大本営第二特務課の日常   作:zero-45

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 前回までのあらすじ

 よしのんパンチが炸裂! 命中するもダメージ0! そんな事実は隠蔽され、何か色々と救えない話だけがクローズアップされちゃうというお話。


 それでは何かご意見ご質問があればお気軽にどうぞ。


2017/12/28
 誤字脱字修正反映致しました。
 ご指摘頂きましたリア10爆発46様、有難う御座います、大変助かりました。


ジングルベージングルベー ①

 

 小鳥のさえずる音が耳に心地よく、ふんわりとした感触と得も言えぬ、ちょっと甘ったるい香りが鼻をくすぐる。

 

 半覚醒したまどろみの中、上質な夢の中にいる感覚に、永遠にこの幸せに浸かっていたいという本能的な幸福感を感じつつ、仰向けになり視線を上に向ける。

 

 そこは桃源郷だろうか、やや透き通った肌色の果実が二つ、それを守る為か布で隠された状態で手の届く位置に実っており、少しばかりの空腹に誘われ、無意識にもいでしまおうと手を伸ばす。

 

 

「あっ……提督さん、ダメですよ? おいたをしては、ね?」

 

 

 ムッチリとした、果実ではあり得ない温かさと弾力が手に伝わり、一旦動きが固まる。

 

 そして聞こえてくる声に意識がどんどん覚醒していく。

 

 

 昨日は例の医局でやらかした件があった後、一応日下部本人に謝罪をし本人からは何も問題ないとの事で後事でこじれるという事は幸いない状態に落ち着いた。

 

 しかし幾ら下位の者とはいえ、一拠点の司令長官を殴り飛ばした末に逃亡という暴挙は周りからしてみれば問題にならない訳は無く。

 

 本人達からしてみれば、いや、恐らく周りの者にしても話を聞けばそれは納得のいく行動であったものの、結局はお咎めなしというのは立場的にどうなのか、という結論に至ったそんな一連の出来事。

 

 結果、髭眼帯は首に『私は日下部司令を不意打ちで殴り飛ばして逃亡しました』というプラカードを首にぶら下げ、そのまま例のバケツ正座の刑に処されるという事で、一先ずこの件は手打ちという形に収まった。

 

 それから開放された髭眼帯は、その日処理してしまわないといけない諸々をやってしまわなくてはならず、結局執務から開放されたのは短長二本の針が揃って時計の12を指す頃であった。

 

 

 夜食を腹に詰め込んだ後よろよろと自室に戻り、着衣を脱ぎ捨てベットに入れば、そこには小さい先客がすやすやと寝息を立てているという、最近は当たり前になってしまった光景が目に入る。

 

 その姿に苦笑を浮べ、やれやれと隣に潜り込み一息つくと、これまた最近のパターンになっている由良が「ぱぁぱぁ……」と無意識にもぞもぞとにじり寄り、定位置である髭眼帯の懐に潜り込むという行動を見て、髭眼帯は癒されつつも徐々に眠りの世界へ落ちていくのであった。

 

 

 言ってみれはここ一月の間に常態化してしまったそんな一日の終わり、そして明けた朝は、いつもなら由良が腹の上にまたがり、「ぱぁぱ! ぱぁぱ! おっきするのっ!」と連呼しつつロデオ状態での覚醒がここ最近のお決まりであった。

 

 しかし今朝はそんな騒がしい目覚めは無く、何故かまったりと静かに、そして手に張りのあるポヨンとした何かの感触と、後頭部に柔らかいフトモモという状態を以っての目覚め。

 

 

 未だ半覚醒の髭眼帯は首を捻りつつ上半身を起こし、クリッと振り向くと、半溶けがデフォのた〇ぱんだのプリントが、収めるのがサイズ的に無理があるという盛り上がった双丘の為横に引っ張られるという状態を経て、形容のし難い見た目になったピッチピチのTシャツでヘソ出し状態という、そんな女性がニコニコと微笑んでいるというワケワカメな絵面(えづら)が目の前にあった。

 

 

「……あー……おはようござい、ます?」

 

「はい、おはようございます提督さん」

 

「えっと……どちら様?」

 

「あ、はい、長良型軽巡四番艦の「由良」です。どうぞ、よろしくお願いいたします」

 

 

 その日は奇しくも12月25日、聖なる日を祝う朝に、幼女由良は髭眼帯私室の回転ベッドで成長し、本来の姿へ孵化した姿がそこにあった。

 

 

 幼女の時に着ていたパジャマを着たままであった為、ピッチピチの際どい姿を晒したままに。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

「一通り検査をしてみたのですが、身体的な部分に異常は見られなかったのです」

 

 

 同日昼前の執務室、髭眼帯の前ではバインダーに挟んだ書類をペラペラとめくりつつ、医局責任者の電が由良の検査結果を報告中。

 

 隣にはその本人がニコニコとした笑顔で並び、また姉妹であるアブゥと五十鈴も同伴という執務室。

 

 結局午前の殆どを要し、成体となった由良を検査してみたが、その結果は特に問題が無いという結論に落ち着いた。

 

 

「一応経過観察で暫く様子見は必要はありますけど、このままなら特に問題はないと思うのです」

 

「て言うか、由良君の着てる服って……なんで改二の物なの?」

 

「あーそれ、五十鈴ちゃんが用意してたみたいなんだけど……」

 

「どっ……どうせウチの教導に放り込まれたらすぐ改二になるんだから、最初からこの格好でも問題はないでしょう?」

 

「て言うか明石酒保に注文入れた時にカタログの番号間違って伝えただけなんだと思うんだけどぉ~?」

 

「仕方ないでしょっ! 幼体から成長した後ってデフォの制服持ってこないなんて知らなかったんだから、焦って注文したら番号一つずれてたのよっ」

 

「あ……あはは、五十鈴姉さん大丈夫だから、これはこれで着心地はいいし、一応デフォルトの制服と同じ機能は持ってるって聞いているから、ね、ありがとう」

 

「流石に改装時に生成される物よりは強度は劣るけど、模擬戦闘程度ならそれで充分って事らしいわ……」

 

 

 幼体として生まれてくる艦娘は一応デフォルトの制服を纏った状態ではあるが、そこから本来の姿へ成長すると、流石に制服もサイズアップするという現象は起こらない為、そこからは第一次改装、若しくは第二次改装時に制服が生成されるまでは、酒保が用意する制服を着用する事になる。

 

 それは例の戦闘用メイド服と同じ素材で作られていた為、それなりの強度は持っていたものの、流石に入渠すれば修復する訳では無く、また深海棲艦との戦闘をするには強度が聊か足りない物になる。

 

 

「て言う事は、由良さんは暫くその制服で教導を受けるって事になるのかな?」

 

「そうなるわね、まぁ予備も幾らか注文してあったから……改二まではそのままでいいんじゃない?」

 

「くふふっ、ねぇ時雨ちゃん聞いて聞いて、五十鈴ちゃんてばもー今朝テンパってたからね、予備も含めて五枚も注文してたのよ、制服」

 

「うっ……でもほらこれって破れたら修復もしないし、洗い換えの事も考えたらそれ位は必要でしょっ」

 

「ありがとう五十鈴姉さん、これからはこの制服に中身が追いつくように頑張って錬度上げていくから、ね?」

 

「そ……そうね、取り敢えずは私が由良の初期教練を受け持つわ、後は状況次第だけど、暫くはそれでいこうと思うんだけど、構わないわよね? 提督」

 

「あーうん、それで問題は無いよ? えっと電ちゃん、彼女はどの程度で軍務に就いて貰う事が可能になんの?」

 

「そうですね、取り敢えず一週間程様子を見て、問題ないと確認が取れれば許可を出してもいいのです」

 

「そっか、んじゃその間は内務関係に慣れて貰う為にあちこちを見学して、自分に合うと思った部署で仕事をして貰う事になるかな」

 

「内務ですか? それってどういうお仕事なのでしょう」

 

「戦闘行為を含まない軍務全般になるわね」

 

「だね、僕達秘書課がやってる業務から事務方、給糧課、後は工廠課もそれに含まれるかな」

 

「ゆくゆくは艦隊編成に含まれると思うけど、それ以外にも平時に所属する課を自分で選ぶ事ができるの、因みにあたしと五十鈴ちゃんは教導課」

 

「なる程……ではその辺りは自分で自由に選択ができると言う事なんですね」

 

「ある程度は能力による引き合いがあったり、課の人員上限で所属が出来ないって場合もあるけど、基本的にウチはどの課も手が足りない状態にあるから、希望はほぼ通る感じじゃないのかなぁ」

 

 

 周りの説明に首を傾げ、由良は暫く考える素振りを見せるが、中々答えが出ないのか最後はあはははという笑いを漏らして溜息を吐く。

 

 それを見て五十鈴は取り敢えず暫くは見学でもすればいいという提案を出し、由良の鎮守府見学は今日始めるにしては時間的に中途と言う事になった為、それらは翌日から開始する事になった。

 

 

「それじゃ今日は自由行動って事で、好きにすればいいんじゃない?」

 

「自由行動……」

 

「あ、今日は夜にクリスマスパーティするから、皆に紹介するのはその時でいいかな、ね、提督」

 

「だね、それまで由良君はゆっくりしててもいいよ」

 

「そうですか……はい、それではお言葉に甘えて」

 

 

 ニコニコとする由良はそのままスタスタと執務机の前から髭眼帯の脇へ移動し、極自然な流れで膝の上へストンと腰を降ろす。

 

 それは所謂横向き座りというもので、余りにも自然に、そして流れる様に行うそれは、場の者達も一瞬「ん?」という反応を見せるが、暫くはそれを黙って見るという不思議な空気がそこにあった。

 

 

「……ねぇ由良君」

 

「はい?」

 

「何で君提督の膝の上にシッダウンしているの?」

 

「え、どうしてと言われても……」

 

 

 キョトンとする由良に、怪訝な表情でそれを見る者達。

 

 思わず言葉を失い混乱する場の只中、何故か電だけは真面目な相でその様子を見ていた。

 

 コッチコッチと置時計が時間を刻む音だけが支配する執務室、寛ぐ由良の自然な状態故に誰も言葉を発しないというカオスが暫く続いてしまう。

 

 

「えっと由良ちゃん、ちょっといいですか?」

 

 

 そんな只中、電が由良の手を引いて部屋の隅へと連れて行き、何やらコショコショとした密談が開始される。

 

 更にそんな絵面(えづら)に思う事があるのだろう、髭眼帯以外の者も順番にスススとその輪の中へ加わる事になり、そこには異様な空気が漂い始める。

 

 

 そして同時に髭眼帯の嫌な予感メーターがグングンと上昇し始めた。

 

 

 「え、嘘」とか、「そんな事ってあるの」やら、時折聞こえる呟きがハブ状態の髭眼帯の耳に入る度にメーターの針はピコンピコンと反応し、数分続いた後に全員が執務机の前へ戻ってくる頃には、髭眼帯がプルプルを開始し始めてしまうといういつものが展開するという状況が、そこに出来上がっていた。

 

 

「三郎ちゃんに幾つか聞きたい事があるのです」

 

「……うん? 聞きたい事?」

 

「なのです、これは極めて重要かつこれからの事に関わる事なのです、だから嘘偽り無く、正直に答えるのです」

 

 

 凄く真面目な相で言う電の言葉に、周りの者もコクコクと頷き、その間にも由良はスススと移動した後髭眼帯の膝上にストンとまた横座りという、何とも言えない空間が再び出来上がる。

 

 

「……えっと、その、一体何が始まるんです?」

 

「先ず由良ちゃんが小さかった頃、彼女はどういう生活をしていましたか?」

 

「え、どういう生活ぅ?」

 

「そうですね……例えば執務室に居る時はどういう状態だったか覚えていますか?」

 

「どういうって……えっと、確か畳ゾーンでお昼寝してたり……」

 

「お茶の時間とか、執務で誰も相手する暇が無い時は大抵提督の膝に座ってたよね」

 

「あ、あぁまぁそうだねぇ」

 

「ごはんの時は必ず提督の膝に収まってたわよね?」

 

 

 時雨と五十鈴の言葉に色々を思い出しつつも、彼女達の表情が徐々に深刻な色を帯びていく様に髭眼帯のプルプル度は徐々に増していく。

 

 そんな横ではブツブツと何かを呟きつつ、電が手にしたファイルに何かを書き込んでいた。

 

 

「その他に……例えば、毎日習慣的にとか、常習化していた行動は無かったですか?」

 

「え、常習化とは……」

 

「……あっ!? ね、ねぇ五十鈴ちゃん」

 

「え? 何よ」

 

「ちょっと……ねぇ、お風呂……」

 

「あ!? そう言えば……由良のお風呂って、殆ど提督に任せっきりにしてたわね」

 

「ここんとこ教導受け入れの準備とかぁ、哨戒シフトの組み換えとかで夜番が多かったからほらぁ、すっかり由良ちゃんの世話を提督に押し付けっ放しだったから……」

 

「ねぇ、確か寝る時も提督が寝かしつけてたんじゃなかったかな?」

 

 

 膝に由良をセットしたままの髭眼帯をそこに放置して、再び周りの者は部屋の隅に移動しコショコショを開始するというカオス。

 

 もうこの時点で髭眼帯の内部に装備された嫌な予感メーターはレッドゾーンへ突入しており、緊急的に退避をと思うも膝に由良が乗っかっている状態では身動きが取れない。

 

 そんなヤバイ雰囲気が漂う執務室では、中心人物である由良がキョトンとした状態で首を傾げ、本人そっちのけで色々な話が展開していくという執務室。

 

 

 そこから更に数分が経過し、再び執務机の前に並んだ者達の表情は、何故かニヤリとした表情でプラズマ化した電と、割と絶望感を漂わせた時雨と五十鈴、更には苦い表情のアブゥという、髭眼帯の不安を煽るには充分過ぎる絵面(えづら)をそこに晒していた。

 

 

「えっと……どうしたの君達、てか由良君もこれ、いつまで提督の膝に……」

 

「三郎ちゃん」

 

「はい? え、何電ちゃんそんなニヤニヤして……」

 

「ちょっとお話があります」

 

「……お話?」

 

 

 何故かニヨニヨする電が口にする「お話」、その内容は幼体として生まれた艦娘の事に付いての基礎的な情報であった。

 

 

 それは大本営一番ドックでしか確認された事の無い建造結果であり、数にして現在までその状態で生まれた艦は凡そ20隻程度があったのだという。

 

 他にも加賀の様に特殊な状態で建造されてくる例も稀にあるそうだが、それは後の教導や戦いを経る事で徐々に最適化されていき、結局は他の同型艦と同じ状態へ落ち着くため、レアケースではあるが対処は然程特別な物を要さないのだという。

 

 対して幼体という存在であるが、其々に共通する特徴は幾つかあり、ほぼ一ヶ月程度でデフォルトと言える艦娘の姿へと成長するのと、その間の記憶は引き継がないという状態にあるのはどのケースも同じという事である。

 

 しかし実はそれ以外にも、普通の建造をされた艦娘とは違う特徴が幾つか見られる。

 

 先ず幼体の頃に体験した経験の中で、強く印象に残る出来事に遭遇した場合、成長した本人にも強い影響を残す事がある。

 

 例えば榛名の強さに対する異様なまでの拘りと、その強さの指針が吉野からの評価として得られなければ意味が無いという精神構造は、彼女が嘗て幼体時に体験した事件が元になっていると言える。

 

 また個体に差はあるものの、その間に身を置く空間や環境は成長した艦にもある程度の影響を与え、教えた訳でも無いのに生活上発生するその場にのみ存在する独自のルールや、環境に馴染んだ行動を既にする様になっているのだという。

 

 記憶や経験は引き継がれないが、幼体の頃に経験した出来事や情報の幾らかが、本来のデフォルトの部分へと常識として書き加えられてしまう。

 

 つまり通常建造として生まれた艦娘とは違い、幼体という一段階余計なプロセスを経た個体は、例外的に普通とは異なる情報が「当たり前という常識」として心に刻まれたまま、艦娘としての生を受ける事になる。

 

 

「要するに、由良ちゃんは他の人から見て常識外れな行動をしていても、本人にはそれが普通であり、常識として刷り込みされた状態にあるのです」

 

「ええ~ ……刷り込みぃ?」

 

「なのです、例えばそうですね……由良ちゃん、何故由良ちゃんは今三郎ちゃんのお膝に座っているのです?」

 

「え、何故と言われても……取り敢えずやる事が無かったので、休憩でもしようかと」

 

「暇だからぁ? 提督にぃ? シッダウンしてるのぉ?」

 

「はい、今日も提督さんのお膝は気持ちがいいですね、ね?」

 

 

 プルプルする髭眼帯の膝上では、とてもリラックスした由良という絵面(えづら)

 

 しかもそれを見る周りの者は、髭眼帯程では無いにしてもプルプルするというカオス。

 

 

「ね……ねぇ由良、その、例えばお風呂に入る時、その、提督と一緒に入ると言うのは貴女的に恥ずかしいと言うか、そういう気持ちはあったりするの?」

 

「え、五十鈴姉さん何言ってるの? お風呂は提督さんと一緒に入るものじゃない」

 

「あ……あぁうん、なる程……そういう事になっちゃってる訳ね……」

 

「えっと、もしかして由良さん的に寝る時と言うか、場所と言うか……その辺りはどんな認識にあるのかな」

 

「いつも提督さんのベットで、ほら、時雨ちゃんとか、後は陽炎ちゃんとかと一緒というのが……え?」

 

 

 自分の名も入ってる事にやや複雑な表情になりつつも、諦めの色を含んだ時雨の視線は電へと向く。

 

 そしてそれらの言葉を聞き、ニヨニヨ度を増したプラズマはプルプルする髭眼帯へ対し、現状の由良に起こっている精神構造と言うか、色々なあれこれに対する結論という名の死刑宣告を付きつけるのである。

 

 

「今の由良ちゃんの中にあるそれらの常識は、刷り込みによってプリインストールされた情報なので、矯正するのはかなり難しい物になるのです」

 

「常識ぃ? プリインストールぅ? それどうにもならないのぉ?」

 

「矯正自体は不可能ではないのです、ただそれは艦娘が持つ基本情報という部分に関わる物ですので、恐らく人格を捻じ曲げる程の教育と言うか、そういう強引な手段が必要になると思うのです」

 

「おぉうもう…… ほんともぅ…… それってどうにもなんないっていう事じゃない」

 

「ただ精神的な部分は徐々に成長していく物ですから、羞恥心が育てばお風呂でマッパじゃなくなったり、公私という部分の区切りが重要だと認識されていけば、今の様に人前でお膝に座るという部分は無くなっていくと思うのです」

 

「あぁ、うん、そっかぁ、ずっとこういう状態じゃないのかぁ、それならうんまぁ……はい」

 

「ただすっかりそれが無くなるかとと言えばそうではなく、ちょーっとだけ、マシになる程度だと思った方がいいのです」

 

「……ねぇそれ、結果的に矯正されるのって、ちょーっとだけ、なの?」

 

「はいなのです、恐らく、ほんのちょーっとだけ、だと思うのです」

 

 

 結局は銃殺刑が絞首刑に変化した程度で、髭眼帯に対する死刑宣告は基本的に変わらないという救えない事実がそこに確定してしまう。

 

 こうしてある意味クリスマスに生まれたと言えなくもない長良型 四番艦は、しっかりとした芯を持ちつつも癒しの雰囲気を纏うという由良という艦娘のデフォルトを持つ存在へと成った訳だが、その常識にはほんの少しだけおかしな部分を内包するという状態にあり、その行動は時折周りの者を困惑させるという存在になるのであった。

 

 

 




 誤字脱字あるかも知れません、チェックはしていますが、もしその辺り確認された方は、お手数で無ければお知らせ下さい。

 ただ言い回しや文面は意図している部分がありますので、日本語的におかしい事になっていない限りはそのままでいく形になる事があります、その辺りはご了承下さいませ。

 また、拙作に於ける裏の話、今後の展開等はこっそりと活動報告に記載しております、お暇な方はそちらも見て頂けたらと思います。


それではどうか宜しくお願い致します。

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