NARUTOの世界で北斗の拳のとある人物が七尾の人柱力を助けるために戦う、という感じの短編です。

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フウ、というキャラクターについて調べましたところ、アイデアが浮かんでしまったので投稿いたします。



NARUTO×北斗の拳(仮)

 滝隠れの里の忍者であり、尾獣七尾の人柱力であるフウは里の外へ外へと向かっていた。

 里にいきなり現れた怪人達。

 白髪に全身に金属の棒を打ち込んだ奇怪な連中は里の忍びをものともせず、立ち向かう者を次々に叩きのめしていった。

 無論フウも果敢に挑んだ。

 しかし、5人の怪人達はフウや里の忍の繰り出す忍術をことごとく粉砕していった。

 おりしも霧雨の降る中での戦いであり、フウの得意とする燐粉隠れの術の効果が大幅に落ちており、その雨の中では何故か風遁の効果が低下していた。

 滝隠れの里の忍術は水遁、風遁の使い手が多い。

 それらの術を封じる何らかの策があったのか。

 滝隠れの忍達は追い詰められていった。

 その中、フウは彼の怪人達の目的が自分である事に気付いた。

 彼女は里からこの怪人達を引き剥がすために、里の外に疾走していった。

 

「はあっ、はあっ…」

 フウは里から大分離れた森の中で、怪人達に追い込まれていた。

 怪人の中には触れただけで人を昏倒、殺害する能力を持つ者がいた。

 近接戦を挑むのは無理がある。

 里から離れたためか、風遁の攻撃が通用するようにはなっているものの、相手は5人、しかも並みの上忍を超える技量をもっている様子だった。

 追ってきているのは怪人達だけだはなかった。

 怪人の1人が口寄せしたらしい巨大な獣がフウに迫っていた。

 風遁で攻撃し、切り刻めば切り刻みほどに分裂して追ってくる犬や、小屋程もあるサイズのムカデ、風遁の斬撃を弾き飛ばす大きな蟹など、それだけで中忍が何人がかりで戦えるか、というレベルの召喚動物を使役する敵。

 人柱力とはいえ、尾獣の力を十全に振るう事の出来る訳ではないフウにとって、チャクラの総量はともかく、忍としての技量が劣っている以上、このまま追いまわされては先に体力が尽きるのは目に見えていた。

 チャクラの量と体力で押し切るのが今までのフウの戦い方。

 それが通用しないという恐怖は、フウをさらに追い詰める事になっていた。

 フウがそれでも立って、動いているのはただただ里にいる人たちのため。

 それに。

「森の中ならあっしのテリトリーっすよ!」

 障害物のある森は、小柄な彼女に地の利を与えていた。

 木立のおかげで雨脚も弱まっている。

「んじゃいくっすよ! 秘伝・燐粉隠れの術!」

 彼女が印を結ぶと周囲にキラキラと光る何かが現れる。

 蝶の燐粉のようなそれは、怪人達に纏いつき、視覚を封じる。

 フウは知らぬことであったが、怪人達、ペイン六道はお互いの視覚を共有している。

 そのため、広範囲にわたって追跡が可能であり、繊細な連携が可能になっていたのだ。

 そしてフウの燐粉隠れの術はペイン全員の視覚を阻害した。

 5人全員が一瞬フウの存在を見失ったのである。

 その隙をフウは見逃さなかった。

 ペインの中でも特に厄介そうな、長髪を後ろで括った怪人、ペイン畜生道に向かってフウは突貫していった。

「喰らうっすよ!」

 フウの全力を以っての体当たりを受け、さいものペイン畜生道も体勢を崩した。

 フウはそのままペイン畜生道を下からかちあげ、七尾の人柱力の力を開放、七色に輝く甲虫の羽を生やしてそのまま柱高く舞い上がる。

 はるか上空までペイン畜生道を連れ去り、風遁で地面にたたきつける。

 それがフウの必勝戦術であった。

 しかし。

 高々と飛翔したその先に、

 6人目の怪人がいた。

 怪人・ペイン天道は飛翔してきたフウにすい、と手のひらを向けると、

 

 ゴッ!

 

 フウの体に衝撃が走った。

 持ち上げたペイン畜生道ごと、何らかの術で弾き飛ばされたのである。

「ぎゃんっ!!」

 地面にたたきつけられるフウ。

 激痛にのたうちまわる。

 一方ペイン畜生道は叩きつけられる前に何らかの力が働いたようだ。

 のたうちまわる風の目の前にふわりと降り立った。

 激痛に涙を流しながらも、生き延びるために周囲を見回すフウ。

 しかし、仲間もおらず、周りには敵である5人の異形ども。

「嫌っす… 死ぬのは… 嫌っすよぅ…」

 ついに、今まで抵抗していたフウの心がぽっきりと折れそうになった瞬間。

 

「おいおい、穏やかじゃないなぁ」

 

 いっそ穏やかと言っていい声が、森の広場に響き渡った。

 

 森の奥から、男が1人、出てきた。

 小さめの頭部、短めに刈り込んだ髪にはところどころ白髪が混じり、少なくとも中年以上であることが分かる。

 獣の毛皮を加工したと思わしきチョッキを羽織り、肩には大きな荷物を担いでいる。

 ずいぶんと太っているようにも見え、丸々としたお腹をさすりながら歩いている。

 全体的に手足はそう長いようには見えない。

 無精ひげの生えたその顔にはにこにこと人の良さそうな笑みが浮かんでいる。

「君達、女の子をいじめちゃいけないよ、やめなさい」

 この緊張した場にのこの事踏み込んでくるとは、忍者ではない。

 一般人がこの場にいたら、一瞬で消し飛ばされてしまう。

 こんな良い人を巻き込んじゃいけない。

 フウは自分の痛みを無理やり抑えて、その男性に向かって喚いた。

「早く逃げるっす! そいつら全員忍っすよ! げほっ!」

 そして、肺に折れた肋骨が刺さったのか、血を吐きだした。

 それを見た男性は、

「いけない! その子を離しなさい、ひどい怪我じゃないか!」

 そう言ってむしろ近づいてきたのだ。

 その男性の前に、怪人の1人が立ちはだかった。

 あのおじさんが殺されてしまうっす!

 焦ったフウは立ち上がろうとするが、その力は残されていない。

 男性が怪人に近付いて、近づいて…。

 そこでフウは奇妙な事に気付いた。

 縮尺がおかしい。

 どう見ても怪人と男性の身長差が、大人と子供ほどもあるのだ。

 フウは小柄で、先に怪人との身長差は頭1つ分。

 フウの頭頂が怪人の顎の下に当たる。

 対して怪人と男性との身長差はそれ以上ある。

 けっして小柄とは言えない怪人の頭頂部が男性の胸、鎖骨の下のあたりにあるのだ。

 これは。

 男性は巨大だった。

 人とは思えぬほどに。

 上背があるだけではない。

 怪人という比較対象があるだけに分かる。

 肩幅も、比喩抜きで怪人の2倍はあった。

 怪人は細身ではない。

 むしろ筋肉質で、肩幅も広い。

 怪人1人だけで見るのであれば筋骨隆々とした巨人と見えるだろう。

 それが。

 目の前の男性と比べると、なんと小さいのだろう。

 森の熊神が人の形をとって迷い出てきたのではないか、そう思わせるようなえもしれぬ迫力を感じる。

 その男性からは不思議な事にほとんどチャクラを感じることはなかった。

 多分怪人達が気づかなかったのもそのためだろう。

 しかし、彼には不思議な力を感じた。

 その巨体が醸し出す何かだろうか。

 森の中に鎮座しまします巨木や巨石のそれと同じような、そう、神聖さ、とでも言うべき気配を男性は纏っていた。

 無論、怪人にはそんなものは関係ない。

 彼らにとって、重要なのは尾獣を確保する事。

 相手がどれだけ異形であろうとも関係ない。

 男性の前に立った怪人・ペイン地獄道は体に突き立った金属の棒を引き抜き、突きかかった。

「おっちゃん、あぶない!」

 フウは男がペイン地獄道に串刺しにされたのを幻視した。

 しかし。

 

 ぼっ!

 

 空気が摩擦されるような音とともに、ペイン地獄道の姿が消えた。

 次の瞬間。

 

 ガッ、ゴキン! メリメリッ! ゴンゴンゴン!

 

 木のへし折れる音、岩の割れる音と共に土煙が上がった。

 男性の左手は先ほどまでは確かにだらりと垂れ下がっていたのに、右の肩口のあたりにある。

 つまり、今の一瞬で、男性はいくら負傷しており、集中力が低下しているとはいえ、仮にも忍者にして七尾の人柱力であるフウにも見えないほどの速さで左の腕を振り抜き、ペイン地獄道を弾き飛ばした、という事になる。

 しかも、男性からチャクラを練り上げた気配はない。

 男性は自身の筋力のみでペイン地獄道を吹き飛ばした、とでも言うのだろうか。

 ペイン地獄道は起き上がる気配を見せない。

 男性はフウの前まで来ると、担いでいた荷物を下ろした。

 土煙が上がる。

 呆れた事に、どう見ても担いで歩ける量ではない。

 馬車に積んだとして、馬1頭で引けるのだろうか。

 かなり疑問な量である。

 それをこの男性はたった1人で担いできたというのか。

 目の前の男性は、片膝をついてしゃがみ込むと、フウに向かって、

「お嬢ちゃん、大丈夫かい。

 もう心配いらないからね」

 そう、微笑んだのである。

 安心感からもうろうとする意識を何とかつなぎ止めて、フウは聞いた。

「お、おっちゃんは、何って、言うっすか?」

「わたしかい?

 わたしの名前は “フドウ”。

 行商人のフドウだよ」

 ここに、七尾の人柱力の少女・フウと「山の」と称され、また、「木の葉の鬼」とも恐れられた男、フドウとの邂逅はなったのである。

 

「君は滝隠れの里の子かな?

 良かったら送っていこうか?」

 フドウは能天気にそう言う。

 周りにまだ5人の怪人がいるというのに。

 それでも、そのやわらかな雰囲気にのまれてフウは答えてしまった。

「はい、あっしは滝隠れのフウっす。

 …じゃなくて!

 おっちゃん、早く逃げるっすよ!

 こいつら里の忍者をものともしない怪物なんすから!」

 フウだそう言うと、フドウはそのぶっとい眉をしかめた。

「…こいつらは里を襲ったのかい!?

 じゃあ、里長のシブキ様はどうしたんだい!?」

 その言葉に、フウの顔がくしゃりと歪む。

「シブキ様は、シブキ様はあっしを逃がすために大怪我を…」

 フウはポロポロと涙をこぼした。

「そうか、大変だったね。でも、もうだい…」

 フドウがフウに労わりの声をかけたその瞬間。

 フドウの手が、その見た目と正反対の凄まじい早さで動き、細身の怪人・ペイン人間道の頭をむんずとつかむ。

 ペイン人間道の頭は成人男性の大きさはある。

 それを、猫の頭でもつかむかのようにすっぽりと包み、掴んだフドウは、

「で、君達の目的は何かな?

 女の子に暴力を振るうのが目的ならさっさと失せてくれないかな?

 さすがに、これ以上何かする、というのなら…」

 フドウの気配が変わった。

 日向で昼寝をする大型犬が、子どもを守ろうとする羆くらいに。

「わたしにも考えがあるよ?」

 フドウはフウをひょいと持ち上げ、持ってきた荷物の上に乗せた。

「フウちゃん、ちょっと待っててくれるかな?

 わたしはこの人たちとお話をしてくるからね」

 フウは頷くしかなかった。

 

 フドウはペイン人間道を鷲掴みにしたまま、ペインたちを睨みつけた。

 ペイン人間道がジタバタしているが全く意に介さない。

 その手からはみしみしという嫌な音がしている。

「で、君達は失せる気はないのかい?」

 その声に、ペインたちは各々構えを取る。

「そうかい、あくまでも戦う、というのだね…。

 分かったよ…」

 すでにジタバタを通りこし、ブランと手足を垂らすのみになったペイン人間道をどさりと落とし、フドウは全身に「何か」を漲らせていく。

 みしり、みしりと肉体がパンプアップしていく。

 それだけで、フウとペインたちにはフドウが1回り以上大きくなったように見えた。

「滝隠れの里のシブキ様はね、若くしてお父様がお亡くなりになってから、里を守るために一生懸命に努力してきたんだ。

 その里を、そこに住む人を、君達は理不尽に傷付けた、というのかい?」

 みしり。

「君達にも理由があるのかもしれない。

 でもね、あそこは私にとって大切な場所なんだ…」

 みしり。

「それを踏みにじる、というのなら…」

 みしり。

「わたしは全力で抗おう…」

 みしり。

「師より授けられた、この拳!」

 みしり。

 

「『南斗聖拳』を以って!」

 

 ペインたちにはもはやそれは人には見えなかった。

  「鬼」

 人に在らざる、暴力の化身。

 ペインたち、強大な力を持つ忍者をしてなお上回る、そのようなありえない存在。

 何より恐ろしいのは彼の者から「チャクラの高まり」を感じない事。

 チャクラなしでこの世界の者は岩を打ち砕く事が出来ようか。

 チャクラなしで高々と飛翔出来ようか。

 一日で百里を駆ける事が出来ようか。

 不可能だ。

 この男はそれを成した。

 ペイン地獄道に与えた打撃。

 ペイン地獄道はチャクラによる防壁を体に纏っていたはずである。

 それが、チャクラを持たないただの肉体に粉砕された。

 あり得ない。

 あり得ない、がすでに成された事だ。

 その男が纏うものはチャクラではない。

 何か別のもの。

 生物の、より根源的なものであり、チャクラの運用に慣れた現代の生き物では持ちえないもの。

 戦うための意思。

「闘気」とでも称するべきもの。

 フドウはそれを纏い、ペインたちと対峙していた。

 

 残る相手、ペイン餓鬼道、畜生道、修羅道が構え、一斉に不動に対して切り込もうとした瞬間、

 フドウが「吼えた」。

 その衝撃やいかに。

 ペイン3人の動きが一瞬止まったことから察する事が出来よう。

 その次の瞬間。

 フドウの巨体が「消えた」。

 いや、眼にもとまらぬ速さで、その巨体が動いたのだ。

 そして半瞬後、ペイン畜生道が高々と宙を舞っていた。

 フドウの体当たりがペイン畜生道を跳ね飛ばしていたのだ。

 ただの体当たりなどではこうはならない。

 なぜなら、斜めに跳ね飛ばされたペイン畜生道はそのまま直線を描き、30mはある木々の上に飛びだし、大きく弧を描いて吹き飛んでいったからである。

 チャクラではなく、闘気を込めた体術の奥義、「南斗・五車破岩撃」の一撃である。

 ペイン畜生道が失われたといって、ペイン六道が怯むことはない。

 ペイン天道以外は替えの効く存在なのだ。

 とはいえ、こうもやすやすとペインが倒されるとは。

 次に不動に攻撃をしたのはペイン餓鬼道。

 ペイン畜生道を跳ね飛ばし、動きの止まったフドウに掴みかかる。

 ペイン餓鬼道には相手のチャクラを吸引する能力がある。

 これを過剰に行えば、チャクラのなくなった相手など恐るるに足りないはず。

 しかし、

「わたしの『闘気』は吸収できんようだな…」

 確かにチャクラを吸引しつくしたはずの相手が、平然と立っているのを見て死人のはずであるペイン餓鬼道の顔色が変わる。

「ぬうん!」

 裂ぱくの気合と共に振り下ろされた右の掌が、信じがたいことにペイン餓鬼道を地面へ埋め尽くす。

 土遁も使わずに、人1人を地面に埋め込む。

 どれだけの力が必要になるのか、想像もつかない。

 そんな事をこの鬼はやってのけたのである。

 残るはペイン修羅道。

 彼は重火器をその身に仕込んだ機甲傀儡人間である。

 フドウに近付く事無く、彼を吹き飛ばす事も出来るのだ。

 そして、フドウはそれを避ける事が出来ない。

 なぜならば…。

「おっちゃん、気を付けるっす!

 そいつ、遠距離攻撃の達人っす!」

 背後に、彼の荷物と、何より傷ついた女の子がいるのだから。

 ペイン修羅道は全身の機構を起動させ、大量の砲撃を(フドウ)に叩き込む。

「おっちゃん!」

 フドウが爆炎に包まれる。

 どんな忍者であろうとも、これだけの攻撃を喰らっては無事では済まない。

 それだけの猛攻であった。

「ああ…!」

 フウの心に絶望が忍びこむ。

 そして爆炎が晴れたそこには。

 無傷、とはいかないものの、自分の足で大地を踏みしめたフドウの姿があった。

 彼は己の闘気をチャクラの如く盾にして、ペイン修羅道の攻撃をしのぎ切ったのである。

 さすがにあっけにとられるペイン修羅道。

 その隙を逃すフドウではなかった。

 一瞬にして相手との距離を詰め、

「ぬうあぁ!!」

 がっしりとペイン修羅道を抱え込む。

 全弾を撃ちつくし、リロードをしていないペイン修羅道になすすべはない。

 めりめり、べきべきと最高度の装甲と、柔軟性と強度とを持ち合わせた高硬度の骨格が余りにもあっさりとひしゃげ、つぶされていく。

 すでに立ち上がる事のできない状態となったペイン修羅道を放り捨て、フドウは空を見上げた。

「で、どうする。

 やるというなら相手になるよ」

 その声に合わせたかのように、天からペイン天道が降り立った。

 彼は集準するかのように周りを見回した後、すい、と手を翳した。

 すると、ペイン天道の周りに、吹き飛ばされていたペインたちが引き寄せられてきた。

「今回は我らの敗北だ。

 しかし、次はない。

 ペインはもはや、敗北しない」

 無機的な声で、ペイン天道がそう宣言する。

「それはこちらとて同じこと。

 わたしにとって大事なものを傷つける、というのであれば…」

 フドウが言う。

「全て叩きつぶします」

 その声を聞くと、ペイン天道は、残りのペインたちを連れ、消えて行った。

 時空間忍術でここから瞬間転移をしたのだろう。

 

「さて、フウちゃんだったね、里に帰って手当てをしないと」

 フドウが先ほどまでの激闘がなかったかのように能天気に言う。

「いや、そんなに迷惑かけられないっすよ…! 痛った…」

 空元気でそういうフウだが、いくら人柱力といってもあれだけ痛め付けられれば回復に時間もかかる。

「ほら、無理しないで。

 君くらいなら、重さなんて気にならないよ、わたしは」

 そう言われてみると、あの巨大な荷物に比べれば…。

 フウはどう考えると気が楽になった。

「じゃあ… お世話になっていいっすかね?」

「はっはっはっ、構わないよ、わたしみたいなおじいさんに、遠慮するもんじゃないよ」

「は? おじいさんて、フドウさん何歳なんすか?」

「そうだなあ、もう50は越したかな?」

「うぇ! 嘘っしょ! 50歳でこの力って…」

「まあ、健康法があるからねえ、これでも、格闘技を習っててね、それが健康の秘訣なんだよ」

「いやいや、健康法で特級の上忍やっつけられないっすからね!?」

 2人はそんな風にのんびり(?)とした会話を楽しみながら滝隠れの里へと帰って行ったのである。

 

 フドウたちが立ち去った森で。

「あれが「木の葉の鬼」か…」

 そうつぶやく男がいた。

「イタチさん、あの怪獣をご存じで?」

 そう尋ねるのは青黒い肌の鮫のような牙をもった大男、干柿鬼鮫である。

 尋ねられた男、うちはイタチは思い出すように答える。

「ああ、子どもの頃のお説教には必ず出てくるのさ。

『お友達を大事にしないと』とか、『人をだますような事をすると』、木の葉の鬼がやって来て、子どもを食べてしまうってな」

「…どこの国にもありそうな逸話ですがね。

 それとあの怪獣がどう関わるのですか?」

「『尾のない尾獣』と言われるお前に言われるのは向こうも心外だろうに。

 どうやらあの男、フドウは数十年前に木の葉隠れの里で暮らしていたらしい。

 その時に志村ダンゾウ、そう、『根』の長であるあの男がフドウを怒らせたらしい。

 ダンゾウは昔から親類など親しい人を殺させることで『根』の構成員の結束を図っていたらしいが、どうもそれ絡みらしいな」

 鬼鮫は眉間にしわを寄せて嫌悪感を示した。

 彼の生まれ故郷、霧隠れの里でも同じようにして優秀な忍者を育成しようとしていた事があったからである。

 そう言う連中は軒並み殺人快楽者になって里抜けをしてくれた。

 おかげで霧隠れにいた頃の追い忍鬼鮫は商売繁盛でとてもうれしくなかった。

「それであの怪獣が里を襲った、と?」

「そうだ。

 木の葉の三忍、白い牙、日向の当主、当時の名だたる忍者が軒並み倒されたそうだ。

 3代目の必死の説得もあって鬼は引いたそうだが、一時期木の葉隠れの里は大混乱だったらしい。

 その辺りの事情は角都が詳しいからな、聞いてみるといい」

「そうですか、なかなか楽しいお話のようで。

 しかし、七尾を狩る、となるとあれと戦う訳ですか…。

『暁』の全てをぶつけないと難しいですかねえ…」

 鬼鮫が腕を組んで考え込んでいる後ろで、イタチは、

「あれとトビをぶつけてみるのも面白いかもしれん」

 そう考えていた。




この作品は、「NARUTO」の2次を書く際に、もともと拙作「狐狸忍法帖」ともう1つのアイデアとでの3パターンで考えていたものを短編として書いてみたものです。

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