大本営第二特務課の日常   作:zero-45
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 前回までのあらすじ

 パンツ〇出しとか、オッパイパイルダーオンとか、状況を単語にするととてもアレな事になってしまった執務室。


 それでは何かご意見ご質問があればお気軽にどうぞ。


Sim泊地 【③】

 

「それではこれより執務棟に設置してある地下区画のご案内を致しますね」

 

 

 例の提督専用執務棟。

 

 結局そこには事務方、艦隊本部、特務課、主計課、職場環境保全課、深海艦隊本部という五つの部課署が収まる事になり、一つ余った部屋は全課共通の資料が閲覧可能な資料を収める資料室として活用する事になった。

 

 本来予定していた課に加え、これからも増え続けていくのが確定している深海勢を対象に専門の命令系統として新たに『深海艦隊本部』も設立、課の長として朔夜(防空棲姫)を据える事でそれも執務棟に設置し提督執務室以外の部屋はめでたく埋まる事となり、建屋の名称も『西蘭(せいらん)泊地執務棟』と改める事となった。

 

 純和風の巨大な建屋、バケツ正座が無くなった代わりに玉砂利が敷き詰められた屋外で処すという西蘭泊地独自の罰が生まれ、その刑が処される場がビジュアル的にお白州(しらす)と呼ばれる事となる。

 

 それらが色々なイメージを膨らませてしまったのだろう、後に泊地ではこの建物を執務棟とは呼称せず、誰が言ったか『奉行所』というアレな呼び方で定着する事になってしまった。

 

 

 因みに五つの課と資料室が入った関係で例の『海王の間』は別の部屋へ移動しなくてはならなくなったが、その結果髭眼帯の執務机脇の壁、つまり隠し扉のある位置にその札が移動し、名称も『真・海王の間』と改められ、仮眠室が海湊(泊地棲姫)のプライベートルームになってしまった事に髭眼帯がプルプルしてしまったのは特に重要な事ではないのでスルーする事にする。

 

 

 前日の評定が行われたそんな提督執務室は、総畳張りという形が髭眼帯の趣味に合わず急遽模様替えする事となり、現在部屋の隅に二十畳程の畳ゾーンが残され、それ以外は廊下と同じく黒い板張りの状態になっていた。

 

 執務机もゴツい洋風な物に置き換えられ、ソファーセットに会議用の巨大な円卓も配置。

 

 こうして建物の形も相まって、西蘭泊地奉行所もとい執務棟内部は土足厳禁でありながらも洋風の要素も取り込んだ、大正か明治時代のモダンな雰囲気を内包する場となった。

 

 

 そんな提督執務室の一角、位置的には提督執務室の脇、『真・海王の間』とは逆の位置に出現した回転扉の前で、メロン子はプルプルする髭眼帯と秘書艦時雨、そしてグラ子を加えた三人を前にフンスと胸を張り、地下施設の案内を始める処であった。

 

 

「……ねぇ夕張君」

 

「はい、何でしょう提督」

 

「結局執務棟の地下施設ってこの部屋からでないと行けないの? 確か戦闘指揮所とかもこの地下にあるって聞いてるんだけど……それって不便じゃない?」

 

「いえいえ、流石にそれは効率的ではないので、各課の部屋にも地下区画直通のシャーする経路と、中央の廊下脇に下へ降りるエレベーターを設置していますよ」

 

「え、なにそのシャーする経路って」

 

「あーあれかな、僕もそれ見たけど……部屋の隅に消防署みたいに棒を掴んでシャーと下に降りる的な穴があったけど、もしかしてアレが……」

 

「そうです、緊急時にはあれでシャーして戦闘指揮所へ降りる設計になってます」

 

「いや別に階段設置すればいいんじゃないの? てか戦闘指揮所って機密性が高いのにそんな直通通路が出来ちゃうと不味いと提督思うんだけど……」

 

「それも考慮して、シャーした先にはセキュリティで固められた空間があり、そこから重要区画へ進むには認証が必要な機密扉を設置してますので部外者は指揮所へ入れなくなってます」

 

「あ、そうなんだ」

 

「ついでにシャーして入った先では上層階へ繋がる階段に対しても認証が必要な扉を取り付けてありますので、外部から進入した者はそこから出る事は出来ず、またその空間には友ヶ島警備府で稼動実績のある防犯システムが組み込まれていますので、侵入者に対しての備えもバッチリになっています」

 

「……友ヶ島警備府の防犯システムぅ? なぁにそれぇ?」

 

「区画の気密性は高くなってますので、空気を吸い出して真空にしたり、天井や壁に張り付けたり……」

 

 

 例の友ヶ島警備府艦隊総旗艦のフフ怖が身を以って有用性を証明した例のシステムは、更に洗練された形の物として西蘭奉行所もとい執務棟の地下防衛システムに組み込まれる事となり、侵入者を撃退するシステムの要になっているという。

 

 シャーする通路にそんな防衛システム。

 

 しかも目の前には執務室から地下へ至るエレベーターが見えちゃう隠し扉があるという、昨日から一歩も執務室から出ていないのに話を聞いただけでもうポンポン一杯な髭眼帯がプルプルする場がそこにはあったが、世は非情、ワクテカドキドキ地下施設案内ツアーは開始されてしまうのであった。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

「ここが地下一階、西蘭泊地が誇る大図書館になります」

 

 

 執務室から広めのエレベーターを利用して降りた場所は、丁度執務室と同じ面積で二階層分の空間があるという大図書館であった。

 

 外周は分厚いアクリルの透明な物になっており、水が張られたそこは明るくライトアップされ、ニュージーランド周辺に生息する魚が放たれているらしく、それらが泳ぐ様は幻想的であり、かつ無駄に手間が掛かっている造りになっていた。

 

 内部空間は中央部分が大きな吹き抜けとなっており、螺旋階段が備わる形で上下階が接続され、書物が押し込まれた移動式の書架が所狭しと並んでいる空間が広がっている。

 

 

「……ねぇ、何で壁が水槽ちっくになってる訳?」

 

「水というのはあれでもかなりの対爆性を有しています、なので対爆コンクリートの内側に水の層を配置する事で主要施設であるここの守りを固めると共に、お魚を解き放って癒しの空間を演出する形にしました」

 

「いや図書館ってあんま利用者居ないと思うんだけど……てか、これだけの本一体どこから持って来た訳?」

 

「蔵書の一部は提督が収拾した戦術関係の物と、私が趣味で集めた諸々、そして他は海湊(泊地棲姫)さんやほっぽちゃんが収拾したという物の一部が寄贈されてますね」

 

「寄贈って……よくこれだけの本を持ってたもんだねぇ」

 

「色々収拾して読み散らかしたのはいいんですが、どうもそれらの管理に困ってたらしくて……」

 

「結局処理に困った物をこっちに押し付けてきたと?」

 

「数にしてざっと五百万冊、ちょっと並べるにしては大袈裟というか、大学の図書館並の蔵書量になっちゃいましたけどねぇ」

 

「五百万て……」

 

 

 見渡す限りの本棚に、命一杯詰め込まれた諸々の本。

 

 それは数にして五百万冊、凡そ国会図書館に所蔵されている数の半分程はそこにある計算となる。

 

 そんな図書館と呼ぶに相応しい様にプルプルしつつ、本棚に納められる物を眺めながら夕張の後を髭眼帯達は歩いて行く。

 

 

 『昭和特撮大全』『大技〇』『補給艦速吸、提督にも補給しちゃいますっ!』『相対性理論とその特殊性』

 

 お魚が泳ぐ幻想的な水槽から漏れる光に照らされる、書架へ無作為に詰め込まれる本の数々と言うか本と呼称しても良いのかという類の物も混じる光景。

 

 それは恐らくメロン子が収拾したと思われるうっすぅいブックも学術書に混じってINしちゃっているというカオスが図書館という施設の有体から外れた異様さをそこに醸し出していた。

 

 

「整理は少しづつしていってるんですが、何せ量が量ですし、それが終わるのにどれだけ掛かるか判らないんですよねぇ」

 

「いやアイ〇シュタインさんの著書の脇に薄い本並べちゃダメでしょ……」

 

「あっ、『わたし、解体はじめました 狩猟女子の暮ら〇づくり 』があるよ! もうここの本って借りれるのかな?」

 

「狩猟女子ぃ? 何その物騒な女子!? てかそんなの借りて時雨君なにする訳ぇ?」

 

「これ結構役に立つ実用書だって聞いた事あって、前々から読みたいと思ってたんだ」

 

「『解体始めました』って町の中華屋さんが冷やし中華始めました的に言っちゃうのはどうかって提督思うんだけど……」

 

「この奥に貸し出しカウンターがあるので、図書館カードを作ればそこで貸し出し手続きは可能ですよ」

 

「えらい本格的だねぇ、貸し出しカウンターがあるって事は司書さんとかも居たりしちゃうの?」

 

「大部分の管理は機械的に賄えてるんですが、それでも細々とした物はやはり人の手が必要と言うことで、丁度海風ちゃんが図書館を作るならそこで働きたいって事でしたので、ここの整理や管理をお願いする形になってますね」

 

 

 結局例の狩猟系女子の本を含めたサバイバリーな本数冊を抱えた時雨を伴い、図書館の中央に位置するカウンターへ髭眼帯は手続きの為に足を運ぶが、そこには楕円のカウンターに囲まれた小さな空間があり、白露型七番艦の海風がテーブルに積み上げられた本のタワーに囲まれつつ、恍惚の表情を浮べ読書中という絵面(えづら)が見えてくる。

 

 

「……ねぇ、ちょっとアレ凄く声掛け辛いんだけど」

 

「あー……海風ちゃんって恋愛物の本とか大好物だって言ってましたから……」

 

 

 まぁ年頃の乙女はそういう物に憧れちゃうものだろうし、仕方がないのかなと見る髭眼帯の視界に海風が手にする本のタイトルが見えた。

 

 

『提督と元帥による夜の軍議』

 

 

 ちょっと少女マンガチックなキャラに書かれた二種軍装に身を包むメガネ系のイケメンと、同じく白い軍装姿の髭のナイスガイ紳士が妙に近いと言うか、ぶっちゃけ絡んでるカンジのイラストが表紙になった、ちょっと口にしちゃうのはメーなのではというタイトルが踊る、そんなブック。

 

 

 それは確かに恋愛系の本と言えなくは無いだろう。

 

 恋愛というのは色んな形が存在し、自由意志が尊重される。

 

 中には他者に理解されない物もあったりするが、愛の形として存在するのは確かであった。

 

 それらをマイノリティーや少数派という言葉でデコし、一定の需要が生み出され、夢見る乙女を虜にする場合もあったりしたりするのは文化的見地に於いて仕方の無い事と言えよう。

 

 しかし軍の施設に設置された図書館で白昼堂々とそういう個人的趣味に走る、公序良俗的にはアレなうっすぃブックを読み耽るくちくかんもとい司書さんはどうなのかと髭眼帯は思ったが、そういう指摘も憚れる程のアレな世界がカウンターの内側に漂っていたりした。

 

 

「海風、ちょっと本借りたいんだけどいいかな?」

 

「ひゃいっ!? ししし時雨姉さんっ!?」

 

「確か本を借りるのに貸し出しカードが必要だって聞いたんだけど、それもついでに作りたいんだけどな」

 

「……なぁAdmiral、時雨って時々空気を読まない時があるよな」

 

「……グラ子君はその辺り空気読めちゃう系だったりするのに、他の常識的部分がちょっとおかしいよね? 主に羞恥心辺りが」

 

「あのあのそのっ!? かかか貸し出しですかっ!? ちょっ……ちょっと待って下さいね」

 

「うん、貸りたいのはこの三冊なんだけど……ちょっとカウンターが散らかってるね、この『提督達の決断:夜戦編』って本とか横にどけてもいいかな?」

 

「待って!? それアイオワさんが後で取りに来るからって整理してたヤツだからっ! こっち! こっちで手続きしますからっ!」

 

 

 そういえば例のアイオワも腐の付く系の女子だったなと髭眼帯は思い出しつつ、結局微妙な空気の中図書館カードを発行して貰う事となった。

 

 その後はそそくさと場を離れるのもアレだという気持になってしまったお陰で、茶を濁す感じで暫く図書館の内部を見学するハメになったのは内緒の話である。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

「ここが地下三階、戦闘指揮所を含む中央作戦施設群が入る重要区画になっています」

 

 

 メーな司書が管理する巨大な図書館を見学した後、髭眼帯面々は漸く目的の場所である地下施設の重要区画に足を踏み入れた。

 

 エレベーターを降りた先には分厚い金属の扉が配され、壁には少しゴツい端末の様な機械が埋め込まれているだけの空間。

 

 凡そ八畳程のそこは天井が高く、扉も人力で開閉するには大き過ぎるサイズになっている様は、見た目だけでそこが厳重に隔離されているのだろうというのは想像できた。

 

 

「指紋、虹彩という二重の認証をここの端末で、そして幾つか設置しているカメラで骨格認証も同時に行う事で、事前に登録された者以外はこの先へ進めない造りになっています、そしてこの区画へ至る幾つかの外部経路も全てここに繋がる形にする事で、防衛面を強固な物にしています」

 

「随分大袈裟なセキュリティを組んだんだね、大坂鎮守府は地下へ入るのは自由で、各部屋に入るとこのみに認証システムがある形になってたけど……」

 

「平時は指紋認証だけになってましてここにタッチするだけで扉は開閉されますけど、緊急事態が発生して警戒レベルが上がると認証システムが複雑化するようになってますから」

 

「ふむ、そういう形にしてるなら面倒はないか」

 

「ここの向こう側には泊地の心臓である戦闘指揮所の他にも、緊急避難所や脱出システムも設置されてますから、強固な造りをするに越した事は無いと思いまして」

 

「……脱出システムぅ?」

 

 

 基地という物に付き物でありながらも、ロマンという物に分類されてしまうシステムは幾つか存在する。

 

 自爆機能、基地が変形しての巨大ロボ機能、作動してしまうと基地すら消し飛んでしまいそうな過剰な迎撃システム。

 

 それらの中でも実際に設置されるべき重要な設備であり、かつ加減を間違ってしまうとロマンという要素が増大してしまうというシステム、脱出という機能。

 

 そんな物をこのメロン子が設計配置したとなると、髭眼帯でなくともいぶかしむのは無理も無いと言えてしまうかも知れない。

 

 

 怪訝な表情になる髭眼帯の前では、プシューというエアーが漏れ出る音と共に、サイズを感じさせない軽やかな動きで扉が開いていく。

 

 そこから姿を現したのは幅が3m程だろうか、少し薄暗い廊下が一本奥へと続いているのが見える。

 

 飾り気のないそこは、経路案内を示す記号と矢印が床に記されており、壁、天井、床には強化ガラスで蓋がされた、色とりどりの明かりが灯る謎のメーターが所狭しと埋め込まれていた。

 

 大坂鎮守府では宇宙で戦っちゃうあの戦艦とか海賊船ちっくの造詣になっていたが、今回はそれより謎のメーター類が更に増量され、もっとメカメカしい様を廊下に見せていた。

 

 ビジュアル的にそれを判り易く説明すれば、宇宙をポッポーと走っちゃう例の機関車の機関室の内部的な、あのメーター塗れの惨状が廊下に展開されていると言えば判るだろうか。

 

 

「……おいメロン子」

 

「大坂鎮守府に設置された松〇メーターはほんの飾り程度にしか配置してませんでしたが、今回は廊下の照明も兼ねる事によってロマン成分も増量、あの9〇9の機関室をモチーフに〇本メーターと松〇ゲージを配置してみました」

 

「このメーターとかゲージは何の役割を果たしてるのかの説明を……提督にも理解できるようちゃんと説明してくれるんだろうね?」

 

「え、今照明とロマンって言いませんでしたっけ? と言うか、〇本メーターに機能を求めるのはナンセンスですよ? それよりもほら! 廊下に足を踏み入れれば奥に向ってピカーとメーターが輝いていくギミックも再現してみましたよ! どうです? 凄いでしょ!」

 

 

 お引越し先に整備される泊地施設、基準は大坂鎮守府になっていると同時に全てがそれを上回る物という形でそれらはで整備されちゃったりしている。

 

 結果として建設された施設は規模や機能のみに留まらず、ロマンという方向にも生かされてしまった結果、例の松〇メーターの数にもそれらは反映され、ピカピカと増量して廊下を彩ってしまっていた。

 

 そんなピカーするアレな廊下では、昨日に引き続きメロン子が生尻をピシーンペシーンされた挙句、漸く地下施設の見学は本番に突入していくのであった。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

「こ……ここが泊地の誇る地下戦闘指揮所でしゅ……」

 

 

 不自然な形で尻を突き出しプルプルするメロン子が招き入れる先には、大坂鎮守府にあった戦闘指揮所と同じ程の空間が広がっていた。

 

 ただその造りはまるで違う物となっており、機能的にと言うかSF的にと言うか、ぶっちゃけロマン要素が見た目でもはっきり増量されている空間が広がってしまっていた。

 

 

 部屋の中央には巨大な球形のホログラムが浮んでおり、それには世界の大陸全てと、恐らくは泊地が感知しているのだろう船舶の動きを示していると思われる光点が幾つも点灯している。

 

 壁面には大型モニターが幾つも埋め込まれており、それらをモニターする者の為の座席が幾つか設置されていた。

 

 当然松〇メーターもそれなりに埋め込まれ、それが照明の一部になっている事は言うまでもない。

 

 そんな室内を見る髭眼帯は、時雨に手渡されたドクペのプルタブを跳ね上げ周りを見渡すが、ふと目に留まった指揮官席と思われる部分を見ると眉根の皺を深くする。

 

 指揮所を一望できる位置にあり、明らかに他の箇所より豪華な造りになっているそこ。

 

 正しく指揮官が座すというのに相応しい場所には、何故か安物のパイプ椅子がチョコンと置かれていた。

 

 

「ねぇ、ここ指揮官席だと思うんだけど、何でパイプ椅子がおざなりにセットされてる訳?」

 

「ああそれでしゅか、そこは上にある提督の執務席と直結されてまして、座席が執務室にある間は仮設的にパイプ椅子が置かれてるんでしゅ……」

 

 未だ尻のダメージが抜け切ってないメロン子は、プルプルと不自然な動きをしつつ何やらリモコンを操作していた。

 

 髭眼帯的にもう突っ込みを入れる事も無いその仕掛けは、第二特務課秘密基地から続く提督専用の機構、『魔の艦長席』なのは間違いなかった。

 

 

 ゴンゴンゴンという作動音と共に上から降りてくるちょっと豪華な革張りチェアー。

 

 それには何故か深海棲艦上位個体である泊地棲姫が足を組んでシッダウンしつつ優雅にティーを嗜んでいる姿が見えた。

 

 

「……」

 

「……」

 

 

 無言で見つめ合う泊地司令長官と深海棲艦上位個体。

 

 そこには無言の間が生まれ、泊地棲姫が優雅にティーを啜る音だけが暫く戦闘指揮所内を支配していたが、徐に夕張からリモコンを奪った髭眼帯が無言でそれをポチーしてちょっと豪華な革張りのチェアーを上昇させる。

 

 

「おい待てヨシノン、いきなり人をこんな処に呼び付けておいて、何の説明もないのはどういう了見だ」

 

 

 相変わらず泊地棲姫はティーを嗜みつつ抗議の言葉を口にするが、ちょっと豪華な革張りのチェアーはそのまま天井へ吸い込まれていき、何も無い指揮官席(仮)へ髭眼帯は再びパイプ椅子をセットし直した。

 

 

「……あの、提督?」

 

「何かな時雨君?」

 

「えっと、あの……今の」

 

「うん? 何かな時雨君?」

 

「あの、えっと……うん」

 

 

 小さな秘書艦からは何か言いた気なちょっとは気まずい空気が漂っていたが、髭眼帯はそれに答えずスタスタと戦闘指揮所の詳細を見る為歩き去ってしまった。

 

 そんな髭眼帯が見学する指揮所、丁度指揮官席(仮)とは対面にある壁際には他の箇所とはちょっと赴きが違った何かが設置されていた。

 

 

 例の使途不明なメーターに囲まれた、SFちっくなコクピット的な造詣の何か。

 

 そこにはドラム缶染みた円筒の何かに半球状の物体を乗せた赤い珍妙なブツ。

 

 

 それを見た髭眼帯の頭には一瞬あの宇宙で戦っちゃう例の戦艦に搭載されるあのロボ、アナ〇イザーという単語が浮びプルプルしてしまう。

 

 そっとそれに触れようと手を伸ばすと、頭部である部分がクリッと回転し、メーターがピカピカしつつそのロボ的な物体が何かを喋り始めた。

 

 

『私は戦争をしているのだよ副総統。私の一番楽しい時間をくだらん飲み物で邪魔しないでくれたまえ』

 

「副総統って誰!? 寧ろドクペがくだらん飲み物とかそれ提督をディスってんの!? てかそれアナ〇イザーのセリフじゃなくてデ〇ラー総統のセリフッ!」

 

「流石提督ですね、普通セリフだけで誰が言ったかなんて判らないもんですけど」

 

「てかなんでア〇ライザーがこんなトコにセットされてる訳!? ここ松〇シリーズ増量し過ぎじゃない!? 推しなの!? そういう感じの推しで作っちゃったのココ!? ねえっ!?」

 

「因みにそのアナラ〇ザー、そこから出す事でラジコン操作が可能なギミックが仕込まれています、ただしリモコンはワンボタン式で、押したら左方向にしか曲がれませんが」

 

「見た目未来のロボ的形してんのに、超大昔のラジコン玩具みたいな機能しか備わってないのはナンデ!?」

 

『馬鹿めと言ってやれ。馬鹿めだ』

 

 

 結局色々とグレードアップしながらも指揮所に不必要な色々が内包されてしまった西蘭泊地戦闘指揮所は、メロン子のロマン成分過多の造りとなっているのが発覚してしまったという。

 

 

 




 誤字脱字あるかも知れません、チェックはしていますが、もしその辺り確認された方は、お手数で無ければお知らせ下さい。

 ただ言い回しや文面は意図している部分がありますので、日本語的におかしい事になっていない限りはそのままでいく形になる事があります、その辺りはご了承下さいませ。

 それではどうか宜しくお願い致します。


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