大本営第二特務課の日常   作:zero-45
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 前回までのあらすじ

 結局いつものを発症してゆきかじぇを鹵獲、その足で榛名さんの救援に向かうも、何故か本気を発揮した榛名さんが全てを終わらせてしまい、添え物状態になってしまった髭眼帯。
 そんな一行は取り敢えず作戦終了を宣言し、帰路へ就くのであった。


 それでは何かご意見ご質問があればお気軽にどうぞ。


2017/11/02
 誤字脱字修正反映致しました。
 ご指摘頂きました坂下郁様、有難う御座います、大変助かりました。


あっちの結末、こっちの結末

 人は水に浮けるが、その上は歩けない。

 

 それは当たり前であり、そして普遍の事実。

 

 故に何かしらの道具を用いてでしか人は水の上に(・・・・)存在し得ない。

 

 

 キリバス諸島──クェゼリン環礁の中間点、現在は冬華(レ級)が支配するテリトリーの只中。

 

 そこでは薄い黄土色に白のワンポイントカラー、そしてフロントノーズにブリキのお馬さんが凛々しい松風リベイクフルシティ(水上バイク)に跨った二種軍装の髭の男と、黒い衝角を鬼の如く頭に生やし、白く長い髪を風に靡かせた深海棲艦上位個体が対峙していた。

 

 

「そうか、あのカンムスは保護したのか」

 

「はい、当初の目的はあの子をミッドウェーエリアから排除する事でしたから、自分達が連れ帰ったとしても海湊(泊地棲姫)さんとのお約束は果せる事にはなるでしょう?」

 

「ふむ……確かにそうだな」

 

 

 外洋の、それも何も無いそこは通常風が強く、また波も高い筈だが、何故か二人が居る場所付近だけ(・・)は波の無い、凪いだ状態になっていた。

 

 そして髭眼帯の話を聞くキリバスエリアの主、海湊(泊地棲姫)は淡々と言葉を返すも、表情からは心情が伺えない表情になっており、自然と二人の会話は静かな物になっていた。

 

 大坂・舞鶴混成艦隊は、ミッドウェーエリアでの作戦終了後人員を収容し即撤退、そのままクェゼリンへは向わず一旦南下し、クェゼリンとキリバスを繋ぐ、冬華(レ級)が支配するエリアまで移動、そこから海中ケーブルを利用して海湊(泊地棲姫)へ連絡を取り、作戦終了の報告を行っていた。

 

 実際の話、ミッドウェーからキリバス迄はそう遠くない為、無線での連絡も可能と言えば可能であったが、事の内容は秘匿とされ、また吉野自体現状の話が多方面へ知られるのを良しとしなかった為、大坂鎮守府とキリバスを物理的に繋ぐ直通回線を使用する為、この冬華(レ級)が支配するベーカー海域へ移動する事にしたのであった。

 

 そして海湊(泊地棲姫)へ連絡し、泉和(いずわ)はそのままクェゼリン基地経由で大坂鎮守府へ帰還する予定であった。

 

 しかし事の顛末を海湊(泊地棲姫)へ連絡した際、彼女からは直接吉野からの報告を含めた対談がしたいとの返事が返って来た為、急遽合流場所を決め、僅か三時間という、海湊(泊地棲姫)側からすれば即行動したと思われる短時間で現在二人は海の上での対談を行う事になっていた。

 

 

「私としてはその扱いで何も問題は無いが、その対応だとヨシノンの立場が危ういのでは無いか?」

 

「あーまぁ、どうなんでしょうねぇ?」

 

「相変わらずだな、まぁそれがヨシノンの良い処でもあるが」

 

 

 淡々と進む話。

 

 だが今海湊(泊地棲姫)が言った『雪風という艦娘を大坂鎮守府が取り込む事により発生する、諸々の不具合』という物は、海軍が軍機扱いにしている『第三世代計画』という物と、軍の関連性を知らなければ出ない意見である。

 

 そして吉野は当然その事実は海湊(泊地棲姫)へは伝えていない。

 

 

「……私が今回の事に伴う諸々を知っていても、ヨシノンは何も言わないのだな」

 

「本当に知られたく無い部分は隠していますので」

 

「なる程、なら今静海(重巡棲姫)から私に伝わっている情報は特に知られていても良い物と判断して良いのか」

 

「はい、そうなりますね」

 

 

 大坂鎮守府には現在海湊(泊地棲姫)の名代と言う事で静海(重巡棲姫)が居る。

 

 それは関係性を取り持つ人質として海湊(泊地棲姫)が預けた物であったが、同時に大坂鎮守府を始め、軍や日本という国から情報を収集する役割も担う物であった。

 

 吉野自体、彼女がそういう役割で行動している事は感知していたが、逆にそれは現状の説明を自身でする手間が省ける事と、大坂鎮守府の行動をある程度知ってて貰う為という事で、知られたく無い情報だけ強固に守りつつ、それ以外は敢えて自由にさせる状態にしていた。

 

 海湊(泊地棲姫)にしても数ヶ月に及びその状態で入ってきた情報を精査した結果、吉野がそうしているという認識があった為、互いはそれを口にしなくとも既にそういう関係にあると認識し行動してきたが、久々に対峙した事もあり、敢えて海湊(泊地棲姫)はその辺りの事を口にしつつも苦笑いの相を表に滲ませた。

 

 

「信用されているのか、その程度なら知られても良いという餌を撒かれているのか判断には困る状態だが……まぁいい」

 

「一応自分としては、精一杯の誠意を見せているつもりなんですが」

 

「そうか、ならその言葉、額面通り受け取った上で本題に入らせて貰うぞ」

 

 

 微妙な笑いを浮かべていた海湊(泊地棲姫)はそこで一旦言葉を切り、そして髭眼帯を正面から睨む。

 

 

「この関係を築く時、私は日本という国では無く吉野三郎という個人と関係を結ぶと宣言した」

 

「えぇ、そうですね」

 

「それはお前というニンゲンを信用した訳でも、ましてや友として認めた訳でも無い」

 

「あーそれですか、えぇ知ってますよ、貴女は元から人の世界にはある程度興味はあった、しかし同時に人という存在は疎ましく、また嫌悪する物だった、だから……」

 

 

 色の消えた顔の泊地棲姫を前に、髭の眼帯は淡々と言葉を重ねていく。

 

 そこには友好的な空気は無く、其々は其々の立ち位置のままに、恐らくというレベルで認識があった互いの真意を言葉にして確かめていく。

 

 

「だから敢えて人の世界と繋がる手段として、個人を選んだ」

 

「そうだ、国や組織と繋がってしまえば、何かあって関係を切りたくなっても面倒が起こる」

 

「その点個人とだけ繋がっていれば、何かあればその個人をどうにかすればいい(・・・・・・・・・)し、個人限定という事を喧伝しておけば、後任なんてややこしい存在も無い為関係は容易に清算可能、と」

 

「うむ、そして吉野三郎という個人は軍という対外的な武と、内政という経済面にも食い込んだ、関係を持つには丁度良いステータスを持ったニンゲンだった、だから私は吉野三郎という者を利用してニンゲンの世界と繋がった」

 

 

 海湊(泊地棲姫)が言うそれは一事が万事打算と計略が占める、そんな関係性は、嘗て互いが初めて対した時に吉野が口にした『隔絶を前提とする調和』そのものを表す関係であった。

 

 

「更に言えば、あの時お前は自身に二重の問題を抱えていた……私と繋がる事によってニンゲンの世界から擺脱(はいだつ)される危険性と、すぐに寿命が尽きるという避けえぬ運命がな」

 

「……深海の皆さんは、他人の寿命が見えるなんて特殊なスキルをお持ちなんですかねぇ」

 

「生き物はな、死臭という物には敏感に反応する物だ、それが同族の物ならばな殊更に、な」

 

「同族……ですか」

 

「お前の体には深海の幾らかが混ざっているのだろう? しかも定期的にそれを補充している、だから匂っていたんだ、死に掛けている者特有の、同族の匂いがな」

 

「あー……そうなんですかぁ」

 

「老い先短いニンゲンならば、お試しとして繋がるには丁度良い、そういう部分も都合が良かったから私はお前と縁を結んだ」

 

 

 深海の王がそう言いつつ目を細めて見る先には、随分とドライで冷えた関係を耳にした割には飄々とする男の姿が見えた。

 

 その反応を予想していたのか、それとも違う部分で何かを感じたのか海湊(泊地棲姫)は一瞬だけ真面目な相を崩し、深い、とても深い溜息を吐いて再び表情から色を消し去った。

 

 

「お前がキリバスから去る時私は言ったな、『もしその身に逃れられない不幸が訪れたのなら、このキリバスを訪ねて来るがいい』と」

 

「確かに、そういう事も仰ってましたね」

 

「次に会った時は、極北を訪ねろ、そう私は提案した」

 

「お陰様で、命を繋ぐ事が出来ました」

 

「そして今回、私の言葉にお前は自身に益が殆ど無いにも関わらず即断即決で動き、事の解決を成した」

 

「元はと言えば軍部から出た物が元凶になりますから、なら知らん振りは出来ないでしょう?」

 

「……三度だ」

 

「……はい?」

 

 

 泊地棲姫が指を三本立て、その向こうに居る人間を見る。

 

 

「軍という組織を相手に個人が抱えるには大き過ぎる問題を、お前は跳ね除けた、私はてっきりお前がどうしようも無くなってキリバスへ逃亡してくると思ってた、静海(重巡棲姫)はその逃亡が必要になった時にと、水先案内人も兼ねるつもりで預けた部分もあった」

 

 

 彼女が立てた指が一本折れる。

 

 

「そして寿命というどうしようもない問題、その結果は偶然と奇跡が殆どを占めていたが、結局お前はあの(・・)北方棲姫と邂逅したにも関わらず生きて帰り、更にはそこから己の未来を引き寄せた」

 

 

 立てた指が再び折れ、残り一本となる。

 

 

「最後に、今回私は件のカンムスは始末した後、全ては無かったという事で互いの話は進んでいくと思っていた、多少後味は悪くてもそれが最良手なのは自明の理だ、しかしここでもお前は私の予想を覆し、自らの信念を曲げずに進もうという姿勢を見せた」

 

 

 最後の指が折れた時、色の無かった泊地棲姫の顔に色が戻ってきた。

 

 それは愉しげな、とても、とても愉しげな表情だった。

 

 

「三度、お前は私が無理だと思った物を含め、予想していた結末を尽く覆してみせた、そしてそれらは私に対して何一つ不利益も及ぼさず、同時にお前は淡々と、確実に、ここまで私に結果を積み上げてみせた、ならば認めよう、そして嘗て交わした約定の更新として、改めて問おう」

 

 

 海湊(うみ)という名の泊地棲姫は、それまで吉野が見た事も無い愉しげで、しかし硬質的な冷たい空気を纏いつつ吐き出す無遠慮な言葉を前に、初めて深海棲艦上位個体の本性と言う物を目にした。

 

 それは比喩では無く、生命を刈り取られるというイメージが浮ぶ絶対的な存在の差と、そして人とは違った別次元の恐怖が混在する『個としての絶対的な違い』が認識できる姿だった。

 

 

「友よ、お前の為ならば……お前に恭順した者達と同じく私は同胞をも殺す事は厭わないだろう、海を、陸を、空を、世界を手に入れたいと言うのならば力にもなろう、さぁ友よ、お前は何をこの泊地棲姫に望む?」

 

 

 禍々しくも冷たい言葉を前に、髭眼帯は難しい表情で一旦考える素振りを見せる。

 

 それは間違いなく深海棲艦上位個体と人間が、本音で対する初の対話と言える物であった。

 

 そんな場で髭眼帯は何かを思い付いたのか、『それでは』という言葉の後にわざとらしい咳払いを一つ、今自分が泊地棲姫へ望む物を口にした。

 

 

海湊(泊地棲姫)さんの殺気に当てられて体が冷えてしまったので、取り敢えずお茶にしませんか? 母艦に静海(重巡棲姫)さんから分けて貰ったコーヒー豆がありますんで」

 

 

 こうしてきな臭い過去から始まったミッドウェー近海に於ける作戦は終了し、結果として大坂鎮守府は雪風という艦娘を、そして吉野三郎という髭眼帯は泊地棲姫という存在の信用を得る事になるのであった。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

「ねぇ時雨、アレなにしてんの?」

 

 

 操舵をオートに設定し、休憩の為に指揮所に入った叢雲の目の前では指揮官席に座った髭眼帯と、それをペシペシと無表情で叩く陽炎型 八番艦というおかしな絵面(えづら)が展開されていた。

 

 それはダメージを伴う物では無い殴打であったが、叩く者も叩かれる者も無表情で淡々と行われる行為は物凄く微妙で、更には他者を寄せ付けない独特の空気がそこに渦巻いていた。

 

 

「あー……ほら、提督例の母艦の帰りに第一艦隊の救援に向ったでしょ?」

 

「えぇ」

 

「その時にね、周りの状況を見るためにって雪風の双眼鏡持ってっちゃったんだよね」

 

「……で? その抗議にあの子は司令官をペシペシしてると?」

 

「うん、そうだと思う」

 

 

 尚も続くゆきかじぇのペシペシに真顔の髭眼帯は自身の迂闊な行動から出た結末と判っいても、それに対してどうしたら良いのか判らず周囲を見渡しつつ、その状況を脱する為の手段を必死にひねり出そうとしていた。

 

 確かにあの時は戦況を確かめる為に雪風の所持品(双眼鏡)は必要であった。

 

 それを持ち出す際も一応一声掛けてはいたが、相手の同意を得た記憶は無かった。

 

 しかしまさかその双眼鏡が、ゆきかじぇにとって宝物にも等しいアイテムだと言うのが判らずに、現在髭眼帯ははペシペシと肩を叩かれ続けられるという始末。

 

 その結果が髭眼帯の非が原因での事であったのと、叩くゆきかじぇの雰囲気がアレだった為に周りの者もそこには近寄れず、正に指揮官席の周囲2m範囲は誰も寄せ付けない別世界になっていた。

 

 そんな絶望的な状況、幾度謝ってもペシペシが収まらない状況に自身の力だけではどうしようも無いと結論付けたのか、髭眼帯は少し離れた場所に居る秘書艦とむちむちくちくかんの叢雲を確認すると、手をシパシパして謎のサインを飛ばし始めた。

 

 

 甲を見せた手を右に一度動かし、次いでその手をファッ〇ユーの形を裏返して見せ、それをチョップの形に変形させ、最後にスッと親指を真っ直ぐにした。

 

 

────ボ────ス────ケ────テ────

 

 

 手話である。

 

 

 一体どこの海軍中将がげっ歯類にペシペシされたからと言って、秘書艦やムチムチに対し手話で助けを求めると言うのだろうか。

 

 しかもそれはおぼろげに記憶していた知識であった為、タスケテと表現するべきメッセージはボスケテという物になっていた。

 

 そんなオポンチなメッセージを見て何かを察したのか、小さな秘書艦は真面目な相で一度頷き、スススとその場から姿を消した。

 

 

「あ……あの、雪風君? えとホントマジでごめんて、提督反省してるから許して?」

 

 

 髭眼帯の何度目かの謝罪は一旦ゆきかじぇの動きを止めるが、再びそこから無言のペシペシが再開されるという事を経て何度目かの堂々巡りが開始される事になっていた。

 

 そんなループが始まった時、唐突にそれは耳に聞こえてきた。

 

 軽快でありつつも特徴的なミュージック。

 

 それは誰もが知っていると言っても過言では無い、某スパイ大〇戦のテーマ、後年チャーリーさんが主役を勤めリメイクし、大ヒット作となったミッシ〇ン・イン・ポッシブルのテーマとしても使用された名曲。

 

 

 そんな曲と共に一旦指揮所の照明が落とされ、どういうシステムなのか、入り口近くにスポットライトが当てられる。

 

 いつの間に持ち込まれたのか、赤い布が掛けられた丸い小粋なテーブル。

 

 そこには円筒形のブツが四つ並び、嫌でもそれらに注意がいってしまう。

 

 更にそのテーブルの横には、何故かシルクハットを被った、しかもラメ入りでブルーなバニー姿の榛名がステッキを片手にビシッとポージングしている姿が見える。

 

 そしてその脇には救援の為に姿を消した筈の時雨がレッドなラメ入りのバニー姿で、アシスタントポジションに納まり、ビシッとポージングしているというカオス。

 

 そんなM:I-6な音楽の只中、ゆきかじぇは無言でバニー二人に注目し、そして髭眼帯は怪訝な表情で同じくバニー二人を見詰めていた。

 

 

 指揮所の注目を集めるそんなシルクハットの榛名は音楽に合わせ軽快なダンスを見せ、次いで手にしたステッキでテーブル上左端に据えてある円筒形のブツをコンコンと叩いた。

 

 スススと寄ってきた時雨がそれを持ち上げる。

 

 そこから現れたのは赤いメタリックな缶が特徴的な炭酸飲料、髭眼帯が常飲する、アメリカが生んだ毒飲料の元凶とも言われるブツ、ドクターペッパーである。

 

 

「え、ナニソレ手品とか始めるんじゃないの? てかなにしてんの君達?」

 

 

 髭眼帯のツッコミは例のポッシブルな音楽と共にスルーされ、時雨は掴んだ缶をスススとゆきかじぇの前に持ってくる。

 

 が、当然ながらそれは無反応に終わる。

 

 缶はそのまま髭眼帯の手に。

 

 

 続いて意味あり気にポージングした榛名が再び円筒ブツをコンコンと叩く、そして時雨がスススとそれを持ち上げるという、先程行われた事が繰り返される。

 

 そこから現れたのはチェッカーフラッグ模様が特徴的な飲料の缶、それは脱コーラを意識して作られたが、結局コーラに囚われ過ぎて中途半端な物として世に送り出されてしまった飲料サスケ。

 

 再び時雨がそれを掴み、スススと無言でゆきかじぇの前に持ってくるが、やはりそこから返ってくるのは無反応だった。

 

 それを確認すると、プシッとプルタブを跳ね上げゴクゴクと一気するバニーな時雨。

 

 ケプッと小さくゲップをしつつスススとアシスタント位置に戻るそれを、怪訝な表情のまま見詰める髭眼帯というカオス。

 

 

「だから君達何したいの!? 提督ヘルプって言ったのに何でこんなマジックしないショーが開催されちゃってんの!? ねえっ!?」

 

 

 結局この後大方の予想通り筒の中からはひやしあめ、ギャラクシードリンクというブツが出現するが、結局それらは全て不発に終わり、音楽がサビにさし掛かってからてからはバニーな二人はいそいそと撤収を開始し、テーブルセットや諸々の小道具をカチャカチャとフォールデングしつつ収納、テーマソングが終了すると同時に指揮所からスススと姿を消していった。

 

 

「あの……これ……」

 

 

 そんなマジックしないショーの終了を見て怪訝な表情のまま固まる髭眼帯を横目に、何故かギャラクシードリンク(黄)を時雨から託された千歳が微妙な表情で首を傾げる。

 

 

「あーそれね、遠慮せず飲んでいいわよ」

 

「……何か見た事無いラベルの飲み物なんだけどこれ」

 

「国産じゃ無いから内地ではお目に掛からない物かも知れないわね、まぁ折角だから話の種に飲んでいきなさいな」

 

 

 再びペシペシが開始された指揮艦席の後ろでそんな会話が繰り広げられ、叢雲の言葉に首を傾げながらも瓶の蓋を弾いて中身を一口飲み込む千歳。

 

 

 もしそれが髭眼帯の視界に入っていたなら是可否でも止めに入った事だろう。

 

 しかしペシペシが開始され、再びどうしようという絶望に苛まれた上に、後方でボソボソと行われていた会話に気付けないという状況は、この舞鶴筆頭秘書艦に降りかかる悲劇を回避する事は出来なかった。

 

 

 瓶の中身を飲んで、無言かつ無表情になるおっぱい軽空母。

 

 一旦その視線は叢雲に向き、暫くその状態で固まっていたが何を思ったのだろうか、彼女はそのまま無言で瓶を隣にいる陸奥へ差し出すという蛮行へと駆り立てた。

 

 そんなパスされた瓶を凝視する長門型二番艦であったが、ニッコリ笑う千歳の雰囲気に何故か抗う事が出来ず、いぶかしみながらも瓶の中身をゴクリと嚥下すると真顔で固まり、次の瞬間口の端から黄色い液体をタパーしながら微動だにしなくなったという。

 

 

 

 こうして作戦は取り敢えずの成功という結果と、ペシペシという髭眼帯を叩く音を余韻として引きつつ、日本へ凱旋を果す事となった。

 

 

 




 誤字脱字あるかも知れません、チェックはしていますが、もしその辺り確認された方は、お手数で無ければお知らせ下さい。

 ただ言い回しや文面は意図している部分がありますので、日本語的におかしい事になっていない限りはそのままでいく形になる事があります、その辺りはご了承下さいませ。

 また、拙作に於ける裏の話、今後の展開等はこっそりと活動報告に記載しております、お暇な方はそちらも見て頂けたらと思います。


それではどうか宜しくお願い致します。



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