大本営第二特務課の日常   作:zero-45

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 何事も仕事という者は立ち位置が変れば規模も視野も変化する。
 しかしそれらは質がガラリと変る物では無く、必ず個人の色は反映される。
 ミニマムで済んでいた物が広がっただけ、そうとも言えるが同時に関る物が増える為に割くリソースは膨れ上がる。
 それを補う為には個では無く集団として動くのは当然の流れであり、携わる事によってはそれらは素質が無ければ難しい場合もある。
 そんな存在を得るのは事の外難しく、そして邂逅出来れば幸運である事は間違いない。


 それでは何かご意見ご質問があればお気軽にどうぞ。


2021/09/12
 誤字脱字修正反映致しました。
 ご指摘頂きましたorione様、拓摩様、リア10爆発46様、鷺ノ宮様、有難う御座います、大変助かりました。


対外関係と色々

「吉野さンがこっち来るってのは予想外だったけど、そろそろ諸々の話を詰める時期だってこっちも思ってたからさ、なんつーか丁度良かったぜ」

 

 

 畳張りの10畳間、その中央には天然杉を丸で切った重厚な座卓に差し向かいの形で二人の男が座っている。

 

 床の間に目立たない活花、その後ろには「煩悩菩提(ぼんのうぼだい)」という達筆な筆書が綴られた掛け軸がぶら下がっている。

 

 

煩悩菩提(ぼんのうぼだい)ですか……あれは誰の書です?」

 

「ん? あれかい? あれは俺が書いたもんだよ」

 

「随分達筆な字ですね、しかし掛け軸に(したた)める内容にしては中々珍しい内容で」

 

「そうかい? まぁアレ(・・)は仏示的なモンじゃなくて心構え的な……なんつーのかな、標語みたいなもンだしなぁ、でも俺にゃピッタリだろ?」

 

「無が境地となる悟りに於いて、人の本性の一つである煩悩や欲もまた必要な真理、でしたっけ?」

 

「相変わらず博識だねぇ、仰る通り、何もかも捨てて至る無もあれば、人を捨てずに至る無もあり、人を(あや)めたるたる者それを背負ってこそ(きわ)みに至れる也……ってのがウチの師匠の格言でな、俺みたいに煩悩まみれのモンが明鏡止水ってモンを体現しようとしたら、そっちの思想でないとまぁまず無理だしよ」

 

「なる程、理には適ってますねそれ」

 

 

 苦笑する男、舞鶴司令長官輪島博隆(わじま ひろたか)は座椅子の肘掛に付いた腕に顎を乗せたまま胡坐をかき、咥え煙草で自嘲の笑みを貼り付け掛け軸にある文字の意味を口にしていた。

 

 二人が居るのは舞鶴鎮守府執務棟地下一階に設けられた一室、来客用の部屋であったがそこは特別で、主に密会やその手の話の時にのみ使用される事を始めから想定して作られた部屋だという。

 

 咥えた煙草を灰皿へ置く、するとゴツい造りのそれはブーンとくぐもった音を響かせ、紫煙を吸い込んで空気をろ過していく。

 

 

「済まねぇな、ここは前任者が用心の為に作った部屋でな、部屋が鉛に囲まれてっから空気の通りが悪りぃんだよ」

 

「シェルターを改装した部屋と聞いてますけど、中は料亭みたいになってて面白いですね……でもシェルターとして役に立つんですここ?」

 

「役立ちゃしねぇんじゃねぇの? こんな表層階にシェルターなんぞ入れてもバンカーバスター辺り食らったら一発だと思うんだがなぁ、まぁそっちよりも対防諜用のアレコレが充実してっから、そっちの方についてはオマケ程度なモンじゃねぇかなって感じだぁな」

 

「なる程……」

 

 

 互いは部屋の事であれこれと話つつ、前任者……正確にはもっと前にこの施設の改装をした人物についての思想や派閥の事を世間話程度に口にしながら、其々が持ち寄った海図や資料を座卓に置きつつ、本題の準備を進めていく。

 

 

「さてっと、んじゃ本題に入ろうかね、どっちから話を進める?」

 

「確認までに、輪島さんからどうぞ」

 

「確認とキタもんだ、まぁウチもアレだけ派手に色々やっちゃそっちに知られてるのもまぁ当然か、んじゃまぁその辺りからいこうか」

 

 

 輪島が話し始めた件、それはつい最近舞鶴鎮守府を中心とした、艦隊本部側からの依頼、深海堕ちした艦娘を預かってから暫くの間の騒動に於いての話だった。

 

 それは派閥関係のゴタゴタで自身の身の振り方を考慮した者達が、その辺りの技術を欲しているヨーロッパへパイプを持つ為に件の艦娘達を譲渡する為、大本営所管の施設から一時舞鶴へその者達を移送し、話が纏まればそこから国外へ送り出す算段で進められた話であったのだという。

 

 これに対し輪島自身は余り良い気がしないというか、正直関わるつもりは無かったが、逆に深海化出来るという存在を懐に置くのと、それを持つと言うのは戦力的以上に上層部の弱みを握る良いネタになると、半ば反故にするつもりで受けた話であった。

 

 

「まぁ俺としちゃ今更そっち系の言う事聞くつもりなんてコレっぽっちも無かったんだけどよ、この先の事を考えたら色々とその艦娘達を取り込んだ方が面倒がねぇって思ってなぁ」

 

「うわぁ……相変わらず無茶しますね、それ一歩間違えたら大本営丸ごと敵に回しちゃうとこでしたよ」

 

「あーまぁそうなる前に吉野さンがちゃんとフォローしてくれるだろ? だから全然心配なんてしてなかんったンだけどな」

 

「……その辺りだけガッツリ頼られても困るんですが……」

 

「その代わりウチはバンバン弾薬供給とかその辺りの支援でそっちとのバランスを取ろうと思ってたんだけどよ……なぁ、大坂もその辺り作れるよーになったってマジ?」

 

「ええまぁ、一応」

 

「かーーーーっ! んだよ、ウチの一番アドバンテージになってたとこ台無しじゃねーか、ナンだよ大坂鎮守府って、マジ何でもアリじゃねーか!」

 

 

 派手なリアクションを取りつつ、脇机の上のグラスで口を湿らせ、座卓の上の海図に色々な駒を乗せつつ狂犬は憮然とした表情を表に出している。

 

 そしてそれを受ける髭眼帯も色々な駒を巨大な海図に並べつつ苦笑いの相を表へ出していた。

 

 

「んでもよ……結局ソイツら(堕天艦)の殆どは掻っ攫われちまった」

 

「槇原南洲さんですか……で? 彼はどうでした?」

 

「強かった、ってかアレはそー言うんじゃねーな、色々なモン背負い過ぎちまって生きるか死ぬかって戦いしか出来ねぇ状態になってたっつーか、テメェが死ぬの前提で突っかかってくるヤツをまともに相手してたら、先ずこっちは勝てねぇからよ、途中で退いたわ」

 

「まぁ……そのまま続けていたら艦娘の間でも殺し合いが始まってしまうでしょうしね」

 

「それな? 数じゃウチが遙かに上回ってたんだけどよ、まだ俺はここ(舞鶴)を完全掌握した訳じゃねぇ、対してアイツの取り巻きはどいつもコイツも提督LOVE勢ときたもんだ、ガチっちまったらここいら一帯火の海になった上で、こっちの駒が相当の数持ってかれるってのは目に見えてたからな……ったくよぉ」

 

「そうでなければ首を獲れたと?」

 

「……いや、どっちにしても殺られてただろうな、実際ガチってみた印象なんだがよ、アイツとタメ張れそうなのは宇佐美のオッサンかリンガの斉藤……辺りでもちょい足りねーか、後は……そうだな、吉野さンの後輩のほら、アイツ(・・・)くれーなモンなんじゃねぇの?」

 

「アイツ?」

 

「そーそー、ちょっと前に大本営追い出されて利根とド田舎の拠点へ左遷させられた、ほら」

 

「あーアイツ、って輪島さんアイツと知り合いなんです?」

 

「俺は大本営に召還される前は海軍特殊工作隊に居たんだけどよ、アイツとは良くツルんでたんだよ」

 

「うわ、輪島さん懲罰部隊に居たんですか……」

 

「懲罰部隊って言うなよ! ……でもそうさなぁ、なぁ吉野さン、アイツこっちへ取り込めねぇもんかな、戦闘以外でも色々役立ちそうなンだけどよ」

 

「無理でしょ、アイツバカだし」

 

「あー…… 確かに無理か、バカだし、アイツ無茶苦茶強ぇんだけどなぁ……俺一度も勝った事ねぇし」

 

「何やってたんですかその部隊で……って大隅さんもアイツはどうにかして使えないかって色々手を尽くしてたみたいですけど、結局諦めて左遷しちゃいましたからねぇ」

 

 

 双方は丸太をエクスカリバーと称して人型深海棲艦を殴り飛ばす人外の事を思い出しつつ、盛大な溜息を吐いて其々飲み物を口にしつつ気持ちを切り替える事にする。

 

 卓上の海図には其々が置いた駒が各所に点在した形で並び終えられ、其々が持つ情報を基にした勢力図が立体的に広がっていた。

 

 顎に手を当て身を乗り出す輪島は難しい表情でそれを眺め、吉野はドクペを啜りつつ煙草を一本箱から引き抜いた。

 

 

「……で、その槇原がインドネシアのド真ん中にドイツとインドネシアの一部から支援受けて、自分の王国をおっ立てた状態なんだがよ、コレってマズくねぇのかな?」

 

「位置的に日本がインドネシアより委託された制海権のド真ん中、軍にしてみれば色々とタンコブになる勢力が食い込んだ形になってますね」

 

「それなぁ、微妙なんだよな、あのヘン〆てる斉藤は南シナ海からマレーシア、そんでインド沿岸からスエズに続く辺りが縄張りだし、艦隊本部が抑えてんのはブルネイ、フィリピン辺りを結んだ地域がメインだ、ウェダ近海とは隣接してるとは言え今の兵站路にも縄張りにも微妙に食い込んでねぇ」

 

「インドネシアという国を取り巻く事情としては混沌とした形になりますし、ドイツがそのド真ん中に釘を刺すと言うのは逆にそこを生命線とする日本へ喧嘩を売ってきたと取られてもおかしくは無い状況になりますからね」

 

「はっ、無茶苦茶だな、どうすんだよ吉野さンこれ、ウチもクルイに関わってるしさ……あんま美味(うま)くねぇってんならドイツごと叩いちまうかい?」

 

 

 冷ややかな視線でインドシナ付近を舐める様に見る狂犬は、サラっと国政にも関わる重要な案件を事も無げに口にする、それはインドネシアという国とドイツという二つの友好国に関わる問題であったが、それは現実問題として日本とインドネシアとの間で交わされた関係に無理矢理ドイツが割り込んだ状態であった為、今の吉野の立ち位置なら、それなりの手間を掛ければ外交的にそれを叩くのはそう難しい事では無かったと言える。

 

 

「現状で美味しい部分に食い込んでいないインドネシアの関係者が金で買われた……的な状態らしいですが、まぁそれは置いといてこの形はむしろ自分にとっては有り難い状況って感じですね」

 

「ふぅん……その心は?」

 

「これ以上ドイツがその辺りを荒らすのと、日本との関係を天秤に掛けてどっちを選ぶかはまぁ言わなくても判ってるでしょうし、インドネシア自体も日本との関係をこれ以上こじらせるのは良しとしないでしょうから、主流派はあの辺りをこれ以上好き勝手にはさせないでしょうね」

 

「あー……でもよ、ある意味インドネシアは日本の命を握ってる国だ、そんなに殊勝な態度に出ないんじゃねーの?」

 

「ええ、少し前ならそういう感じでしたね、でも今はそうじゃない」

 

 

 怪訝な表情の輪島を前に、吉野は自分の置いた駒の幾つかをチョンチョンと指差して注意をそちらに向ける。

 

 それはインドネシアから赤道を越えて南の大陸、オーストラリアであった。

 

 

「現在オーストラリアは東部沿岸地域を中心に、今まで危険区域として立ち入りを制限していた土地を開放して再開発を進めています」

 

「ああ確か泊地棲姫とそっちの約定で、その辺りの安全は保障されたんだっけか」

 

「完全な安全……とは言い難いですが、それでも確率的に航空機が墜落する程度の危険しかないって指針が出てますから、企業を中心にその辺りは工業的な施設が立ち並ぶ予定になってますね」

 

「中々微妙な安全だよなそれ、んで?」

 

「輪島さんが仰る通り保障される安全は色々と微妙、そして国策として推進するにはオーストラリア的にちょっと心許ない、って訳でその辺りは日本の企業が中心となって再開発、運用をメインに担い、そして利益の幾らかをオーストラリアに還元するという形で事業は進んでいます」

 

「あー……なる、その辺りは吉野さンが元老院に渡りを付けて企業誘致したってカンジか」

 

「あー……まぁその辺りはどうなんでしょうねぇ? その話は取り敢えず横に置いといて、あの辺りに展開する地帯は主に資源加工、そして食品を生産、加工する一大プロジェクトになってる訳で……」

 

「おい……それって」

 

「クイーンズランド、ニューサウスウェールズの1/3程、ビクトリアに至ってはほぼ8割という面積を以っての大生産地帯になります、遊ばせておくしかない土地を利用した、ある意味降って沸いた形での収支はオーストラリア側には相当美味しい物になる筈ですし、それらが全稼動した場合、規模的にそれは現在インドネシアから日本が仕入れてるアレコレの約7割の資源が賄える計算になります、しかもそれを運営するのが日本の企業が中心となるなら、コスト面はインドネシア方面より遙かに安価な物となるので……」

 

「あーそりゃインドネシアもあんま日本へ強く言えない立場になっちまうわ」

 

「で、当然そんな利権に食い込もうと諸外国からも色々とアプローチが掛かっているんですけどね、まぁ当然その中にもドイツが含まれている訳で……」

 

「……なる程、それで?」

 

「既に釘を刺してありますよ、今回は見逃してあげてるけど、それ以上おいた(・・・)が過ぎれば経済的な関係と、大坂鎮守府との縁はブチブチっとしちゃうよって、ドイツとインドネシア両方に」

 

「えげつねぇなぁマジで、つーかそれじゃインドネシアの海域の件は?」

 

「放置です、槇原さんがあそこに居座る事自体がこちらにとって相手の弱みをずっと握る事になりますし、逆に周辺の軍派閥がそれに手を出そうとするならウチが彼らの支援に回ってもいい」

 

「なぁ吉野さンよ?」

 

「何でしょう?」

 

「利用価値があるからって理由なのは理解したけどよ、結局の処槇原の件ってさ……」

 

「彼には色々と借りがあんですよね、そして彼の思想は他には無い得難い物です、ここだけの話利用価値という事情が無かったとしても自分は彼らに対する支援をしていたのは間違いないでしょうね」

 

「へっ、アイツの事気に入ってるなら素直にそう言やいいじゃねーか」

 

「気に入ってるって言うより憧れですかね、全部を捨ててまで自分の理想を押し通しそれを実現した、自分では到底出来ない事ですから……それに敬意を表して、ですね」

 

 

 文官というのは何故物事をそう難しい言い方で捏ねくりまわすのかと言って輪島は話題をそこで切り、今海図に落としてある物に目配せし、自分が今後どう動くべきかの思案を始める。

 

 

 こうして舞鶴での打ち合わせは深夜に及ぶまで続き、これから行うべき準備や拠点運営の方向性は大坂鎮守府を中心とした派閥の中で固まっていくのであった。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

「今回はお忙しい中時間を頂き有難う御座います、私『Le Figuerola』日本支社の特派員をしていますFrédérique Chevalier(フレデリック シュヴァリエ)と申します、宜しくお願い致します」

 

 

 舞鶴から吉野が戻ってきた翌日、大坂鎮守府前島の職員宿舎では渋い顔の髭眼帯と、その向かいに座る流暢な日本語を口にする西洋人がテーブルを挟んで対峙していた。

 

 名乗りを上げた男の脇にはカメラマンと思われるアジア系の男も同伴しており、其々は笑顔を表に貼り付けコーヒーを口にしている。

 

 この吉野が顔を顰める場になっているのは、本来マスコミからの取材は基本受けないという方針の大坂鎮守府へ、大本営側の、言ってしまえば大刷新しないと回らなくなった事務方へ最近配属された者がやってしまった、"ついうっかり"という物が元となった取材であり、更にその人員入れ替えという事態を招いたのは、他ならぬ大坂鎮守府が大淀、親潮という柱を引き抜いた為に起こってしまった事に帰依してしまう為、頭ごなしに断る事も出来ず、仕方なしという形で実現した物であった。

 

 

 現在の日本は諸外国との国交はそれなりの状態であり、戦時下ではあるが国が認めればマスコミが軍へ取材をしたりする事も可能であった。

 

 そしてLe Figuerolaという新聞社はフランスの新聞社であり、その歴史は古く、国内でも三指に入る大手でもあった。

 

 

「いやいやまさか噂の大坂鎮守府の、それも司令長官であるMonsieur(ムッシュ)吉野本人にお話が伺えるとは、何事も言ってみるもんですなぁ」

 

「いえいえこちらこそ、ウチは軍事拠点ですので機密保持の関係上一般人の立ち入りは基本お断りしていますから、この様な場所でのお話となるのはどうかご理解の程を」

 

「その辺りは流石に無理だと弁えておりますよMonsieur(ムッシュ)、ところでお写真を撮らせて頂いても?」

 

「申し訳無い、その辺りもご遠慮頂いてます」

 

「それは残念ですね、取材という物では無く個人的な記念として私とのツーショット的な物も……というのも駄目でしょうか?」

 

「申し訳ありませんMonsieur(ムッシュ)Chevalier(シュヴァリエ)、この取材を受ける条件として撮影に関しては全て不許可、そして取材内容に対する記事の検閲というのは先に申し上げていたと思うのですが、どうかその辺りはご納得して頂けたらと思います」

 

「あー確かmademoiselle(マドモアゼル)青葉でしたか、心得ていますよ、ただこんな機会はもう無いかと思うとついその辺り口が付いてでてしまいまして、お気に障られたら申し訳ないですね」

 

「いえいえ~こちらこそ判り切った事をクドクド言ってしまい申し訳ないです、あ、そこのカメラマンさん? この一帯は今防諜の関係でデジタル機器は全て使用不能になってますから、その隠しカメラとかには何も映ってないと思いますし、ポケットにある別のカメラとかも後で検閲させて頂きますので、どうかご協力宜しくお願いしますね~」

 

 

 青葉の言葉に笑顔が凍り付く二人と、そしてハハハと乾いた笑いを口から漏らす髭眼帯。

 

 今取材を受けている場所は大坂鎮守府へアクセスする陸側の前島であり、中に業務関係の商業施設、そして極限られたエリアでは開放日時が限られているが、一般人も利用可能な売店等、割と警備的に緩いイメージの場所に見える一面もあった。

 

 しかしそれは周辺住民に対する配慮故に意図的に作られた空気であり、その実は外部との接触が常である為吉野達が鎮守府施設よりも更に強固な防衛体制を敷いた『要塞の入り口』であった。

 

 防諜に長け国内拠点でも有数の情報拠点とも言える大坂鎮守府、そこが全力で固めるエリアとなれば、それは軍の要所、大本営の中で行動するのと同じ程には警戒網が敷かれているのと同意であり、例え他国の関係者がそれなりの備えで足を踏み入れたとしても、吉野がわざと握らせたりしない限りは、軍務系の情報を持ち帰るのは難しい。

 

 

「あー……それではMonsieur(ムッシュ)、早速取材に入らせて頂きたいのですが、頂いた時間もそれ程無い訳ですし、ここはその辺りも考慮して

こちらからの問いにMonsieur(ムッシュ)が答えて頂くと言う質疑応答という形で進めたいのですが、如何でしょうか?」

 

「構いませんよ、しかし答えられない事には答えられませんとしか言えませんし、特に軍務に関わる件は殆どお答え出来ないという事は事前にご了承下さい」

 

 

 こうして取材を始めたフランス新聞社の特派員は言葉巧みに色々と話題を振りまいていくのだが、吉野の警戒心MAXに構えた質疑応答と、青葉のさり気ないサポートのお陰で殆ど世間話に近い内容と、今まで公式で出されている話の繰り返しに終始する形となった。

 

 それでもにこやかに話す記者からは焦りの色も、そして苛立ちも一切感じられない、恐らくは聞きたい事の一つも答えを得ていない筈なのに姿勢を崩さない取材には、逆に吉野が関心する程の完璧さが備わっていた。

 

 そんな淡々とした質疑応答が進み、予定の時間が10分を切った辺りで一端この記者は話を区切り、「ではここから先はちょっと趣向を変えまして」と前置きをした上で、次の質問を口にする。

 

 

「今日本海軍は南太平洋にも強い影響を持っている状態にあるのですが、最近新たに開拓された航路……オーストラリア東部の海域に付いてですが、あの辺りの事は大坂鎮守府が独占して運用しているとか?」

 

「独占と言うより、あの辺りを支配下に置く深海棲艦側との窓口をしているのがウチ、と言う事になりますね」

 

「それは独占とどう違うのです?」

 

「他国でもその辺り何かあればウチを通さずあちらに接触するのを我が軍は制限しておりません、ウチはウチの出来る事をしている迄です」

 

「なる程……しかし現実問題深海棲艦と接触可能なのは日本海軍……いえ、大坂鎮守府だけの現状、その意見は中々理由として苦しいと思うのですが」

 

「貴方が何を言いたいのかは深く追求しませんが、今まで掛けてきた時間やコスト……そして血を流してきた結果が今という事は忘れないで頂きたい、その前提を覆して権利だけ主張するというのは国際社会が云々という問題では無いと思うのですが、如何でしょう?」

 

「環境がそれを出来ないでいた……という事で、これからはその一翼を担うとして、今の海の維持を他国と共有するという選択肢はMonsieur(ムッシュ)吉野の中にはありますでしょうか?」

 

「それを決定するのは自分の立場には無いとお答えします」

 

「では個人的な意見と言う事でお答えは頂けますでしょうか?」

 

「今この場では自分は日本海軍中将であり、その立場で取材を受けています、ですので(こう)での言葉を口にする事はあっても、()としての考えを口にする立場ではありませんので」

 

「なる程、確かにそうでしたね、では少し具体的な話と言う事で、貴方が管理しているという海域なのですが、その中には元々我が国の領土であったニューカレドニア等も含まれているのですが、その辺り日本が何故管理をしているのか、と、フランス国民は常々思っているという意見もありまして」

 

「ああ、確かにあの辺りは深海棲艦が出現する前はフランスの領土でしたね」

 

「はい、確かに現在もうあの島には人が住んではいませんが、それでもその辺りの領土的な問題に於いて、元々の主権を握っていた我が国は現在蚊帳の外という状態にあります」

 

 

 

 南半球オーストラリアに隣接する珊瑚海、その東側にはニューカレドニアという四国程の面積を持つ島が浮ぶ。

 

 嘗てそこはフランスの海外領土として宣言されており、周辺の珊瑚礁は世界遺産として登録されるほどに美しく、またリゾート地としても栄えていた。

 

 しかし2000年代初頭、深海棲艦が現れた煽りを受け、その島に住む住民達はオーストラリアへ避難する事を余儀なくされ、今は無人の島と化している。

 

 元々そこに住んでいた人々は長く続く植民地支配を良しとせず、度々激しい独立運動を繰り広げる状況にあり、その結果1986年国連非植民地化委員会によって国際連合非自治地域リストへ記載される事になり、またその結果を受け1998年にヌメアで交わされた協定によってフランスからの独立をするかどうかの国民投票が数年後に行われる事が決まっていた。

 

 深海棲艦の脅威によりそれら全てがご破算になり、未だかの地はフランス領と言い張ればそういう事にはなるのだろうが、そうした場合の島の維持、特に防衛的な面に於いては現状フランスの手に負える物では無かった。

 

 しかし近年コマンダン・テストという艦娘がフランス所属の艦娘として邂逅を果す事になり、一応であるがヨーロッパ連合の中で現在フランスは艦娘保有国という立場として活動をしている。

 

 そんな背景もあり、実際は殆ど防衛に関してはどうにもならないという現実があっても、納得がいかないという一部国民が居るというのは仕方の無い状況と言える物であったが、それを公に主張するにはフランスという国は発言力が小さ過ぎた。

 

 しかし国際社会の場に於いてそんな事を発言出来ないと言う事実は、その疑問を民間の新聞社が日本の海軍へ問うと言ういう事には関係が無く、報道の自由という便利な言葉を用いた際はある程度可能となる。

 

 

「その辺り公でも、私でも構いませんのでご意見を聞かせて頂けたらと思いまして」

 

 

 この問いを聞き、吉野の傍に控えていた青葉の笑顔がぎこちない物となる。

 

 現実問題"何を今更"というのが今の世界常識を考慮すれば当たり前の答えとなる。

 

 どの国も制海権を奪取し、それを維持するのに血道を上げている、そしてそれらは現在進行形であり、限られた国にしか出来ない状態にある。

 

 例えばその戦いに支援としてでも参加し、協力してきた関係であるなら話の余地はある、しかし今まで戦う術が無いからとずっと傍観だけを続けてきた第三国が、ここになって海域の主権や領土という物を主張するというのはナンセンスであった。

 

 何故なら形骸化してしまい機能を殆ど果たしていない国連という組織を通じ、この問題を押し通したとしよう、その話を受け"ではどうぞお返しします"という話になったとしても、殆どの国はその海域や領土を維持する戦力を持っていない、つまりはそこに何かしらの取り引きや利害関係が無いと領土を自国の物と主張する事は成り立たないという現実が転がっている。

 

 しかしそんな国同士の関係と、民が思う感情とは別物である、国民が不満を抱え、声を上げるのは誰にも邪魔されない個としての自由と言える、そして今吉野に投げられた質問は、どう答えたにしてもフランスという国の国民感情を煽る内容となってしまう。

 

 例えその問いに答えなかったとしても、実際そのフランスの国民が思う問いは、この記者の言葉によって吉野に向けられたという事実が残ってしまう。

 

 

 そんなある意味"最初から仕組まれた的な質問内容"に少し考えた素振りを見せ、吉野は凄くいい笑顔をフランス人記者へ向ける。

 

 そしてそれを向けられたシュヴァリエという記者は、そんな返しが来ると言うのは予想外のであったのか、その笑顔に困惑し、青葉と同じくぎこちない笑いを表に貼り付け、そこから返ってくるだろう言葉を待った。

 

 

「もしフランスがニューカレドニアの領土権を公式として主張してきた際は、ちゃんと対応し、前向きに検討したいと思いますよ?」

 

「え……あ、ああそうなんですか、それは何といいますか、とても素晴らしいご意見と言いますか……」

 

「ただ我が国も現在展開している拠点以外に戦力を配置する余裕がありませんから、その辺りはフランス側で何とかして頂く事になります」

 

「待って下さい、確かに我が国には自国の艦娘以外にヨーロッパ連合から派遣された戦力が幾らか存在しますが、それはヨーロッパを防衛する為の戦力という取り決めがあり、太平洋に派遣できる戦力では無いと言う事はMonsieur(ムッシュ)もご存知でしょう?」

 

「ですね、しかし我が国も無い袖は触れませんし、ご協力は出来ないと思います、しかし領土を主張すると言うならお話には応じますし、その結果あの島がそちらの物となった場合、例え無人島状態であったとしても我が国はそれを国際法に基づき、領海内へは立ち入らないとお約束します」

 

 

 そのままの意味で聞けばフランスという国に対し、吉野は国際的な取り決め上誠意ある対応をするという言葉に聞こえる、単純な思考でいけば、それならば兎にも角にも、フランスはニューカレドニアを自国の領土だと声高らかに宣言すればいいでは無いかと言える答えが出てくるだろう。

 

 

 しかしそれはオーストラリアや日本が推し進めている諸々の計画、具体的にはかの大陸へ向けてのメインとなる航路を使う際の障害となる行為であり、それらは政治的取り引として使える内容には違いないが、その際日本という国を始め、この計画に関わるであろうヨーロッパ諸国の間でもフランスという国に対しての感情が悪化するのは間違いない。

 

 

 そして現実問題として、吉野の言葉を公の場に晒した場合、逆にフランスという国が困った立場に置かれる。

 

 吉野のこの言葉を受けたフランス政府が領土権を主張すれば他国からのイメージが悪い方に傾き、そうしない場合は国民の幾らかから政府は突き上げを食らう。

 

 つまりどんな形であってもこの話は公にした時点でフランスに選択する道は二つしか無く、どちらを選択しても得られる利益に対し、不利益の方が数倍大きくなるのは必至の内容であった。

 

 更に話はそれだけでない、現在日本を始め艦娘を持つ国々の支配海域にはこのニューカレドニアと同じ状態にある島は少なくない、この問題でフランスがそれを主張し通ってしまった場合、それらの島々を巡っての国家間のいざこざが発生し、現在歪であってもまとまりつつある世界を混沌とした物へと変えてしまうだろう。

 

 それが判っているからこそ、その手の問題は敢えて無視されているというのが各国のお約束的な物になっているのが現状である。

 

 それを搔き回し、色々とご破算にしてしまう引き金をフランスが引く、それも国主導では無く民間の新聞社の、一特派員の手によって。

 

 

 実際そんなブーメランとも言える状況は、可能性として有り得るという事だという予想をこの記者は立てていた、その場合都合の悪い部分は表に出さず、当たり障りの無い事を記事にして、会話の全てはこの取材をお膳立てし(・・・・・・・・・・)た者(・・)に伝える、それで仕事は終わりだという思いがあった為に、メモを(したた)めた記者は改めて笑顔でこの取材の幕を降ろそうとした。

 

 

「そう言えばシュヴァリエさん」

 

「え? ……ああはい何でしょうか?」

 

「多分この後カメラマンさんの機材は一端こっちの預かりって事で検閲して、それが済んだらそちらに返却となるのですが、恐らくそれお返しするのには2~3日お時間を頂く事になると思うんですよ」

 

「あぁはい、それは仕方の無い事ですよね、それに付いてはこちらに問題は無いですよ」

 

「それは良かった、では機材の返却先の住所は『20区モルティエ大通り141番』でいいでしょうか?」

 

 

 吉野の言葉に場は固まり、そして記者は意味が判らず呆けた表情になる。

 

 

「あー……はい? モルティエ大通り? ……我が社の支社はあの辺りには無いと言いますか、日本の支社へ郵送して頂ければ良いのですが」

 

 

 そんな首を捻る横、カメラマンとして同行してきた男は逆に帽子を目深に被り直し、唇を噛み締めている。

 

 

「いえシュヴァリエさんじゃなくそっちの方、この機材ってDGSE(対外治安総局)宛てに返却した方がいいんでしょ?」

 

 

 吉野が言う言葉に今度は記者の顔面が蒼白となる。

 

 

 対外治安総局(Direction Générale de la Sécurité Extérieure;)

 

 そこは元々フランスが国外に対しての情報を収集する為に存在する対テロ機関として立ち上げられた組織であった、しかし活動を継続していく内にその目指す先とは活動が剥離していき、結局経済産業系分野に於いての活動を中心としての産業スパイが中核となる組織として変化していった。

 

 現在その機関は元々の目的のまま産業スパイを民間へ送り込むという傍ら、殆どの人員はそれと同時に関係諸外国、主に艦娘を運用する国の情報を得るための活動に従事していた。

 

 そして吉野が言った"20区モルティエ大通り141番"と言うのはフランス本国の、この対外治安総局が本部を置く所在地を指す物であった。

 

 

「えっとMonsieur(ムッシュ)、申し訳無いのですが貴方が言うその対外治安総局とウチとは何も関係は……」

 

「無い、とここで言い切りますか? 別にそれは構いませんが、もし仰られる内容に嘘が含まれるなら自分は軍事拠点を預かる身として、貴方達二人を拘束し、白黒付くまで徹底的に調査をしないといけないのですが……」

 

「いやそれは……」

 

「ただ自分も諜報系の組織を持っていますし、そちらのお国事情も理解しています、今回の件はそちらがウチとの関係を持つ為にそういう処(・・・・・)からアプローチを掛けてきたと言う感じといいますか、まぁ『挨拶に来たのか』辺りのほら……ね? これがお約束みたいな事なら逆に色々とお話が出来ますが、これがそうでは無く、純然たる諜報活動……スパイ行為と言うなら、国益に関わる事ですので対応を変えないといけないんですけど、そこんとこどうなのかなぁって」

 

「……Monsieur(ムッシュ)

 

「はい、何でしょう?」

 

 

 今まで会話もせず、ただ横に控えていただけの男が帽子を脱ぎ、そして口を開く。

 

 その様からは特に感情的な物は読み取れないが、その仕草は必要以上に個人としての特徴を感じさせない、不自然な程に無個性を強調した(・・・・・・・・)佇まいだった。

 

 

「今の話ですが、貴方はウチの上司と話がしたい……と、そういう意味での発言ですか?」

 

「いいえ全然? 今言った話が全てですがそれが?」

 

「……ふむ、そうですか、なる程判りました、この件については後日改めて、ウチの誰かがそちらにご連絡を入たいと思うのですが、出来ればその連絡先の番号か何かを教えて頂ければと」

 

「あーそうですか、んじゃ青葉君、対外(情報室用回線)番号をこちらの方に」

 

「え……あ! はい! ではではちょっとお待ち下さいね、メモをお渡ししますので」

 

「それで機材なんですがね、そういう事ならやっぱそのままお持ち帰り頂(・・・・・・・・・・)いても結構ですよ?(・・・・・・・・・)

 

「そうですか、それは有難う御座います」

 

 

 こうして大坂鎮守府前島で行われた吉野三郎The.インタビューは幕を閉じ、後日その内容はそれなりの扱いで、しかし何て事は無い些細な物としておフランス新聞の三面記事を飾る事となった。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

「……提督ちょっといいですか?」

 

「ん? 何どしたの青葉君?」

 

 

 鎮守府前島から連絡橋を走る直通電車、一両だけの小さな車内で吉野は海を眺め、その隣では青葉が何故かワクテカした空気を漂わせていた。

 

 乗車時間は五分に満たない電車の旅は、乗車前からこのアオバワレが何かを聞きたくてウズウズしている雰囲気を髭眼帯も感じ取っており、恐らく聞かれるであろう答えを幾つか用意している状態であった。

 

 

「あのカメラマンが怪しいっていつから思ってたんです?」

 

「あー最初から」

 

「え? 最初から?」

 

「そそ、あの人の持ってた撮影機材さ、メインが殆どフィルム式カメラだったじゃない?」

 

「全部がそうじゃなかったんですけど、まぁでもそういうのを使ってるカメラマンさんってそれ程珍しい事では無いんじゃないですか?」

 

「まぁそういう人もそこそこ居るけどさ、報道関係って基本数取ってナンボでデジタルカメラの方を好んで使うけど、逆に諜報関係の資料ってネガと一緒に提出して「加工や中抜きしてません」ってのを証明し易いフィルムカメラを使用するのが今も主流だから」

 

「あー確かに、提督も私達には出来るだけフィルムカメラを使った写真持って来いとか言ってましたっけ、アレってそういうの意図してたんですね」

 

「そそ、んであの人ってさ、部屋に入っても帽子脱がなかったり、記者さんと会話してる間こっちじゃなくてずっと記者さんの方を気にしてたみたいでさぁ」

 

「あれ? そうでしたっけ? 青葉全然気付きませんでした」

 

「それ隠すのに帽子利用してたみたいだったんだけど、多分あの人普段はスーツ着る系の諜報してるんじゃないかな、帽子ってアイテムに頼り過ぎてなんて言うか、視界をギリギリ取れる程度って感じで不自然に深く被ってたから、あーやっぱりぃ……ってそっちに注意がいっちゃってね」

 

「あー、カメラマンさんって構図とかやたら気にしたりするお仕事してますからね、普段立ち入れない場所に行ったらまず周りの観察とか、被写体の様子見たりしちゃいますもんねぇ」

 

「その辺り広報課に居た君なら理解出来るかぁ、でも話の後半記者さんのアレ(・・)に切り返した時にさ、ブーメラン刺さってる筈の本人は妙に落ち着いてるし、カメラマンさんは逆に何か考えた素振りを見せてたじゃない?」

 

「それそれ! あれって二人のリアクション普通逆になりますよね? 実は青葉は記者さんがそっち系の人だとおもってずーっと観察してたんですけど、その辺りで"あれ?"って思っちゃいました」

 

「だろうね、まぁ君がその辺りで違和感に気付いたの判ったから、あんまり突っ込まずまぁいいかって事で、話はそこで切り上げたんだけどね」

 

「え……それってもしかして」

 

「いい経験になったでしょ? この先調べる側じゃなく、調べられる側として立ち回る事が多くなるだろうから、君にはそういうのに慣れて貰わないとさ」

 

 

 髭眼帯の言葉に今日の事を振り返り、それらが何かしらの意図しての物を前提に行われたのは判っていたが、髭眼帯としてはそれを利用した上で、自分へ実際の現場を絡めての経験を積ませる行動だったというのを前提に考えると、青葉にはそれらはまた違った形として見えてきた。

 

 国が主導する諜報機関の者を相手取る場でそんな事をやり、更に遣り込めてしまう手腕に改めて驚きを感じつつも、まだ自分の力不足に色々と苦い気持ちを抱えてしまう青葉だった。

 

 

 が、このアオバは何を勘違いしたのか、暇な時間が出来ればこの髭眼帯をこっそり観察したり後を尾け回したりしてテクニックを盗もうと日々励むのであったが、そのせいで色々諸々髭眼帯の秘密がダダ漏れとなり、それと比例して青葉新聞(大坂鎮守府版・不定期販売)は売り上げ部数を伸ばしていくという事になっていくのであった。

 

 

 




 誤字脱字あるかも知れません、チェックはしていますが、もしその辺り確認された方は、お手数で無ければお知らせ下さい。

 また、拙作に於ける裏の話、今後の展開等はこっそりと活動報告に記載しております、お暇な方はそちらも見て頂けたらと思います。


それではどうか宜しくお願い致します。

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