと注ぎ。次に、正面に置いた。エルヴィンのティーカップへと紅茶を注ぐ。
ーードクンッ!!ーードクンッ!!
ーーと
ーー芳醇な紅茶の香のその向こうに……。
「――…リヴァイ…――」とても懐かしい声で呼ばれた……。
金色の髪……。青い瞳……。凛々しい眉毛……。
「……―エルヴィン―……」
…話したい事が、たくさん…あったはずなのにな……。
何も言葉にならなくて、なんとかやっと紡いだ言葉。
「――…誕生日…おめでとう……――」
エルヴィンは、満面の笑みで優しく
「…―リヴァイ―…ありがとう……」と言った。
ゆっくりと俺の淹れた。おもてなしティーを手に取り。
エルヴィンは、生きていた頃と変わらずに…俺の淹れた紅茶を美味しそうに啜った……。
在りし日のエルヴィンとの日々が
――書類に埋もれた金色の髪……。
――本で溢れた執務室……。
――掃除して回る俺を
――インクと紙に溢れた少し埃っぽい匂い……。
――俺の淹れた紅茶の香りと
酸いも甘いも混じり合ったその部屋の匂いが好きだった。
――少しでも
――
――…残酷な世界の…美しい記憶。
堪えきれない想いが、エルヴィンを映す左眼から溢れて…傷付いた頬を…幾筋も伝う。
エルヴィンの左手が俺の左の頬に優しく触れて、指先で溢れる
「…やっとだ…やっと君が、私に紅茶を淹れてくれた……」
エルヴィンが、
「私が…どれだけ君が…お茶に招く者を羨んだと思う?」
「俺は一番食いてえもんを最後まで取っておくタイプだ」
エルヴィンを滲む視界で見詰めて言う……。
「…よぉく味わって食いてえからな…」
「―…そうか…―」
「…―そうだ―…」
エルヴィンは、俺の用意した小さなモンブランを残された左手で摘み美味しそうに食って言った……。
「…私は、一番食いたいものを見つめ過ぎて腐らせてしまうタイプだ…」
「はっ…やっかいなタイプだな…」苦笑して言えば。
「ハハッ…本当にな…結局いつも食べられないままだ……」と。自嘲する……。
そして二人で在りし日の様にただ静かに紅茶を飲んだ。
ーーあの頃と変わらずにエルヴィンは、
……
ーー俺も相変わらずにエルヴィンを盗み見ては、
……紅茶を啜る。
話したい事が沢山あったはずなのに…ただ。一緒に紅茶を飲めるのが幸せで…それだけで良かった……。
……軈て、おもてなしティーが最後の一口になった。
……これを飲んだら……、、、
……この
「…エルヴィン…紅茶が、無くなってしまう……」
「……ああ。そうだな……」
「…こんなに好きな紅茶を…飲みたくないと思ったのは、正直これが、初めてだ……」
ポツリと零れた俺の
エルヴィンは、青い瞳で真っ直ぐに俺を見て言った。
「…飲まなければ良い…」――――と。
「ああ……。そうだな……――――は?」
危うく納得しかけて、俺は驚いて聞き返す。
「…飲まなければ良い?…お前、自分が何言ってんのか…わかっているのか?…そんなこと…許されるのか?…第一、紅茶が腐っちまうだろうが……」
「…そうだな…許されるのかは、
真顔で冗談みてぇな事を言うエルヴィンが、真剣な瞳で俺に問う。
「―リヴァイ…お前は、俺が
コイツの一人称が変わる時は、本音で話してる時――。
「ああ…。勿論…変わらずに愛する…エルヴィン。お前が
二人で笑い合って、片腕のエルヴィンが器用に俺を抱き上げて言う。
「――ティータイムの続きは
「――ああ。…悪くない…」
そう応えた俺に、エルヴィンは優しくキスをした。
優しいキスは、紅茶の香りと味がした。
取り残された木のテーブルの上には、白磁器の空の平皿に空のティーポット……そして、おもてなしティーの最後の一口だけが残ったティーカップが置かれていた……。
この俺達の選択が、これからどうなるかは
……冷めた紅茶をエルヴィンの肩越しに見つめて、
ーーーー俺は思っていた。
ーー…唯一つ確かな事は、、、
ーー…この愛は決して…冷めることはない―
夢の様な空間で…ただ…それだけが確かな事実だった。
二人は、ベッドで愛し合う――。
もう―おもてなしティーの紅茶缶には目もくれずに。
金色の紅茶缶の中の底の部分。
ヒィズル語で書かれたー小さな文字ー其れは、
おもてなしティーの最後の説明書き。
其処には、こう書かれていた……。
『――最後の一杯分の茶葉には、強い出会いの魔法が込められています。もしかしたら、貴方は運命の人を呼び出せるかも。でも、運命の人と本当に結ばれるかどうかは、貴方の選択にかかっています……』
リヴァイ・アッカーマン
元人類最強の調査兵団兵士長。
ヒィズル元年の五円玉の人。
エルヴィン・スミス
調査兵団十三代目団長。
おもてなしティーでリヴァイのお茶会に招かれ。
リヴァイと共にいる事を選択したリヴァイの運命の人。
+.。*♡
――終わらない
□D
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