大本営第二特務課の日常   作:zero-45

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前回までのあらすじ

 演習中盤、直接対峙しての砲撃戦が開始され、波の音が轟音に、海の青は爆煙の漆黒へと侵食されていく。

 それでは何かご意見ご要望があればお気軽にどうぞ。


2016/12/21
 誤字脱字修正反映致しました。
 ご指摘頂きました坂下郁様、リア10爆発46様、偽赤翡翠様、じゃーまん様、有難う御座います、大変助かりました



牙を剥く二匹の獣

「唐沢さん、この一年貴方からは沢山学ばせて頂きました」

 

 

 瀬戸内諸島因島、第二特務課指揮所。

 

 『岡島付近にて対空戦を以って会敵し、迎撃、戦力の大半を撃滅せしめる』

 

 その一報に呉より監視として入っていた陸奥と足柄の顔色が変わる、正規空母による爆撃隊、その数150機超、それを脱落艦も無く小破艦二隻にてこれを撃退。

 

 それは大和型の砲を用いての精密対空射撃、そしてそれを防空艦で隙を固めるという戦法。

 

 榛名という射手と武装全てを対空装備に換装した摩耶の全力攻撃という手法も効果を上げたが、その時艦隊が陣取った位置。

 

 東西100mにも満たず島自体が障害物になる水路、それは空からの攻撃には影響はしないが雷撃が不可能という状況を強いる地形となっていた。

 

 そして爆撃一本に絞った結果、空から来る爆撃機は爆弾を抱え、ある程度は自身も降下しなければならない為に、それを迎撃する側としては己が標的であったが為に艦爆を狙うのは己のほぼ直上に絞られる。

 

 迎え撃つ装備を持たない物は己の上に影が差せば回避に専念し、砲を持つ物は全力で叩く、古の艦であったならば目視した時点で手遅れとなったそれ(爆撃)は、人型となり海原を駆ける者にとって避ける事という行は敵機の位置が判れば造作もなく、またターゲットが居る場所が狭い水路であったが為に決まった爆撃コースしか選択肢が無い(・・・・・・・・・・・・・・・・・)場所へ突入せざるを得ない艦載機は尽く叩き落される。

 

 

「軍とは何か、(いくさ)とは何か」

 

 

 そうして同時射撃装置という、艦娘という身になった者にとって有用とは言えない機構を使って弾薬を温存、対空の任を果した者を盾として艦隊は砲撃戦へと突き進む。

 

 狙うは敵艦隊旗艦の(轟沈判定)では無く、目の前に居る者(ことごと)く、敵となる者全ての撃滅という形、そして同時に友軍の喪失は零という徹底した勝利。

 

 

「そして提督とは何か……叢雲ちゃん、済まないが艦隊に無線を繋いでくれないか」

 

「もう繋いでるわ、現在艦隊は大崎上島東5kmの海域にて敵と砲撃戦の真っ最中、さっき摩耶が落伍したから今は先頭を金剛が務めている筈よ」

 

 

 睨む様に視線を向けるむちむちくちくかんは手にしたマイクを髭眼帯に渡しつつ、この一種異様な、演習らしからぬ雰囲気の者達を固唾を呑んで見守る呉の猛者二人に向けてこう言い放ったのである。

 

 

「演習だの何だのと言ってはいるけどね、敵とか味方とか……そんな分け方をした時点でやるのは殺し合いよ、その本質を理解してないヤツはどんな艦であろうとどんな上等な装備を持っていようと死ぬ事になるわ、確実にね」

 

 

 戦闘を想定した訓練、非致死性の兵装で行われるそれを殺し合いと称する蒼銀の髪の駆逐艦。

 

 艦娘という存在が顕現してより今まで軍の始まりから全てを見てきた彼女は言う、今やっているのは模擬という不純物が混じった"(いくさ)"なのだと。

 

 (いくさ)なら殺して当然、首魁(旗艦)を仕留めただけで終わる筈は無いだろうと、どちらかが殺し尽くされるまでそれは終わらないと。

 

 この(いくさ)にはルールが存在する、ならばそれに従ってやろう、但しその上で我々はこの仮初(かりそめ)である(いくさ)の中であっても敵を殺し尽くす。

 

 

「あそこに居る()らは幸運よね、今日ここで死んでもこの先生きられるんだもの」

 

 

 真顔で語られる狂気、それはこの一年、軍の中で孤立し叩かれ、それでも引かないと決めて進んできた者達の内に育った"強さ"であり、大本営艦隊本部からしてみれば身の程を知らしめる為の今回の演習は第二特務課にとって、この一年の総決算と位置付けた物だった。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

『こちらHeadquate(本部)吉野、全艦に通達する』

 

 

 先頭を(はし)る金剛は弾を撃ち尽くし、今は盾となって敵艦隊の攻撃を引き付けつつ全力航行中、肉体のダメージによる痛みこそは無いものの、被弾判定による機関へ対する制限の為に余裕が無く、無理に回す主機には負荷が掛かり制御がとれなくなりつつある。

 

 中破判定で留まった今の状態を簡潔に纏めれば庇っている部分は使えるが、それ以外の部分は大破状態、動きが鈍った状態になってからは至近弾が増え、いつ直撃を貰ってもおかしくは無い状況。

 

 

 そんなギリギリの状態で指揮所より声が届く、耳に聞こえる指揮官の声、それは今日積み上げてきた戦いの、最後に下されるであろう命令を告げる筈の声。

 

 この言葉が終われば自分(金剛)の役割は終了であり、仕事を全うした事になる。

 

 

『現在敵艦隊との彼我の距離は戦力の全力投入可能範囲に入った、よってこの後我が艦隊は旗艦の号令にて敵の殲滅を開始する、尚この作戦に於いて艦隊の者が沈むことは許されない、相手を撃滅し、そして全艦生きて帰還を果たせ』

 

 

 残存する艦の数は同じ、攻める側は単縦陣であり迎える側は複縦陣、引き撃ちをする艦隊を追う形で進む第二特務課は"攻めの陣"とされる形の陣形であるものの、それは先頭に全ての攻撃が集中する捨て身に近い物になっている。

 

 彼我の距離は後方の榛名の(航行速度)を以ってしてもまだ足りない距離と予想された為に大本営艦隊は迎撃に集中し、全力で戦力を削りに掛かっている。

 

 

『繰り返す、我が艦隊は一人も落伍する事無く敵艦隊を殲滅し帰還せよ』

 

 

 指揮官の言葉を聴いて歪んでいた口元が獰猛に吊り上がる、最後までやり切ったという使命感と、散々弄られた鬱憤を晴らせる喜びが腹の底から怒気となって声に変わっていく。

 

 

「ハッ……ウチのテートクは随分と無茶をいいますネ、でもそれ位強気じゃないと前線の者は燃えないヨ、さて全員テートクからのOrder(注文)は聞こえましたネ? これより艦隊は回避運動を止めて正面から突貫を開始シマス、ワタシが外れた後は各自予定通り敵艦の殲滅に全力を注ぎ凱旋を果しマス、リュウホウそっちはドウデスカ?」

 

「無茶をしたので時間は掛かりましたが仕込みは完了しています、いつでもどうぞ」

 

「OK ならば問題はありませんネ、それでは全艦……」

 

 

 最後の言葉を口にする時、金剛の視界には直撃コースに乗った敵弾が飛来する様がスローモーションの如く映っていた。

 

 最後の最後、それを受ければ大破確実、それでも轟沈にはならないという確信を以って受け止めながら激を飛ばす。

 

 

「突撃イ!」

 

 

 敵弾の直撃により旗艦の金剛は大破判定で突っ伏し、それを掠める様に同じ装束を纏った黒髪の艦娘と、暁型に装備される盾を前面にした時津風が飛び出した。

 

 

「敵旗艦大破確認! meとウォースパイトは榛名へ集中! プリンツはDestroyer(駆逐艦)の足を止めて!」

 

 

 大本営艦隊は回避に重点を置いた迎撃をしてきた為にアイオワがほぼ無傷、ウォースパイト小破、そして二列目に居たプリンツも小破という損傷に留まっている。

 

 対して第二特務課艦隊側は榛名が中破、時津風が小破、残る夕立と龍鳳は無傷という状況。

 

 彼我の距離を考慮すれば戦艦二隻を相手に榛名がその元へ辿り付くのは絶望的であり、小破同士と言えど重巡と駆逐艦では打撃力も装甲の厚さも差がある為に時津風がプリンツを相手に立ち回れる時間もたかが知れている。

 

 そんな絶望的な状況、詰みが確定したかに見えた瞬間流れを変える一手が西から(・・・)大本営艦隊へと突き刺さる。

 

 

「Auchi!? 何!?」

 

 

 最後尾に居る正規空母二隻、サラトガと翔鶴が敵の居る筈が無い(・・・・・・・・)後方からの雷撃によるペイントに半身を染め、その場で転倒、轟沈判定の為機関を停止する。

 

 そして最後尾の二人が動きを止めた為に背面航行を続けていたプリンツは接触、体勢を大きく崩し、更にアイオワとウォースパイトはそれを急減速と方向転換で避けざるを得なかった為にその場で釘付けとなり陣形を大きく崩す事になる。

 

 

 大本営艦隊を後ろから襲った物、それは第二特務課艦隊が大崎上島西へと突出する際、龍鳳が放った艦載機天山一二型、それも村田隊というネームドタイプの物であり、そこに至るまでに発艦させた3スロット分、39機は(ことごと)()とされてはいたものの、最後の4スロット目に搭載していた6機、最少数であるそこに格納されていた虎の子の艦載機(天山村田隊)は別のルートを飛行して長距離を迂回するコースで敵艦隊を目指していた。

 

 岡島より南下し、演習海域ギリギリのラインを飛行、それは島を沿う様に設定された海域ギリギリのラインを飛行するという事にもなり戦線に到達するには時間を要した。

 

 そして最後に北上する際、大本営指揮所が置かれた豊島と下蒲刈島の間にある海峡に掛かる豊島大橋を潜り、大本営艦隊の後ろを取るという博打を打ってそれは成された。

 

 

 敵本営の横を掠めるという大胆な手で投入された艦載機、それは砲撃戦が始まった直後から叩き落された天山の数と、投入された機数が最小スロットの6機という物であった為に、気取られる事無く敵の後ろを取ることに成功し、更に数は少なくとも村田隊というエースが駆る艦攻6機の攻撃は置物となっていた航空母艦を後ろから屠るには容易いとあって一気に二隻を食う(轟沈)という結果を生み出した。

 

 そんな時間を掛けた一瞬の攻防、僅かな混乱、それは届かなかった筈の牙を喉元に、第二特務課の最大戦力が彼女達大本営艦隊に届くには充分な時間を稼ぐ結果となった。

 

 

 背中に氷を差し込まれたかの如き悪寒にアイオワが振り返れば、そこに見えたのは巨大な砲を左右に配し、見る者を釘付けにする程歪な姿をした金剛型三番艦。

 

 

 張り出した特徴的なシールドアーム、其処には継ぎ接ぎの如き形で(まがね)が鈍く、鉄色を見せていた。

 

 相貌は獲物を捕らえ、それを食い千切らんという殺意に染まっていた。

 

 そして(はし)る姿は艦娘にあるまじき、直接的な暴力を旨とする者から来る狂気を纏っていた。

 

 そのどれもこれも艦という者にとっては異質であり、理解の及ばない様であり、経験した事の無い類の恐怖は感覚全てを"武蔵殺し"へ釘付けにする。

 

 

「嗚呼呼アアアアアアア!」

 

 

 回避をするにも間に合わず、英国から来た戦艦が咆哮と共に叩き込まれた狂気を身に受けて文字通り吹き飛んだ。

 

 演習という括りであったが為に突き刺したのは肉の部分ではなく艤装へ向けて、それはウォースパイトの左にあった全てを粉砕する。

 

 それは大破も轟沈も無い、問答無用の破壊という暴力、そしてそれはウォースパイトを擬似的では無い本物の戦闘不能という状態に追い込んだ。

 

 対してその被害を被ったウォースパイトも流石に只者では無く、理不尽な一撃を貰う瞬間榛名へ砲を放ち一矢報いる形で大破という結果をもぎ取っていた。

 

 

 ウォースパイトと榛名が相打ちとなって行動不能、一瞬で起こった惨劇に戦慄しつつも残りは駆逐艦二隻と軽空母一隻と無理矢理思考を切り替えて、アイオワが前を向こうとしたその時何かが潰れる湿った音と、耳をつんざく轟音が耳を叩いた。

 

 反射的に振り向きそれを見れば、左腕から鮮血を散らして背中を見せる膝立ちの武蔵殺しと、その向こうではペイント液に塗れて飛ばされるプリンツの姿。

 

 

 通常大破と言えば機関動力全ての喪失による行動不能を指す状態である、しかしそれは轟沈では無く、動く為のサポートが艤装から得られないという状態でもあった。

 

 大破になってしまったら戦えない、それは確かにそうだろう、しかし逆を言えば動力が得られないだけで、砲に弾薬が装填済みなら砲撃は可能なのである。

 

 しかしそれが有効では無いのは簡単な話、砲は放てても砲塔を動かす動力が喪失している、背負う艤装がただの鉄の塊と化す、即ち照準が取れないからという絶対的な理由があるからであった。

 

 しかしそれが出来たなら? 大破状態でも狙いを定められたなら?

 

 

 それの答えが榛名の左腕、肘を叩き込み、片腕と引き換えに僅かばかり砲を動かせたなら、後はすぐ傍の敵艦へ向けて砲を放つだけで事は済む。

 

 理屈では可能なそれは、演習という模擬戦闘という場でするには考えられない常識を外れた、執念と言うには余りにも苛烈な行為。

 

 

 演習という最低限の安全が保障された、仮初(かりそめ)(いくさ)という認識で戦う大本営艦隊と、それでも殺し合いという(いくさ)として行動する第二特務課との認識のズレが其処に横たわる。

 

 

「Crazy…… どうしてそこまで」

 

 

 全てを吐き出し、力なく膝を着く背中に砲を向けようとしたアイオワの耳に波を切る音が聞こえてくる。

 

 この海域で今行動が可能な艦はアイオワを除けば第二特務課の三隻、駆逐艦時津風、夕立、軽空母龍鳳。

 

 その内龍鳳は最後の天山を突入の際反撃を受けて喪失、時津風は武装の内両手を盾で塞ぎ、残る魚雷は全て撃ち尽くしている、そして夕立は10cm連装高角砲+高射装置の残弾も僅かで魚雷も一射分を残すのみ。

 

 

 旗艦として艦隊を統括するアイオワは状況把握に努め、常に対する艦隊の被害状況、そして残弾を図りつつ艦隊指揮を執っていた、そして残る第二特務課艦隊の戦力も正確では無いにしても概ねそれは把握していた。

 

 

 彼女から見れば理不尽が浮かぶそこから身を翻し、今己に向かってくる駆逐艦と対峙する為に大きく北へ回り込む。

 

 構える砲の先には先程確認した駆逐艦が両手に盾を構えた状態で航行し、その後ろではもう一隻の駆逐艦が続くのだろう、交わった白波が白く線を引いていた。

 

 

 彼我の距離は僅かではあったが砲の斉射で対処は可能、雷撃されても回避は可能、迎撃体勢を整えつつも冷静に全ての懸念を潰しつつアイオワは粛々とそれを実行に移していく。

 

 撃ち出す砲弾は瞬く間に先を(はし)る時津風の盾をペイント液で染め上げていき、与えられたダメージに比例して小さな彼女は行動不能に陥っていった。

 

 

 時津風を仕留め残るは一人、残弾も僅かな駆逐艦、雷撃は直撃すれば危険な物であったが今仕留めた駆逐艦よりも防御に劣り、己の艤装に乗った主砲全てに弾薬は装填済みの状態にある。

 

 斉射は必要ない、焦らず狙い確実に当てればそれで終わる、(うずくま)る駆逐艦の影から飛び出すソレに狙いを定め、勤めて冷静に、確実に最後の仕上げに取り掛かる為の行動を開始する。

 

 大口径主砲を持つ米国生まれの戦艦、幾度か予想外が重なったものの、最後はどうにかなったという艦娘は構えた砲を通して迫る者の姿をその目に捉えた。

 

 

 アイオワが見るその船は、毛先に行く程色濃くなる浅紅色(あさべにいろ)が鮮やかな、背に負った艤装には白い帆が(なび)き、相貌は血を染み込ませたかの如くの(あか)が浮かぶ駆逐艦。

 

 

 その船は(かつ)てソロモンと呼ばれたあの海の、鉄底海峡のあの夜に、周りに居る敵をどれもこれも水底(みなぞこ)へ沈め悪夢と(うたわ)われた戦舟(いくさぶね)

 

 

 白露型四番艦、()を夕立、第二特務課艦隊所属の"もう一隻の狂気"

 

 

 榛名仕込みの戦い方は徹底した攻めを旨とした戦いを繰り広げ、駆逐艦としては異質と称される程の立ち回りは更に研ぎ澄まされ、最前線であるリンガで過ごした一年は彼女の心の奥底に眠っていた獣を目覚めさせるに至り、今この時、この瞬間、その牙を剥いて敵戦艦へと喰らい付いていた。

 

 駆逐艦という相手に対して戦艦としての最適解での行動、自分の能力に対する絶対的な自信、それは間違いでは無く理想的な迎撃体勢と呼べる物であった。

 

 

 故に対処が遅れる事になる、肉食獣を思わせる程に低い姿勢で(はし)る姿に、それから感じる榛名と同質の狂気に、アイオワがそれに気付いた時には既に手遅れの位置まで夕立の接近を許していた。

 

 その距離は通常駆逐艦や軽巡洋艦相手には充分対処可能な距離だった、放った砲撃は確かにそれ(夕立)を捕らえるに至った、しかしそれは(はし)る者が投げ付けた砲に直撃して爆ぜ、仕留めるには至らなかった。

 

 そして次弾を放つべく構えた時に考えは確信に変わった、今己に向かってひた(はし)るソレは普通では無いと、波を蹴り飛ばしこちらを睨む狂気を屠るには距離が全く足りないと。

 

 

 アイオワが砲に装填済みの残弾全てを投入して放った斉射は、夕立が以前陽炎がした様な"水の抵抗を利用した"急制動を行い始めた為に当たる事は無く、更に連続で左右に飛ぶ軌道は動きを捉えるのが困難になった。

 

 そんな出鱈目とも言える動きは感覚を狂わせ、詰まった距離をアイオワに錯覚させてしまったが為に夕立は其処に至った。

 

 

『沈め』

 

 

 底冷えのする、殺意の乗った言葉と共に魚雷管に残った全ての物を必殺の距離で撒き散らす、どう回避しても命中不可避の死の航跡が目の前に広がり、鈍くくぐもった爆裂音と共に鮮やかなペイントの色に染まった水柱がアイオワの姿を一瞬だけ消し去った。

 

 

 

 この日、四時間に及ぶ激しい演習の最終的なリザルトは大本営艦隊全艦轟沈判定に対し、第二特務課艦隊は大破艦多数ではあったものの轟沈艦無しという結果に終わった。

 

 それは事前に吉野が艦隊員に対し発令した命令を違える事無く、ある意味無茶振りを達成した艦娘達は笑顔で凱旋し、その報酬として今度は吉野が彼女達の無茶な要求を呑む事になるのはまた後日の話である。

 

 

 




 誤字脱字あるかも知れません、チェックはしていますが、もしその辺り確認された方は、お手数で無ければお知らせ下さい。

 また、拙作に於ける裏の話、今後の展開等はこっそりと活動報告に記載しております、お暇な方はそちらも見て頂けたらと思います。


それではどうか宜しくお願い致します。

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