大本営第二特務課の日常   作:zero-45

133 / 329
 同盟各国の代表者を交えての会談に於いて、己の本心のまま話を押し通した吉野三郎、国という存在に対してすらそんな暴挙を通してしまう程に肥大した組織を抱えつつ、大きく一歩を踏み出した大坂鎮守府は新たなスタートを切る事になる。


それでは何かご意見ご要望があればお気軽にどうぞ。


2018/10/30
 誤字脱字修正反映致しました。
 ご指摘頂きましたorione様、京勇樹様、拓摩様、柱島低督様、有難う御座います、大変助かりました。

(※)
 作中POLAの着任挨拶で『Buon Giornov』という台詞が御座いまして、『Buon Giorno』ではとご指摘を幾人様かに頂いておりますが、文法的には"Buon Giorno"で合ってはいるのですが、ネイティブ表記では"Buon Giornov"という書き方も御座いますし、出展元であるwikiではそのネイティブ表記となっておりますので、なるべく艦これという一次作品を準拠したいという考えからそちらを引用させて頂く形で表記しております、どうかご容赦下さいませ。


軍団・大坂鎮守府
い・つ・も・の


「しかしアレじゃの、今回はどうなる事かと思っておったが最後は何とかなったかのぉ」

 

「何とかっちゅうか、無理から何とかしたいう結果でしたわな」

 

「話だけ聞くとこによっちゃぁボンは今回やらかしたって感じっつーか……なぁ長門さんよ、アレ何してんだい?」

 

「ああ……あれは天岩戸(あまのいわど)が何とかと言って皆が提督を外に誘い出すとか何とか……」

 

 

 大坂鎮守府執務室、例の会談が長引き開けての午前。

 

 結局夜半に終了した会議後には各国の代表団が個別に吉野へ会談を申し込み、そのままなし崩し的に連続しての会談が行われ、更にその後の調整や打ち合わせという物が行われた結果、髭眼帯が開放されたのが夜明け前。

 

 会議に参加した要人を送り出し執務室に戻って一息という居残りの一団は現在染谷に池田、それに前日より会議には参加していなかったが警備の関係で詰めていた唐沢という面々であったが、これから諸々の詰めを行う前に、其々徹夜であった為にお休み下さいと声を掛けた髭眼帯は元私室であった執務室奥へ入ってしまい、そのまま引き篭もってしまった。

 

 

 幾度か時雨や長門が声を掛けて見るが何故か無反応状態であり、返事もあーとかうーとか、最後には"自分は貝になりたい"とか、意味不明の言葉を最後に無反応状態で今に至っていた。

 

 

 昨日まで行われていた会談は結果としては吉野達が欲していた結果を勝ち取るという形にはなっていたが、それは池田や唐沢が言う様にゴリ押しで成した結果であり、ぶっちゃけてしまうと後先考えない髭眼帯の『やらかし案件』に他ならなかった。

 

 加えて全てが終了した後、取り敢えず最低限の事を済ませ、己の行動を恥じたと言うか、交渉という場に於いて最もしてはならないちゃぶ台返しを行ったとあり、髭眼帯は自己嫌悪に陥り奥へ引き篭もり、それを聞いた鎮守府の面々はフォローをしようと奮闘しているが、その行動もズレた事になっている為、現在執務室の奥では長門の言う様に天岩戸染みた様相が展開されていた。

 

 

 当初は時雨や響が例のちょっとアレなメイド服でボショボショと声を掛けていたが、時間経過と共にメイド勢の数が増えていき、それでも反応が薄いとあって援軍が召還され続け、そんな状態が続いていく内に何故か扉の前でコロッケを揚げてみたり、お好み焼を焼いてみたり、くちくかん達が不思議な踊りを踊ってみたり。

 

 そんな状況が時間経過と共にエスカレートしていき、現在では何故か天岩戸の前では宴会が開催されているというカオス。

 

 

「なんと言うか、ここじゃあんなのが常態化しとるのかの?」

 

「普段は提督が一応のストッパーとして歯止めを利かせていますが、今回はその提督自身が引き篭もっていますので……」

 

 

 苦笑いの染谷の横では久々に顔合わせする妙高が同じく困り顔で対応し、やたら髭率が上がってしまった応接ソファーの華を添える形で対応している最中。

 

 一応打ち合わせと称して集っている髭達であったが、そのカオスの煽りを食らってテーブルの上には様々なツマミと酒が並び、既に業務が半分放棄された形になっていた。

 

 

「……戦艦勢のラインダンスでは効果は今一だったみたいですね」

 

「提督は妙にお色気系には耐性がありますから、ここは一度路線変更を考える必要があるのかも知れません」

 

 

 何故かボンボンを両手に際どい格好のメイド戦艦達がorzでうな垂れている脇では、今作戦の参謀である大淀と古鷹が難しい表情で作戦を練っていた。

 

 その脇では既にラインダンスの第二陣であるくちくかんズがアニモーなメイド服でGOサインを待っていたが、そもそもその大騒ぎが逆に髭眼帯が外に出難い状況を作り出しているという、根本的な原因となってしまっているのを誰も気付いていないという悲しい現実がそこにあった。

 

 

「えっと、何故龍驤さんと大鳳さんがくちくかんズに混じっているのでしょう……」

 

「古鷹さん、それは突っ込んではいけない話です」

 

「二人とも何と言うか……あの無表情が怖いと言うか……」

 

 

 黒髪眼鏡と大天使という二人の参謀の向こうでは、くちくかんズに混ざった二人の空母系艦娘の姿があったが、指摘しなければ存在感が埋もれてしまうと言うか、カテゴライズ的に妙な調和が取れている姿が妙に痛々しかった。

 

 ぶっちゃけその無表情で並ぶ二人に、傍らで食事を用意している鳳翔が目元をそっとぬぐって観察している様はある意味痛々しさを加速させていたがそこはそれ、oh淀の効率を追求する作戦は更に犠牲を払いつつも苛烈な物になっていくのである。

 

 

「これ……提督を部屋から出すだけなら普通に業務時間まで待てば良い気がするんですが……」

 

「それでも良いのですが、あのやらかしの後では流石に外に出難いでしょうし、ここは皆で暖かく出迎えて気持ち良く仕事をして貰う為に我々は努力する必要があると思います」

 

 

 ぶっちゃけて言うと、当初はそれとなくソフトに対応して事を収めるつもりのoh淀であったが、途中から意地になってしまったというのはここだけの話である。

 

 例のメイド服で事に当たったがそれが不発に終わったので意固地になっているという事は決してないのである。

 

 ついでに鳳翔の揚げたてコロッケと時雨の持つドクペにすこーしだけ反応があったというのにプライドが傷つけられたというのは多分関係ない筈である。

 

 

「ねぇ、そもそも今の時間って業務時間外だから提督が引き篭もってても問題ないんじゃないの?」

 

 

 そんな眼鏡に正論で(いさ)めるイズモマン、言っている事は尤もだが口の周りに泡の髭を貼り付け、ビールの大ジョッキと焼き鳥を持った状態でそんな言葉を口にしても微妙に説得力が無いなと古鷹は溜息を吐いていた。

 

 

「軍事拠点の心臓部にあるまじき光景よねコレ」

 

「ま~面白けりゃ何だっていいと思うんだけどねぇ」

 

「隼鷹の場合アルコールがあれば何だっていいんじゃないの?」

 

「そういう五十鈴も何だいその格好、チャイナ服で気合入れちゃってさぁ、ほらぁ結構楽しんでいるんじゃないのさ~」

 

「こっ……こここれは大和が自分だけチャイナは寂しいって泣き付いて来るから仕方なく」

 

 

 因みにイズモマンとヒャッハーはバニーガール姿である、どっちもどっちだと古鷹は思ったが、それを口にすると自分に良くない事が起こる気がしてスルーする事にした。

 

 そんな古鷹は改めて周りを見渡す、奥へ続く扉の前にあった執務机は部屋の隅に移動され、どうやって運び込んだのか据えられた調理台では鳳翔、間宮、伊良湖が今も高速で調理を続行中。

 

 出来上がったそれを例の和装メイド服の春風と、目のハイライトをOFFにした龍鳳がバケツリレー状態、そして扉の前ではメイド服の一団がワイワイと歌ったり踊ったり。

 

 そしてそれらを指揮するのは燕尾服メイドのoh淀というカオス。

 

 

 そして反対側に視線を流せば髭の一団がチビチビと酒を飲みつつ独特の世界を展開しつつあった。

 

 

「……おや古鷹、君はここで何をしてるんだい?」

 

「えっ? ああ響ちゃん、うんちょっとね……て言うか響ちゃんもネコメイドなんだね」

 

「ああ、電がコーデしてくれたんだけど似合うかい?」

 

「うん、可愛いと思うよ」

 

「そうかい、何だか照れるな……まぁそんな私の事はさて置いて、古鷹」

 

「ん? どうしたの?」

 

「いや、どうして君はいつもの制服のままなんだろうと思ってね」

 

「え? どうしてって言われても……」

 

「ほら、周りを見てごらんよ、君以外は全員第二種戦闘服で事に当たっているんだけど」

 

「だ……第二種戦闘服って何?」

 

「おや知らなかったのかい? この大坂鎮守府では平時は其々軍から支給された制服で職務を行い、特殊作戦が発動された場合は第二種戦闘服を着用するのが義務付けられているんだよ?」

 

「え!? そんなの聞いた事無いんだけど!? 特殊作戦って何!?」

 

「……本当に知らないのかい?」

 

「聞いた事無いよ!? え? 何どういう事なの!?」

 

「そうか、知らないのなら仕方ないね、じゃあ行こうか」

 

「どこに行くの!? って響ちゃん待ってどこに連れて行くつもり!?」

 

「まぁまぁほらこっちだよ」

 

「待って!? ねぇ待ってぇぇ!?」

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

「第二種戦闘服って何か提督知らないんだけど、その辺りどうなっているのか聞いても?」

 

 

 どよ~んとしたオーラの髭眼帯は、部屋の隅っこに追いやられた執務机に座りながら、宴会場と化した執務室に溜息を吐きながら響とoh淀に渋い顔で質問を投げていた。

 

 始まってしまった宴会は未だにそのまま続行状態で、髭のオサーン連中は既に出来上がってしまい打ち合わせは絶望的。

 

 しかも部屋の角に押し込まれた執務机の脇では、ミニスカビキニオープンバックネココスメイド服という究極状態の古鷹が床にペタリと座り、泣きながら髭眼帯のズボンの裾を握っているというカオス。

 

 

 取り敢えず執務時間になるまで奥に引き篭もっていた吉野にも色々責任があったが、それを差し引いてもそこに繰り広げられていたのは軍事拠点にあるまじき世界という惨状である。

 

 

「以前提督がメイド服禁止令を出したのは覚えてらっしゃいますでしょうか?」

 

「ああうん……何か最近そのお願いが反故にされつつあるみたいだけど、それが?」

 

「その時仰った理由が、メイド服は私服だから職務に就いてる間はなるべく着用しないようにと言う事でした」

 

「だねぇ、て言うか私服がメイド服と言うのも正直提督どうかと思うんだけど、まぁその辺り節度を以って貰う為に仕方なくと言うか何と言うか」

 

「そこでです!」

 

 

 何故かいつもよりはっちゃけ状態のoh淀が拳を握り熱弁を開始する。

 

 そんな黒髪眼鏡に逆らうと何か良く無い事が起こる気がした髭眼帯は取り敢えず死んだ魚の様な目でその様を見つつ、ズボンの裾を半泣き状態の古鷹に引っ張られていた。

 

 

「我々の着るメイド服は明石が開発した特殊繊維で作成した超強化布で縫製されているのは提督もご存知かと思いますが」

 

「いえ提督そんなのちっとも知らないのですが」

 

「その布で作られたメイド服は我々が平時に着る制服に迫る性能を有しているのです」

 

「いやちょっとoh淀君提督の話聞いて?」

 

「流石に破損してしまうと物理的な修繕をしないといけないという手間は掛かりますが、それでも耐久度は戦車装甲に迫る物がありまして」

 

「え!? あのヒラヒラとかピラピラが戦車装甲と同等ってどういう事!?」

 

「積層縫製部分ではラインメタル弾でも貫通しません」

 

「君達メイド服に一体何求めてんの!? ねえっ!?」

 

 

 戦車用徹甲弾すら貫通しないというヒラヒラとかピラピラのメイド服、凄まじい性能を有するという生地で作成されたというそれは、良く見ると一部艦娘の着衣は肌面積を晒している部分の方が多い為に無駄になっているのではと吉野は思ったが、何故かそれは言ってはいけない雰囲気だった為に言葉を飲み込む結果になっている。

 

 そんな狂った性能のメイド服を着てしているのがラインダンスとか、おさんどんとか正にオーバースペックだなんて言うと命が危ないのではという雰囲気がそこには漂っていた。

 

 

「それだけの性能があれば、作戦時に戦闘服として用いる事も可能と言う事で」

 

「いや生地がどうとかじゃなくて、デザインが問題なんじゃないかと提督は思うのですが」

 

「既に大本営にはそういう(てい)で認可を受けています」

 

「それってどんな(てい)なの!? 認可!? 認可されちゃったの!?」

 

「室内限定ですが取り敢えず、支給品としてはコストが掛かり過ぎるので艦娘本人が希望すれば購入出来る様な形にしました」

 

「……明石が?」

 

「はい」

 

「ああああぁぁぁぁぁかしぃぃぃぃぃぃぃぃ!? やっぱお前かぁぁぁぁぁああああかしぃぃぃぃぃぃぃ!? 認可って何をどうしちゃったんだってんだあああぁぁぁぁかしいぃぃぃぃぃ!!」

 

 

 とりあえず右足を掴んでグスグス泣いている古鷹エルを気遣いつつ、残った左足のみで高速貧乏ゆすりを敢行しちゃう髭眼帯。

 

 こうして大坂鎮守府で生まれてしまった第二種戦闘服という(てい)の狂った性能を有したメイド服、それは正式に明石セレクションにラインナップされる事になり、通販、若しくは明石酒保直営店で販売される事になってしまい、徐々にではあるが他拠点でもそれなりの数が売れてしまうという事になっていくのであった。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

「Buon Giornov~。ザラ級重巡の三番艦~、ポーラです~。何にでも挑戦したいお年頃。頑張ります~」

 

「Buon giorno! マエストラーレ級駆逐艦、リベッチオです。リベでいいよ。提督さん、よろしくね!」

 

 

 相変わらず宴会染みた空気と言うか、むしろ宴もタケナワ状態の執務室。

 

 そして部屋の角に押し込まれた位置の執務机に座る髭眼帯の前には、イタリアから直輸入の艦娘二人がにこやかに着任の挨拶を口にしていた。

 

 もはややらかして落ち込む事も許されず、未だグズっているミニスカビキニオープンバックネココスメイド服姿の古鷹を右足にセットした状態の髭眼帯は、半分目のハイライトを薄くして目の前の艦娘二人を凝視していた。

 

 

 この二人は会談で大坂入りしたパトリツィオ・デ・ニコライタリア共和国海軍准将が連れてきた艦娘であり、長らくドイツや英国だけに留まらず、米国さえもこの筋に於いて日本と繋がっている現状、今一つ自国の立場が弱いと感じた為、わざわざ高錬度の艦を大坂鎮守府へと送り込んできたという事情の下の着任であった。

 

 そんなイタリアというお国柄がそうなのか、それとも個人がそういう性格なのかは判断に困る部分であるが、そのイタリア共和国海軍准将は連れてきた二人を伴い引渡しの際は髭眼帯に対し『金の菓子というのが日本にはあるそうですな』と言ってHAHAHAと陽気に笑っていたという。

 

 その冗談とも本気とも理解の及ばない言葉に、何故か並んでいた駐日イタリア共和国大使はおろか、艦娘二人も揃ってHAHAHAと笑っていたと言うのは正直どうなんだという印象を受けたが、取り敢えず無償という形での着任ならばと吉野は二人の艦娘を受け入れる事にしたという。

 

 

「Guten Tag.私はビスマルク型戦艦のネームシップ、ビスマルク。よおく覚えておくのよ」

 

 

 色んな意味で真顔になっている髭眼帯の前で更なるニューフェイス、ドイツの大きな暁と評判のレディが胸をプルルンと張って着任の挨拶を述べている。

 

 

「Guten Tag.私はビスマルクをここに着任させる為に連れてきたドイツ連邦軍海軍少将、リーゼロッテ・ホルンシュタインよ、よおく覚えておくのよ」

 

 

 そしてデカイ暁の隣では金髪ボブカットのドイツ連邦軍海軍少将がデカイ乳をプルルンとさせながら胸を張って自己紹介をかましていた。

 

 

「ホルンシュタイン少将、何故貴女がビス子さんと並んで自己紹介をしてるのかの理由を聞いても?」

 

「ん? それは染谷のジジ様に飲まないかと誘われたから」

 

「……本国にお戻りになられなくても良いのでしょうか」

 

「ああそれ? それなら有給休暇を取ったから問題は無いわ」

 

「問題無いのですか……無いんだぁ……そっかぁ……」

 

 

 妙に諦めた雰囲気の髭眼帯。

 

 その訳は目の前に並ぶ一団がどれもこれも何故か例のメイド服を着用しているという、ある意味手遅れであるという惨状に帰依している。

 

 

 何故着任の挨拶の時点で既にメイド服なのだろうか、それ以前に豊満なバストをプルンプルンしているドイツ連邦軍海軍少将もメイド服なのはどうしてなのだろうか。

 

 その辺りを聞いても良いかどうか悩んでいる髭眼帯の視界の隅には、一団の影に隠れる様に一人の人物がこちらを伺うというという怪しい絵面(えづら)があったりした。

 

 と言うか、むしろ目が合ってしまった。

 

 

「……ええと、その、あの」

 

「わ……我が名は、Queen Elizabeth class Battleship Warspite! Admiral……よ、よろしく、頼む、わね?」

 

 

 妙にこそこそとした英国を代表する戦艦娘は、英国がこの会談と平行してわざわざ大坂鎮守府へ送り込んできたという艦娘ウォースパイト。

 

 史実では『戦いのあるところ必ずWarspiteあり』とまで言わしめ、不沈艦とまで称された前世を持つ艦娘である。

 

 その大英帝国のある意味象徴的存在は、何故か白猫ブチのメイド服に身を包み、チリンと鈴の音を鳴らしつつこっそりとこちらを伺いながら着任の挨拶を述べているというカオス。

 

 その様子を見るに大方誰かに薦められて断り切れなかったのだろうという想像は付いちゃったりするのだが、こんな状況をもし例の駐日英国大使にバレてしまうとかなり不味いのではと髭眼帯は頭を抱えていた。

 

 

「えーとウォースパイト君、その……無理にそんな格好せずとも……」

 

「いえ、郷に入っては郷に従えという諺もありますので……」

 

「ええ、まぁ、はい……いやマジで無理しなくても……」

 

「Admiralは私にこの調和を乱せと?」

 

「いや真面目過ぎるから!? 君恥ずかしいからこそこそ隠れてるンデショ!? 無理しないで!?」

 

「わわわ私とて大英帝国の誇りを背負う身! この程度の事など造作もありません!」

 

 

 何かを吹っ切ったのか、白ブチニャンコのウォースパイトは前に出て熱弁を奮っているが、微妙に腰が引けてカタカタしているのを見る髭眼帯は目頭に熱い物を感じてそっとそれを拭うのであった。

 

 

 こうして様々な思惑と関係性を繋ぐ為に大量の艦娘が着任する事になった大坂鎮守府であったが、その特異性に拠って後に諸外国へ様々な物議を醸し出す情報が流布される事になり、会談でやらかした髭眼帯の件はその余波でスルーされるという、色んな意味で事無きを得る結果となるのだがそれを吉野が聞くのはまだ先の話であった。

 

 

 




 誤字脱字あるかも知れません、チェックはしていますが、もしその辺り確認された方は、お手数で無ければお知らせ下さい。

 また、拙作に於ける裏の話、今後の展開等はこっそりと活動報告に記載しております、お暇な方はそちらも見て頂けたらと思います。


それではどうか宜しくお願い致します。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。