―――目が覚める、隣には全裸のバゼット。ライダーに負けず劣らず彼女の肉体も美しかった。我を忘れてお互いを貪った。寝顔を見つめる。美しい、素直にそう思った。そっとベッドから離れて着替える。廊下に出る。赤面した桜と無表情のライダーが揃って立っていた。
「あの…⁉ もう少し声を抑えていただけるとありがたいです…⁉ 主にバゼットさんがですが…⁉」
「今夜は私の番です。忘れないでくださいね、ダンテ。」
ダンテ「今日で聖杯戦争終わるかもしれねえぞ。次があったらな。」
桜に少年の家に連絡してもらうよう頼んだ。桜が戻って来た。
「何だか今日も上機嫌でしたよ。ぜひダンテさんにお礼が言いたいって言ってました。」
どうやら少年が勝利したらしい。とりあえずホッとした。外に出てキャバリエーレをブッ飛ばして少年の家へ向かう。昨日と同じく門の前で出迎えられた。
ダンテ「よう坊主、お前が勝ったみたいで安心したぜ。アーチャーは何か言ってたか?」
「とりあえず納得したみたいで笑顔で消えていったよ。」
ダンテ「坊主がアーチャーの二の舞を踏まねえようにお嬢ちゃんが面倒見てやりな。」
「ええそうね。士郎は放っておいたら損な役回りを引き受けすぎるもの。」
ダンテ「セイバーはいるか? たぶん今日が最後の聖杯戦争になる。」
「だったら俺たちも行った方が…。」
ダンテ「恐らく悪趣味金ピカ野郎が待ち構えてる。タイマンなら負けねえがお前たちを守りながらじゃ分が悪い。大人しく待っときな。」
「「わかった…。」」
「話は聞きました。すぐに行きましょう。」
セイバーを後ろに乗せて魔力が密集する場所へ向かう。
ダンテ「ここだ、間違いねえ。」
「確かに尋常ではない魔力が集まっています。」
入口を探すのが面倒なのでスパイラルを撃ちこみまくった。やがて空洞が現れた。穴をくぐって進む。
「待ちかねたぞ雑種。」
ダンテ「やっぱり生き延びてやがったか性悪悪趣味金ピカ野郎。前回は2度も殺し損ねたが今度こそあの世に送ってやる。行け、セイバー。」
「お気を付けて!」
「貴様如きひとりで我を殺せると思っているとはな、舐められたものだ。」
ダンテ「2回も殺されかけておいてよく言うぜ。この10年の間に忘れたのか? ボケが始まったんじゃねえだろうな?」
「ほざけ雑種⁉」
剣やら槍が飛んでくる。ロイヤルブロックで防ぐ。
ダンテ「通用しねえって理解できねえか? 本当にボケてんじゃねえだろうな?」
「ならば思い知らせてやろう…⁉」
金ピカ野郎がひと振りの剣らしきものを手にする。
「『エア』よ、存分に謳うがいい!
……原初を語る。天地は分かれ、無は開闢を言祝ぎ、世界を裂くは我が乖離剣。
星々を廻す臼、天上の地獄とは創世前夜の終着よ。死をもって鎮まるがいい!! 『天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)』‼」
長ったらしい口上の間、ダンスしながら待った。やがてエクスカリバーにも劣らない魔力の暴風が俺を襲う。触れる直前、ロイヤルブロックしまくった。神を名乗るデカブツやエクスカリバーでの経験が活きた。
ダンテ「Crazy? Ha‼」
「馬鹿な…⁉ エアが…⁉ 人の身で防がれるとは…⁉ 貴様…⁉ 何者だ⁉」
ダンテ「てめえ如きに名乗る名は無い。」
真魔人化する。アドベントで間合いを詰め、真魔人コンボで鎧を砕く。デモリションで金ピカ野郎を魔力で覆い内部から破裂させる。
ダンテ「ショボい花火だ。もっと派手なのを期待してたんだがな。」
確かに金ピカ野郎の魔力が消えたのを確認する。奥へ進む。やがて巨大な赤黒い物体の上に真っ黒な球体が浮かんでいるのが見える。セイバーが立っている。その傍にはクサレ神父の首と胴体が転がっていた。呆気ない最期だった。
ダンテ「どうしたセイバー?」
「それが…。」
「待っていました、『伝説の魔剣士スパーダ』…の息子、ダンテ。貴方の目的もわかっています。」
ダンテ「なら話は早い。どうすればいい?」
「この『大聖杯』を破壊してください。そして霊脈を断ち切るのです。」
ダンテ「……分かった。セイバーはエクスカリバーで霊脈とやらを片っ端からブッ壊してくれ。俺は大聖杯を破壊する。」
「わかりました、共同作業ですね。」
お互いに微笑を浮かべる。真魔人化する。崖から降りる。デモリションで根本から塵にする。ザ ルーチェをブッ放しまくって砕きまくる。達磨落としのようにどんどん大聖杯が崩れていく。とどめにジャッジメントで塵も残さず消滅させた。崖を登る。
ダンテ「セイバーは何も異常はないのか?」
「ええ、不思議ですね。聖杯の大元を破壊したはずなのに…? 魔力はそのままです。」
ダンテ「ま、聖杯戦争のシステムそのものを破壊したからな。その後のことまでは俺にもわからん。消えるまでこの時代での生活を楽しむんだな。」
「はい、この時代の生活にも慣れました。この身が消えるその時まで楽しませていただきます。」
セイバーを送ってから間桐邸に戻った。聖杯戦争の終焉を報告した。ライダーも当然のように存在していた。ライダーに手を引かれて部屋に連れていかれてまぐわった。翌日の朝まで続いた。また桜とバゼットに叱られた。そして夜になってバゼットとも行為をした。また叱られた。
俺は一足先にアメリカへ帰った。事務所の机には依頼人の伝言メモが積みあがっていた。1枚1枚目を通して依頼人と標的の素性を徹底的に洗った。その上で標的を始末する日々を送った。何でも屋と名乗っているが実質『復讐代行屋』と言っていいだろう。人間社会にも掃き溜めのゴミに似た屑は存在する。人を殺すことに抵抗はなかった。狙った標的は必ず殺した。稀に報復も受けるが必ず返り討ちにした。元の世界では悪魔が存在したからかもしれないが、何故殺人はしなかったのか今となっては不思議で仕方なかった。その内、魔術協会と聖堂協会からの刺客もピタリと途絶えた。奴らも俺を敵に回したらどうなるかを理解したと思いたかった。そして…
「ただいま帰還しました⁉ これからよろしくお願いします⁉」
ダンテ「ようバゼット、桜との修行はどうだった?」
「掃除、洗濯、料理、その他諸々、認めていただきました⁉」
ダンテ「そうか、よろしく頼むぜ、バゼット。」
「はい⁉ お任せください⁉」
新しいパートナー兼恋人との生活が始まる。しばらく退屈はしなさそうだ。
――完――