大本営第二特務課の日常   作:zero-45
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 前回までのあらすじ

 クズロリがクズロリになった訳がシリアスタッチに出たかと思ったらやはりクズロリだった。

 そして瑞鳳……(震)


 それでは何かご意見ご質問があればお気軽にどうぞ。

2018/03/08
 誤字脱字修正反映致しました。
 ご指摘頂きました紅雪様、霧島菊花様、眞川 實様、有難う御座います、大変助かりました。



提督「色々とやってますが、進みません(白目)」

「それで結局提督はどうするつもりなんだ?」

 

 

 大坂鎮守府食堂・甘味処間宮。

 

 教導一期生が卒業し、次回二期生受け入れまで半月程時間が空いたそこは、現在鎮守府の者達だけが利用する状態とあってやや閑散とした状態にあった。

 

 元々の施設から移動した新たな建屋は以前の三倍程の広さになり、奥の席からは海が、手前の席からは遊歩道の緑が見える形になっており、食事時を外せばちょっとしたカフェテラス的な雰囲気が味わえる施設に変貌していた。

 

 店内の奥には現在テーブル一つを陣取って艦隊総旗艦の長門と特務課総括あきつ丸、そして佐世保鎮守府に割りと詳しいという事で龍驤が参加しての意見交換会という席が設けられていた。

 

 

「一応こちらにも話は来たでありますが、誘いを断るのは困難だと提督殿は考えておられるようです」

 

「……断れない? 何故だ」

 

「一応"お誘い"という体で話を持ち掛けられたみたいでありますが、提督殿が大本営時代にやっていた作戦関係の情報を持ち出された様で……」

 

「あー、守秘義務関係の話かぁ、司令はんにしてみたらその手はちょっち弄られたくないかも知れんなぁ」

 

「特務課関係の話か……、確かに大隅殿は殊更その辺りには神経を使う人だからな、例え情報の出所が提督でなくても、その辺りの事が流出したとなると大隅殿と提督との関係は不味くなる可能性もあるか」

 

「その辺りの始末も元特務課ならして当たり前(・・・・・・・・・・・・)という考えでありますからね、大将殿も提督殿自身も」

 

「まぁ土下座染みた礼を司令にしたっちゅうんも、裏を返せば「その辺りの情報はカッチリ掴んでる」って司令に見せる意図があったんやろな」

 

「話を断ろうとした時にも「断られた時は断られた時」みたいな事を九頭司令は言ったらしいでありますから、その時は色々と不味い事になるのではという判断をしたのではないのかと」

 

「なる程な……時に龍驤よ、その九頭という男はどういう輩なんだ? 話を聞く限りでは中々曲者の様だが」

 

 

 昆布茶を啜りながら眉を顰める長門に、隣で葛きりを割り箸でつつく龍驤は首を傾げつつ、自身の中にある佐世保鎮守府司令長官の諸々を記憶の中から引っ張り出す。

 

 元々龍驤は岩川基地で艦隊総旗艦を努めていた事もあり、同じ九州にあった佐世保の事は中央出の長門達より詳しくはあったが、先代の佐世保鎮守府司令長官と、前岩川基地司令長官であった染谷文吾(そめや ぶんご)が犬猿の仲であった為、実の所あまり良い話題を持ち合わせてはいなかった。

 

 更には九頭が司令長官になった辺りでは、岩川も染谷の勇退に関するごたごたに巻き込まれ周りの情勢を見る余裕も無く、結果として龍驤の中にも九頭が司令長官になる前の薄い記憶しか無いという状態にあった。

 

 

「せやなぁ……うちが知ってる事って言うたら、やたらとキレる佐世保のオヤジに、無茶苦茶影の薄い懐刀って程度やけど、確かにあの頃から佐世保を回しとったんは二番に収まっとった九頭はんやし、能力的には優秀やったって記憶はあるな」

 

「ふむ、現状を鑑みれば優秀な人物というのは間違いなかろう、だが今問題とするのは能力云々ではなくそれ以外の……人となりというか、どういう人物であるかという部分で……」

 

 

 長門がそこまで言うと、テーブルを囲む三人の表情が揃って苦い物に変化する。

 

 九頭が大坂入りして滞在したのは一泊だけであったが、その夜の艦娘寮の広間で繰り広げられた例のクズロリ化は大坂の者の間では周知の物となっていた上に、居酒屋鳳翔の一件も鳳翔の口から龍驤へ伝えられていた為に、九頭という男のプライベートイメージは良い悪いでは無く、この三人の中ではクズロリ固定という救えない状態となっていたりするのである。

 

 寧ろ長門はクズロリ要素を排した人物像を知りたかったが為に龍驤へ話題を振ったのであるが、龍驤とあきつ丸の表情から既にその答えを読み取ってしまい頭を抱える状態になってしまうというカオス。

 

 

「……実務で言えば切れ者なのは確か、味方である内は問題は無いのでは……とは思うのでありますが」

 

「味方やったら、ってトコがミソやな、なんやこれって向こうさんからハメられてるって筋は無いんか?」

 

「元々九頭司令は艦政本部とは折り合いが悪かったようで、こちらもちょっとばかり裏を取ってみたでありますが、その辺り仰ってた話に矛盾は見当たらなかったでありますよ」

 

「まぁ現状はなるようにしかならんという事か、提督がそう判断したなら我々が心配しても始まらんな」

 

「で、ありますな、当面我々はそっちよりも優先して片付けないといけない問題が他にもありますし」

 

「例のテロ屋と北方棲姫絡みの事かいな、確か北方棲姫に関してはなんぞ司令が手ぇ打ったって聞いとるけど」

 

「そっちは先方の返事待ちでありますな、殺し屋については……締まらない話になりますが、現在手詰まり状態であります」

 

 

 降って湧いた佐世保からの話は、現在吉野から舞鶴、クェゼリン、クルイに向けて説明しつつ意見の取り纏めの最中にあったが、結論としては話を受ける方向で現在も調整中という状態にあった。

 

 また北方棲姫に絡む対外的問題も、吉野が現在手配した諸々が一段落した状態であり、どうなるかという事は北方棲姫側の出方に依るという所まで話は進展していた。

 

 そして残る一つ、以前より問題視されていた連続殺人犯の件は、最後の事件が起こって以降犯人の痕跡がまったく掴めない状態にあり、陸軍と大坂の特務課、そして公安関係各所が引き続き足取りを追っているが、結果は芳しくない状態にあった。

 

 

「正直公安や陸の特殊部隊が動いてる中でここまで足取りが掴めないとなると、かなり面倒な事になっているのではないかと思うでありますよ」

 

「日本という国では欧米人であるという事だけでも目立つ筈だ、それがまったく情報が入ってこないとなると……」

 

「パトロンが匿っているのはほぼ間違いはないかと」

 

「パトロン……はぁ、露の国かいな、むっちゃ面倒な事になっとるやん」

 

「件の者が秘密裏に国外へ、という可能性は無いのか?」

 

「その可能性も含め、裏に国一つが関係しているとなると情報が表に出る可能性はかなり低いでありますよ」

 

「となると、暫く提督の身辺警護は今のシフトを継続するしかあるまい」

 

「って言うかあのイカれた格好のモンらで司令の脇固めるんは、ちょっちどうやねんってうち思うんやけど……」

 

 

 現状髭眼帯の身辺は、時雨、夕立、朝潮、天津風の四人がシフトを組んで24時間体制の警護を努める形になっていた。

 

 メイド服にバッソだのポン刀だの双剣だのパイルバンカーだの、最早それは冗談なのかという有様であったが、本人達は極めて真面目に警護の任に就いている為、周りの者はツッコミが入れ難い状態にある。

 

 寧ろプライベートに於いて龍驤自身千歳おねぇコスでチチ理論をぶちかますというライフを謳歌している現状、その辺りに口を出すと「お前が言うな」的ブーメランが刺さってしまうので、滅多な事は口にできないという話はこの際どうでもいい事だろう。

 

 

「まぁその辺りを考慮すれば、当面我々が注力するべきは教導二期の受け入れ態勢を整えるのと、北へ出す艦隊(・・・・・・)の選定という事になるか」

 

「出す規模と艦種は司令の段取り次第になるけどな」

 

「どこまで艦隊を突出するかという問題もありますな、ヘタをするとそっちもロシアが絡むので中々さじ加減が難しいでありますよ」

 

 

 突っ込んだ話の意見交換はするものの、結局「現状維持」という答えに話は落着し、三人は何とも言えない表情のまま茶を啜る事になるのであった。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

「んで古鷹君、依佐美(よさみ)の方はどんな感じになってるのかな?」

 

「機器関係は既にこちらに移設していますし防諜面も恐らく大丈夫との話ですが、使用環境である程度の差が出ますから、実際使ってみないと結果は判らないそうです」

 

「ふむ、まぁテスト結果は想定内という事だったし、確か現状で言えば……」

 

「向こう五年が機器の使用可能限界という話でしたね」

 

「実験用設備だし、まぁ寿命はそれ程無いって事かぁ」

 

「技術的な面で言うと実際十年程は持つらしいですが、今は管理する機器も継続投入に必要な施設も実験用の物しかありませんから」

 

「そっち関係の技術移転はどうなってるのかな」

 

「大淀さんによりますとパテント契約は締結していますし、今ある機器関係の所有権は全て買い取ったそうなので、後は夕張さん次第になるんじゃないでしょうか」

 

「てか施設関係がなぁ……鎮守府の敷地内じゃ設置は無理だろうし」

 

「そっちはどこかに場所を確保して新設するしかありませんね、一応研究名目で資金援助をする事になってますが、今の機器が使えなくなるまでにそれらが間に合うかはギリギリじゃないんでしょうか」

 

 

 微妙な表情で古鷹と話しを進める吉野は、手元にある資料に記載されているデータと、計上されてきた予算額を眺めて苦い表情を滲ませる。

 

 そして顔を上げて室内を見渡し、自身の警護に就いている時雨とあまつんの格好を見て更に苦い表情を滲ませた。

 

 片や両腰にポン刀をぶら下げたワンコメイド、片や腰の後ろにロングダガーを二本差したゴスロリメイド。

 

 善良な第三者見れば、その風景は髭眼帯の性癖と言うか正気が疑われる事請け合という絵面(えづら)がそこにあった。

 

 

「ねぇ……君達……」

 

「ん、どうしたの提督」

 

「えっとその……前から繰り返し言ってる事だけど、その格好にブキはどうにかならないものかなと……」

 

「あなたがダメって言うからこっちは譲歩してこんな格好してるんじゃない、まだ文句があるの?」

 

「いや何と言うか、提督がダメ出ししたのは重火器の施設持込であってデスネ……」

 

「うん、だから近接兵装のみに絞って、取り回しのいい服装にしたんだけど?」

 

 

 吉野は思った、確かにメイド服とはメイドさんがお仕事をする為に最適かつ見た目も考慮された服であるのは知っていると。

 

 しかし今二人が着用してるフリフリフリルとかローヒールの靴等は、いつもの制服より取り回しがメーになってやしないかと。

 

 寧ろ何故身辺警護という危険な仕事へ就くのに、胸元センターがワンコ状に切り抜かれ肌面積が増大しちゃうデザインや、ゴスロリ化した事によりヒラヒラが増えた分目的とは剥離した物になるのはいいのだろうかという謎があったが、前にそれを言った時は無言で笑顔が返って来たのを思い出してプルプルするハメになってしまった。

 

 

「……て言うかその、胸のワンコ型切抜きって、心臓とか急所を盛大に曝け出してるんじゃないかって提督心配になるんだけど……」

 

「え、だってこの部分がこの服最大のチャームポイントだって聞いたし」

 

「明石に?」

 

「うん」

 

 

 何故かドヤ顔でワンコ状に布がオミットされた胸部装甲をグイッと見せ付ける時雨にプルプルしつつ、髭眼帯は机に設置された電話を手に取ってピポパした。

 

 

「もしもし明石酒保? あ、妖精さん? 自分自分、え、もうそろそろその入りはワンパだからちょっとは捻ったらどうだって何でそこに笑いの掴み的な指導が入るワケ? いやまぁうん……はい……サーセンした……はい、提督ですが……、えっと明石居る? え? 何か大儲けの予感がするから佐世保に支店を出店しに行ったってナニ!? え? 「足して2で割る案は最悪になる」ってドウイウコト!? 加賀見の俊夫さんなの!? てか派閥割ろうって時にその格言不吉過ぎない!? ねぇっ!? え? うん、うん? マジでぇ? うそん……え~ ナニソレ怖い……うん、ハイ、そうですか……はい判りました……はいスイマセン……」

 

「そう言えば提督、今度の白露会で決まったんだけど、提督の身辺警護のついでに部屋でお泊り会する事になったから、よろしくね」

 

「白露会ってなぁに? 身辺警護のついでってどういう事ってかどこに泊まるのぉ?」

 

「え、そんなの提督の部屋に決まってるじゃない」

 

「なんで決まってるのぉ? それお泊りのついでに提督の身辺警護しちゃってるだけじゃないのぉ?」

 

「あ、その次の日はいい風友の会のお泊りイベントも決定してるから」

 

「いい風友の会ぃ?」

 

「私、時津風、雪風、島風ね」

 

 

 良く判らない話題にシフトしてプルプルが増大する髭眼帯を見て、古鷹エルは何とも言えない表情で乾いた笑いを口から漏らしていた。

 

 そんなアレな執務室の扉から、ノックする音が響いてくる。

 

 

「失礼します提督、例の機器所有権譲渡の契約が依佐美送信所との間で締結しましたので、それのご報告と……こちらが支払った予算の最終報告書になります」

 

「ありがとう大淀……く……ん?」

 

 

 ノックの後に室内へINし、ツカツカと執務机の前にウォーキングしてくる者。

 

 それは大坂鎮守府事務方総括である大淀である。

 

 分厚い紙を挟んだバインダーを小脇に抱え、メガネをクイクイしているのはいつもの事だが、その着衣はいつか鳳翔で新年会をしていた時に着用した、燕尾バニーメイド服というアレな格好というカオス。

 

 そんな格好にも関わらず平然とふっつーに仕事をテキパキこなす姿に、髭眼帯は一体何が起こっているのかとプルプル度を増してその様を凝視する。

 

 

「……えっとその、大淀君?」

 

「はい、何でしょう提督」

 

「え~っとその……何と言うかその……」

 

「ああ、大本営へ報告する分は既に片付けてありますので、取り敢えずこの書類の決裁だけして頂ければ手続き関係は全て完了となります」

 

「そうなんだぁ……流石仕事が早いねぇ、てかあの……その、その服装は……」

 

「服装? ああこれですか、何やら現在一部方面で大淀バニー祭りという物が開催中らしいのですが、私としては流行を先取りした先駆者としてこの世情に遅れる訳にはいかないと思いまして」

 

「え~……大淀バニー祭りぃ? なぁにそれぇ?」

 

 

 髭眼帯の言葉に、oh淀は胸の部分に手を突っ込んでズルリと大型タブレットを取り出した。

 

 再三話題に上げるが、艦娘の収納に関する不思議は彼女達の出自と同じく謎とされており、熟達した者だと制服の胸ポケットから体の数倍のブツを取り出す猛者も存在する事で知られているが、何故かその事を突っ込むと良く無いことが起こると言われているので基本それはスルーされるのがお約束となっている。

 

 そんなoh淀の胸辺りからズルリと取り出されたタブレットには、某Twit〇erのツイートラインに並ぶ黒だの白だの、果ては布面積が最終防衛ラインギリギリではなかろうかという有様のバニー大淀が羅列されている様が見える。

 

 そのツイートを怪訝な表情で見る髭眼帯に、メガネのクイクイ度をドヤ顔で上げていくoh淀。

 

 一応言っておくと、そこは国内に五つしか存在しない鎮守府の中枢であり、海軍中将が執務をするルームである。

 

 現在の状況を詳細なビジュアル的に説明すると、ポン刀を二本差ししたワンコメイドなくちくかんと、ゴスロリで双刀を装備するメイドくちくかんと、ウサミミバニーコスをする事務方総括に包囲される海軍中将というワケワカメなルームがそこにあるのである、まったくもってどういう事なのか。

 

 

「そう言えばちょっと規模は小さいけど、白露型バニー祭りってハッシュタグもあるよ、ほら」

 

「いや時雨君対抗意識燃やしてそんなの提督に見せないでいいから!? ってイッタァイ!? 何でチョップするのヤメテ!?」

 

「いい風来てる? 次世代型駆逐艦のプロトタイプ、 私、天津風の出番ね」

 

「あまつんもそんな邪悪な風に感化されなくていいから! 古鷹エルヘルプッ!」

 

 

 こうして着々と個々の問題に取り組み、根回しと準備に余念が無い髭眼帯であったが、久し振りに部外者が存在しない状態になった為か、鎮守府の中ではバニーだのメイドだのロボだの淫魔フェスだのと色々なカオスが展開する事になってしまうのであった。




 誤字脱字あるかも知れません、チェックはしていますが、もしその辺り確認された方は、お手数で無ければお知らせ下さい。

 ただ言い回しや文面は意図している部分がありますので、日本語的におかしい事になっていない限りはそのままでいく形になる事があります、その辺りはご了承下さいませ。

 それではどうか宜しくお願い致します。


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