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さて、ユートにはこの世界――【ソードアート・オンライン】の世界と仮に呼んでいたけど、此処がどんな原典を持つのかをよく識らないので次に起きる事も予測が出来ない。
其処でユートは決闘騒ぎの有った翌日に一度は現実世界に帰ると、ギルドに所属をしている仲間や所属はしてないけど縁と縁が紲で結ばれた仲間にも話しておいた。
「愈々を以て、先が見えなくなって来たからな。この世界の事に詳しい人間に話を訊こうと思う」
「この世界に詳しい?」
アスナが小首を傾げ……
「それって茅場晶彦の事?」
飽く迄も“SAO”というゲームに詳しいという意味合いで答えを出す。
「ハズレだアスナ。ゲームが云々じゃないのさ、こういう事を考えた事は無いか? 漫画やアニメや小説などの中に入って主人公と共に遊びたい、或いは主人公にヒロインみたいな可愛い娘は勿体無いから奪いたいとか……ね」
「まぁ、妄想乙とは思うけどな。全く無いかと訊かれたら『無い』と云えば嘘になるよな」
それなりに引き籠り気質だったキリトなら理解もするとは思っていた。
勿論、マジで考えたりはしないというのも確信をしている訳だが……
「僕にとってこの世界はそんな世界。ひょっとしたら僕が密かに考えていた【ソードアート・オンライン】の世界というのも、或いはこの世界観の核心を突いているかも知れないな」
「【ソードアート・オンライン】の世界? それじゃ私達がSAOに閉じ込められたのは?」
「或る意味では必然」
リズベットは愕然だ。
「然し、違う部分も有る」
「それは私達ですよね」
「そうだ、響。君らは一〇〇%で【ソードアート・オンライン】という世界観である事を前提にしたらイレギュラーになるからな」
最早、彼女達は仲間内ではリアルネームで呼ばれる様に成ってから久しい。
「響、翼、雪音、切歌、調、未来。彼女達は彼女達の物語が在り、それは本来なら【ソードアート・オンライン】の世界とは交わらない。謂わば交わらない筈の世界が混ざり合う混淆世界というやつだな」
「混淆世界?」
「事実として、響達は【戦姫絶唱シンフォギア】の世界の住人だと確定している。何故なら僕は、彼女らがとある事件に関わったというそれに関しての大まかな部分を識っている」
鸚鵡返しに訊ねてきたサチに、ユートは至極丁寧な説明をしてやる。
尚、ユートにも本来ならユートの物語が存在していたのだろうが、今のユートに物語は無いと云っても過言では無かったという。
それは兎も角、この世界は少なく見積もっても二つの世界が交じり合う混淆世界なのは間違いが無い訳で、内の一つは【戦姫絶唱シンフォギア】であるのならば今一つは【ソードアート・オンライン】であるのだと視れば良い筈だ。
「僕が知り得る限り、【戦姫絶唱シンフォギア】の世界は進んだ科学が確かに在るけど、それに関しては先史文明時代の科学者たるフィーネの暗躍とか、錬金術師達によるオーバーテクノロジーの残滓なんかに拠るものだ。近代のプログラマーである茅場晶彦が入り込む余地は無いな。だいたいにして【戦姫絶唱シンフォギア】にVRゲームなんてのは存在してない」
ユートが識らないだけでVR自体は存在していたけど、それでもそれはゲームの為の物では無いのだからSAOが発売はされないだろう。
既に聴かされていたシンフォギア組は兎も角、初耳だったSAO組の顔色は余り良くは無い。
「どちらにしても僕はイレギュラーだろうから、僕の介入で流れが大幅に変わりかねないんだよ。だからこの世界を識るかも知れない者に連絡をしてみる事にしたんだ」
「判った、明日の昼には一度ログアウトをするって話で良いんだよな?」
「ああ、だからギルドはキリトと翼に回して貰いたいんだよ」
「了解した」
「私も判りました」
ユートからの要請にキリトも翼も確と頷いた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
夕飯を食べたらユートは風呂に入って寝台へと向かうが、コンコンとドアを叩くノック音が響いてピクリと身動ぎしてドアを見つめる。
「どうぞ」
ユートが許可を出すとガチャリとドアノブが回って扉が開き……
「あの、少し御話を良いですか?」
小柄な少女――初期からの相棒役なシリカが、怖ず怖ずとユートの部屋へと入って来た。
「どうした?」
「……あの、ユートさんはレリックの皆さんと……その……チュッチュしてますよね?」
ズコッとずっこける。
「真面目腐った顔して何を言い出すかと思えば、君はナニを考えているんだ!?」
「だって、ソードアート・オンラインでの相棒は私なのに……私は特にチュッチュ無しだもん」
「……」
予感は有った、予測はしていた、確信に変わった出来事も確かに在ったのだから理解は出来る、ユートは所謂話の鈍感系主人公等では無い故に。
ソードアート・オンラインがデスゲームとして茅場晶彦による宣言がされる前、盟友のキリトは現・風林火山のギルドマスターなクラインを相手にレクチャーをしていたが、ユートは近場に居たシリカの手を取って大冒険に飛び出していた。
始まりからしてシリカは共にプレイをしていたファースト・プレイヤー、ユートにとってみても思い入れの深い相棒だったのは間違いあるまい。
見た目が小学生~中学生にしか思えなかった、それにリアル年齢も事実として小学生六年生だ。
ユートの年齢守備範囲は数えで一二歳、つまり実質的には一一歳でも一応ながら守備範囲だったりするから、此れ又一応ではあるもののシリカも守備範囲内に入らなくもない。
とはいえ、それはハルケギニアの貴族共が挙って借金の形にと幼い娘を寄越したのが切っ掛け、ユートの趣味的に合法なら良しだったのが歪んだ性癖に成ったのは否めなかった。
それでもユートが積極的に手を出さない様にしていたのだが……
「私、見た目はアバターだから変わらないけど、それでも実年齢は一四歳なんだよ?」
「理解しているさ」
ユートはリアルワールドに戻る度に、仲間達の現実の肉体の様子を……シリカの生身の綾野珪子も確りと観察をしていた訳だ。
ハイバネーション機能を使っている訳では無いから、単に肉体的には眠っているだけで冬眠状態には無くて成長も普通にしている。
健全な成長とは云い難いから少し背が伸びている程度だったけど。
(仮想体だからか、どうにも性行為に対する忌避感が少し薄れているみたいだよな……全員が)
そのお陰で響や未来や切歌や調みたいな美少女とヤれた訳だから文句は無いけど、シリカも矢張り生身とは違うという意識が根底に根付くからこそ嫌いな相手なら未だしも、好意を懐いた相手になら性行為に及ぶのもアリみたいだった。
これで生身だったなら初めての恐怖心などから二の足を踏むかも知れないが、今の彼女の身体は仮初めのアバターだから破爪の痛みも無い筈だ。
実際、響達も挿入をして直ぐに性的な快感を感じていたし。
性行為への抵抗感が恐ろしく低い、何故ならばVRでは精神が直接的に仮想体へ及ぶから。
哀しければ泣きたく無くても涙が零れ落ちる、精神がダイレクトに伝わってしまうのだ。
レッドやオレンジ連中だって全員が全員破綻者だった訳じゃない、少なくともラフコフの三バカを除けば閉塞感からの脱出という心に存在していたモノが破壊に顕れただけ、それが犯罪に走らせてしまった要因に成っていたのであろう。
犯罪に走る、自殺に及ぶ、如何にしてそれが顕れるかは判らないが、いずれにしてもシリカが今の不安定な精神状態に成っているのだって、理屈の上ではあの連中と似た様なものだった。
(ヤったら存外と僕と二人だけの時には婀娜っぽくなった未来、天真爛漫を絵に描いた様な笑顔を向けて来る響と切歌、調は婀娜っぽいとはまた違うけど未来に近いかな? シリカはどうなるのか気になると云えば気になるけど……)
本体ならそう考えたら軽く勃ち上がっていたかも知れない、ひん曲げられたユートの性癖は目の前の幼い仮想体ながら間違いなく自意識を持ったプレイヤーたるシリカへ、確かなる欲望が鎌首をもたげているのを感じてしまう。
「仮想の身体だとはいえ後悔しないか? 幾ら君でもいざそうなれば手加減も利かないぞ」
「は、はい!」
シリカとて二年間を何の想いも懐かずに過ごしていた訳では無い、幼くて未だどんな事をするのかもよく解らなかった為りに、仲良くなった女性プレイヤーからの聞き取りをそれとなくやって、彼氏彼女の性事情的な情報を知ったりもした。
ナニをヤるのか理解をしたシリカは、流石に顔が真っ赤になって俯いてしまったものだが……
シリカは頬を朱に染めながら瞳を潤ませつつ、メニューを開いて、画面の一番下にまでスクロールをさせるとオーダーをタップする。
それは嘗てアスナがキリトを相手にタップをしたコマンドであり、勿論ながら響も未来も切歌も調も同じオーダーをしていたモノ。
即ち――倫理コード解除設定。
知り合いもまさかシリカが実際に使うとは思わず悪戯心に教えたのであろうが、事実として今の今まで男を前に使った事は無かったシリカであるけれど、今正にうっすらと汗を掻いて指先を震わせながら押さんとしている。
シリカ――綾野珪子(14)――は目を閉じて倫理コード解除設定をタップし、更に全装備解除にもタップをして全裸に成ってしまう。
「ひゃうぅっ! ユートさ~ん! み、視ないで下さ~い!」
「自分から裸に成っといて、何を無茶苦茶な事を言っとるんだ君は!」
そして案の定、涙目に成りながら先程より三割増しで真っ赤に頬を染めつつ余り無い胸を隠し、ペタンと乙女座りをして叫んでいたのだと云う。
仮想体は成長をしないのだから見た目は兎も角として、中身が一四歳の綾野珪子であるからにはユート的に問題が無いので性的な欲求こそ高まっているし、所詮は仮想体での行為など生身の行為に比べたら軽く成るのはユートも同じ。
結局は性欲に負けて致した。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「致したんだ」
「致しましたとも」
「開き直るんだね」
「私とは最後までしてないのに、そんな歳下の娘とは致したんだ……」
「
プクッと頬を脹らませて『私、起こってます』と云わんばかりなのは桐ヶ谷直葉、キリトの従妹にして義妹に当たるおかっぱ姫カットな美少女、地味な顔立ちながら美少女であると言い切れるというのはユートに近いかも知れない。
「仮想体だからって?」
「仮想体だと精神の箍が弛み易い、だから嫌いなら兎も角としても好意的なら……な」
「そういうもんなの?」
勿論だけど必ずしもそうでは無いであろうが、ユートとシリカはそうだったという話。
「あれだけチュッチュとさせといて、意識しないとでも思ったの? そりゃね、私の初恋はきっとお兄ちゃんだよ。お兄ちゃんが実は従兄だって知ったのが優斗君に出逢う前なら、ひょっとしたらずっとこの想いを燻らせていたんじゃないかなって思うけど……」
「いやいや、君もチュッチュかい!」
シリカといい直葉といい、言い方がちょっとだけアレだったけど普段からそんな物言いでは無いから偶々なのだろう、というより『えっちした』とかまんま『セ○クス』だとか言うのは、年頃な娘さんには恥ずかしかったからかも知れない。
それは扨置き、確かに直葉と稽古で勝負をした際に彼女が勝てば【緒方逸真流】を教える約束をしており、それ対して直葉はユートが勝った場合に最後までは致さない括りで、エロティカルな事をしても良しと成っていた。
所謂、古い言い回しでAとBまでならしても良いけどCは駄目だという事。
オッケーを出したのだからこの時点で従兄である桐ヶ谷和人への好意こそ残しながら、ユートに対してもそれなりに好意を持っていたのだろう。
恥ずかしがってはいたけど拒絶はされていない辺り、恐らくは間違った考えでは無いのでは? と感じているユートだったが、今回の話でそれが正解だったのだと確かな感触を感じていた。
「仕方が無いな」
「仕方無しなの!?」
「生身でヤったら処女を喪失するんだからリスクが高いし、それならいっその事だけどALOの中でヤらないか?」
「ALOで?」
「僕はアカウントも作っているしな」
直葉に言われてアミスフィアとALOのソフトは購入しているし、何ならアカウントも作るだけは作っているからプレイ自体は可能だ。
但しバグなのかどうかは窺い知れないけれど、何故かSAOみたいに姿形がユート本人だったから
チュートリアルも終えていて、闇妖精としての領域を出てシルフの直葉――リーファとも割かし気軽に会える位置に居る。
だから、直葉と共にアミスフィアでログインをすれば早くに会えるから、宿屋でシッポリとしけ込むのは可能と成っていた。
しかも軽目にユートが調べてみた処、どうやらこのALOという“アルヴヘイム・オンライン”というゲーム、その根幹がSAOサーバーの丸コピー品とか有り得ない様なモノだったのである。
そりゃあ、ハードこそ違えども根幹システムがコピーなら何らかの干渉は有るだろう。
寧ろこれでSAOに干渉が無かったのが奇跡だと云えるかも知れないが、根幹システムが同じだったからかログアウト自体は可能でレベル制を排したドスキル制、ALOで独自に付け足したシステムは兎も角として倫理コード解除設定が普通に存在していた為、ヤろうと思ってコード解除をしてしまえば宿屋でシッポリも確かに出来た。
まぁ、コード自体は更なる奥下にまで隠されていてゲームを愉しむユーザーは気付くまい。
「確かにシリカさん? はSAO内でチュッチュしたんだもんね」
フェアでは無いという事か?
だけど直葉はALO内で良かったと心から思う事になる、何故ならユートはリーファの髪型がいたく御気に入りらしくて、しけ込んだ宿屋にて滅茶苦茶に可愛がられてしまったから。
ユートはリーファのポニーテールを本当に気に入って、さわさわと触り続けて倫理コード解除設定をしていたからか妙な快感に襲われてしまい、真正面や後ろからだけでなくてユートが一番好きな体位を以て、何回も何回も絶頂へと導かれてしまったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「……という訳だ」
〔確かに【戦姫絶唱シンフォギア】に混じっているみたいだけど、【ソードアート・オンライン】の世界みたいだねぇ……って白夜義姉さんが言っているよ?〕
「そうか、矢っ張りな」
電話の相手は義妹にして【準閃姫】でもある処の緒方祐希、前に【異世界はスマートフォンとともに】な世界へ行った際に、誤って主人公である望月冬夜君を世界神の神雷から
彼は都合、九人の嫁を貰う筈だったハーレムを築いた漢だったのだけど、その殆んどが危機に陥っていたのを助けたのが出逢いの切っ掛け。
何も識らないヒロインが不幸に成るのは望む処では無く、ユートは望月冬夜君の代わりに彼女達を救うべく向かったのだ。
知識の共有を旨に、義妹のユーキと連絡し易い様にと一組のスマートフォンを特典にして。
そしてユートは案の定にか九人の嫁を娶ったのは勿論として、狐獣人のアルマや喫茶パレントのアエルに忍の椿、五千年前の聖王国のレジーナ・バビロン博士やその彼造物たるバビロン・ナンバーズなど望月冬夜の嫁以外にも手を出している。
何なら、間違って未来からやって来たのだという
ユーキとしても稀に掛かってくる電話は嬉しかったらしく、割と忙し目な用事が有ったとしても秒でコールに出る事も度々あった事だ。
〔【ソードアート・オンライン】の主人公は確かに兄貴が言う通りで桐ヶ谷和人、アバターネームがキリトとしている黒の剣士だねぇ。けど相変わらず持っているよね兄貴はさ、道を歩けば普通に主人公とぶち当たるんだから」
「犬も歩けばかよ? まぁ、何の因果か祟りなのかは知らんがね」
ユートが主人公にぶち当たるのはいつもの事、だからこそユートは世界間移動をしている。
〔さて、兄貴の行動で可~成~り読み難くなっているのは間違いないねぇ。本来の世界線であるのならキリトとアスナが恋人同士に成る切っ掛け、それがモノの見事に無くなっているのに既に二人は恋人と来たもんだよ。“KoB”の団長にキリトが敗北して、“KoB”に入団後にはクラディールってレッドギルドである“笑う棺桶”に所属をしていた愚者に殺られ掛け、それをアスナが助けてキリトはクラディールを殺害。二人は恋人に成ってその日の夜には一線を越えたって感じかな? まさかサチが生きていて兄貴と仲好くなっているとか、兄貴のギルドにキリトが副団長として所属をしているだとか、随分と無茶苦茶な事に成っているからちょっと吃驚だよ。それにクラディールは粛清済みみたいだからさ」
「クラディール? 覚えていないけど十把一絡げに打ちのめした可能性は有るな」
〔兎に角、現在はクォーターポイント最後の地点である第七五層の探索を“KoB”を中心に行っているんだが、それとは別に少し面倒な事を半年くらい前から請け負っていてね」
〔面倒な事って?〕
ユートは溜息混じりに、その面倒な事というのをユーキに説明すると流石に彼女も呆れる。
〔まさか、そんな事になってしまっているとは。正しく事実は小説よりも奇也て感じだねぇ〕
呆れの中に苦笑い。
〔兄貴は男なんて、余程の相手でないと好意的に接しないんだからさ。面倒な事を請け負っている時点で遣るべきって考えたんでしょ?〕
「ま、
現実世界では未だに処女の彼女ではあるけど、少なくともこのSAOの中ではユートを相手に閨でメス顔を晒しており、既に何度もパートナーを替えて絶頂を味わっている。
本来の世界線、本来辿る筈だった運命、それらをガン無視してまで彼女達に手を出したからには責任の一端は担うし、懐いている情は懐かれている情に比例して返すのがユートの主義だった。
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