大本営第二特務課の日常   作:zero-45
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 前回までのあらすじ

 やっと面倒なアレが片付いたヨシノン襲われる、そして榛名さんと神通さんにギギギを食らい、更には大坂鎮守府に吹雪がチェックの為来襲する事となった。


 それでは何かご意見ご質問があればお気軽にどうぞ。


2017/11/19
 誤字脱字修正反映致しました。
 ご指摘頂きました京勇樹様、リア10爆発46様、拓摩様、皇國臣民様、有難う御座います、大変助かりました。


悼む夜

「陸から貰ってた情報四つの内、これで二つは終わった感じかねぇ」

 

 

 大坂鎮守府執務棟、特務課執務室で資料片手に髭眼帯は苦い顔で溜息を吐いていた。

 

 大本営での一悶着があった後、鎮守府へ帰還後すぐにという事で会議を招集したが、事前に予想していた物で最悪レベルの範囲で事が推移してしまい、思ったより事態が悪い方に傾いてるという事が確定してしまった現在、吉野は取り敢えず特務課全員に現況を周知させたた上で、更なる活動方針の変更と強化に取り掛かる為、諸々の話し合いの真っ最中にあった。

 

 

「襲撃の確率も出発前は二割も無いんじゃないかと踏んでいたでありますが、まさか死兵を送り込んでくるとは思ってなかったであります」

 

「て言いますか、ご主人様が先に要警戒って指定してたポイント、全部何かしらの"跡"が残ってたらしいですよ?」

 

「一応3ポイントに絞って、その方向へ時雨君、榛名君、神通君が警戒しつつ移動……結果的にやり過ぎ感はあった訳だけど、そうしてなかったら狙撃に対応する事は不可能だったとは思う……」

 

「そういう警戒人員の数があったから、提督は今回榛名さんの同行を許可したのでしょう? でもまさか榛名さんが銃弾キャッチなんて離れ技で対応するなんて思ってもみなかったですが」

 

「避けちゃうと相手の位置が特定出来ないから弾丸キャッチやりましたとか、うんその……ドウイウコトナノほんと……」

 

 

 髭眼帯がプルプルしながら作成した報告書に目を通す。

 

 結局(くだん)の襲撃事件に対する備えは、元はと言えば陸軍からリークされた情報を元に対応を練った物であった。

 

 大本営施設がある地域周辺状況から考えると、襲撃を実行すれば退路が確保出来ず、また投入する戦力の数も場も装備も限られるという事で成功率が低いと判断した為、発生率自体は極めて低いと判断されていた。

 

 それでももしもの時にと髭眼帯は車両に乗り込む時の、今回の召喚という行動の中で"襲撃が可能な唯一の瞬間"を達成困難な物とする為、車両の位置、歩くルート等、自身で手の及ぶ範囲で諸々の手段を講じた上で、どうしても避けられない部分を敢えて罠として利用し、襲撃者に対するリスク管理を行った。

 

 襲撃する側からすれば、軍の施設周辺での行動と言う事で隠密性を考慮しなければならず、また移動時に気付かれる危険性を避ける為には手持ちの火器しか持ち込めない。

 

 また海軍の本拠地故に敷地の中へ侵入が不可能である為、ギリギリ接近可能な位置からの狙撃しか出来ないという環境を前提に、それらの段取りは進められた。

 

 そういう限られた条件に加え、車両の停車位置と歩くルートを調整する事で相手が潜伏可能な位置を可能な限り無く少なく、そして困難な位置へと誘導する。

 

 そしてそのポイントへ警護に当たる者が監視の目を光らせつつ移動する。

 

 もし襲撃者がポイントに入ったならばこの辺りの備えは嫌でも見えてくる、寧ろ狙撃手ならば気付いて当然という布陣を敢えて敷く。

 

 元々狙撃を主な攻撃手段としていた吉野の差配は、相手にそれを気付かせ退かせる事を主眼に置いた差配であったが、それでも襲撃事件は発生した。

 

 故に相手は退く事が出来ない事情を抱えていたか、一か八かに掛ける、それも生還が不可能を承知の"死兵"であったという結論に辿り着く。

 

 

「結果として今回の件で大本営は今まで手を付ける事に躊躇していた施設周辺の整備を進める事になるだろうし、ウチにも自前で用意するという縛りはあるが、人員を増員せよという事で建造指示が降りる事になった」

 

「て言いますか、その建造指示と言うか、艦種の選定を吹雪さんがするのは何ででしょう? 青葉その辺りむっちゃ気になるんですけどぉ?」

 

「ウチが鎮守府として活動する為に足りない部分が多々ある為、その辺りを吹雪さんが鎮守府の現状を見た上で決定する、ってのが今回の人員増の条件だからね」

 

「まぁ元々増員の予定は無かったでありますから、その辺りどの艦種が来てもこちらにはプラスなのが救いでありますな」

 

「て言うかご主人様?」

 

「ん? どしたの漣ちゃん」

 

「この指示ってつまり、ウチの事考えてますよって建前でやっちゃってますけど、大本営の者が大坂鎮守府の内政に介入しちゃいますよって状況をその……周囲に喧伝している部分が、ウチとしてはとっても問題になると思うんですけど?」

 

「まぁ雪風君の件を含め、ここ最近色々と上の面子を傷つける事してきたからねぇ、ある程度のマイナスはあってもここらで手打ちにしないとさぁ」

 

「相変わらずそこんとこは腹の探り合いだなぁ」

 

 

 珍しく苛立つ相を滲ませる漣に苦笑を投げる髭眼帯と、何故か部外者であるにも関わらず会議に参加している木曾が書類を指で弾きつつ、難しい顔で諸々の事に対する感想を漏らしていた。

 

 

「って訳で今回建造する艦は四隻、その数はどこに配置するかは艦種によってこちらが考慮するけど、取り敢えず特務課の実務関係の増員は幾らかしておかないと、そもそも問題に対応するという今回の建造に対する目的には添えない」

 

「だから俺ってか? まぁ大体の理由は察しが付くけどな」

 

「そこそこ手錬(てだれ)なのは基本として、陸上での作戦も考慮して艤装を介しての武装以外の攻撃手段を持つ者というのが、キャプテンを選んだ理由になるね」

 

「他に日向とかも居るじゃねーか、近接武器持ってるヤツ」

 

「……キャプテン、提督に死ねと申すか、主に精神的に……」

 

「それよりも提督、今回の件で榛名さんが特務課入りを強く希望していますが……どうしましょう?」

 

「確かにもう一人実務に割く人員は欲しいけど、榛名君を専任とした場合、こっちの業務と出撃関係が重なった時、戦力として攻めの要である彼女が欠けるとなると……艦隊運営の方に支障が出る」

 

「……ですよねぇ、しかし襲撃の瞬間を目の当たりにした榛名さんは、意地でも退かないと思いますよ?」

 

 

 古鷹の笑いを含んだ意見にバリバリと頭を搔き、髭眼帯はその辺りの内情をどう処理したものかと悩みつつも、取り敢えずそれは保留という事にして、先に片付けねばならない案件を粛々と進めていくのであった。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

「と言う訳で、工廠には建造指示を出しておきました、ドックが現状一基しか無い為全員が揃うまで二日程掛かりますが、所属や運用は長門さんと相談の上決定して下さい」

 

 

 特務課の会議を終えて執務室に戻った髭眼帯は、ソファーで暢気に茶を啜る吹雪と、それに付き合って一服をしている長門、龍驤というメンツを見て深い溜息を吐いていた。

 

 艦隊総旗艦と鎮守府所属艦娘に対するプライベート面を取り仕切るという二人、確かにこのメンツに話を通せば細かな調整はやってくれる為面倒は無いと言える。

 

 しかし裏を返せばここで話が決定してしまうと後は変更が難しいとあり、話自体は慎重に進める必要がある。

 

 そしてそういう者を敢えて呼び寄せて話を進める吹雪の考えも透けて見えるという状況は、色々と吉野にとっては好ましく無い状態にあると言えた。

 

 

「えっと、伊勢型の伊勢、青葉型の衣笠、最上型鈴谷、長良型の由良と……この四人を吹雪さんが建造する艦として選んだ理由を確認させて貰っても?」

 

「先ず伊勢ですが、航空戦艦という部分で現況日向一人では心許ないという部分を考慮して、本来ならば性能が伊勢型よりもやや上と言う事で扶桑型を選ぶべきなのでしょう、しかし以前あった『扶桑(戦艦棲姫)山城(戦艦棲姫)という二人の深海棲艦の登録』という件で三郎さんが艦政本部と揉めた事と、彼女たちが抱える諸々を考慮して伊勢にしました」

 

「なる程、その辺りはお気遣い頂き有難うございます」

 

「次に衣笠ですが、元々『青葉には衣笠を添えよ』という言葉もある程、彼女は青葉の暴走を抑止しつつも良い面を引き出す部分がありますし、この鎮守府では青葉が相当重要な任に就いているという事も考慮してです」

 

「あー……うん、何と言うかその部分は、はい、確かに」

 

「そして鈴谷ですが、これは単純に大坂鎮守府には艦隊運営に於いて戦局の変化に即応出来る、所謂複数の役割を担える艦種が少ない為と、最上型では比較的能力が高く、更に関係が強い熊野がもう着任しているという点で選びました」

 

「なる程、という事は彼女は軽空母では無く、航空巡洋艦としての運用を見越しての建造ですか?」

 

「その辺りの差配は三郎さん次第ですし、鈴谷は艦種のコンバートを可能としていますから、しかし現状で言えば彼女は航空巡洋艦として配備するのが好ましいのでは無いかと」

 

「ふむ……では由良は……」

 

「本来なら重雷装巡洋艦を配備すべきでしたが、以前ここでは北上が着任していたにも関わらずトレードとして他拠点へ送り出してしまいました、その後また同艦を建造するとなると、本人だけならず周りにも色々と心情的に問題が発生するでしょう?」

 

「ですねぇ、では彼女はその代替として?」

 

「それもありますが、現在長良型の一部は先制攻撃装備や輸送用特殊兵装が装備可能にあります、なので少ない数で多様な任を回せるという艦種として選んでいます」

 

 

 建造選定の理由としてはほぼ完璧、しかもそれらは現在大坂鎮守府で穴と呼べる部分をカバーするには最適の艦種と言えた。

 

 が、しかしその選定は、吉野が次に建造するならと考慮していた艦種とは方向が間逆の艦がここに建造された結果になってしまった。

 

 

 これから大坂鎮守府がやるべき事は太平洋攻めに対する備えである。

 

 

 そして先のミッドウェー作戦の結果を考慮すれば、現在吉野は万能性を持つ艦よりも、突出した能力を持つ艦で艦隊を固め、艦隊単位で其々をカバーすべき者を揃えるべきという考えを持っていた。

 

 何もかもが出来る、確かにそれは万能という耳障りが良い言葉に聞こえるだろう。

 

 しかし未知の海域をある意味力尽くで切り開き、推し通ろうとするなら、攻めは攻め、守りは守りと其々の役割を確実に回せる能力が個々に求められる。

 

 数で押せればそれでいい、しかし大本営の指針は現在あくまで支配海域に於ける防衛という考えに傾いている。

 

 その状態で吉野達が作戦を進めれば反対はされない迄も、今回の様に人員、若しくは投入艦の縛りはあって然るべきと予想しておく必要がある。

 

 故に今回の様に通常運営を見越しての補助的増強というのは、大本営からの鎮守府運営への介入というマイナスの部分以上に、建造による増員枠をそういう方向で"消費させられた"という事実に於いて、好ましくないという結果を生み出す事になった。

 

 

「ふむ、戦力の平均化と即応性の向上……という面では、立ち回りに多様性が持てる面子ではあるな」

 

「せやなぁ、足りへんかったあちこちの穴はこれで幾らか埋まるんは確かや、そう考えたらうちは悪ぅないとは思うで? なぁ司令官、急がば回れや(・・・・・・)、暫くの間は内政のターンに回してもええんとちゃうかって思うんやけど、どうやろか?」

 

 

 髭眼帯の考えは当然知っている二人であったが、それを吹雪の前で口にする事は出来ず、さりとて諸手を上げて歓迎する気にはなれないという考えから出た、そんな言葉。

 

 建造指示を出した吹雪にしてもそれらに気付かない訳は無く。

 

 そんな三人の視線を受ける髭眼帯は、何とも言えない表情で其々を見て、うんと一言漏らして茶を啜り、改めて視線を建造報告書へ落とす。

 

 

「じゃ長門君に龍驤君、彼女達が着任した後の諸々は任せてもいいかな?」

 

 

 こうして大坂鎮守府を取り巻く軍内に於いての手打ち(・・・)は取り敢えず終了し、多少は予定の修正を必要としたものの、其々の関係性は取り敢えず形を整えた形で落ち着く事になった。

 

 そして暫くは討って出る事よりも内政面の強化に力を入れざるを得ない事になった髭眼帯は、自拠点よりもクェゼリン、クルイ方面の強化という、ある意味大本営が意図していなかった行動を始め、派閥としての基礎を底上げしていくのであった。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

「相変わらずチクチクと茶々を入れてくんのね、アンタ達は」

 

 

 叢雲が苦い顔でビールの缶を傾け、やや非難の色が混じる視線で隣に視線を投げる。

 

 鎮守府出撃ドック、現在修理を終え新装備の慣熟テストにあった母艦泉和(いずわ)の甲板には、叢雲、吹雪、電、漣、そして五月雨という"最初の五人"が集って月見酒の真っ最中であった。

 

 それは誰かが音頭を取った訳でも無く、そして予定を組んでいた訳でもない。

 

 しかし彼女達にとっては今日という日は忘れる事は出来ず、同時に大切な日であった為に集った、そんなちょっとした宴であった。

 

 

「まぁ大本営としては何かしら落し処は必要だった訳ですし、司令官(大隅)としてはこれがギリギリ譲歩できる案だったと思います」

 

「相変わらず吹雪ちゃんが一番板挟みなのは、昔と変らないねぇ」

 

「て言うかもーアレ、ブッキーもこっちに越してきたらどうとか漣は言ってみたりする、どうよそこんトコ?」

 

「そんな事すると益々三郎さんの立場がなくなるでしょう? それに私は今の立場が性に合ってます」

 

「その割には用も無いのに何かにつけてちょくちょく連絡してくるのです、平然としていますが吹雪ちゃんが寂しいって思ってるのはもぅ見え見えなのです」

 

 

 電の言葉に憮然としつつも、裂きイカを口に放り込んで言いたい言葉をモグモグ咀嚼する吹雪と、それを見て長い付き合いからか、含み笑いで見る面々。

 

 

 そんな深夜の宴が催された今日は、嘗て旧大阪鎮守府が襲撃され、多くの命が散った日と暦上では同じ日。

 

 彼女達にとっては忘れる事が出来ない、後悔と無念が刻まれた日であった。

 

 

 その攻勢があった後暫くは指揮機能の麻痺、そして戦力の編成がままならず、彼女達は暫く出撃する事は無かった。

 

 しかしその間は平穏であったかと言うとそうでは無く、寧ろ拠点を使用可能にする為に作業へ従事する日々は、壊滅した拠点で過ごす事になり、変わり果ててしまった(・・・・・・・・・・)知っていた(・・・・・)者達をその手でどうにかするという、戦いの場に身を置く日々よりも辛い、身を切るかの様な時間であった。

 

 

 そんな事が起こった日、その日だけは誰言う事も無く、毎年彼女達五人は大阪湾のこの場に集い、たった一夜の鎮魂という時を過ごす。

 

 

「ねぇ五月雨」

 

「ん? なぁに叢雲ちゃん」

 

「アンタさ……いい加減腰を落ち着けたらどうなの? いっつもあっちこっちフラフラして」

 

「ん~そう出来れば楽しいかなぁって思うんだけど、誰かが呼ぶ声が聞こえてくるの、無視できないから」

 

 

 オレンジシュースを飲みつつ、叢雲の言葉に曖昧な笑顔で返す五月雨。

 

 この五人の中で唯一嘗ての能力を失う事も無く、今も海を彷徨う彼女。

 

 彼女だけは他の四人とは違い、海からの声という呪いは無い状態にあった。

 

 代わりに妖精さんが語り掛ける言葉、それは曖昧で、ふんわりとした物であったが、その言葉の先には五月雨という『特異な存在』を必要とする何かが待ち受けるという現象があった。

 

 他の者よりも異質と言われる『絶対的な幸運』という力、『誰かが助けを求める声が聞こえる』という能力、それは他の四人とは違った永遠の呪いとして、今も尚彼女を海に縛り続けていた。

 

 

「お母さんが死んじゃった日からね、ほら……一緒に居たのに何で助けられなかったんだろうって、ずっとずっと思ってたんだ」

 

「……五月雨ちゃんだけじゃなくて、皆も同じ事は考えていたのです」

 

「それからかなぁ、ちょっとづつだけど、誰かが困ってるみたいな事を妖精さんが言い始めたの」

 

「サミーだけじゃないよ、あの日からちょっとづつ皆に、それまでとは違う何かが起こった」

 

「……結局それって、誰にとっても碌なモンじゃなかったけどね」

 

「それでも私達は生きている、例え何かに縛られていたとしても、自身の選択でここに居る」

 

「でも叢雲ちゃんはそれに納得しなくて、結局強引に海に還る選択をしたのです」

 

「その為にこの船の存在は都合が良かったのよ、でも繋がってみて、後になって北極でアイツの事情を聞いた時、別な意味でそれが正解だって思ったわ」

 

 

 甲板を撫でる叢雲に、それを見る電は苦笑を浮べ黙って言葉を聞いていた。

 

 

「もしあのまま最悪の状態で時間が進んでいたら、操舵ユニットにはアイツが収まってたんでしょ?」

 

「……なのです、ダメな部分を切り離し、生体を生かす機械に繋げて、結局意識というのを持たない状態になるので延命とは言えない状態かも知れませんけど、それでも皆の近くに居たいって三郎ちゃんの想いはそれで達成される筈だったのです」

 

「その為に段階的に機械を体に埋め込んでいった、とか、どんなハードコアだって思うんだけどぉ、良く電ちゃんそれに納得したね」

 

「そのつもりはまったく無かった(・・・・・・・・)のです、電は意地でも命を繋ぐつもりだったのですよ?」

 

「だから私が船に繋がるって言った時、速攻でハカセと組んでシステムを構築した訳ね?」

 

「例え最悪の事態になっても、船に三郎ちゃんだった何か(・・・・・・・・・・)を繋いで喜ぶ者は、ここには居ないですから……」

 

 

 結局轟天号という母艦を基にせず、新規から無謀なシステムを組んだ泉和(いずわ)という船の誕生は、吉野の目論見と、それを取り巻く周りの者其々の思惑が絡んだ、正に仇花という形で生み出される事となった。

 

 そして艦の特殊性と、汎用性の無さは二番艦を建造する事は叶わず、大坂鎮守府関係の拠点へ配備予定の母艦は全て轟天号型の改修型艦になる事になった。

 

 

「今は好き放題してるって自覚はあるにはあるんだけど、良く考えたら皆さ、何となーく……都合良く誰かに(・・・)使われてる気がする、そんなポジに収まっちゃってるのは漣の気のせいでは無い筈!」

 

「例えそうだとして、皆は後悔してる?」

 

 

 漣の言葉に答えた吹雪の呟き、それに対し其々は無言で、それでも考える素振りも見せず首を横に振る。

 

 色々考えたとしても、結局それが答えに落ち着いてしまうのだろうと。

 

 そして自身の気持ちと他の者の気持ちが同じだという、予想通りの答え(・・・・・・・)を得て吹雪にしては珍しく、嘗てそれが常であった微笑を満面に湛え(・・・・・・・・)

 

 

「なら、別にいいんじゃないかな、私は自分の気持ちに嘘を付いた事は今まで一度も、無いよ?」

 

 

 こうして年に一度の同窓会は静かに行われ、夜明けと共に其々は自分の場所に戻っていった。

 

 

 吹雪だけはまだ大坂鎮守府でやる事があるという事で残ったが。

 

 

 




 誤字脱字あるかも知れません、チェックはしていますが、もしその辺り確認された方は、お手数で無ければお知らせ下さい。

 ただ言い回しや文面は意図している部分がありますので、日本語的におかしい事になっていない限りはそのままでいく形になる事があります、その辺りはご了承下さいませ。

 また、拙作に於ける裏の話、今後の展開等はこっそりと活動報告に記載しております、お暇な方はそちらも見て頂けたらと思います。


それではどうか宜しくお願い致します。


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