ソリュシャンとお風呂。   作:こりぶりん

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 二次創作におけるプレアデスの出番……
 ルプー≒シズ>>エントマ>ナーベ≧ユリ>ソリュシャン
 (※作者脳内イメージ調べ)

 ナーベに対しては原作と違う展開にしようというバイアスがかかっていると仮定すれば、
 大百科人気投票とも大体一致するのでそう外してはいない筈……
 そこでソリュシャンのためのSSを一本、独自解釈マシマシで。

 時間軸は八巻後。というか、王都編と特装版の内容が済んでいる前提。



ソリュシャンとお風呂。

「――褒美、でございますか?」

 

 お前に褒美を与えたい、望みのものはあるか――ナザリックの支配者、アインズより賜ったそのような言葉を受け、ソリュシャンは小首を傾げた。

 王都から一時帰還して、主君に挨拶を交わした席でのことである。隣では上司のセバスが冷や汗を流して硬直している。まあ彼には、少々具合の悪い話題であるのは確かだ。勢揃いした守護者達のうち、デミウルゴスが愉快そうな視線でセバスを一撫でしたが、ここで口を出すほど愚かな男ではない。ぴんと来てない様子のソリュシャンを見て、アインズが言葉を続ける。

 

「うむ、褒美だ。この前のお前の報告、セバスの行動を見咎めたものだが。結果としてセバスが裏切ってなど居なかったとは言え、その行動に疑問を感じて私まで報告を挙げてきたお前の功績は確かなものだ。だのに、考えて見れば今までそれになんら報いることもなく放置していたことに気づいてな」

 

 アインズが言ったその辺りの事情は、セバスがツアレを拾ってきたことに始まる一連の騒動を指している。その言葉を受けて、隣に控えていたセバスの身体が一回り縮こまったように見えた。

 

「ああ、よいセバス、気にするな。お前をあげつらいたいわけではないのだ。ただし、遺恨を残さぬようにな。間違ってもソリュシャンを逆恨みなどするなよ?」

 

「は、ご厚情……感謝致します……」

 

 主の言葉にそう返答してますます小さくなるセバスに、これは処置なしと内心ため息をついたアインズは、それ以上彼には構わずに再度ソリュシャンに向き直った。

 

「それで、どうだ? 私はあの時お前が果たした役割のことを極めて高く評価している、そのことを示すためにお前に報いてやりたい。何か望みのものがあれば言ってみるがいい。なんでも……というわけには行かないだろうが、私に出来ることなら大抵のことはなんとかしてみるぞ」

 

 その言葉を受け、ソリュシャンは感激のあまり深々とお辞儀をした。

 

「アインズ様のあまりあるご厚情、光栄の極みでございます。――ですが、アインズ様の御為に働くことこそが、私共ナザリックのシモベにとっては何よりの望み。そのお気持ちだけで十分、そのようなお言葉をかけてくださったことそれ自体が何にも勝るご褒美でございます」

 

 言うと思ったよ。ソリュシャンの返答を聞いて、アインズは再び内心でため息をついた。ナザリックNPCの忠誠心の高さを思えば、彼女の返答は十分に予測の範疇であった。当然、それに対する返答も考えてある。

 

「お前の気持ちはわかった、その忠義は私も嬉しく思う。だがな、組織というものは信賞必罰によって立つものなのだ。功に賞をもって報いねば、罪に罰を与えることの道理が立たぬ。私はこのナザリックがそのように理不尽な組織になることを看過したくはない。

 それを踏まえてもう一度聞いて貰いたい。何か、望みの褒美はないか? どんなことでも言ってみるだけならタダだぞ?」

 

 その言葉を聞き、ソリュシャンは困ったように微笑んだ。アインズがソリュシャンに示してくれた気持ちだけで昇天しそうなほど幸せなのだ、この上更になにかを望むなどとおこがましい。

 その表情を見てとったアインズは、これではいかんと更に畳みかける。

 

「――私がお前の行動にどれほど感謝しているか、お前はきっと理解しておらぬだろう。少し聞いてくれ、お前があの時示してくれたものは、セバスが裏切りだとか、命令違反をしている可能性などというささやかなものに留まらぬ」

 

「……と、申しますと?」

 

 ソリュシャンの顔に興味が宿ったのを見て、アインズは頷いた。

 

「うむ。それは、お前が示してくれたのは、ナザリックのシモベ達が上位者に逆らうことができるだけの自立意志を有していると言うことだ。

 ……私はそれまで正直な話、疑っていたのだ。シモベとして創造されたお前達には、命令に逆らうという機能が無いのではないかとな。翼を持たぬ人間が空を飛ぶことが出来ぬように、シモベ達もまた上位者の命令に逆らうことができるようには作られていないのではないかとな」

 

 デミウルゴスやアルベドはよくアインズの指示に異を唱えるが、それはあくまでアインズの身を心配してのことであり、アインズが本気で命令すればそれに逆らうことはない。……事実はともかくとして、アインズの認識ではそのようなことになっていた。

 

「お前の報告がその危惧を覆してくれたのだ。お前達は確かに独立した自我を持ってここに存在している、それを確信したときの私の歓喜は言葉では言い表せぬ」

 

 そう言ってアインズは、僅かに昂ぶる感情のままに両手を広げた。彼女を称揚することで、他の者の奮起を促したい狙いもある。無論、上位者の命令に意味もなく逆らうようなことがアインズの望みであると勘違いされては困るので、その辺りの匙加減は十分に注意せねばならないが。

 

「だから再度問おう。どうか私に、この感謝の気持ちを表すチャンスを与えて欲しい。……何か、望みのものはないか?」

 

「……左様でございますか……」

 

 ソリュシャンは眉根を寄せて考え込んだ。ここまで言われてしまえば、何もありませんと固辞し続けることは返って不敬にあたるのではないだろうか。気のせいか、だんだん一部の守護者の目つきが険しくなってきた気がする。

 

「……そこまで仰るのであれば、ごくささやかな望みが、無いこともございませんが……」

 

 おそるおそる口を開いたソリュシャンの言葉に、アインズは喜色を露わにして言った。

 

「ほう、あるのか望みが! どんな内容だ、言ってみてくれ」

 

「……でも、きっとアインズ様を困らせてしまいますわ。このようなお願い」

 

 そう言って俯いてみせるソリュシャンに対し、玉座から立ち上がったアインズは彼女に近づいてその顔を覗き込む。

 

「無論、本当に困るなら私の方から断るとも。だからそのような心配は無用だ。教えてくれないか、お前の望みを?」

 

 ソリュシャンはその言葉を聞くと、顔を赤らめてもじもじしながら言った。

 

「……それでは、まずお人払いをお願い申し上げます」

 

「……えっ」

 

「……他者に聞かれるのは恥ずかしいので、お人払いを」

 

 顔を赤らめてそう言ったソリュシャンの言葉を聞いて、アインズの脳裏を嫌な予感が僅かに掠めた。その言葉を聞いたアルベドとシャルティアが気色ばんでいるのを横目に窺う。……やはり、そう言う意味なのだろうか? でも、嫌なら断るとも言ったしなあ。ここで人払いをしなかったら、彼女はそのささやかなお願いとやらを心の奥底にしまい込んで二度と口にはしないだろう。それは困る。アインズは彼女に報いてやりたいのだ、困らせたいのではない。

 

「……聞いたな、お前達。全員下がれ」

 

「で、ですがアインズ様……!!」

 

 反射的に反駁しかけるアルベドをひと睨みして黙らせると、アインズは言葉を重ねた。

 

「命令だ、下がれ。……私の言葉に逆らってこの後の話に聞き耳を立てるような愚か者が居れば、それは私に対する忠誠心に自ら泥をかける行為であると知るがいい」

 

 こういう言い方をすれば、守護者達がその言葉に逆らうことは出来ないであろう。例え、それが嫉妬に駆られたシャルティアやアルベドであろうとも。常時警護を務める八肢刀の暗殺蟲(エイトエッジ・アサシン)すら全員退室したことを確認すると、アインズはソリュシャンに向き直った。

 

「さあ、これで完全に二人きりだ。お前のささやかな願いというのを、私に教えてくれ」

 

「まさか本当に追い払ってしまわれるとは……畏まりました、それでは申し上げます」

 

 その言い草からすると、人払いを断られたらそれを口実に黙り込む、そういう目算であったかのようだ。アインズはほっとした。とにかくこれで、彼女が普段どんな望みを持っているのか。それを多少なりとも知ることができるであろう。

 

「……ただの一度で構いません。三吉様のお役目を私にも体験させてくださいませ」

 

「…………へ?」

 

 次の瞬間、赤く染まった頬に手を当てて恥ずかしがりながらソリュシャンが放ったその台詞に、アインズは完全に硬直した。

 

「……」

 

「……」

 

 そのまま黙って見つめ合う二人。

 ぺかー。

 あ、アインズが発光した。

 

「さ、さささ、三吉だと? はて、その様なシモベがナザリックに居たかな!?」

 

(さ、三吉君って俺が三助を任せてる蒼玉の粘体(サファイア・スライム)のことじゃねーか!! 他のシモベにはできるだけ存在を秘密にしてたのに、何で知ってんのこの子!?)

 

 主に三吉君の身の安全に配慮して。関係者以外には存在を極秘にし、果たす役割に至っては当事者のアインズと三吉君本人以外知らない筈の三助の名前を出され、動揺しまくるアインズ。その様子をあくまでも冷静に眺めたソリュシャンは言った。

 

「おとぼけになるのであれば具体的に申し上げますと……私のスライムとしての身体特性を駆使して、アインズ様が入浴なさる際にそのお体を洗わせて頂きたいのでございます」

 

 そう言って一礼するソリュシャンを前に、アインズはその体を発光させながら惑乱した。

 ぴかぴか発光する骸骨とスライムが見つめ合う愉快な沈黙は、たっぷり一分以上にわたり続いた。

 

「……他に」「他には一切望みはございません。……やはり困らせてしまったようですね、申し訳ございませんでした。不作法なシモベの浅ましい望み、ご寛恕ください。もう二度とそのような過分な願いは抱きません」

 

「ちょ、待て、待つのだソリュシャン、そう独りで完結するな、少し時間をくれ」

 

 ――他に望みはないか。そう聞こうとしたアインズの台詞を遮るように、ソリュシャンが恥ずかしげにまくし立てた台詞を、アインズは慌てて遮った。

 

「そもそも、どうしてそのような望みを持ったのだ?」

 

「……二つ理由がございます。一つは不肖私、ソリュシャン・イプシロンは……口幅ったいことを申し上げるなら、スライムとして三吉様に劣る所はないと自負しております。であれば、三吉様のお役目を務めてみたいと思うことがそんなに不自然でございましょうか」

 

「そもそも三吉君のことをどこで……」

 

「それは秘密です。……もう一つはナーベ姉さんが羨ましいからです」

 

「ん? ナーベラルが?」

 

 三吉君について追求しようとしていたアインズは、続くソリュシャンの台詞に驚いてその言葉を引っ込めた。

 

「同じく人間社会に潜り込むという任務を与えられながら、姉さんはアインズ様と、私はセバス様と行動することになりました。別にセバス様と一緒であることが不満であるわけではありませんが……任務としてアインズ様とご一緒の時を過ごせる姉さんのことを羨ましく思っております」

 

「あー……」

 

 アインズの脳裏に、まさにそのナーベラルがいつだったか言っていた台詞が蘇った。曰く、至高の御方と共に時を過ごせるのであれば、それがどのような内容であろうともこの上もなく素晴らしい……とかなんとか、そんな感じのことを言っていたはずである。

 

「命令には不満はございませんが……どうしても褒美を言えと仰るのであれば、私もアインズ様とご一緒の時間を過ごしてみたい、と思うのは不遜でしょうか」

 

 してみると、能力特性から判断して決めたことであるとは言え。今現在は、ナーベラルだけを贔屓している状態になっていると言える。アインズ自身はあまり意識していなかったが、アインズと共に過ごすことがそれだけで褒美足りうるというのなら。……であれば、ソリュシャンがアインズと過ごしたいというのを断るというのはとんだ依怙贔屓であるのだろうか?

 

「……無論、アインズ様が姉さんを特別にご寵愛なされるのであれば、シモベとしてそれに不服などある筈もなし、また妹として姉さんを祝福致しますわ」

 

「わー、ちょっと待て、早まるな、私はナーベラルを特別に贔屓などしていないぞ!?」

 

 ソリュシャンの早合点な台詞に、アインズは慌てて両手を振り回して発光した。アインズがナーベラルを寵愛している、そんな噂など立った日には、シモベ達がどんな反応を示すやらしれたものではない。……特に、一部の守護者とか統括とかが。

 

「では、私の願いを聞き入れてくださるのでしょうか?」

 

「……うむむ……」

 

 にっこり微笑むと、期待の眼差しで自身を見つめてくるソリュシャンに、アインズは多いに悩んだ。

 

 

「よく考えたら、別に普段はナーベラルと風呂に入ってるなんてわけじゃないんだよなあ……これは早まったか……?」

 

 そして。脱衣所で悩む顎の長いスケルトンがいた。豪奢な装備を外して、腰にタオルを一枚巻き付けただけのアインズは、どこから見てもスケルトンでしかなかった。

 結局、ソリュシャンの「ささやかなお願い」を受け入れてしまったアインズであったが……今考えると、なんだか巧妙に押し切られた気がしないでもない。仕方がないのだ。秘めたる願いを無理矢理聞き出した自覚のあるアインズにしてみれば、そこまでしておいてそれはちょっと、ではあまりに酷い仕打ちだ、そう思ってしまうともう断る気になれなかったのである。

 

「むう……ソリュシャンがこの中に裸同然の格好で居ると思うと、緊張してきたぞ……」

 

 ごくりと、存在しない唾を飲み込む真似をした。風呂までを一緒に行くのはあまりにもこう、外聞が悪いというか、目撃されたくない事象だったので、ソリュシャンには先に行くよう申しつけてある。一緒に向かって、シモベ達に噂とかされると恥ずかしいし……

 金髪美人と聞いて日本人が妄想する美女をそのまま具現化したような女性と風呂に入る。アインズの中の人からして見れば、ご褒美を通り越して罰ゲームじゃないかとすら思えてくる有様だ。ここに来るまでに精神の沈静化が数度起こっている始末である。

 ふと脱衣所の籠に目をやれば、きちんと畳まれたメイド服と、その下からちらりと見えるレース地の布の端とか……アインズはやおら恥ずかしくなって目を逸らす。とにかく、彼女が既にこの中で待っているのは間違いない。あまり待たせるのも申し訳ないことである。

 

「ええい、なんとかなるさ、がんばれ俺! どうせナニか妙なことなんて起こりようがない、なんといっても()()()()()んだからな!」

 

 ――モモンガさん、あんた疲れてるんだよ。

 あまりにも下らないギャグを飛ばすアインズの耳に、そんな親友(ペロロンチーノ)の声が聞こえた気がした。

 

 ナザリック地下大墳墓第九層“スパリゾートナザリック”。九種十七浴槽を誇る広大な浴場群である。正直そこまで作る必要があったのか首を傾げるレベルで作り込まれたその中には、制作者の拘りに基づいて、一つだけこぢんまりとした大きさの浴槽がある。通常は一種類につき男女二つ用意される筈の浴槽の総数が奇数である原因となっているその風呂は、男女の別がない……混浴を可能とするものであった。いわゆる家族風呂である。

 

「――お待ち申し上げておりました、アインズ様」

 

 アインズがおっかなびっくり浴場に入ると、浴槽の脇に敷かれたバスマットの上に両膝をついたソリュシャンが、三つ指をついてお辞儀した。

 

「う、うむ、まあ……宜しく頼む」

 

 アインズがもごもごとそれだけを口にすると、ソリュシャンがにこりと微笑んだ。

 現在の彼女の体は、粘体(スライム)であることが一目でわかるレベルにゼリー質であることを露わにしている。ありていにいうとモン娘のスー状態だ。人間の女性と見紛う状態のままだと緊張するという、アインズの強い要望を受けての変体であった。それでもなおその体のラインは美しく、素肌にバスタオル一枚を巻き付けただけの扇情的な格好にはエロスを感じる。頭の豊かな金髪は今はタオルの中にまとめられており、まさに入浴直前と言った出で立ちだ。

 

「――かしこまりました。楽になさってくださいね」

 

 アインズは己の脳裏にソから始まる三文字の単語が乱舞するのを強く感じたが、ええいと頭を振ってその想像を振り払った。どのみち行ったことがないのだから、比べようもないことだ。

 

「う、うむ。では早速お願いしようか。浴槽に浸かる前に体を洗うのがマナーだからな」

 

 そう言って、ソリュシャンが膝をつくマットの横に置かれた椅子を見る。ここに座ればいいのかな、とりあえず。あれ、でも三吉君に洗って貰うときはお湯を抜いた浴槽の中なんだけどなあ……?

 椅子に腰掛けて、これからどうするつもりなのか疑問に思ったアインズの耳に、はらりと衣擦れの音が聞こえた。ソリュシャンがタオルをとったのだろう。アインズの後頭部に唇を寄せたソリュシャンが、そっと囁きかけてきた。

 

「それでは、参りますね――」

 

「うわぉ!?」

 

 ソリュシャンが背後からアインズに抱きついてきたかと思うと、己の身体が背後に倒れ込むように沈み込んでいくのを感じ、アインズは驚嘆の叫びを発した。てっきり三吉君のように粘体状の触手が自身の中を這い回る物と思っていたアインズにとって、その事態は予想外だった。

 まず頭、背骨、肋骨、腰骨、手――アインズの体がずぶずぶとソリュシャンに飲み込まれていく。最後のつま先までを完全にその体の中に飲み込むと、ソリュシャンは紅潮した顔から熱い吐息を漏らした。

 

「嗚呼――アインズ様が、私の体内(なか)に――」

 

 体内に何かを入れている感覚がどのような物なのかは、人類に推し量る術はないのだが、ソリュシャンは間違いなく幸福そうな顔だった。そのまますっと立ち上がると、浴槽まで歩いて行き、少し浅めに張った湯船に浸かる。腰を落として浴槽の縁にもたれ掛かると、お湯は彼女の腰の上、豊満なバストの下までを覆う程度になった。

 

 

「おおー……」

 

 一方ソリュシャンの体内に飲み込まれたアインズは、意外と言えば意外なその心地よさに感心していた。これが捕食された人間であれば、咽喉に突っ込まれるであろう酸素供給用の触腕のえづくような気持ち悪さと、全身を溶かされていく痛みに苛まれてそれどころではないだろうが。そもそも呼吸の必要ないアインズにそのような心配はなく、別に溶かすつもりがないことは十分弁えているのでまあ気楽な物である。

 空間は広々としているようでもあり、だが全身を粘体(スライム)の体に僅かに圧迫されているようにも感じる。体の隅々まで行き渡るその感触は確かに三吉君が全身を這い回るときと似たものがあり、なるほどこれは三吉君とは一風違うが、それでもやはりスライム風呂なのだなあと呑気に得心した。

 上下の感覚は既に無いのだが、最初に倒れ込むように横倒しになったためか、なんとなく自分が寝っ転がっているような気がした。お湯の温度が伝わってほんのり暖かく、ぬるぬるとした感触が全身の隅々まで行き渡って行くその様子は、なんともいえない心地よさがある。

 

「なんだかとても落ち着く……これはそう、胎内回帰願望というやつを満たしてくれるような気がするぞ」

 

 このままうとうとできたらさぞ心地よいであろう。アインズは睡眠ができぬこの体を少し残念に思った。浮かんできた考えに従って、胎児の格好がどのような姿勢だったか思い起こしながら適当に体を丸めてみる。と、ソリュシャンの体がうにょうにょと動いて、アインズの全身を心地よくマッサージし始めた。それともこれは既に、洗っているつもりなのだろうか。

 

「ん……」

 

 アインズは何だか自分の体がソリュシャンによって持ち上げられるような感覚を覚えた。気のせいかとも思ったが、なんだかぼんやりした光が上の方から近づいてくる。とすると、この体は外に向かって押し出されているのだろうか。

 

 ぽん。

 

 そのような擬音を立てて、アインズの視界に風呂の壁が映った。位置的には浴槽の中からの眺めである気がする。

 それは実際間違いではない。アインズの顔は、浴槽の縁にもたれたソリュシャンの、豊満なバストの間からにゅっと飛び出ていた。スライム状の女性のバストから顔を突き出す頭蓋骨という絵面は、言ってみればひたすらにシュールであったが、それを気にする者はここにはいない。

 

「んふ……アインズ様、お加減はいかがです?」

 

 頭の上からソリュシャンの声が降ってきて、アインズは彼女が様子を聞きたいが故にアインズの一部を外に出したのかと納得した。自分の現状を正直に答える。

 

「うむ……なんというか、思ったより新鮮な体験だ。意外と心地よいな」

 

「うふ……それはようございました。それでは、本格的にお洗い致しますね?」

 

「ああ、頼むぞソリュシャン」

 

 とぷん、と音を立てて、アインズの顔が再びソリュシャンの中に沈んでいった。ソリュシャンは上気した顔を蕩けさせて、両の腕で我が身を抱きしめ陶然とする。

 

「ああ、アインズ様が私の体内(なか)を掻き回してるぅ……」

 

 勿論、自分でやっているのだが。

 アインズはソリュシャンの体内で、四方八方から己の体内を蹂躙せんとするソリュシャンの体が、一定の指向性を持って己の骨を擦りつつも押していくのを感じた。己の体がゆっくりと回転する。まるで洗濯機の中の洗濯物になった気分だ。かつて石鹸水に浸かって自己流洗濯を試したときと似た状況ではあるが、あの時と違ってソリュシャンの触腕が自分の骨をそっと優しく、それでいてしっかりと擦っているのを感じた。これは実際汚れが落ちていくような満足感があるし、なんだかんだで気持ちいい。

 既にソリュシャンの触腕が全身隅々まで行き渡り、その上でくまなく擦られているため、次はどこそこをやって欲しいと考える必要すらない。全身をマッサージするほんのり暖かい感触に包み込まれて、アインズはぼんやりとその心地よい圧迫感に身を委ねて放心した。寝ることさえできればきっとうとうとしていたに違いない。

 

 心地よい時間は十分程続いたであろうか。再びアインズはソリュシャンの体内の底から、彼女のバストの外へとその顔を突き出した。

 

「如何でしょうかアインズ様? 何かご要望などございますでしょうか」

 

 頭上から降ってくるソリュシャンの声に、アインズは上機嫌に答えた。

 

「うん、気持ちいいし綺麗になっている感触もするぞ。正直ここまでいい感じだとは期待していなかったが、見事だソリュシャン」

 

「はあ……! 光栄ですわ、アインズ様。ありがとうございます」

 

 アインズのべた褒めに、ソリュシャンは体を震わせて歓喜した。興奮が一通り落ち着くと、その口から次の提案が漏れる。

 

「ところでご提案があるのですがアインズ様……酸を、分泌してみてもようございますか?」

 

「えっ」

 

 何この子、ひょっとして俺を溶かしちゃいたいの? そのように思ってちょっとドキっとしたアインズであったが、続く説明を受けて得心した。

 

「私の酸では例え濃度を全開にしたところで、アインズ様ご自身を溶かすことはありえません。であれば、お体の汚れを落とすのに、石鹸代わりに酸で付着物を溶かすことができればより盤石かと思いましたのですが……」

 

 成る程、アインズは思う。彼女の提案は至極納得のいくものであったし、その自由な発想力は捨てがたい。これが例えばナーベラルであったら、それがアインズを傷つけることはあり得ないと分かっていても、至高の御方に攻撃を仕掛けるような行為は許されない、命を持って償うとか言い出しかねない内容だ。彼女のこういう、上下関係にとらわれない柔軟な発想は是非とも伸ばしてやりたい。であればここは受容の一拓である。

 

「――なかなか面白いではないか。構わん、やれ」

 

「かしこまりました。では……最初はごく弱くしますので、なにかありましたらすぐに教えてくださいね」

 

 そのようにソリュシャンが答えると、やがてアインズの全身を、これが酸なのだろうなというちくちくとした感触が襲ってきた。

 

「……少し分泌して見ましたが、如何でしょうか?」

 

 ソリュシャンのやや不安そうな声が降ってきた。自分から言い出したこととは言え、さすがに緊張しているのであろう。

 

「ふむ……なんだかちょっと、ちくちくする感じがするな」

 

「――!! 申し訳ございません、ご不快であればすぐに止めます!」

 

 ソリュシャンが顔を青くしてそのように叫ぶのを、アインズは落ち着いて制止する。

 

「待つのだソリュシャン、ちくちくするとは言ったが、誰もそれが痛いとか不快だとかは言ってない。……一応確認しておくか、ちょっと腕を外に出してみてくれるか」

 

 その言葉に即座に応えて、アインズの右腕がソリュシャンのお腹から飛び出てくる。アインズはその腕を持ち上げてまじまじと観察する。

 

「うん、分かっていたことだが、特に傷を負った様子はないな……よいぞソリュシャン、今度は最大の強度で頼む」

 

「――! よろしいのでございますか……?」

 

 不安そうに問いかけるソリュシャンの声に、アインズはうむと頷いた。やがておそるおそる、といった感じで、ちくちくとした刺激が強くなってくる。

 

(ああ、やはりそうだ――)

 

 正直に言えば、決してダメージとはならぬながらも、しゅわしゅわとした感触にてその存在を主張する強酸の刺激は、なかなかどうして心地よかった。アインズの中の人、鈴木悟はスチームバスしか入ったことが無かったが、その酸による刺激は、例えるならば電気風呂によく似た心地よさを持っていたのである。まあ、電気風呂の心地よさは筋肉に弱電流を流すことに寄るマッサージ効果らしいので、骨しかない体のアインズがそういう意味で気持ちいいということはない筈だ。あくまでも、それによく似た感じであるというだけであった。ともあれ、アインズは恐縮するソリュシャンに命じて、そのまま全身を彼女の体内に沈め、酸による刺激を存分に堪能した。

 

「――おおっ」

 

 どんな物事にも終わりは来る。アインズの全身がソリュシャンの体内から押し出され、自分が湯船に座っていることを知覚すると、アインズはほうと一息ついた。正確にはつく振りをした。

 

「名残惜しいですが、これで終わりでございます。――体を洗った後は、湯船に浸かって行かれるのですよね?」

 

 背中にぴとっと寄り添ったソリュシャンがそのようなことを言うのに、アインズはやや緊張しながら答える。

 

「う、うむ、まあそうだな、体を綺麗にした後は湯で温まっていくものだ」

 

「それでは、ご一緒させて頂きとうございます」

 

 ソリュシャンは出来るメイドなので、この状態がアインズの精神状態の微妙な均衡で保たれていることを自覚している。アインズが機嫌を損ねたら、というか女性と風呂に浸かっている事実に緊張したらせっかくのこの時間もそこで終わるため、彼女の行動は性的なものを感じさせない事務的なものとなった。これが守護者統括殿であれば、そのまま押し倒して台無しにしていたかも知れない。

 

「――ところで、この間姉さんが――」

 

 繰り返しになるが、ソリュシャンは出来るメイドである。彼女自身はこのまま沈黙の内に過ごしても一向に構わなかったのだが、アインズがその沈黙を居心地悪そうにしていると見るや、彼の興味を引き込むために他愛ない世間話を始めた。話題はアインズが知りたがっていると思われるシモベの日常生活に絡めた雑談をチョイスすることで、このまま話を聞いていたいと思わせる狙いがある。(※NGワード:キャ○嬢)

 アインズがプレアデスの日常話に耳を傾ける時間は十分ばかりも続いた。

 

 

 浴場の扉を開けて、アインズは脱衣所に戻ってきた。その腕の中にはソリュシャンが収まっている。緊張しすぎてもう力が入らないとか、なんだかちょっと甘えたことを言うので、まあ褒美だしなとお姫様抱っこしてきたのだ。

 

「よし、下ろすぞソリュシャン。もう良いか?」

 

「平気ですわ、アインズ様。ちょっと腰が抜けただけですので、もう大丈夫です」

 

 本当に腰が抜けたのなら、大丈夫どころではないと思うが……それが軽口なのだろう、と思える程度には、風呂に入った一刻程の時間でソリュシャンと打ち解けられた気のするアインズである。ここは自分も軽口で返してやろう、と思い立った。

 

「ははは……スライムに腰とかあるものなのか?」

 

「スライムでも煮込み過ぎればふやけてしまうのですわ」

 

「うどんのコシかよ!?」

 

 流れるように返すソリュシャンの言葉にツッコミを入れつつも、アインズの目はソリュシャンが下ろされた次に始めた行動に釘付けになった。脱衣所の床に乾いたタオルを敷いて、その上に服を並べている。下着からメイド服まで、実際に着る順番に重ねて。

 

「……それは何をしているのかな?」

 

 謎の行動に興味を引かれたアインズが思わず訊ねると、ソリュシャンはにっこりと微笑んで答えた。

 

「着替えですわ」

 

 言うが早いか、ソリュシャンの体がにゅるんと変形した。完全なスライム状になった粘体が服の隙間からするりとその合間に潜り込んでいき、内側から再びソリュシャン・イプシロンの人型を形成する。その体が一度ぐにょぐにょと収縮して細かいズレを修正すると、そこには服を着て寝転がったソリュシャンが居た。

 

「おおー……」

 

 良くできた手品の如き早業に、思わずアインズが拍手する。ソリュシャンは素早く身を起こして一礼すると、洗面所に両手をかざした。その手の平からおそらくは余計な水分なのであろう、水だかお湯だかしれない液体がだぼだぼと排出されていくのを、アインズは感心して眺めた。

 

「……タオルもドライヤーも要らずか。便利そうだ……」

 

 アインズは洗うのが面倒なのと同様に、拭くのもまた面倒な自分の骨の体を見下ろす。正直<火球>(ファイアーボール)でもぶちこんで強制的に乾燥させたい。

 

「ではお体をお拭きしますね」

 

 そこへ、ソリュシャンが手ぬぐいを手にすすっとアインズの骨を拭き始めた。アインズが反応する間もない早業である。優しく、しかし力強く。丁寧で繊細に骨を一本一本拭いていく。あくまで事務的に、しかしながら心のこもった手つきである。内心ではどのような感情を持っていたにせよ、ソリュシャンはそれを一切表に出さず、懸命にアインズの体を拭いていたので、止めるタイミングを失ったアインズはまあ……いいかとばかりに己の体を彼女に委ねた。どうせ骨だ、恥ずかしくなんてない……それをいうならさっきまで全身くまなくまさぐられた身なのである。あ、でも、それを冷静に考えるとなんだか本気で恥ずかしくなってくる……

 ぺかー。

 

 

 翌朝。

 いつもであれば、姦しいまでに賑やかな従業員食堂に、どこか不穏な緊張が漂っていた。日頃は賑やかな話し声に掻き消される筈の食器の音が、かちゃかちゃと音高く鳴り響いている。口数少なく食事に勤しむメイド達の興味は、ただ一つのテーブル、ただ一人の人物に集中していた。

 そのテーブルには、珍しく六姉妹(プレアデス)の面々が雁首を揃えて食事に臨んでいた。そのうち五名の思いは、周囲で様子を窺う一般メイド達と同じであり、のんびりとした様子で人間っぽく食事を口に運んでいるソリュシャンの姿に釘付けであった。

 

 彼女、ソリュシャン・イプシロンが、昨日守護者達の前でアインズ様直々にお褒めの言葉を頂いたと公式に発表されたことは記憶に新しい。また、その際に二人きりで秘密のご褒美をねだったらしい、という非公式な噂も。その内容については明らかになってはいないが、人の口に戸は立てられない。

 前日にアインズ様当番を務めたメイドが、アインズ様がいつもとは違う家族風呂に訪れたらしいことを証言するに至り、もしかしてソリュシャンがアインズ様と一緒にお風呂をいただくという栄誉を得たのではないかという推測は、光の速さで一般メイド達の間に伝播した。他のプレアデスの面々も気になるのは皆と同じ、ソリュシャンを問い詰めるタイミングを見計らってちらちらと様子を窺っている。

 

「ところでお姉様ぁ……昨日アインズ様にご褒美を頂いたって本当ぉ?」

 

 先陣を切ったのは、エントマであった。ソリュシャンから見てこの場では唯一の妹として、無邪気に直球で切り込んで見せたその言葉に、残りの姉妹は手の動きを止め、周囲のメイドは全身を耳にする。後、観葉植物の影からのぞく黒い翼と、柱の端からはみ出た赤いドレスの裾がぴくんと動いた。

 

「ええ、そうよ。それがどうかしたのかしらエントマ?」

 

 ざわ……ざわ……

 ソリュシャンが否定しなかったので、たちまちのうちに周囲にざわめきが走った。ひそひそと囁き声がメイド達の間を駆け巡る。

 

「な、なんでも、アインズ様と、その、お、お風呂をご一緒した、なんて噂を聞いたんだけど……本当なの、ソリュシャン?」

 

 続いたのは長姉のユリである。緊張のあまりどもった声は上擦って、一同が耳をすます食堂の中に響き渡った。

 その言葉を聞いたソリュシャン、そんなことまでばれてるのかと眼をぱちくりさせたのだが、ふと閃いた様子でにまーっと笑った。悪い顔というやつである。

 

「あら、ユリ姉さん、どこからそんなことを聞いてきたのかしら……? まあいいか。ええ、昨日はアインズ様とお風呂をご一緒させて頂いたわ」

 

 がたんっ。

 あっさりと質問を肯定したソリュシャンの返答を受け、メイド達の間に電流走る……!

 それとは関係なく、観葉植物の影と柱の向こうでただならぬ音がした。

 

「そ、それで……どうだった?」

 

 シズがおそるおそる問いかける。その質問は具体性には欠けていたが、一同の興味を端的に表していたと言える。固唾を呑んで見守る一同の視線を受け、ソリュシャンはうっとりとした表情で頬に手を当てた。

 

「ええ……アインズ様におねだりして、かねてからの望みを叶えて頂いたわ。()()体内(なか)()()()()()()()()()()と言ってくださったの。最後は体に力が入らなくなってしまって、抱き上げて運んで頂いたし。本当に、夢のようなひとときだったわぁ……」

 

「「「……」」」

 

 響き渡っていた食器の音が掻き消え、広い食堂の中を沈黙が満たした。

 周囲で聞き耳を立てる一般メイド達は勿論、同席した姉妹達全員の顔が真っ赤に染まっている。自動人形のシズや、顔面部分が擬態でしかない筈のエントマですら。

 と、おもむろにルプスレギナが立ち上がった。ソリュシャンの隣までつかつかと歩み寄ると、妹の顔を抱き寄せてすんすんと匂いを嗅ぎ、その頬をぺろりと舐めた。

 

「嘘を……ついてる味はしないっすね……」

 

「あらあら、心外ね。嘘だと思ったのルプー姉さん?」

 

 説明しよう! 人狼であるルプスレギナ・ベータは、汗の臭いと味から嘘発見器の真似事ができるのだ! たとえ相手が発汗作用を持つかどうか怪しい粘体(スライム)であろうともだ!

 彼女の言葉を受け、にわかに食堂内は騒然となった。メイド達の悲鳴とも歓声ともつかぬ黄色い叫びが食堂ホールに響き渡る。

 確かに嘘はついていない。ちゃんと説明していないだけだ、それもわざと。悪戯心を発揮したソリュシャンが十分に計算して放った爆弾は、彼女の狙い通りにその言葉に聞き入った一同の間で爆発した。

 

「うわっ、なにこの血……! まあ、こんな所にアルベド様が倒れておられるわ!? 衛生兵(メディ―ック)!!」

 

「いや、ルプスレギナ様に大治癒(ヒール)使って貰った方が早くね?」

 

 己が出した(鼻)血の海に沈んでその身を紅く染め上げる元純白の悪魔や。

 

「ああっ……! こっちではシャルティア様が立ったまま死んでおられるわーッ!?」

 

「落ち着け、死んでるのは元々でしょ」「……それもそうね」

 

 魂が口から抜けていったかのように死者の沈黙を持って静止する真祖など、阿鼻叫喚の様相を呈してきた周囲を尻目に、ソリュシャンは艶然と姉の方に微笑みかける。

 

「これでようやくナーベ姉さんの気持ちがわかったわぁ。……ずっと羨ましかったの」

 

 がたっ。

 ソリュシャンを凝視していた姉妹達の目線が、そのままスライドして自分に集中するのを感じ、ナーベラルは椅子を蹴立てて立ち上がった。

 

「わ、私そんなことして頂いたことないわよッ!?」

 

 茹で蛸のような顔で妹を睨み付けると、ソリュシャンはニヤニヤしながら答えた。

 

「あら、そんなことってどんなこと? 私はただ、アインズ様とご一緒の時間を過ごせたこと、ましてやその時間を一人で独占できたことは、ナザリックのシモベとして望外の幸福だったと言いたいだけなんだけれど。いつも任務でそれをできる姉さんが羨ましいなあ、と思って」

 

「あ、ああ、そういう意味……」

 

 ナーベラルはしどろもどろになってぺたんと座り込むと、そのまま顔面から湯気を噴き出して撃沈した。ニヤニヤ笑いを崩さずにソリュシャンが追い打ちをかけに行く。目の前でオーバーヒートしている姉が、ただ一人だけ側仕えの栄誉に預かっておきながら、人間共の名前を覚えようとすらしていなかったという話を聞いたときは、ソリュシャンは己の耳を疑ったものである。この機会に少々お仕置きしてやったところで、バチが当たることもあるまい。

 そんなわけで、朝食が終わるまでソリュシャンの姉いじりは続いたのであった。

 

 

 その後。「その……私たちって、同好の士という奴でありんすよね」などと、意味ありげに友情を確認してくるシャルティアや、「ふむ。御世継ぎを授かる可能性については実際どうなのかね」とくそ真面目に問いかけてくるデミウルゴスなどを、内心笑いをこらえながらいなしつつ、種明かしまで数日くらいは遊んでやろうと目論んでいたソリュシャンであったが。

 風呂用具を抱えてアインズの部屋に突撃した挙げ句、当然のようにつまみ出された守護者統括殿の目線が、出会うたびに洒落にならないレベルでコワくなっていくので、僅か一日で白状した。

 

 もっとも、正確な事情を打ち明けたら打ち明けたで。

 

「タブラ様ぁあああ!! なんで私の種族構成にスライム族を入れておいてくださらなかったのですかぁああああ!?」

 

 とか。

 

「我が主はスライムはおなごを襲うのがじゃすてぃすと仰っていんした……! であれば、タチである私にはスライム種族を入れておいてくださっても良かったと思うでありんすぅうう!!」

 

 などと、かなり際どいレベルで不敬に近い台詞を吐いて己の創造主を詰る女性達が居たとか居なかったとか。

 

 どっとはらい。

 

 

 




 人類には早すぎる……というか未来永劫追いつけないプレイ( ´∀`)

 ソリュシャンって二次創作だと出番が少ないよなあと思いつつ、
 八巻読んだら誰でも思いつくような小ネタで大真面目に書いてみました。







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