ある日、凌馬は教会に侵入した暴漢に襲われてしまう。しかしその男は突然死に至ってしまった。辛くも助かった凌馬だが、ふと男の持ち物に見覚えのあるロックシードを発見する。それは、かつての脅威が蘇った証であった……

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お久しぶりです。アヴォレ(波紋疾走)です。予告にはありませんでしたが、鎧武外伝2 仮面ライダーデュークとネプテューヌのクロスSSでございます。この作品には凌馬の過去や、プルルートとの関係を盛り込んでいます。ぜひ、お楽しみください


超次元ゲイムネプテューヌG外伝 仮面ライダーデューク

 

 

 

それは紘汰とネプテューヌが、神次元ゲイムギョウ界に迷い混む前に起きた出来事だった

 

七賢人及びそれに賛同する者達の手によって、エディンの建国準備を着々と進んでいた頃、凌馬は一人プラネテューヌの研究室の中でゲネシスドライバーの調整を行っていた

 

そんな時、不審な男が教会に現れる。顔は青ざめ、目は充血し、唇の色には生気がなかった

 

見るからに怪しい男はまるでなにかに引き寄せられるかのように歩み始めた

周囲の職員も男の様子が変だと気づいていたが、無理に止めればこの男の女神への信仰心が失われると考えたため、一応監視の目を光らせつつも、誰も歩みを止めなかった

 

生気のない男は監視の目を向けられながらも目的地へと歩みを進めていた。そんな時、イストワールがたまたま通りかかる

 

「あの~ どうかなさいましたか? そんなに具合を悪くして……」

 

生気のない男の身を心配して声をかける。声をかけられゾンビのように振り向き、男はこう言った

 

「終末の時は来たれり……」

 

男は引き寄せられるがごとく教会のある場所へと突然走り出した

監視の目を光らせていた職員は一斉に後を追っていった

 

一方調整を行っていた凌馬は、一旦休憩に入り、研究室を後にしようとした時だった。先程の男が凌馬の前に現れたのだ

 

「なんだい君は? ここは関係者以外立ち入り禁止のはずだよ」

 

「迷える我らを救いたまえ……!」

 

そう言うと赤いロックシードを開錠し、凌馬に襲いかかった。首を絞め、窒息させようとする。これに対し凌馬は男の腹を強く蹴った

蹴られた男は腹を押さえながら後ろへと一旦下がる。

そして再び襲いかかろうとした時だった

 

突然持っていたロックシードが故障して、自壊したのだ

それを合図にするかのように、男は苦しみだし、地面に倒れた。体は痙攣し、目の焦点は合っていない

 

突然の出来事に動揺する凌馬。その数秒後、口から泡を吹いて男は活動を停止した

男の震えが止まったので、凌馬は首に手をあて脈を確認する。そして脈がないと分かると、ここで初めて男は死んだのだと知った

 

男の死を確認すると次に側に落ちていた自壊したロックシードを拾った

 

「このロックシード…… まさか」

 

凌馬には覚えがあった。そう、数ヶ月前にもこのロックシードを見たのだ。そして同じような現象も

 

「狗道供界……」

 

その名を呟くと凌馬は壊れたロックシードを握りしめ、静かな怒りを表した

 

 

 

それから程なくして男の遺体は駆けつけた職員によって病院へと運ばれた。救急車が男を搬送する様を見届けていると、心配したプルルートがこちらにやって来た

 

「大丈夫~? 怪我はない~?」

 

「大丈夫。相手に首を少し絞められただけで、殴られたりはされてないよ」

 

「よかった~」

 

何もなかったと知り、安堵するプルルート。しかし凌馬は彼女とは対照的に危機感を感じ、険しい表情だった

 

「(この期に及んでまだ邪魔をするとはね…… しつこい奴だ)」

 

このまま放っておけば、いずれ自分の障害となる。障害は排除しなければならない、と考えた凌馬は適当な理由を付けて教会から抜け出すと、対策を練るため一度七賢人のアジトへと向かうのだった

 

 

 

【七賢人アジト】

 

 

 

いつものように重要な会議を開く部屋に湊耀子を除くメンバーが集まり、今朝の出来事について凌馬が報告していた

 

「どうしたんだいプロフェッサー。あんたから召集するなんて珍しい。何かあったのか?」

 

「今朝、私が暴漢に襲われた」

 

「ハッ。たったそれだけのことのために俺達を召集したのかよ。呆れた奴だぜプロフェッサーは」

 

「シド。君は親に人の話は最後まで聞けと教わらなかったのか? まったく、哀れな奴だよ」

 

いがみ合う凌馬とシド。レイはその間を通り抜け、凌馬に問いかける

 

「それで…… その、何があったんですか?」

 

「ああ。その暴漢が奇妙なものを持っていてねえ。今、見せるよ」

 

と言うと、凌馬は袋にいれて回収した赤いロックシードをメンバーに見せる

 

「なんだいこいつは。あんたが開発したんじゃないのか?」

 

「悪いが私はこんなロックシードを作った覚えはない。それに私の作るロックシードに人を殺害する機能は付いていない」

 

「じゃあ誰が作ったんだよ」

 

神次元ゲイムギョウ界に存在するロックシードは全て凌馬が作っている。その彼が作っていないなら誰が作ったのか検討もつかない。しかしただ一人、アノネデスだけは誰が作ったのか勘づいていた

 

「黒の菩提樹……ね」

 

「黒の菩提樹? なんだそりゃ」

 

「シド、たしか君は知らなかったはずだったね。黒の菩提樹…… かつて七賢人が第三勢力として台頭し始める前に、覇権を争っていた組織さ。しかし数ヶ月ほど前にプラネテューヌの国民を殺害したという口実で、私とプルルート君の二人でリーダーの狗道供界を倒した。それにより、黒の菩提樹は壊滅した…… はずだったんだが、どうやら生きていたようだ」

 

「で、どうするんだよ。またそいつを倒すのか?」

 

「当然。私たちの脅威になることは目に見えている。一刻も早く潰さなければいけないそこでだ。君たちにも協力を願いたい」

 

「だろうと思ったぜ。この場に湊耀子がいないのもそのためなんだろうな。ま、俺達の脅威になるなら潰さなきゃなならねえから協力してやるよ」

 

「礼を言うよ。それじゃあ早速だが、調査を開始してくれ」

 

 

 

 

 

一足先に調査を始めていた耀子は、男の自宅があるルウィーの都市部から少し離れた町へとやって来ていた

 

「この辺りね」

 

キョロキョロと辺りを見回す

 

「(しかし、私がここを離れてから、随分とルウィーは荒れ果てたわね……)」

 

見回す度にヘルヘイムに侵食された建物や植物が目に入ってくる。そしてその度に思い出すのだ。ルウィーが崩壊した日のことを。自分がブランを裏切り七賢人の仲間入りをしたことが

 

「(たしか当時は七賢人と黒の菩提樹が覇権争いをしていたわね。懐かしいわ。もうそんなに月日が経ったのね)」

 

脳裏に広がるのは、大勢のマスコミに囲まれ会見をするブランとアクダイジーンの姿

不法と分かっていながらもマジェコンを販売したことを必死に弁明するアクダイジーン。ブランはうつむき、涙をこらえながら、アクダイジーンから口から放たれるブラン自身がマジェコンを販売すると決定した事実に耐えていた

その光景を会場の片隅から耀子はブランを軽蔑とも憐れみとも取れる目で見つめていた。その時だった。ふと肩を叩かれた。振り向くとそこにいたのは凌馬だった

 

「戦極凌馬? なぜあなたがここに?」

 

「私の仲間が女神を陥れる様を見届けに来たのさ。そういう君はどうしてここに?」

 

「女神を最後まで見届けるのが私の義務だからです」

 

「そうか…… なら、君は…… 世界の神が生まれる様を見届けたくはないか?」

 

いきなり意味不明なことを言い出す凌馬。しかし戸惑う耀子など気にせず続けていく

 

「女神を越える、創生神の誕生を……だよ」

 

そう言って凌馬は顔を近づけていく。そして耳元でこう呟いた

 

「君が必要なんだ」

 

この言葉をきっかけに耀子はブランを裏切り七賢人の仲間入りをした。凌馬という神に至るかもしれない男の生きざまを見届けるために

 

「(今覚えば、とんでもない口説き文句ね。でも、プロフェッサーには不思議とそれを実現させてしまうと錯覚させられるのよね)」

 

と、思った耀子であった

 

それからしばらくして男の自宅があるアパートにたどり着く。どうやら部屋は一階にあるらしい。与えられた情報を元に部屋の番号を確認していく。と、資料に書かれた番号の部屋を発見した。キーピックで鍵をこじ開け中に侵入する。部屋の様子はいたってふつうで特に不審な点はなかった

 

部屋の調査を開始してから少し時間が経った時、机の引き出しから黒の菩提樹のマークが描かれた紙を発見する

 

「これは……」

 

暴漢が黒の菩提樹のメンバーだったという証拠だ。すぐさま持ち帰ってこれを凌馬に渡そうと思った時、さきほどまで誰もいなかったはずの部屋に一人の男が立っていたのだ

 

「世界の終わりが近づいている。我々のもたらす救済を受け入れるのだ」

 

そう言い残して男は幽霊のようにスッと消え去った

そしてその場に、半壊した黒いリンゴのロックシードが残されていたのだった

 

 

 

 

 

後日耀子はロックシードを凌馬へ渡した

 

「消えた男の跡に残されていたものです」

 

渡されたロックシードをと見つめる凌馬。その顔はどこか心当たりがあるようだった

 

「これはまた懐かしい物を……」

 

「プロフェッサー、このロックシードを知っているのですか?」

 

「知ってるもなにも、私と彼とで作った初めてのロックシードだよ」

 

「彼……?」

 

「狗道供界…… 私の右腕だった男であり、黒の菩提樹のリーダーだ」

 

凌馬があの男のことを知っていたことに耀子は驚く

 

「そのロックシードの暴走事故で消えたのは残念だったが、彼は実に優秀だったよ。彼がいなければ、ゲネシスドライバーの完成はおろか、アーマードライダーシステムの複製も不可能だったに違いない」

 

供界を褒め称える凌馬。しかし内心は彼の存在はいずれ自分の地位を脅かすだろうと考えていた。それ故に殺す気はなかったものの、不祥事を起こして失脚したり、最低な思考だが死んで欲しいと思っていた

そう思っていた矢先にロックシードの暴走が起き、供界が消えるという事故が発生したのだ。初めは悲しかった。しかし数日経った後、自分の脅威が消えたことに安堵したのだ

 

懐かしい記憶を辿っていると、ふとあの頃の自分が脳裏に蘇った。プルルートに忠誠を誓っていた頃の自分だ

 

時は遡ること半年ほど前。当時の神次元はヘルヘイム侵食による動乱の真っ只中だった。リーンボックスが条約を破りラステイションに侵攻。ルウィーは禁止されているはずのマジェコンを売り始めていた。そんな混乱の中、凌馬は供界を事故で失うという悲劇に遭遇するも、サガラからもたらされた異端技術…… 超次元が開発を進めていたアーマードライダーシステムの完成を目指していた

 

何故彼はアーマードライダーシステムの完成を目指していたのか? 理由は単純。プルルートのためだからだ

 

凌馬とプルルートは古くから付き合いがあった。幼い頃から一緒に遊んできた仲であり、お互い信頼できる関係であった。たとえプルルートが女神になった時もそれは変わらなかったのだ

そしてなによりも凌馬がプルルートに惚れていたからだ。彼女とふれ合う度にいつしか好意が芽生えていたのだ。彼が研究者としてプラネテューヌの教会で働き始めた時に、"プルルートを幸せにする"と誓うほど、その好意は本物であった

 

その思いを胸に来る日も来る日も研究を続け、そしてついに完成させたのだ。これでプルルートを幸せに出来ると思った凌馬は、完成したドライバーを披露すべく彼女の部屋に駆け込んだ

 

「プルルート! 完成したよ!」

 

「ほんとぉ~?!」

 

笑顔で寄ってくるプルルート

 

「これでヘルヘイムの環境下でも活動できる! そうすれば君はあの森に宿る禁断の果実を手に入れれば君は……!」

 

興奮して次々言葉を並べていく凌馬。しかしこの後プルルートの放った言葉が彼に大きなショックを与えてしまう

 

「これってぇ~ 量産できるのぉ~?」

 

「えっ?」

 

「量産できるのって聞いてるのぉ~」

 

普通なら理解できるのだが、その時は何を言っているのか分からなかった。だが続く言葉でようやく理解した

 

「もし量産できるならぁ~ この世界の人達を救えるねぇ~」

 

ニコッと凌馬に笑みを向けるプルルート。そう、彼女はアーマードライダーシステムを自分のためでなく、人々のために使うことを望んでいるのだ

 

凌馬はこれを理解した瞬間、今までの苦労が水の泡になったと感じた。いや、自分の人生が無意味だったというほうが正しいかもしれない。なにせ凌馬は"プルルートを幸せにする"。ただその一心で人生を歩んできた

アーマードライダーシステムを完成させたのも、禁断の果実をプルルートが手に入れ、新たなる世界を築く神となって欲しいからだった。故にプラネテューヌの国民はおろか、神次元に住む人々の救済など眼中になかったのだ

 

しかしプルルート本人はそんな気は一切なく、むしろ眼中にない人々の命を優先したのだ。それが凌馬にとって大きなショックだった

 

「私は君のために研究をしてきたんだぞ!?それなのにどうして君は……!!」

 

そう言い残して凌馬はドライバーを手にして部屋を後にした。制止しようとするプルルートの声に気づかず……

 

研究室に戻ると、受け入れられなかった悲しみを晴らすかのようにドライバーを地面に叩きつける。そして椅子に座り頭を抱えた

 

「(プルルート…… 君は新たなる世界を築く神となる資格があるというのに、その資格を棄ててまで何故人間を救おうとする? )」

 

その場にいないプルルートに問いかける凌馬。もちろん返事はない。仕方ないので、自分の頭でどう答えるかを考えた。プルルートの性格、女神の存在意義…… 全てを考慮して導き出された答えは……

 

「(人々を守るのが、女神の義務だから。か……)」

 

国の元首である女神は国民の平和と安全を守らなければない義務がある。そうしなければ信仰心が無くなり、国はおろか自分にまで影響が出るからだ

自分は国民の信仰心によって支えられている。それが分かっていたから彼女は量産できるのかと聞いたのだ。国民を守るために

 

"答え"が出て納得したのか分からないが、凌馬はふとドライバーを拾い上げた

 

「(そうやって君は義務に縛られる続けるのか? なら、進化なぞ望めやしない)」

 

凌馬の顔に心なしか黒い影がかかっているように見えた

 

「(君が進化を望まず義務に縛られ、新たなる世界を築こうとしないのなら…… それは私が継ごう。新世界を築く神となるのをね……)」

 

こうして凌馬はプルルートを見限った。その時、タイミングがいいのか悪いのか分からないが、一通の不審なメールが送られてきた

内容は、プラネテューヌの研究員を一人拉致した。取り戻したければ、凌馬一人で指定の場所へ来いというものだった

 

明らかに罠だと凌馬は分かっていたため最初従う気はなかった。それに彼は自らの目的のためなら犠牲が伴わおうが構わないと考えている。実際、初めて開発した黒のリンゴロックシードの起動実験で供界が死んでも、それを揉み消したのだ。故に今回の件も普段の凌馬なら拉致された研究員を救出せず、事件そのものを隠蔽するはずだ

 

しかしそれは全てプルルートのために尽くしていた過去の話。現在は、いやあの一瞬からはプルルートはもはや邪魔者でしかないという認識に変わった。だからなのかもしれないが、凌馬はあえてこの罠にかかってやった

 

研究室を出て、指定された場所へと向かった。そこは寂れた町工場の跡地だった

中に入り誰かいないか周りを見回していると、奥の暗闇からレイとアノネデスが現れた

 

「君たちか。私にあんなメールを送ったのは」

 

「は、はい!」

 

「で、その研究員とやらはどこだ?」

 

凌馬が問いかけると突然扉が封鎖された音がした。そして彼の背後にはマジェコンヌとコピリーエースが逃げ道を塞ぐように現れた

 

「ほお…… 本当の狙いは私か」

 

こうなることは予想済みだったが、一応知らないフリをした

 

「何の真似かな?」

 

「アタシたちにはゲイムギョウ界随一の頭脳が必要だからよ。戦極凌馬」

 

「そうか。ならこちらから一つ聞こう。君たちは何者だ?」

 

「わ、私たちは七賢人といいます。女神を排斥し、新たなる世界を築くことを目的とした組織です!」

 

偶然にも凌馬の目的と一致していた。これには驚きを隠せない

 

「なるほど…… で、私をどうするつもりだ?」

 

「アナタにはアタシたちが計画を有利に運ぶための兵器などを開発してもらいたいの」

 

「断る。……と、言ったら?」

 

そう言った途端、マジェコンヌは手に持っている武器を握りしめ、コピリーエースはまるで今から戦うかのような仕草を見せた

これを見て凌馬は、最初から逃がす気はないと悟った

 

「(だろうと思ったよ。ま、彼らとは目的は同じだし、七賢人を隠れ蓑にすれば研究はバレないから別にいいか。それに都合が悪くなったり、用済みになれば潰せばいいだけだ)」

 

と、心の中であっさりと承諾した

 

「そんなに私が必要なら、いいよ。君達に協力してあげよう」

 

「ほ、ほんとですか?!」

 

いとも簡単に懐柔出来たことに、レイは驚いた表情を見せる

 

「私も気に食わなかったんだよ。義務とかに縛られて、何の進歩もない女神やこの世界が……ね」

 

そう言って眼鏡を外す凌馬。それはまるで以前の自分、そしてプルルートと決別するかのようだった

 

「案内してくれ。君達のアジトとやらに」

 

「ええ。言われなくてもするつもりよ」

 

アノネデスはその場を180度回転し歩み始めた。それを追うように凌馬はついていった。その後ろ姿には黒い影が纏わりついているように見え、心なしか悪魔のようにも見えた

 

ここで思い出は終わった。あまりにも長く思い出に浸っていたため、耀子から心配する声をかけられていた

 

「プロフェッサー! どうなされました?」

 

「いや、ちょっと思い出に浸っていただけさ。それよりも湊君。破壊されていない状態のロックシードを確保してくれ。既にシドにその任務を任せているが、相手はいつどこで現れるか分からない。シドのフォローも兼ねてやって欲しい」

 

「分かりました」

 

そう言うと早速耀子はロックシードの確保へと向かった

それを見送った後、凌馬は黒のリンゴロックシードを見つめこう呟いた

 

「あの時は失敗したが、今の私ならこれを実用化可能に出来る。有事の時に備えて、複製しておくか……」

 

 

 

 

 

時刻は夕暮れ時。学校帰りの学生、帰宅中のサラリーマン、買い物帰りの主婦…… 沢山の人々が街を行き交っていた

 

そんな光景を見下ろせる建物の屋上に、一人供界はプラネテューヌの教会を見つめながら立っていた

 

「私はあの時、全てを失った。しかし同時に素晴らしい力を得た。あなたはどうだ? 戦極凌馬…… あなたには神へと至る資格があるのか?」

 

そう言うとあの暴漢が持っていた、血のように赤いロックシードを開錠した

 

『ザクロォ!』

 

すると突然その周辺の人々の動きが止まった。そして手に供界の持っていたザクロロックシードが現れた。その瞬間、瞳は赤く輝きまるで洗脳されたように人々は歩み始めた

 

「私はそれを見極めなければならない。神の力を手にして、世界を救済するために……」

 

そして夜。操られた人々は徒党を組み、ある場所へと向かっていた。彼らの目的地、それはプラネテューヌの教会だ。再び襲撃しようというのだ

 

しかしそこに一人の男が立ち塞がる。シドだ

 

「おいおい。みんな揃ってパーティーか? 俺も混ぜてくれよ」

 

そう言うとヒマワリロックシードを開錠。クラックから初級インベスが現れ、操られた人々に襲いかかった

初級インベスなれど、人間より遥かに力を有しているため、まったく相手にならない。次々に倒されていった

 

「やれやれ、プロフェッサーは相変わらず人使いが荒いこってぇ」

 

シドの脳裏に蘇るのは凌馬と出会った光景だった

 

あの当時シドは国際的なテロリストだった。しかしヘマをしてしまい、とある施設に追い詰められてしまっていた

 

「俺は…… ここで終わるわけにはいかないんだよ!! もっと強い力を得て、誰も俺に逆らえないようにするためには!」

 

そう言うも、外は警察に包囲されている。逃げることは不可能だ。もちろん捕まれば、待っているのは死刑台、それだけだ

 

絶望。その言葉だけがシドの脳裏によぎる。そんな時だ。凌馬が現れたのだ

 

「私の研究施設で騒ぎを起こさないでくれ。研究がバレるじゃないか」

 

「あ、あんたは……?」

 

「私は戦極凌馬。この施設の管理者だ。それよりも君、どこかで見たことあると思ったら、指名手配犯のシドじゃないか」

 

そう言うと突然凌馬は彼の肩を組んだ

 

「力が欲しければ私についてくるといい。嫌なら別に構わないんだよ? その代わり君を警察に突き出すけど」

 

なんと凌馬はシドを七賢人に引き込もうとしたのだ

力を授けてくれる、警察から逃がしてもらえるということに釣れたシドは当然それを承諾した

 

だがその後不気味な笑みを浮かべこう呟いた

 

「せいぜい寝首をかかれないようにな……」

 

懐かしい記憶はここで終わる。そんな頃には操られた人々はインベスに倒され、残るは男性一人だけだった

 

その男性に対し、胸を蹴って転倒させ、左腕を踏んで自由を奪い、ロックシードを手離させるとそのまま腹を蹴った

するとロックシードを手離したことで洗脳が解けたのか、人々は正気に戻った

 

しかしこれで帰らせる訳にはいかないので、先程の男性の胸ぐらを掴んでザクロロックシードを見せつけた

 

「このロックシード、どこで手に入れたか吐きな」

 

「し、知りませんよ!!」

 

そう言われたがシラを切っていると疑ってまだ胸ぐらを離さない。それどころかもっと強く掴んだ

 

「本当なんです!!」

 

男性の目は本気だった。本当に知らない目をしていた。知らないなら仕方ないので、シドは手を離した。そしてザクロロックシードをいくつか拾ってそれをアジトへと持って帰るのだった

 

 

 

 

 

翌日。調査を終えた耀子は入手した情報を凌馬に伝えていた

 

「ここ数週間、各国の国民の間やインターネットの掲示板に幽霊を目撃した情報や、書き込みが多数見られました。恐らく、神出鬼没な狗道供界の可能性が高いと思われます」

 

情報を読み上げていると、昨夜の集団からザクロロックシードを奪ってきたシドが現れ、テーブルの上に置いた。その中から一つ、凌馬に投げ渡した

 

「プロフェッサー、あんたの予想通りだ。そのロックシードが再び出回るようになったのは、黒の菩提樹が活動を再開したとされる時期と合致する」

 

「やっぱりねぇ……」

 

「なあ、プロフェッサー。供界はこいつを使って何するつもりだ? あんたに対する復讐か?」

 

「さあねぇ…… でも、こいつについて一つ分かったことがある」

 

「なんだいそれは」

 

「このロックシードには、所有者の精神をトランス状態にさせる能力がある。いわば一種の洗脳だね。それにこいつを起動すると、一時的に人間を凌駕する身体能力を得ることが出来る。しかしそれはドーピングと同じで、使いすぎると体が耐えきれなくなり死に至る。という訳だ。まあもっとも、この機能は裏切り者や離反者を処刑するためでもあるんだろうけどね」

 

そう言いながら凌馬は扉まで移動する

 

「どこに行かれるのですか?」

 

「研究室さ。こいつをちょいと詳しく調べる」

 

そして振り向いてこう言った

 

「感謝するよ二人とも。さすが、私の優秀な部下だ」

 

扉を開け、研究室へと向かった。その言葉を受けた二人だが、嬉しそうな表情ではなかった

 

 

 

 

 

研究室に入り、機材にザクロロックシードをセットし、解析を開始する

 

「恐らく奴の居場所はあそこだろうが、一応調べておこう。このロックシードには洗脳するための指令が送られている。そいつを逆に辿ればわかるはずだ」

 

逆探知していくと、とある廃工場から指令が送られていると分かった。これで凌馬の疑惑は確信へと変わった

 

「やっぱりここだったか。つくづく進歩のない奴だよ」

 

居場所が特定出来たが、まだ凌馬は動かなかった。少し考え事をしていたのだ

それは根本的な話。何故再び供界は自分の前に立ち塞がったのか?

 

それを考えるに当たり、あの時の戦いを思い出していたのだ

 

七賢人と黒の菩提樹が争っていた頃、国家転覆を図ったとしてこれ以上の被害を食い止めるべく供界を止めるため、あの工場にプルルートと二人で向かっていた

 

工場内に入り、調査をする凌馬とプルルート。進めていくうちに、ヘルヘイムの植物が人工栽培されている部屋を発見する

 

「これってぇ~……」

 

「ヘルヘイムの植物だね。こいつを使ってどうやら奴はロックシードを作っていたようだ。まったく、私の研究をここまで悪用するなんて許せないよ。狗道供界……!」

 

そう言って振り返ると、物陰から供界が現れた

 

「さすがだ戦極凌馬。やはり私の目に狂いはなかった」

 

「あなたが狗道供界?」

 

「そう、私が狗道供界だ。戦極凌馬。世界を救うためにはあなたの力が必要だ」

 

「君はとても不愉快な存在だ! これ以上好き勝手させるわけにいかないからここで終わらせてもらおう」

 

指を指しながら強く言いつけた。すると供界は不気味に笑い始めた

 

「フフフ…… いいだろう。これが最後の試練だ」

 

そう言うとフェイスプレートにもう一つのコアを取り付けたドライバーを装着する。そして右手にザクロロックシード、左手にブラッドオレンジロックシードを持った

 

「変身」

 

『ブラッドオレンジ!』

『ザクロォ!』

 

二つのロックシードをドライバーに嵌め込む

 

『Lock on!Lock on! ハッ! ブラッドザクロアームズ! 狂い咲き・サクリファイス!! ブラッドオレンジアームズ! 邪ノ道・オンステージ!!』

 

ライドウェアを先に纏い、普通のアーマードライダーとはまた違ったシークエンスで血のように赤いアームズを装着。アーマードライダーセイヴァーへと変身した

 

「あれって凌馬の開発してたアーマードライダー!?」

 

戸惑うプルルート。凌馬は自分の目を疑った。かつて右腕だったとはいえ自分以外の人間が作ったアーマードライダーシステムで変身したからだ

 

セイヴァーは右手にブラッド大橙丸を装備し、ゆっくりと近づいてくる

 

「こんなこともあろうかと、護身用のドライバーを持ってきて正解だったよ」

 

フェイスプレートにデュークの顔が描かれているドライバーを取り出す

 

「そういえば、凌馬と一緒に戦うのって、初めてだね」

 

二人は後退しながら会話をする。その時、セイヴァーはブラッド大橙丸を振り下ろし攻撃してきた。咄嗟に壁際に避け、先程と真反対の場所に移動する。その際、凌馬はドライバーを装着した

 

「あの時の君は私の研究を応援してくれた。今でもいい関係だったと思うよ」

 

「なにを言ってるの~? その関係は今も変わらないよ~ いくよ凌馬~」

 

そう言われると凌馬はレモンロックシードを取り出した

 

「変身!」

 

『レモン!』

 

凌馬の頭上にレモンアームズが現れる

 

『Lock on! カモン! レモンアームズ! インクレディブルリョ~マ~!!』

 

これまた凌馬の趣味全開な変身音が流れると、アームズは頭に被さり展開、装着される。アーマードライダーデューク・レモンアームズへと変身した

プルルートもシェアエナジーを解放し、アイリスハートへと変身した

 

「さあ…… かかってこい」

 

挑発するセイヴァー。それに乗るかのように二人は突っ込んでいった

 

アイリスハートの蛇腹剣とデュークのレイピアが同時に振り下ろされる。しかしそれを受け止め、逆に弾き返した

その後セイヴァーは二人の攻撃に対処しながら、隙を狙って反撃しダメージを与えていく

 

やられるばかりのデュークとアイリスハート。ここでデュークがレイピアで斬りかかり、それを防ぐ形でセイヴァーを柱に追い詰めることに成功する

 

しかしセイヴァーはもう一つのアームズウェポンがあった。セイヴァーアローだ。それをデュークの腹部に密着させ、切り裂いた。デュークは火花を散らして後退する

 

「凌馬!」

 

すかさずフォローに入るアイリスハート。デュークも持ち直し、すぐさま攻撃する。しかし二刀流になったことでより戦闘力が増し、さらに苦戦を強いられてしまう

 

「(あの武器は私が新しく開発しているアーマードライダーシステムの主兵装! 何故奴が……?!)」

 

「凌馬、来るわ!!」

 

そう言われるとデュークは我に返り、互いにセイヴァーの斬撃を受け止める。そして弾き返し、蛇腹剣とレイピアで攻撃した。しかし反撃もここまで。一度攻撃を受けたことにより、さらにセイヴァーの攻撃は苛烈となった

 

立て続けに攻撃しても全てに対応するどころか、むしろ反撃を受けてダメージを受けていった。どんどん追い詰められ、ついに窮地に陥ってしまった

 

「手強いわね……! でも!」

 

「私以外の研究など認めるものか!!」

 

「そうよ! あなたが作ったドライバーと私の力が合わされば、誰にも負けないわ!!」

 

そう言って気合いを入れ直すと二人は再びセイヴァーに向かっていく!

二人は息を合わせ、交互に攻撃する! そして三人とも壁を登って場所を移動すると、セイヴァーを挟む形に陣取る

そして再び息を合わせながら次々に斬りかかる!

 

挟まれたセイヴァーは回転しながら飛び上がり、攻撃する。しかし着地したその一瞬をデュークは逃さなかった

 

「プルルート!!」

 

着地した瞬間にレイピアで斬りつけ、アイリスハートも立て続けに斬つけた。二人の攻撃を受けて落下したセイヴァー。立ち上がろうとした隙を狙ってアイリスハートはドライブスタッブを繰り出し、セイヴァーを斬り飛ばした

 

「ハアァァァ!!!」

 

落下しながら二回、三回と体に強力な斬撃をお見舞いし、ついにセイヴァーは消滅した

 

デュークは降りて変身を解除する。そしてアイリスハートに向かってこう呟いた

 

「もったいない。実にもったいないよ……」

 

この戦いをきっかけに黒の菩提樹は七賢人との勢力争いに敗北したはずだったのだ

しかし再び驚異となって現れた

 

「確かに供界は倒された。しかし蘇った。となると……」

 

倒しきれなかった。そして何か秘密があるはずと考える

ふと、アイリスハートがセイヴァーを倒した瞬間の事を思い出す

 

「まさか……!」

 

なにかに気づいたのか、調整が完了したゲネシスドライバーとレモンロックシードを持って工場へと向かった

 

 

 

 

 

昼頃、凌馬は再びあの廃工場に訪れる。中に入り供界を探し始める

 

「いい加減姿を現したらどうだ。供界」

 

その言葉に釣られて供界は幽霊のように現れる

 

「やっぱり君は人間じゃないんだね。これで分かったよ。何故あの時倒せなかったのか」

 

「ロックシードの起動実験に参加した私は、暴走によりあの日死んだ。すくなくとも人間としては。しかしその代わり、私はより高位な存在となった」

「私の目的は復讐ではない。あなたを試したのだ。そして確信した。あなたが必要だと」

 

そう言うと手を差しのべる

 

「私と共に来い。私はこの世界を救済する。そのためにはあなたの力が必要だ。あなたの目的は神を生み出すこと。少なくとも私にならそれを叶えることができる」

 

供界の誘いに凌馬は……

 

「冗談じゃない! 進歩のない奴の分際で」

 

強く断り、誘いを蹴った

 

「私が最も嫌うのは、進歩のない奴だ。君とプルルートは同じ…… いや、君はもっと格下。下の下の下だ。プルルートは今は邪魔者、だがかつては尊敬していた。しかし君にはなにも尊敬に値するものがない! 古くさいシステムを使用して、こんな世界を救済? つくづく馬鹿で愚かだよ。そんな奴が、神になどなれるものか!!」

 

供界の思想を罵倒する凌馬。そしてゲネシスドライバーを装着する

 

「時代は常に進化する。それについていけぬ物は淘汰され、消滅する! それを今、君に味あわせてあげるよ」

 

「戦極凌馬ァァァァ!!!」

 

散々罵倒されてついに逆上する。怒りに任せ、供界はザクロロックシードとブラッドオレンジロックシードを開錠する

 

『ブラッドオレンジ!』

『ザクロォ!』

 

「変身!」

『レモンエナジー!~~♪♪』

 

『Lock on! Lock on! ハッ!』

 

『 Lock on ソーダァ!』

 

『ブラッドザクロアームズ! 狂い咲き・サクリファイス!! ブラッドオレンジアームズ! 邪ノ道・オンステージ!!』

 

『レモンエナジーアームズ! ファイトパワー!ファイトパワー! ファイファイファイファイファファファファファイッ!!』

 

供界はセイヴァーに、凌馬はデューク・レモンエナジーアームズに変身する!

 

変身が完了すると互いに激突。ソニックアローとセイヴァーアローが交差する

 

「君に見せてあげるよ!新世代の力とやらを!!」

 

そう言うと弾き返し、怒濤の連撃を繰り出していく。この前の戦いとはまるで立場違う。セイヴァーが一方的にやられ、デュークの優勢だ

連撃を受け続けていくうちに、ブラッド大橙丸は手離してしまい、残るはセイヴァーアローだけになってしまった

 

セイヴァーは横に移動する。デュークもそれに合わせて移動し、エネルギー矢を放つ。互いにうまく避けながら移動し、かつてアイリスハートがセイヴァーを倒した場所にまで移動する

先にたどり着いたのはセイヴァーだった。セイヴァーはエネルギー矢を放った。当たると思われていたが、見事に避けられてしまう

 

そのままデュークは天井に向かってレモン状のエネルギーの塊を放ち、そこから雨のようにエネルギー矢がセイヴァーに降り注いだ

 

これに大ダメージを受けたセイヴァーは雄叫びをあげながら、三度ブレードを下ろした

 

『ザクロスパーキングッ!! ブラッドオレンジスパーキングッ!!』

 

セイヴァーアローの刃が血の色に染まる。デュークも一度ハンドルシーコンプレッサーを押し込んだ

 

『ソーダァ! レモンエナジースカッシュ!!』

 

その音声が鳴り響くと、デュークの幻影が現れ、セイヴァーを翻弄する。その隙にロックシードをソニックアローに嵌め込む

 

『Lock on レモンエナジー!!』

 

狙いを定め強化されたエネルギー矢がセイヴァーのドライバーに放たれ直撃。致命的なダメージを負ってしまう

 

「ば、バカな……!!」

 

「予想通りだったね。だからあの時死ななかった。その奇妙なドライバーのお陰でね」

 

「私は…… 神へと至り…… 世界を……! 救済する!!」

 

「貴様のような存在など認めるものか! 神へと至る道を切り開くのは…… 私の作ったドライバーだけだ!!」

 

そう言うとトドメの一発をドライバーにお見舞いし、セイヴァーは機能不全を起こしながら爆発。完全に倒されたのだった

 

 

 

 

 

供界との決着がつき、凌馬はプラネテューヌの教会へと戻っていた

 

「(これで脅威は一つ消えた。あとは……)」

 

その時、偶然プルルートとノワールに出会う

 

「あ、凌馬~! どこにいってたの~ 心配したんだよ~」

 

「ちょっと用事でね。君達は今からどこへ?」

 

「ピクニックなんだ~ ノワールちゃんが、誘ってくれたんだぁ~」

 

「こんな時だからこそ休憩は必要…… そう思って誘ったのよ」

 

「凌馬も一緒にどお~?」

 

「私は遠慮するよ。帰ってやらなきゃいけないことがあるからねえ」

 

「そっかぁ~」

 

「すまないね。私の分まで楽しんできてくれ」

 

「わかったぁ~ じゃあね、凌馬ぁ~」

 

そう言うと二人は手を振りながらピクニックに向かった。笑顔で凌馬も手を振った。しかし振り返った途端に笑顔は消えた

 

「(せいぜい楽しむといいさ。私が神へと至る時までね)」

 

再び教会に向かって歩み始める。それはまるで、完全に凌馬とプルルートが離別するようにも見えた

 

「(古きものは新たに創造されるものに淘汰される。だから君達は犠牲になるんだ。私が築く新たな世界の礎とね……)」

 

 

 

 

 

 

 




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