その中でも随一のカス、超人系うおうおの実を食べた男がいた──!
「うおw支配とか、なに語っちゃってるのwき、きちーw」
エルバフは地獄と化していた。子供たちの悪夢から飛び出してきた様々な怪物や、
それに加えてイムから魔気を与えられた神の騎士団も、麦わらの一味との激戦を繰り広げている。
そんな中に、たまたまエルバフを観光していた男がいた。
彼の名はドワー・ウォ・キチー。超人系うおうおの実を食べた全身冷笑人間である。
イムと四皇の激突という、文字通り世界の命運すら左右する状況に立ち会っているというのに、ドワーの顔には冷めた嘲笑が張り付いていた。
そのあまりに場違いな態度に、先程まで互いに必殺の攻撃を繰り出していたイムとルフィも戦いを一時的に止めている。
「あ、続けていいですよwなんでしたっけ、なんか奢るんじゃなかったですかw」
「なんだ貴様は……!」
イムから叩きつけられる規格外の覇気を、しかしドワーは冷笑を浮かべたまま受け流す。それは懸賞金で億を超えるような強者ですら気を失う程であるというのに。
「自分すかwそんなことより麦らァさんに集中した方がいいんじゃないw」
「ムーは世界の王……! 不敬であるぞ!」
「ど、どわーwwwいい歳してイタい妄想とかw」
「……!
「ちょちょwなにマジになってんのw冗談ですやんw」
ジョイボーイに打ち勝ち世界の王となってから、イムはこの様な扱いをされたことはついぞなかった。
名も知らない男から向けられる冷笑に、イムの短い堪忍袋の緒が切れる。背負う円環から人魂のような魔気を数発ドワーに打ち出す。
今は笑顔を浮かべながら傍観しているルフィですら防戦一方となったそれに、ドワーはなんの迎撃もせずに直撃を受けた。
苛立ちに歪んでいたイムの顔に嘲笑の笑みが浮かぶ。
「フン……所詮は羽虫。そうだろうジョイボ——」
「は?ダル……まじ冷めるわ、これだからチー牛はさぁ」
「なに……!?」
「えええぇぇ〜〜~!?!? 無傷ぅぅぅ〜〜~!?!?」
爆炎の中から現れたのは無傷のドワー。これにはルフィも目を飛び出して驚いている。
「む、麦らァ……! それおもろいと思ってるんw正直イタいでw」
「あっひゃひゃひゃ! 何言ってんだお前〜〜~? あひゃひゃ!」
「効いてて草wあ、マジで笑かせに来てたんwこれは、うおw」
今度はドワーの矛先が笑うルフィに向いた。
解放の戦士ニカ。その自由な戦いは敵すらも笑顔にし、世界に解放をもたらす伝説の存在。ここエルバフでは太陽の神として崇められている。
が、ドワーにとってそんなことは関係ない。
「そもそも太陽の神てw自称神、多すぎ〜〜~!w」
「何言ってんのか分かんねェけど! 敵だな! ゴムゴムのォ……」
「で、でた~www」
「
両手にシンバルを生み出し、ドワーを挟み込む。ニカの力を持ってすれば、ドワーはペラペラになって大ダメージを受けていたはずだった。
しかし——
「シンバルてwそんなんで潰れるわけないw」
「ええぇぇぇ〜〜~!?!? 効いてねぇ〜〜~!?!?」
「天丼いいてwそもそもなんで直接殴らんのwほいw」
再び目玉を飛び出させるルフィを冷笑し、無言で振るわれたイムの薙刀をドワーは拳で迎撃し——
規格外の覇王色同士の衝突により、エルバフを覆っていた雨雲が割れた。
「ちょwイム君怒りすぎ〜〜~w君の敵麦らァですやんw間違ってますよ!気づいて〜〜~!」
「その不愉快な口を閉じろ……!」
「顔真っ赤で草w」
イムの連撃を迎撃し続けるドワーだが、これは彼がイムと同等の実力者というわけではない。
うおうおの実の能力は、攻撃をズラすこと。斜に構えて効いてないアピールをする冷笑系にふさわしい力だと言える。
そしてドワーは
すなわち、カートゥーン能力を有するニカにとって、冷笑空間は天敵……!
それはルフィに突き刺さった薙刀と拳によって証明された。
「ぎゃぁぁ〜〜~!?!? い、いでぇぇぇ〜〜~!?!?」
「これが最終到達点とかw寒すぎwギャグ補正なきゃこんなもんよw」
「そんなものか……!ジョイボ〜〜~イ!」
「ででで、でた~www誰ですのんジョイボーイてw」
打撃と斬撃が飛び交う三つ巴。だが、冷笑空間によりルフィはカートゥーン能力を封じられている。
そうなると爆笑が明確な隙となり、イムとドワーの攻撃だけが確実にルフィにダメージを蓄積させた。
そしてついに、イムの斬撃が深々と胸を切り裂き、ドワーの拳が金的を炸裂させる。
「乙www」
「こんなものか、ジョイボーイ……」
仰向けに倒れたルフィの体からニカの白が失われていく。
残ったのは、麦わら帽子で目元を隠したモンキー・D・ルフィだけだった。
「もういい、期待はずれだ……!次は貴様を——」
「……うるせェ」
ドルン!という音が響く。それは重い、重機を起動させた時のような重低音で。
同時にルフィの体から蒸気が吹き上がる。
「てめっ、なんで生きて——かぺっ!?」
確実に仕留めたはずのルフィの異変に、余裕を失い冷や汗を流したドワーの頬に拳が突き刺さる。
覇王色の覇気を纏った純粋な暴力に、ドワーは血反吐を撒き散らしながら吹き飛んだ。
「……眠ってたみてぇだ。おれは——」
立ち上がったルフィから覇王色の覇気が放たれる。
それはエッグヘッドにてエメトより放たれたそれと遜色のないもので。
「モンキー・D・ルフィ。海賊王になる男だ」
あとがき+キャラ紹介
この短編は最近のクソおもんないノリに対するアンチテーゼとして書き始めました。今のギャグ吐き散らすだけのニカではなく、かっこいいルフィに戻って欲しい。だから〆のセリフは決まってました。
どれだけシリアスでも寒いギャグとオーバーリアクションをやめないニカに対して冷笑系をぶつけるという暴挙。このくらいしなければニカは止まらねぇ、そう思った次第です。
補足として、この後ニカの現実改編能力のみを引き出したルフィ……ギアトップとでも言うべき形態にドワーはボコボコにされ、負け惜しみを吐き散らして命からがら逃げ出しました。カス。
キャラ紹介
ドワー・ウォ・キチー
うおうおの実(超人系)
名前の由来はドワー・W・キチー。つまりどわーwきちーです。名前からしてもうカス。
そしてうおうおの実は本文でも説明している通り、攻撃をズラす能力を持ちます。
そしてドワーは覚醒者なので、ニカのクソおもんないノリを無効化する冷笑空間を展開できます。なんだそれ。
これはゴロゴロの実がルフィに通用しなかったように、完全に相性です。
ニカに対するアンチテーゼとして生まれましたが、書いててさっさと殺したくなったので目覚めたルフィにサクッと殴られました。
モンキー・D・ルフィ
言わずと知れたONEPIECEの主人公。この短編では、カイドウに仮死状態に追い込まれたあとは、ニカの人格が表に出ていたという設定。
ニカがボコされたことでルフィの人格が目覚め、ギア5は今後出ません。
この後はニカの現実改編能力のみを引き出した、人獣形態ギアトップで戦います。
これによりうおうおの実の完封がなくなり、普通に殴り飛ばせました。