いつか、村の外を旅してみたい。
その夢を抱いていた少女が旅に出るころ、帰るはずの村は焼け落ちていた。

エテーネで兄と暮らしていた十三歳のレイは、魔物の襲撃で命を落とし、遠い地でエルフの少女として目を覚ます。兄の行方も、故郷へ帰る道も分からない。

水音のしない光の河。風を運ぶ獣。桜に彩られた都。
手がかりを求めて歩くアストルティアには、村にいたころには想像もしなかった景色と、人々の暮らしが広がっていた。

魔物を前にすくむ足を動かし、行く先々で故郷の名を尋ねる。
小さな剣一本では越えられない危機も、彼女の話に耳を傾けてくれる人も、その道の先に待っている。

帰るために、まだ知らない世界へ。
どこかにいるかもしれない兄を探して、レイの旅が始まる。