大本営第二特務課の日常   作:zero-45

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前回までのあらすじ

 大淀さんがほろ酔い気分でハメを外すという特別編、そんな日常が繰り広げられる大坂鎮守府にちょっと早い春一番が吹き荒れる。

 それでは何かご意見ご要望があればお気軽にどうぞ。


2017/01/05
 誤字脱字修正反映致しました。
 ご指摘頂きました坂下郁様、黒25様、有難う御座います、大変助かりました


Restart

 大坂鎮守府執務棟会議室

 

 年も明けやれやれと落ち着いて執務をこなし、来週にクェゼリンからの教導受け入れを控えたこの時期に来客があり、急遽会談という形の面会の為に吉野は会議室に詰め、それの応対に当たっていた。

 

 脇には長門、大淀という鎮守府の代表格を控えさせ、苦々しい顔で見る先には数名の人物の顔。

 

 

 呉鎮守府司令長官寺田是清(てらだ これきよ)中将と秘書艦の足柄、大本営から大隅巌(おおすみ いわお)大将と秘書艦吹雪、リンガ泊地司令長官斉藤信也(さいとう しんや)少将に秘書艦飛龍という、大隅を筆頭とする派閥の代表者面々。

 

 これだけの面子が一同に会するのは大本営で大規模作戦の会議が召集される時位であり、場所が他拠点でというのは余り無い事であった。

 

 

「……大将殿、ちょっとお聞きしたいのですが」

 

「おう、お前が聞きたい事は何か判ってるがこっちにも色々都合がある、先ずはその説明を聞いて貰おうか」

 

「都合でありますか……」

 

「ああ、今回いきなりこんな会合の場を大坂鎮守府で設けたのはだな、先日大本営であった定例会で決定された件についての事だ」

 

「国内五番目の鎮守府として正式に認可、それの整備と手続きについて……に関係した話ですか」

 

「それよ、お前も知ってる通り軍には鎮守府と呼ばれる拠点は幾つか存在するが、その存在は通常の拠点とは活動内容や権限が大きく違う、軍部の序列で言えば大本営を頭としてその直下に置かれる統括機関、要するに命令を受ける側じゃなくて命令を発令する側になる」

 

 

 日本海軍には鎮守府と呼ばれる拠点が四つ存在する、横須賀鎮守府、舞鶴鎮守府、呉鎮守府、佐世保鎮守府、国内にのみ存在する鎮守府という名を冠したその拠点は防衛の為に置かれた物ではあるが、各所には独立した組織が置かれ、拠点のみならず国内の周辺海域を管理・管轄する権限に加え、管理下限定ではあったが有事の際は大本営からの命令無しで作戦行動を発令する命令権を有していた。

 

 そして軍という組織に於いては執行機関である大本営を頂点に、この四大鎮守府が軍政に加わり海軍という組織を動かしている。

 

 言い換えれば鎮守府とは地方の防衛拠点でありながら、軍の執政機関も兼ねるという特別な存在でもあった。

 

 

 現在派閥という形で色分けをすると、三上源三(みかみ げんぞう)大将が擁する艦隊本部を頭とし、舞鶴鎮守府と佐世保鎮守府、それに続いて岩川基地が現在鷹派と呼ばれ、主に軍政の中心となって活動をしている。

 

 それに対し、南洋を開放した後その海域を管轄し、現状を維持する為に奔走している一団が大隅巌(おおすみ 巌)大将を筆頭とする鳩派と呼ばれる文官を中心とした派閥、ここは呉鎮守府がその派閥に属している形になっていた。

 

 

 今までは艦隊本部という権限が大きな組織に対し、南洋という最前線と岩川基地という兵站の要所に影響力を持った鳩派というのがパワーバランス的に拮抗した物になっていたが、岩川基地が艦隊本部の側に傾いた事により、海軍は一時鷹派が主導する攻撃色が強い組織へと舵を切る形へ移行しつつあった。

 

 しかしそこにブレーキが掛かる事態が勃発する。

 

 鳩派の頭であった大隅の麾下にあった第二特務課が深海棲艦という駒を取り込み、更に独立して旧大阪鎮守府を拠点として活動を開始、更に元老院と太いパイプを持つに至り軍内部のパワーバランスが一新される事になる。

 

 

 舞鶴、佐世保、そして兵站を握る岩川を擁する艦隊本部、これに対する軍令部総長大隅巌が擁する鳩派は呉鎮守府、南洋の前線海域の管轄権、そこに今回新たに認可された大坂鎮守府、つまり深海棲艦の一団と経済界の後ろ盾を持つ組織が加わるという現状。

 

 結論から言えば軍内のパワーバランスはまたしても双方五分にという形に逆戻りとなり、一部の配置転換が実施された前線以外は今までと変わらずという結果で現在に至っていた。

 

 

「鎮守府という名前の拠点を管轄するという事は、軍政に関わるという事と同じ、それは義務であり責任でもある、これはお前も判っているな?」

 

「ええまぁ、それは……」

 

「お前が納得しなくてもこれはお前自身が呼び込んだ結果だ、誰にも頼らず独自に力を蓄えて守りを固める意図で作った組織なんだろうが、軍ってヤツを相手にそれをしようとすれば必然的に対外的な影響力が大きくなるのは必然、そしてそんな組織が好き勝手に活動出来る程世の中都合良く出来ちゃいねぇんだよ」

 

「という事はやはり」

 

「ああ、軍政に直接関わるモンが佐官というのは在り得ない、そして今各鎮守府がやってる様に支配海域での防衛活動以外にも執政に関わる役割も受け持たなければならん、よって鎮守府所属の人員も大幅に増員し、教導と開発研究以外にも何かしら軍部としての業務も受け持つ形になる」

 

 

 これまで第二特務課という組織は必要に迫られて数々の作戦を遂行し、その度に抱えてきた問題に対処する為に力を拡大してきた。

 

 そして吉野という用心深く、必要以上に備えに拘る者がその指揮を執っていたが為に、その集団は一部署という組織が持つには余りある力を持つに至った。

 

 

「まーあれだよ吉野君、この前本部の艦隊をヒネっちゃったじゃない? 国内拠点であっても一部署が所管する艦隊に艦隊本部が負けたというままじゃアッチの面子も立たないし、元老院と繋がりを持った君達ではどちらにしても自分達の手に余るって思ったんだろうね、そんじゃもー鎮守府って縛りを背負わせて派閥に放り込んだ上で纏めて対処した方がいいってアチラさんは思ったんじゃないの?」

 

「斉藤さんの言う通り、ヘタに別々に対処するよりこっちと一緒くたにしてやる方が向こうとしては手間が無いと判断したんだろう、確かにこの前ウチの海域でやった演習が止めになった感があるし、何より元々大隅さんの下に居た上に、ウチの管轄海域だったここらヘンをそのまま縄張りにした君は幾ら否定してもこっちの派閥と見られても仕方が無いよなぁ」

 

「別に俺達は派閥という形で寄ってるんじゃねぇんだ、お前も知ってる通り、こっちはただやるべき事が重複してて考えが同じってモンが寄り合っただけの集団だ」

 

「大将殿」

 

「何だ?」

 

「それを世間では派閥と言うんですよ……」

 

「他のヤツらがどう思おうと知ったこっちゃねぇな、俺達ゃやるべき事をやって、果さなきゃならん義務を果たしていくだけだ、さてと吉野大佐」

 

 

 妙にニヤニヤしたリンガ司令長官にしたり顔の呉司令長官、そしてその二人に囲まれた元上司の大将からは一枚の辞令書と共に分厚い資料を纏めたファイルがテーブルの上に置かれる。

 

 先ず辞令書には

 

──────────────────

吉野三郎

 

任 海軍中将

 

内閣総理大臣 鶴田栄

 

平成三十年一月十日

──────────────────

 

 いつかどこかで見た事がある、しかし日付だけではなくいきなり中将への辞令書、通例として国内に存在する鎮守府の司令長官に就く者の階級は中将以上となっている、軍政の中核に携わる者と同時に鎮守府という拠点の長ともなれば、それ程の権限を要する為という事情も兼ねた人事である。

 

 

「今回は内示では無く正式に発令された辞令だ、それと前もそうだったんだが、辞令書の発布署名が俺からじゃ無くて内閣から出されているのは元老院が大きく関与しているっていうのも忘れるなよ? そっちから正式に出されるって事は、今回の任命は親任官である事も肝に銘じておけ」

 

 

 親任官、それはつまり軍部の人事に対し、それの上位から下知(げち)された物、即ち現在日本国の統帥権を持つ天皇から下された物である事を意味する。

 

 前回の辞令もそれを内示として手回しをされた物であったが、正式決定した物ではなく、駆け引きの材料として用意された物だった為に拒否する事が出来た、しかし今回は正式に発令された人事命令であり、拒否は一応可能ではあるが、それを後押しするのは実質元老院である為に吉野にはそれを袖にする事は立場的に出来ない状況にある。

 

 

「提督よ、今回の人事は今までの様に相手側の都合の為だけに発布された物ではないのだろう? なら何を遠慮する事がある」

 

「ですね、今まで提督がやって来た事を周りが認め、それが形になった結果だと私は思います」

 

 

 最後の最後まで拘り続けた佐官としての自分、難しい表情の吉野に長門と大淀は笑顔で対し、素直にそれを喜ぶ素振りを見せている。

 

 考えてみれば今までこの様な自分の身の振り方を選択してきた時は、自分の部下である彼女達が同席した事は一度も無かった、それら全てを袖にしてきたのは拘りがあったのが一番大きい要因ではあったが、それを受ける事によって彼女達との関係性が大きく変化し、縁が薄れるのではという恐怖もあったからであった。

 

 しかしその艦娘達が己の主に対する人事を素直に喜び、それを目の前にした髭の眼帯は溜息を一つ、居住まいを正してテーブルの上にある辞令書を手に一礼をする。

 

 

「吉野三郎、海軍中将の任、謹んで拝命致します」

 

 

 僅か三年にも満たない期間で中尉から中将へと至った異例の人事、そんな辞令を受け取った髭眼帯の前には今回の会談の本題である資料の束が妙に存在感を放った形で積み上がっていた。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

「それでだ、大坂鎮守府には現状の教導任務と装備開発・研究の任に加え新たなる役割を担って貰う事になる」

 

 

 テーブルに着く将官と随伴している艦娘其々に資料の束が配られる、それには新たなる任務内容詳細に加え、それによる追加支援と人事に関する記載が箇条書きで記されていた。

 

 

「ここに記載されているのは決定済みの項目だけであって、それに付随する詳細はまだ詰められてはいない、その辺りは大体ここで決定するとしてだ、人事に関してはそっちの希望を一旦聞いて、それを大本営に持ち帰って摺り合わせをした上で後日正式に回答を出す予定になっている」

 

 

 書類と睨めっこの髭眼帯は怪訝な表情のままスイっと右手を挙げ大将を見る。

 

 

「何だ?」

 

「ええと大将殿、ココのこれ……『艦娘お助けダイアルの設置と駆け込み寺の活動』というのは何です?」

 

「ああそれか、おい寺田、説明を頼む」

 

「……それは見たまんまの任務になるな、現在呉では軍内に所属する艦娘個人が色々諸々の抱える問題の解決をする為に匿名での相談を受け付け、必要とあれば権限の及ぶ範囲で環境改善や指導を行っている」

 

「色々ぉ? 諸々ぉ? なぁにそれぇ?」

 

「それは本当に色々諸々だ、詳細は相談者の切実なプライベートに関わる物なので明言は避けさせて貰う、そしてその諸問題で艦娘本人が現況の環境から隔離するべきと判断された時は一時その艦娘を召還、ないし保護し、もしメンタル的に治療が必要ならそれを施し、その後次の任地を探して送り出す」

 

「お助け相談て……まんまなんですね」

 

「うむ、これが中々手間でな、相手先の司令官から恨みを買う事もあれば、メンタルサポートも時間が掛かる、まぁ元老院や経済界をバックにした大坂鎮守府に表立って突っかかる阿呆ぅはそうおらんだろうし、メンタル面で言えば電殿という存在が居る此処は正にうってつけの場所とも言えるだろうな」

 

 

 言葉を要約すれば、軍に所属する艦娘の関係する揉め事を仲裁し、更にそこで居られなくなった艦娘の世話から次の任地の斡旋と、一言で言ってしまえば厄介事を無理矢理任務の形にした活動という無茶振り案件である。

 

 基本的に戦時下である日本に於いて、絶対数の限られている艦娘の存在は割りと重要視され、人権という物は与えられていない代わりに兵としての最低の権利と、住環境や就業規定という物は定められている。

 

 良く巷で言われる拠点ぐるみでの人身売買や性的暴力というのはこの世界には基本存在しない、組織的にそんな行動をする余裕が無く、またそれで艦娘のメンタルが下がれば防衛活動にも支障が出る。

 

 更にそんな事をする欠陥人間を指揮官に据えると任命責任に問われるとあって、指揮官となる者は教育段階で病的な程に厳しい(ふるい)に掛けられ淘汰されていく、よって思想は別としても人格という面では指揮官になる者は一定のモラルを有するエリートしか配備されておらず、また任官後も厳しい管理がなされている。

 

 繰り返し言うかこの世界にはイメージとしてのブラック鎮守府というものは存在しない、国の命運を掛け戦う組織にそんな存在があるというのはナンセンスなのである。

 

 

 ただし、それはモラルという面に於いてのみに限定される。

 

 

 女性が中心になる職場環境、そこに男がポツンと一人という事なら当然痴情の縺れや揉め事は勃発する、またモラル的ブラックがなくとも戦況次第で作戦行動や事務処理の時間が増大し、職務的にブラック化するという場合も割と良くある話である。

 

 そうした問題を解消する手は余り多く無く、結局ある程度の被害者という者は必ず生まれてしまう、感情と言う物を持つ存在ならばそれはあって当然の問題とも言えよう。

 

 その問題解決に動いているのが大本営で言えば艦隊本部であったが、そこは軍の総本山であり、基本的には組織運営に重篤な問題が出た場合、もしくは影響が大きくなると予想される問題を重点的に扱っている、その尖兵として活動しているのが以前大坂鎮守府に査察として訪れた南洲率いる査察部隊であり、それの専任に当たる組織も存在する。

 

 しかしその一方で個人のいざこざという範疇から出ない、若しくは根が深いが表に出難い問題も山積されているのは確かであった、その外部に出難い問題を基本匿名にて受け付け、またそれの解決に動いているのが呉鎮守府であり、その為の専任に当たる艦娘も少なからず存在する。

 

 

「今回この任をそちらに任せるに当たり、ウチから専任である足柄をそっちへ異動しようと思う」

 

 

 厄介事をそのまま任務として丸投げされるという嫌な予感が的中し、そのままプルプルを開始する吉野の前に、ニッコリと微笑む艦娘が一人。

 

 あの呉で行われた演習の後の勉強会、そこで吉野に突っ掛かってきた飢えた狼、あの勝負下着が白のレースという足柄が『艦娘お助けダイアル及び駆け込み寺』の専任者であるのだという。

 

 

「白い勝負下着の人がウチに異動するんですか……」

 

「何!? 何でそんな残念そうな顔してるのよっ! て言うかこの仕事に下着の色なんて関係ないでしょ!?」

 

「ああうん、何と言うかその……まぁ程々に、えっとその辺りはどうかお手柔らかに」

 

 

 仕事面でもそれ以外でも吉野が新たな厄介事を抱えてしまった瞬間であった。

 

 

 そんなプルプルする髭眼帯に容赦なく追い討ちが入る、それ以外の追加任務に付いての説明である。

 

 

 先ずは鎮守府が当番制で担当している『緊急支援艦隊』の設立、これはそのまま有事の際、他拠点から緊急の支援依頼があった際、求められる形の艦隊を支援に出すという物であり、それをする為にはある程度の人員数と錬度が常に求められる事になる。

 

 それはただでさえ教導という任務を請け負う大坂鎮守府に於いては現状不可能な任務である為に、至急艦娘の増員をすると共に、関係各所との連絡網の確立を急務とされる案件でもあった。

 

 

「緊急支援艦隊制度ってのは、まぁ言ってしまえば現場からは元手が掛からん都合のいい戦力支援であり、大本営としちゃ力を持ってる鎮守府の資源や戦力の適度な消費を狙っての任務でもあるからな、それなりの備えと備蓄は常からせんと潰れちまうぞ?」

 

「その代わりに艦娘の建造割り当て回数は他の拠点より優遇されてはいるんだが、肝心の成功率がお察し状態だから0からスタートの大坂鎮守府だと人員が揃うまでは覚悟が必要かも知れんね」

 

 

 通常拠点に許された艦娘の建造回数は年に二回から三回、最前線でも五回当たりが割り当てられている、しかし鎮守府と呼ばれる国内拠点では基本その回数は制限されておらず、状況を大本営に打診して許可を得る形で実施され、その数が揃うまで建造は繰り返される、但しその間に消費される資源は鎮守府側の負担となっているので、建造の成功率が極めて低い現状、おいそれとはそれを行わないというのが実情でもあった。

 

 

「今の大坂鎮守府の現状だと、緊急支援艦隊に充てる人員が丸々足りないのと、近海の哨戒と例のお助け任務分の人員……ざっと最低10、安定させるなら20人は足りないといった処か」

 

 

 大隅も少し苦い顔になる、当番制として限定期間の持ち回りでの任務としても年に最低二ヶ月は一艦隊+予備の人員は必要となる、そしてそれは打撃艦隊、水雷戦隊、空母機動艦隊、求められる艦隊の種別はその時次第になるので基本どの艦隊で出撃出来ても良い形に備えなければいけなくなる。

 

 建造が絡むという事であれば、現状成功率100%の大坂鎮守府では頭数を揃えるだけなら特に問題は無いだろう、しかしその人員を前線に支援として出せるまでに育てる時間とコストいう物はどうにもならない。

 

 

「大隅さん、一度吉野君に今必要な人材をリストアップして貰って、それを他拠点から拠出して貰いましょうよ」

 

「他拠点からって斉藤……お前なぁ、今前線はどこもカツカツの状態なんだぜ? そんな無茶が通ると思ってんのか?」

 

「普通なら無理でしょうね、でも大坂鎮守府って建造率100%なんでしょ? ならこっちが指定する艦を出して貰う代わりに……」

 

「あー……希望する艦を建造してトレードするってのか? いやそれお前……三郎、お前んとこは艦種の狙い撃ちで建造するってのは可能なのか?」

 

「えぇまぁ一応可能だとは思いますけど」

 

「そうか、ならその線で進めてみるか、駄目なら最悪足りない分は建造で補うしか無いが……まぁイケるだろ」

 

 

 こうして正式に国内鎮守府として活動を定められた大坂鎮守府。

 

 そして其々の鎮守府司令長官に任命された者は鎮守府の長としての職務以外に大本営内で別の立場が用意される。

 

 そして吉野が受け持つのは呉から移管された『艦娘お助けダイアル及び駆け込み寺』という物が含まれたこれまでの任務と鎮守府としての持ち回り任務。

 

 その任務は大本営での一部署として扱われ、担当する将官はその部署の総責任者として指揮を執る、それは各拠点への命令権や執行権も付随する執行機関の側面も持つ。

 

 査察や不正行為を取り締まる組織は大本営艦隊本部内に存在する機関がある為に、業務が被る組織となる吉野の部署は第二の部署という位置付けに。

 

 そして深海棲艦も加えての任務を同時にこなすという特務も同時に管轄する組織、名称は第二特務課、今までと変わらず、しかし内容がまるで違う組織がそこに誕生する。

 

 

 その日、大坂鎮守府司令長官、並びに大本営付け教導任務及び拠点環境管理組織総括『第二特務課』課長吉野三郎中将という名称が大本営に登録される。

 

 

 それは髭の眼帯が長ったらしい肩書きと共に更なる厄介事を押し付けられた瞬間であった。

 

 

 




 誤字脱字あるかも知れません、チェックはしていますが、もしその辺り確認された方は、お手数で無ければお知らせ下さい。

 また、拙作に於ける裏の話、今後の展開等はこっそりと活動報告に記載しております、お暇な方はそちらも見て頂けたらと思います。


それではどうか宜しくお願い致します。

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