魔法少女リリカルなのは~白い冥王の妹、天翼の朱里~ 作:天翼
楽しいパーティーが終わり、私は夜空を飛んでいる。目的は家族である高町家です。もっとも、油断して死んだ私の居場所はもうないでしょう。死んだはずの娘が生き返るとか、問題ありすぎですしね。ここはシュテル・スタークスとして生きるのがいいのでしょうね。しかし、やはり心配なので見に行きましょう。
到着した高町家は暗く澱んだ気配がしていた。私が死んだからかもしれません。そうだと少しうれしいです。
家の中を覗くと、お母さんとお父さんがお酒を飲んでいた。
「朱里に続いて……なのはまで……」
「なんでこんなことに……」
意味がわからない。今、お母さん達はなんていった?
私に続いて……? それってなのはが死んだ?
「まだ希望はある」
「無理よ……毎日あんなに辛そうに……」
生きている? なら、まだ希望はある。
「シュヴィっ、ジブリールっ!」
「ん」
「ここに」
隣に現れた二人に命令をだしてすぐになのはの居場所を調べさせる。
「みつ、けた」
「まけました……」
「データをリンクしてください」
「デー、タリン、ク」
得られた情報でなのはが病院にいることが判明した。そこは本来ならはやてが入院しているはずの病院でした。
シフトで移動した病院の外に浮かびながら、窓から中の様子をみるとなのはが苦しみながら胸を押さえています。
「ジブリール、治して」
「マスター、これは無理です。身体の隅々まで犯されていますね」
「なんでですか!」
「なの、はの、身体……蝕ん、でる……霊骸」
「なんでなのはが……」
「わかりきっているじゃありませんか」
「私の、せい、ですか……」
霊骸は精霊を殺してでた死骸であり、人体には猛毒です。つまり、なのはは私の一番近くにいて、私が生み出していた霊骸を身体に多く取り込んでいることになります。
「治す方法は?」
「ありません。貧弱な身体ではどうしようもありません」
「……マスター、とりこ、む……?」
「とりこめばまだ助けられますか……」
新しい身体をなのはに用意すればいいのです。そうですね。私がなのはの代わりになりましょう。
病室に誰かが入ってきた。そいつはなのはの近くに近付くとなのはの服を脱がしていやらしいことをしだした。
「今日もたっぷりと可愛がってやるよ、俺の人形ちゃん。管理局の命令でジブリールとシュヴィを手に入れる手伝いもしてもらわないといけないし、玩具になってもらうぜ……」
「はい、ご主人さま……なのは、朱里を生むの。だから……」
よくようのない声と虚ろな瞳で答えるなのは。あきらかに正常じゃないです。
「ジブリール……」
「精神が壊れていますね。マスターが死んだことで開いた心の隙間でもついたんでしょうか?」
「そう、ですか……」
私達にとって互いは半身。どちらかを失えば壊れてしまうほどだったのかもしれない。
「なのはの心を治すことはできますか?」
「無、理」
「そうですね~ゆっくりとなら可能ではないですか? どちらにしろ、あの身体は破棄しないと無理なのです。マスターの中でゆっくりと治療すればいいかと思いますよ」
「では、そうしましょう」
私は男を蹴り飛ばし、なのはのを聖杯を使って身体の中に取り込みます。ジブリール達も身体の中に入れて治療を優先させます。なのはの服に着替えて、身体を調べてどこも異常がないかを確認します。ちゃんと身体の中になのはの魂があり、無事であることも確認しました。
「なっ、なんだ……?」
蹴り飛ばした男が気絶から回復して私を、私達をみてきます。
「なのは、なにをしている俺を助けろ……」
『精神、攻撃、確、認……模倣、完、了……』
大人しく近付いて、伸ばしてくる手を掴んで窓の外に放りなげます。
「え?」
「ジブリール、玩具にしていいですよ。精神支配なんてうけませんよね?」
「もちろんですよ。あの程度の下等存在に操られるなどありえません。対策もちゃんとしてありますし」
「なら好きに遊んでいいですよ」
「は~い」
ジブリールが身体から飛び出して男を確保してから消えた。私は完全になのはと同じ外見なので問題ない。
「私は高町なのはであり、高町朱里。なのはが治るまではこの身体を高町なのはとしましょう」
外に出て病院を歩き、自販機でジュースを購入する。飲みながら実家に帰る。隠してあった鍵で家の扉を開いて中に入るとなんだか涙がでてくる。
「ただいま」
声をだしてあがっていくと、奥から慌てたように中を倒す音が聞こえてきて、すぐに泣いているお母さん達がやってきた。
「なのは!」
「大丈夫なのか!」
「うん、平気だよ」
抱きしめられると私も声をだして泣き出す。暖かな家族。私達で一番大切なもの。
「おかえりなさい、朱里」
「え? わ、私はなのは、だよ?」
「母親が娘を間違えるはずないでしょう」
「どういうことなんだ?」
「朱里の気配もなのはの気配も両方している。色々と説明してほしいが、今は……帰ってきてくれただけでいい」
気配で判断とかお父さんは凄いです。でも、やっぱり私を私として迎え入れてくれるととっても嬉しいです。
「ただいま、です」
だから、なのはには悪いですが、心の底から笑ってお母さん達に抱きついて思いっきり泣きました。
それから、事情を説明してたっぷりと叱られました。なのはの治療が完了次第、様子をみて新しい身体を作ることも説明しました。後はシュヴィやジブリールの事も話しています。それに私が転生者だという事も。ですが、皆は受け入れてくれました。
「お父様、ぜひマスターを私にください! いっぱいかわいがりますから!」
「あ~本人の意思次第だな」
さすがのお父さんもジブリールの強さは理解しているようで、私に任せてきます。
「ジブリール、ステイ」
「わふん! はぁっはぁっ……マスターに犬の様に命令されるの、いいですね!」
「あははは」
「ジブリール、霊骸用の薬をさっさと作ってください。そうしたら一晩だけつきあってあげます」
「本当ですか! 超特急で仕上げてしまいます!」
こちらは問題ないのですが、シュヴィは……お母さんと意気投合して花嫁修業をしています。
「なのはと忍は全然してくれないし、シュテルはすぐに覚えて手がかからなかったから、シュヴィちゃんは本当に教えがいがあるわ」
「がんば、る」
「といっても、シュヴィもすぐに覚えますよ」
「でもいいのよ」
色々とありましたが、先生に連絡を入れて身体を一つ用意してもらいます。もっとも、なのはの精神が復活するまでは待たないといけませんが……
『貴女は馬鹿ですか?』
「先生?」
『アムリタとか使えばすぐに治せますよ』
「あっ」
『気が動転していたようですが、あなたらしくもない。それと身体のことは任せてください。後、プレシアが時の庭園で皆を集めて保護者同士で話し合いとかもしたいということなので、日程を決めてください』
「わかりました。ありがとうございます」
先生のアドバイスに従って、すぐにアムリタを投与する。それに疑似聖杯をなのはの魂に融合させて宝具も色々と混ぜる。身体は私と同じようにしてもいいかもしれません。すくなくともフリューゲルの血は混ぜて……色々とやったらなのはが起きました。といっても、私達は互いに話せず、どちらかが起きているともう片方は眠っています。よって二人で一人という状態になりました。そんな訳で、互いに交換絵日記をつけることにしました。交換絵日記、素晴らしいです。なぜ絵日記かというと……そこの部分に絵と問題を書いてなのはに勉強させているからです。なのははテストの時とか、私に変わろうとしますからね。