「あれ?アリアちゃんは?」
「アリアちゃんなら推し活中〜」
「あー……」
ライブハウスの楽屋。妄想エンジェルのメインボーカル・アリアは画面に釘付けだった。
「はぁ……ジョーカーさま、ほんとかっこいい……私たち知能構造体の希望、ヒーロー……」
画面の中に映るのは、ジョーカーが強盗を捕まえたというニュースだった。ジョーカーがサムズアップするその画面に、アリアはメロメロである。
きっかけは些細なことだった。まだ妄想エンジェルとして活動を始めて間もない頃、今より自信のなかったアリアの目に飛び込んだのが、ジョーカーの活躍のニュースだった。自分と同じ、知能構造体の彼。治安局のヒーローとして、人々を助け、照らしている。アリアがジョーカーを推すのに、時間はかからなかった。
「ジョーカーさま……いつか妄想エンジェルのライブに来てくれないかなぁ……」
「ああなったアリアちゃんはなかなか戻ってこないよー、今のうちに色々やっとこ」
「せやな、こないだ羽が邪魔してごっつ怒られとったもんな」
「それは今いいでしょ!」
楽屋の外で喋る千夏と羽の声は、アリアにはこれっぽっちも聞こえていない。今度はジョーカーのインタビュー動画を見始めた。
『ボンプは知っている〜!今回は治安局のヒーロー・ジョーカーさんにインタビューンナ!』
『よう、この番組を観ているみんな!治安局最強の知能構造体・ジョーカーだ。自分で言うのは恥ずかしいな……』
「はあぁ、照れてるジョーカーさま最高……」
『ジョーカーさん!ホロウ災害を悪用した犯罪が増えていますが、治安局はどのような対応をしていますか?』
『そうだな……特務捜査班を始めとして、俺たちはできるだけ迅速な対応をしている。みんなの安全を守れるよう、奔走しているぜ』
『なるほど〜!その中でもジョーカーさんは特に色んな仕事をしてますよね!』
『ああ。新エリー都のみんなにとって、気軽に頼れる存在でありたい。常にそう思って活動させてもらってる。……その通りだといいんだけどな』
「もう助かりまくりですよジョーカーさまぁ!!いつかわたしのことも助けてください〜〜!!」
『最近何かハマっていることなんかはありますか?』
『そうだなぁ……最近は音楽を聴くのにハマってるな。いいユニットがいるんだよ』
『そうなんですか?例えばどんな?』
『妄想エンジェル、って言うんだが……』
ドッッ
「アリアちゃん!?」
「アリアちゃん!!しっかりせえ、おい!!」
「う、嘘でしょ……ジョーカーさまが、わたしたちを……?」
『妄想エンジェルは歌もいいんだが何よりダンスがいいんだ。3人が一緒に頑張って踊ってる。なんかそれを見ると俺も頑張ろうと思えるんだ。』
「認知して、くれてる……!?あふん……」
「あかん、アリアちゃんが気絶してもうた!!」
「幸せそうだしほっといていいんじゃない?」
それからアリアは、活動により一層熱を入れるようになったという。
「アリアちゃん頑張ってるね〜」
「せやな、無理してないといいけど……あ、メッセージ」
「誰から?」
「友達!」
千夏の写真フォルダにある、1枚の写真。そこには、なんとも細いアルビノの少女が写っていた。
アリア
推活天使。ジョーカーさま大好き。
千夏
アルビノでほっそい女の子と友達らしい。
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