「東条さ〜ん、どこいくんすか?」
東条一行は電車で揺られていた。
「あー、なんかなずなさんって人が来てるらしくて、近くの山にいるんだってさ」
「場所ってどこでしたっけ?」
「確か…真っ裸!」
「魔二津だ」
「そうそれ!」
電車を降り、魔二津にある神社を目指して、長い階段を登っていく。
そして登り切った階段の上でとある人物に出会った。
「あんさんも呼ばれとったんかいな」
六騎聖の出馬要の姿があった。
出馬要だけではない、他にも三木久也、榊光輝、新庄・アレックス・ロドリゲス・一郎、そして見知らぬ男子が一人いた。
「お前は…いずま。お前も虎さんに呼ばれたのか」
「僕は石動さんにやけどね。多分呼ばれた理由はおんなじやで」
「お前ら揃ったな。とりあえず御堂入れ、そこで話してやる」
御堂の中には斑鳩薺……改め斑鳩酔天。石動源磨。早乙女禅十郎の3名が中にいた。
「よし、てめーら。今日はてめーらがこれから来る敵に対しての戦い方を教えてやる」
「そ、それも気になりますが、1番の目的は静さんと諫冬さんはその敵ってのに寝返ったんですか!?一体なぜ?」
三木が食ってかかる。
「しょうがねえな、説明してやるからちょっと待て。今回の敵は別に悪いやつってわけでもない。ソロモン商会のような悪魔を使い、戦争の火種で儲けるやつでも無ければ、大悪魔の仕業じゃねえ。ここ数百年ほど活動していなかったし、俺も俺の師匠からしか話をされた程度のおとぎ話な奴らだ。男鹿の敵ってだけで、別にお前らの敵な訳でもない」
「敵じゃない?一体どういう……」
「奴らは聖天組と名乗っておるらしいがそれはあくまで学校の枠組みじゃ」
石動源磨が続きを答える。
「奴らは天使。悪魔も何体かは元天使であり、神に仕えている存在たちじゃ」
天使。
全員の頭の中には羽をつけて、白い布を纏った輪っかをつけているが想像される。東条に至ってはキューピーだった。
「それが何でか古市に従っているらしい。悪魔の力に偽装していたのもあるし、感じたことのない力のせいで反応が遅れた」
頭をボリボリと書きながら早乙女はぼやく。
「悪魔を全部消すなんてことできる訳ないが、それが天使が謳っているなら話は別だ。天使と悪魔は何度も戦争して、魔界や人間界も被害を受けている。それが本気で全悪魔を消すなんて言う日にゃ、戦争待ったなしって訳だね」
「悪魔が消える。それは良き隣人である彼らの消滅に他ならぬ。そしてその余波は必ず人間界にも影響を及ぼす。これは石矢魔程度の天下取りという小規模なものではない。これは人間界を巻き込んだ天魔決戦じゃ」
「おい爺さん」
全員が息を呑む中、東条は拳を石動源磨へと叩き込む。
それを片手で抑える石動源磨だが、その目には少し驚きがあった。
「石矢魔程度じゃねえ。俺たちはそれのために喧嘩張ってんだ」
「それはすまんの。しかし、こちらも教師役が一人いなくての。焦ってはおるのじゃよ」
教師役?というハテナマークを浮かべる皆に斑鳩酔天は告げる。
「邦枝一刀斎。邦枝葵の祖父は天使側についた。ぶっちゃけ私も誘われてはいた。……しょーじきいえば魅力的ではあったけどね」
どこかもじもじした様子で早乙女を見つつ、そう暴露する斑鳩酔天。
それに対して少し驚きつつ、声を出す早乙女。
「はぁ!?薺、お前何言われたんだよ!」
「アンタがそういう態度だから、心動いたんだよ!あと薺って呼ぶな!……まあ、こっちは大人だからね。すぐさま動くようなのではないのさ。でもね、古市とやらはこっちの情報を手に入れつつそうやって、利益や恩、目的、救いを理由に仲間を作ってる。悪魔を消すなんて大それた計画はあくまで目的の一つ。真の目的は決着をつけること」
「決着?」
「そう。男鹿と古市の戦いに乗じて、様々な戦いや目的に決着をつけること。その中に天使と悪魔の戦いが含まれるだけ」
「俺やじーさんも一応戦いには参加する。できれば、俺たちはあくまでも若い世代に任せていたかったが、その決着とやらに俺たち大人も巻き込みたいらしい。じゃなきゃ、邦枝のじーさんや薺……酔天にも声はかけないわな。そしてそれに準ずるメンバーも揃えてる。勧誘を蹴ったとしても問題ない戦力だということだ。だから、急ピッチでお前らを鍛えなきゃならねえ」
全員の空気が張り詰める。
張り詰め続けられない男……東条を口を開く。
「ならくまちゃん学園の時みたいに他の奴らも呼ばなかったのか?」
「あいつらは先に言ってる。一旦お前らには改めて覚悟と基礎を叩き込む。その上で男鹿野いる場所に全員向かってもらう。場所は魔界。そこでお前らは……
大魔王のしごきを受けてもらう。
後ついでに地底世界にいる大魔王の兄がかくれんぼしたら出れなくなったらしいから、助けに行ってもらう」
「は?」
それは誰の言葉だったか。
だが、全員共通していた言葉でもある。
「1週間で全部やってもらうぞ。それができたら、俺より強くなれるかもな」