一度死んだ一夏は自分を見つめ直す

仮面ライダーゴーストとIS〈インフィニット・ストラトス〉のクロスです

Драгоценные

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開眼・俺!

 

俺の名前は織斑一夏、家事が得意で剣道をやってる

 

 

俺には織斑千冬という優秀な姉さんがいる

 

 

いつも比べられて、時々嫌になるけれど、俺も優秀な千冬姉を尊敬している

 

 

厳しいけど、その中に優しさを垣間見る時もあるから俺は千冬姉が大好きだ

 

 

だけど、どんなに努力しても、千冬姉に追い付く事は出来ない

 

 

テストで満点を取っても、運動会の徒競走で一番になっても、俺は千冬姉に追い付けない

 

 

それは『インフィニット・ストラトス』、通称ISがあるからだ

 

 

千冬姉の親友である篠ノ之束が開発したそのパワードスーツは女性しか扱えない

 

 

よって、男である俺にはISは動かせない

 

 

そして、千冬姉はISの世界大会『モンドグロッソ』で優勝し、ブリュンヒルデになった

 

 

同じ土俵に立つことも出来ないんだから、勝ち目なんて最初から無い

 

 

俺に出来ることはせいぜい、学校のテストで良い点を取り続ける事と、千冬姉が唯一苦手な家事をするくらいだ

 

 

こんな卑屈な考えを持っていると、千冬姉が知ったらどう思うだろう?

 

 

呆れられるか、見捨てられるか、そもそも何とも思わないか

 

 

きっと、千冬姉は「お前はお前だ」と言うだろう

 

 

さっきも言ったが、千冬姉は厳しいけど、優しい

 

 

「いつも家事を任せてすまない。ありがとう」

 

 

「また満点か。頑張ったな、一夏」

 

 

「運動会、見に行けなくてすまなかったな。聞いたぞ、リレーで牛蒡抜きしたらしいな」

 

 

「周りの事など気にするな。お前は私の自慢の弟だ」

 

 

結果を残せば褒めてくれる、それが俺にとって唯一の救いだった

 

 

誰に何を言われても、千冬姉が認めてくれるならそれで良かった

 

 

そう、良かったんだ・・・

 

 

 

   ◇

 

 

 

俺は今、椅子に縛り付けられ、身動き出来ない状態にある

 

 

どうやら俺は誘拐されてしまったらしい

 

 

理由は『千冬姉に第二回モンドグロッソで優勝させない為』

 

 

そこで、応援に来ていた身内である俺を誘拐したらしい

 

 

しかし、誘拐犯の思惑通りにはならなかった

 

 

誘拐犯が要求を出したのは日本政府、つまり、千冬姉本人じゃない

 

 

日本政府が千冬姉に伝えなければ、千冬姉は俺が拐われている事など知る由もない

 

 

モニターに映し出された決勝戦の様子、そこには入場する千冬姉の姿があった

 

 

誘拐犯達はそれを見て、怒り、悔しがっている

 

 

「よかった・・・」

 

 

でも、俺は戦う千冬姉の姿を見て、そう呟いた

 

 

千冬姉の経歴に泥を塗らずに済んだ、足を引っ張らずに済んだ

 

 

俺はその事に何より安堵した

 

 

誘拐犯は目的を達成できなかった為、用済みになった俺を殺すらしい

 

 

ああ、今思えば、俺は何の為に生きていたんだろう・・・

 

 

千冬姉がいつも言っていた『お前はお前だ』と言う言葉の意味を理解していたか?

 

 

千冬姉に認めてもらうことばっかり考えて、自分らしく生きていたか?

 

 

自分を・・・信じていたか・・・?

 

 

まあ、今となっては、もうどうでも良い事か・・・

 

 

轟音と共に来た衝撃と激痛に、苦しみながら、俺は意識を手放した

 

 

 

   ◇

 

 

 

気が付けば、俺は水の中にいた

 

 

息苦しさを感じ、空気を求めて浮上する

 

 

「ぶはっ!?はあ・・・はあ・・・はあ・・・?」

 

 

空気を吸いながら、俺は辺りを見回す

 

 

どうやら自分は滝の辺にいるらしい

 

 

とりあえず、浅瀬に行こうと歩みを進める

 

 

視線の先には彼岸花が点々と咲いていた

 

 

「・・・俺は、死んだのか」

 

 

ここが言うところの三途の川という奴なのだろうか?

 

 

「生き返りたいか!?」

 

 

「え?」

 

 

「そりゃあ、生き返りたいよなぁ!!」

 

 

そんな事を考えていると、眩しい後光と共に馬鹿でかい声が聞こえてきた

 

 

「・・・誰?」

 

 

「私は、誰でもあって誰でもない」

 

 

振り返ってその声の主に訊ねてみると、また後ろから声が聞こえてくる

 

 

また振り返ると、今度は結構近くに、白髪のおっさんが立っていた

 

 

「・・・神様?」

 

 

「いやいや、それ程偉くない。よいしょ」

 

 

急に態度が軽くなったおっさんは立っていた岩の上から降りてくる

 

 

「神様ほど偉くないって言ったら・・・じゃあ、おっさんは死神か?

 

 

「だから、神じゃないって。それにおっさんはないだろ、せめて仙人と呼んでくれ」

 

 

どうやらこのおっさんは仙人らしい

 

 

「仙人だか何だか知らないけど、死んだ俺に何の用だ?」

 

 

「はあ!」

 

 

おっさんが持っていた杖を空に掲げると、空中に映像が映し出される

 

 

そこに映し出されたモノは、さっきまで俺がいた場所だった

 

 

しかし、俺が死ぬまでいなかった存在が映っていた

 

 

「・・・何だあれ?」

 

 

「あれは眼魔、眼魂を狙う化物だ」

 

 

眼魔と呼ばれる異型の存在、それが誘拐犯達を襲っていた

 

 

「眼魂って何だよ?」

 

 

「お前がその手に持っている物だ」

 

 

おっさんは俺の手を指差し言うから見てみると、本当に何か持っていた

 

 

「これが眼魂?」

 

 

「織斑一夏、お前は眼魔と戦う宿命を持っている」

 

 

「はあ?」

 

 

「今から私の話をよく聞け」

 

 

おっさんは真剣な顔をして語り始める

 

 

「お前のその手にある目玉、それにはお前の魂が宿っている」

 

 

「俺がこれに?」

 

 

「そうそう、ちょっと貸して?」

 

 

俺はまじまじと眼魂を見ていると、またおっさんの口調が軽くなる

 

 

「あのね、この世には同じように英雄の魂が宿った眼魂がいくつもあるんだよね。つまり、眼魂とは、英雄の魂だ!!」

 

 

英雄の魂だ、というところだけ無駄に良い声でおっさんは言う

 

 

「英雄の宿る眼魂を十五個集めれば、その力で何だって出来る。お前を生き返らせる事も出来るぞ」

 

 

「生き返るって・・・本当かよ?」

 

 

「うん、本当だよ。だけどね、なかなかそうはいかないんだ。眼魂を狙う眼魔達がたーくさんいるからね!」

 

 

もうこのおっさんの口調は気にしない事にする

 

 

「じゃあ、眼魂を探してると眼魔に襲われるって事じゃないか」

 

 

映像の中で眼魔は、弾丸をもろともせず、ISも簡単にあしらっている

 

 

「無理だよ、俺には。それに、生き返る理由も無いし」

 

 

「もう一度会いたい人はいないのか?」

 

 

「・・・そりゃあ、いるけど・・・」

 

 

「このまま死んで、お前は後悔しないのか?」

 

 

「後悔・・・」

 

 

自分を信じて生きなかった・・・

 

 

「・・・する。するよ、後悔」

 

 

「だったら、生き返って、悔いのないように生きてみたらどうだ?」

 

 

おっさんの言葉を聞き、俺の中で何かが開いた気がした

 

 

「・・・わかった。やってみるよ。でも、奴等と遭遇したらどうすればいいんだ?ISを簡単にあしらう奴等とどう勝負すればいいんだよ?」

 

 

眼魔の対処法をおっさんに訊ねてみる

 

 

「仮面ライダーゴーストになれば、奴等と渡り合える」

 

 

「ゴースト?」

 

 

「・・・なるか?」

 

 

仮面ライダーゴーストが何なのかはわからない

 

 

だけど、なる以外の選択肢はもう俺の中にはなかった

 

 

「ああ、なるよ。仮面ライダーゴーストに!」

 

 

俺のその言葉を聞いて、おっさんは俺に手を翳す

 

 

すると、俺の腰にバックルが大きいベルトが現れた

 

 

「え、なにこれ?」

 

 

「下らない質問の多い奴だな」

 

 

「へ?」

 

 

そして、小さな目玉の幽霊が現れた

 

 

「何だ、お前?」

 

 

「おっす!」

 

 

「ユルセンだ。あとは、アイツが教えてくれる」

 

 

おっさんはユルセンを指差してそう言った

 

 

「しっかりやれよ~?」

 

 

ユルセンはニヤニヤと笑い、俺に言う

 

 

「それじゃ、行ってらっしゃい!!」

 

 

その言葉と共に、俺は滝壺に吹っ飛ばされた

 

 

 

   ◇

 

 

 

そして、目を覚ました一夏はゆっくりと立ち上がった

 

 

「戻ってきたのか・・・?」

 

 

血溜まりに倒れていた為に、上半身は血まみれになっていた

 

 

「お前、さっきまで死んでいた人間だな?」

 

 

一夏を見た眼魔は持っていた武器を握る力を強める

 

 

「お前が眼魔・・・やっぱり、ビビるわ・・・」

 

 

目の前に立っているのはお話の中に出てくるような化け物

 

 

本当に自分が太刀打ちできる相手なのか・・・

 

 

しかし――

 

 

「俺は・・・もう後悔しない・・・!」

 

 

今度こそ後悔しない為に、自分を信じて生き抜く為に、一夏は還って来たのだ

 

 

一夏は腰に巻かれたゴーストドライバーのトリガーを握る

 

 

「・・・」

 

 

「・・・」

 

 

しかし、そこから動かなくなった

 

 

「・・・えっと、どうすればいいんだっけ?」

 

 

一夏はゴーストドライバーの使い方がわからなかった・・・

 

 

「眼魂のスイッチを入れてベルトに装填して変身だ!」

 

 

そこに頼れる目玉幽霊ユルセンが現れ、使い方をレクチャーする

 

 

「眼魂・・・これだな!」

 

 

一夏は急いで懐から眼魂を取り出し、横にあったスイッチを入れる

 

 

眼魂の目玉部分にGの文字が現れた

 

 

スイッチを入れた眼魂をドライバー装填する

 

 

『アーイ!』

 

 

その声と光と共に、ドライバーからパーカーゴーストが現れる

 

 

「えぇ!?」

 

 

ゴーストはドライバーの音声を聞いて、踊っている

 

 

『バッチリミナー!バッチリミナー!』

 

 

「トリガーを引いて~押し込~む!」

 

 

ユルセンの指示通りに一夏はドライバーのトリガーを引いて押し込んだ

 

 

『カイガン!オレ!』

 

 

次の瞬間、一夏は光に包まれ、姿を変える

 

 

そして、姿を変えた一夏に覆い被さる様にパーカーゴーストがとり憑いた

 

 

『レッツゴー!覚悟!ゴ・ゴ・ゴ!ゴースト!ゴーゴーゴーゴー』

 

 

オレンジの仮面に黒い身体、一夏は仮面ライダーゴーストに変身した

 

 

「お前は死んでるからもう死なないよ。思い切ってやれ!」

 

 

そう言うと、ユルセンは消えてしまった

 

 

「ほお、眼魂の力を使える人間がいるとはな。強そうじゃないか」

 

 

「さあ?俺にもこの姿が強いのかまだわからないんだ。だから、相手してくれよ」

 

 

「図に乗るなよ。たかが眼魂を使えたくらいで、勝てると思ってるのか?」

 

 

「ああ。今度こそ、俺は俺を信じる!」

 

 

その言葉と共に、ドライバーからガンガンセイバーが現れる

 

 

「はあ!!」

 

 

「ふん!」

 

 

ガンガンセイバーと眼魔が持つ槍が衝突し、火花が散る

 

 

「なかなかやるな、人間!」

 

 

「そりゃどうも!」

 

 

振り下ろしを去なし、突きを、薙ぎ払いを躱す

 

 

隙を見つければ斬り込み、隙を作らないように集中する

 

 

剣道で培われた技術が一夏の武器となっていた

 

 

そして、ゴーストとしての戦法も掴み始めていた

 

 

槍で足元を払われたその時、ゴーストはジャンプしてそれを躱した

 

 

そして、そのままユラユラと幽霊の様に飛行を始めたのだ

 

 

「おお、飛んでるよ、俺」

 

 

自分が飛んでいる事に感動しながら、ゴーストはガンガンセイバーをブレードモードからガンモードに変形させる

 

 

「そりゃ!」

 

 

そして、空中から眼魔に向かって弾丸の雨を降らせた

 

 

「ぐぅおおおおお!!!?」

 

 

体中から火花を散らし、眼魔は膝をつく

 

 

「さてと、そろそろトドメだな!」

 

 

「一夏!もう一度トリガーを引いて、オメガドライブだ!」

 

 

「わかった!」

 

 

ユルセンの指示を聞いて、ゴーストはトリガーを引く

 

 

そして、頭の中に浮かんだ印を結んだ

 

 

すると、ゴーストの後ろに目玉を模した印が現れる

 

 

「もう死んでるけど・・・命、燃やすぜ!!」

 

 

『ダイカイガン!オレ!オメガドライブ!』

 

 

トリガーを押し込むと、印が光へと変わり、ゴーストの右足に収束される

 

 

「くぅ・・・うぉおおおおーーー!!!!」

 

 

何とか立ち上がった眼魔は槍を構え、ゴーストに向かって走る

 

 

「はあっ!!」

 

 

しかし、槍を振るう前に、胸にゴーストによってオメガドライブを叩き込まれた

 

 

胸から大量に黒い墨のような血を噴き出した次の瞬間、眼魔は爆発した

 

 

あとに残ったのは槍と眼魂、眼魂の方は砕け散った

 

 

「やった、やったぞ!ユルセン!」

 

 

一夏はドライバーから眼魂を取り出し、変身を解除した

 

 

『オヤスミ~』

 

 

その言葉と共に、ゴーストドライバーは消えた

 

 

 

   ◇

 

 

 

「お前、なかなかやるな~」

 

 

ユルセンは俺に感心したように言う

 

 

「まあ、もう死ぬこともないし、相手の攻撃を怖がる必要も無いしな~」

 

 

「でも、やられると死ぬ程痛いぞ~?」

 

 

「へ?おい、聞いてないぞ!」

 

 

「世の中そんなに甘くないって話しさ~ヒヒヒッ!」

 

 

なら今後、あんな無茶な戦い方は出来ないという事だな

 

 

「ところで、これからどうするんだ?」

 

 

「・・・それは俺にもわからないよ」

 

 

辺りには眼魔に殺されてしまった誘拐犯達の死体が横たわっている

 

 

『勝者!織斑千冬!二年連続で優勝です!』

 

 

「ん?」

 

 

モニターには千冬姉が決勝で見事勝利した姿が映っていた

 

 

割れんばかりの歓声と賞賛を受けている

 

 

「・・・おめでとう、千冬姉」

 

 

俺は小さくそう呟き、ユルセンと共にその場を後にした

 




続きはない!(泣)

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