※12/8 ごめんなさい嘘です続編書きました。許してください何でもしますから
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ある校舎の廊下を一人の女が歩いている。歳はまだ若く女子高生いわゆる“JK”と呼ばれる年齢だ。その証拠に高校の制服を着ている。周りを警戒するかのように見まわしながら行く女子の手には、およそ女子高生には似合わない長めのシャベルが握られている。
「今日も異常なしっと」
彼女は誰に言うわけでもなく一人呟くと目の前の―丸太で作られた壁-に背を向けその足を進めた。
場所は変わりここはどこかの高校の屋上だ。その屋上には高校には不釣り合いな畑とビニールハウスが設置されていた。そしてその畑の一角で一人女子高生がその手に似つかわしくないスコップを手に畑仕事をしている。
「今日の朝ごはんは何にしようかしら?」
彼女は少しの間考えるとやがて幾つかの野菜を収穫すると下の階に行くため歩き始めたが、途中で何か思い出したのか歩みを止めて別の場所に向かって歩き出した。
「朝はハーブティーにしましょう」
彼女はそう呟くと―明らかに手作りのプランター―から生えているハーブを必要な量採取すると、今度こそ下の階に向かって歩き出した。
はたまた場所は変わりここは高校の職員室だ。しかし、その職員室は異常な空間であった。人は一人を除いて誰もおらず、何故か荒らされており所々血痕が残っている。そんな異常な空間で一人事務机に座って何かものを書いている女がいた。
「今日も助けは来ないか……もし助けがこなかったとしても彼女達だけでも……」
そう言って溜息をついた彼女はその頭から飛び出る一房の髪を揺らしながら席を立ち、窓の傍まで行き外を眺めた。
「いい天気みたい……」
彼女が窓から眺めた空は雲一つなく澄み切っていて間違いなく快晴と呼べるような天気と言えるだろう。彼女の視界に写る校庭には普通では見られない存在が写っていた。それは人であった。ただの人なら別にどうということはない。それが血まみれで腹から内蔵を出し明らかに死んでいるのに歩いているのではなければ。
「もうすぐ若狭さんが朝ごはんを作ってくれる時間だわ」
彼女はそう呟いたがまだ外の景色を眺めていた。―丸太で作られたワイヤートラップに吊り下げられてもがいているゾンビ―や―大量に並べられた焚火に引火して燃えているゾンビ―のことは必死に見ないふりをしながら。
「本当にいい天気だわ……」
「せんぱーい!朝ですよ!!」
そう大声でとある部屋の扉を開けたのは、短い銀髪の髪が特徴の女子高生である。
「ゆき先輩!おきてくださーい!!」
彼女は部屋の奥で未だ寝ている人物を起こそうと躍起になっているのだ。しかし、彼女が大声で起こそうとするが布団で寝ている人物は一向に起きない。
「み、みーくん…あとごふん……」
こんなことを言う始末だ。
「いいかげんおきてくだい!!もう朝ごはんできますよ!」
しかし起きない。そんな有様に業を煮やした彼女は制服のポケットから―年代物の携帯カセットプレーヤー―を取り出すと再生ボタンを押した。再生ボタンを押されたプレーヤーはスピーカーから一昔前に流行ったようなロックを大音量で流し始めた。
「み、みーくん。うるさいよ……」
流石の彼女も大音量で聞かされ続けると起きざるを得なかったようだ。布団から這い出ると壁に取り付けてあるロッカーから制服を取り出すとそれに着替えた。最後に猫耳のようなデザインの帽子を被り準備は万端である。音楽はまだ鳴ったままである。
「みーくん、おはよ~」
起こしてもらってこの態度である。銀髪の女子は呆れるしかなかった。音楽はまだ鳴ったままである。
「何がおはよーですか!もう8時ですよ。は・ち・じ!!」
銀髪の女子はそう言って部屋にかけてある時計を指さした。音楽はまだ鳴ったままである。
「わぁー!もうこんな時間!遅刻しちゃうよみーくん!早く朝ごはん食べなきゃ!」
そう言うと彼女は羽が縫い付けられた可愛らしいピンク色のリュックサックを背負うと銀髪の女子とともにある部屋まで歩き出した。音楽はまだ鳴ったままである。
「みーくん、それあの人に貰ったやつだよね?」
廊下を歩きながら彼女が聞いた。音楽はまだ鳴ったままである。
「ええ、そうですよ」
銀髪の女子の女子が返す。音楽はまだ鳴ったままである。
「そうそれ!なんでか分からないけど元気がでてくるよね~」
ピンクの女子が言う。音楽はまだ鳴ったままである。
「やっぱりそうですよね……ほんとなんでだろ?」
「みーくん、思ってたんだけどなんで音楽止めないの?」
彼女が疑問に思うのも当然だ。何故なら銀髪の女子がカセットプレーヤーを再生してから今に至るまで一度も音楽を止めていないからだ。既に役目は終えたというのに。音楽はまだ鳴ったままである。
「私も止めたいんですけど、どうしてか止め方がわからないんですよね」
「えっ!?ボタンを押せばいいだけじゃないの?」
「何故かボタンを押しても止まらないんですよ」
銀髪の女子がそう言って首を傾げる。音楽はまだ鳴ったままである。
「みーくん、もらう前にちゃんと使い方聞かなきゃだめだよー」
「私だってちゃんとききましたよ!でもあの人が“出し入れしていればいつか止まる”とか意味不明なこというのが悪いんです」
「じゃあ、どうするの?みーくん」
「私にもわかりません」
そう言って二人して首を傾げるのであった。音楽はまだ鳴ったままである。ちなみにカセットプレーヤーはポケットに出し入れしていたら勝手に止まっていた。
「みんなーおはよー!!」
ピンクの女子―ゆきと呼ばれる人物―がある一室の扉を開け中にいる人たちに挨拶をしながら部屋に入る。続けて先ほどの銀髪の女子―みーくんと呼ばれる人物―も部屋に入ってきた。
部屋には冒頭の女子が真ん中のテーブルに備え付けられた椅子に座りながらシャベルを磨き、部屋の台所には畑仕事をしていた女子が朝食の準備をしている。職員室に居た女性はまだ来ていないようだ。
「ん?おはよっ」
シャベルを磨いている彼女は二人に気が付くとそう言った。その声に他の者も彼女らに気が付いたようで振り返ると挨拶を行った。
「あら?二人ともおはよう」
「おはようございます。悠里先輩、胡桃先輩」
二人は真ん中のテーブルに備え付けてある椅子に腰かけると悠里ととばれる女子が朝食を作るのを待った。
「あれ?めぐねえは?」
ゆきと呼ばれる女子は職員室にいた女性が来ていないことに疑問をもったようだ。
「めぐねえはさっき職員室にいたの見たからもうすぐくるだろ。そんなことよりりーさん、今日の朝ごはんはなんだ?」
彼女は朝食の方が気になるようだ。そんな彼女に悠里は微笑みながら今日の献立を説明した。
「そんなに焦らなくてもちゃんとあるわよ。今日のメニューは屋上で採れた野菜のサラダと―トカゲのステーキ―とハーブティーよ」
明らかにおかしな単語が飛び出したが彼女たちには当たり前のことなので誰も疑問に思う者はいない。
「また、あれか!あれ美味いんだけど朝にはちょっときつくないか?」
「でもこれしか今はないし我慢して頂戴」
「まあ、食えるだけありがたいか」
「ふふっ、そうね。あの人には感謝しなくちゃいけないわね」
「それには同意するけど、あいつどこでこんなトカゲ捕まえてきてんだ?こんなの日本に住んでないだろ」
胡桃はそう言って冷蔵庫の中を覗いた。そこには物凄く丁寧に皮を剥がしてある体長50センチはある巨大なトカゲの肉が保存してあった。そんな巨大なトカゲは動物園でしかお目にかかれないだろう。
「それ私も疑問に思ってました」
そう横から入ってきたのは銀髪の女子である。
「あの人は“よく木にしがみついているから簡単に狩れる”っていってましたけどやっぱり変ですよね」
「確かにな。でもまあ食えるんだしどうでもよくねえか?気にしたら負けってやつだ」
「絶対に違うとおもうんですけど……」
彼女らが“あの人”に対する疑問を持っていると廊下から走る音が聞こえてきた。その足音は、この部屋の前で止まると部屋の扉を開けて中に入ってきた。
「ごめーん!みんな遅くなっちゃった」
職員室にいた女性であった。
「もうめぐねえおそいよー」
「そうだなちょっと遅いんじゃないか?」
そう文句を言うのは胡桃とゆきの二人。
「うぅ~面目ないですぅ~」
二人の容赦ない追及を受け落ち込む女性であった。そんな彼女を擁護するかのように出来上がった朝食をテーブルに持ってきた悠里。
「そこまでにしておきなさい。二人とも。佐倉先生がかわいそうでしょう。はい!朝ごはんができたわよ」
「「はぁーい!」」
そう言って全員が席に着いたことを確認してから彼女たちは朝食を食べ始めた。
「「「「「いただきまーす!」」」」」
「トカゲの肉おいしいー!」
少々行儀悪く食べるのはゆきと呼ばれる少女である。口にした言葉がぶっ飛んでいるが彼女達にはこれが日常なのだ。
「そういえばあの人はどこにいるんですか?」
銀髪の女子が口にした。
「どうせあいつのことだから裏の雑木林で木でも伐採してんだろ」
この校舎の裏にある雑木林は“あの人”の手によって現在半分以上が伐採されてしまっているのである。
「というかあの人何者なんですか?この前だって教室の中でいきなり木でテント作ろうとしてたから私が止めましたけどその時あの人がなんて言ったと思います?“セーブできるとか神ゲーかよ”ですよ!意味わかりませんよ!」
「まあそういうなって。そういやぁ、羽を拾ったらくれっていってたな」
「羽なんか集めて何するのかしら?」
「なんか“斧振るう速度が上がる”だってよ。何言ってんのか意味わかんねーよな」
何故、羽で斧の速度が上がるのか。彼女たちの疑問は尽きない。
「もう!あの人のことを悪く言っちゃいけないわよ二人とも」
そう言ったのはめぐねえと呼ばれる女性である。彼女は前にゾンビに噛まれた際に“あの人”に助けてもらった経験があるのだ。ちなみにゾンビに噛まれた傷はなんかよく分からないハーブを組み合わせたかき揚げみたいな見た目の薬によって直った。
「まあ、たしかにあいつがいなかったらめぐねえは今頃……」
「噂をすればなんとやらよ」
悠里はそう言って窓の外を指さした。窓の外の校庭には校舎を囲うように丸太の壁が張り巡らされゾンビの侵入を防いでいる。漏れたゾンビは数々の手製トラップで駆除され学校に入ってくるゾンビは一体もいない。
そんな異様な空間に“あの人”は現れた。彼は伐採した丸太を二本片手で担ぎ、左手には大量の羽がつけられた血まみれの手斧。背中に大量の荷物を背負った異様な男であった。リュックから明らかに人間の手足がはみ出ているのは突っ込んではいけない。
「相変わらず大荷物だな」
“あの人”をみて呟く胡桃
「いや、あれ絶対おかしいですよね先輩!!なんで当たり前みたいな顔してつぶやいてるんですか!?」
「なにを驚いているの美紀さん。別にいつものことでしょう?」
「いや、あれ絶対へんですよ!」
「みーくん!人の悪口言っちゃだめだよー」
彼女達がそうこうしているうちに彼は3階から垂らしてあるロープを丸太を二本担いだまま片手で上ると教室の中に消えた。
「あの人が帰ってきたから朝ごはんの用意しないとね!」
「めぐねえったらあの人が帰ってきたらいきなりテンション上がってるし、もしかして好きなの?」
「そっそそんなわけないでしょ!変なこと言わないで下さい丈槍さん!!」
「でもめぐねえ顔まっかだぞ」
「えっ!?そんなこと…………
そんなんで言い合いを始める三人をよそに一人銀髪の女子は自分がおかしいのかと自問自答していた。しばらく考えたあと諦めたのか“あの人”に渡されたカセットプレーヤーで曲を再生した。彼女は何故か元気がでた。
彼女達が“あの人”と呼ぶ男はかつて飛行機事故で無人島に墜落した際に自分を食うために襲ってくる原住民を逆に恐怖のどん底に陥れ、攫われたマイサンをほったらかしにして建築に勢を出し永住する気満々だった男だったのである。
その才能はゾンビだらけの巡ヶ丘高校でも遺憾なく発揮しここでも快適生活を営んでいるのであった。ちなみに現在はゾンビのパーツによる新しいエフィジーの作成に没頭している。
そんなこんなで今日も学園生活部は平和なのであった……。
息抜きで書いたら思ったより捗ってしまった。反省はしていない。