大本営第二特務課の日常   作:zero-45
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 前回までのあらすじ

 邂逅した新たな勢力と、今までにない有様、謎の海と謎の深海棲艦達の片鱗が見えた。

 そしてサイゼリス。


 それでは何かご意見ご質問があればお気軽にどうぞ。


2018/07/11
 誤字脱字修正。言い回しがおかしい部分の修正反映致しました。
 ご指摘頂きましたリア10爆発46様、K2様、水上 風月様、水上 風月様、有難う御座います、大変助かりました。


無関係を並べると繋がる関係

「ま、そんな感じで接触はしたんだけど、まだ何とも言えない状況だから対応はテイトクに任せるわね」

 

 

 西蘭泊地奉行所(執務棟)執務室。

 

 領海の確認から戻った朔夜(防空棲姫)の報告を髭眼帯と長門、そして呼び出された伊58が聞くという場がそこにあった。

 

 

「……軍か、まぁ知性を持ち戦いを繰り広げているならば辿り着いてもおかしくはない答えだと思うが、問題はどういう形で運用してるかになるな……」

 

「「軍」って呼び方から考えると、人間のやり方を幾らか模倣してるんじゃないでちか?」

 

「かも知れないねぇ、でもその可能性で言うと人の軍そのものを参考にした模倣と、戦闘面に於ける組織作りに集中したパターン辺りに絞られるんじゃないかなって思うんだけど」

 

「ほう? いやに具体的な話に言及しているが……提督にしては珍しいな」

 

 

 平時は憶測染みた意見は殆ど言わない髭眼帯が断言する言葉に其々は何か思う処があったのだろう、自然と次の言葉を待つ態勢で待つ。

 

 その反応も恐らく予想の内なのだろう、髭眼帯は茶を啜って口を湿らせて、周りの者が聞きたい情報を順序だてて口にしていく。

 

 

 それらの情報は、実は以前より精査しつつもタイミングと裏づけが問題となっていた物であり、まだ伝えるべき物ではないという事で誰にも通達していなかった類の物であった。

 

 

 だが今敢えてそれらを口にするのは拠点を国外に移した事と、取り巻く環境がそうさせた、言ってしまえばその情報は現状に於いて彼女達が知っておかなければならない物と髭眼帯が判断した物だからであった。

 

 

「先ず戦闘面を参考にした組織作りというのは説明するまでもないけど、深海棲艦と人類の戦いは海で行われている、つまり我々でいう処の『前線』での範囲に限定した物の話になる」

 

「まぁそうでちね、そもそも軍が本拠を置く場所でドンパチなんか発生する事になっていたとしたら、人類は末期でちよ」

 

「だね、だからそういう面での模倣となれば軍という組織を作ったとしても運営面なんて見えてない筈だから、戦闘面での模倣に留まり、運営はそこから導き出された調整がされていると考える、これは基準の絞込みは容易で、対処もそれなりで済むと思うんだよね」

 

「……それで? テイトクが言うもう一つの模倣って?」

 

 

 朔夜(防空棲姫)の問いに、髭眼帯は少しだけ雰囲気を固い物にする。

 

 

「これまで少しだけ話に出ていたけど……その実まったく続報が表に出てこなかった情報がある、と言うか皆も一度は聞いている筈だけど……多分忘れてしまっている情報が、ね」

 

「……忘れてしまっている、情報?」

 

「そそ、まだ朔夜(防空棲姫)君達がウチと行動を共にする事になってすぐの辺り、深海勢の存在って公には伏せられていた頃があったよね」

 

「中央ではそれなりに知れた事だったがな、市井(しせい)に流すには反響が大き過ぎるという事で確かにそれらは秘匿されてはいたが……それが?」

 

「深海棲艦と邂逅し、共闘関係を結んだ、その情報を開示しなければいけなくなった切っ掛けは何だったか、君達は覚えているかな?」

 

「えーっと、確か……欧州連合樹立に伴い、欧州でも邂逅していた深海棲艦の存在を公表するからと通達があったでちね、だから日本も……あっ!」

 

「そう、そういう邂逅があったと発表した筈なのに、以降は徹底して表に出てこなかった『欧州の深海棲艦』という存在、この辺りの情報が実は最近になって流れてきたんだよね」

 

 

 嘗て第二特務課が朔夜(防空棲姫)達と邂逅し共闘関係を取り付けた際、軍部は政府筋と協議し、その事実を公表するかどうかの選択に迫られた。

 

 答えとしては何も準備が無いままその事実を公表した場合、無用の混乱を招き、時の要職に就いていた者達の立場も危うくなるとの判断の元、情報は統制され、秘匿される事となった。

 

 

 それから暫く、艦娘の邂逅が頻繁となった欧州各国は艦娘の共有という目的を主眼に欧州連合を立ち上げ、日本にも協力関係を持ち掛ける事となった。

 

 

 この話の裏には潤沢な艦種を保有する日本の戦力を当てにするという目的が第一にあったが、同時に『深海棲艦という戦力を持つのは日本だけではない』という一種の牽制の意味を込めた物にもなっていた。

 

 それが「欧州連合の発足と共に深海棲艦と邂逅した事実も表に出す」という日本へのメッセージだったが、結局の処現在に至るまでその存在が表に出る事はなかった。

 

 

「欧州連合が邂逅した深海棲艦、もしそれがウチみたいに共闘関係にあるなら、どうして表に出てこないのか」

 

「単純に混乱を避ける為か……」

 

「戦力として使える程の数が存在していない、という事かしら?」

 

「まぁ普通ならそう考えるだろうねぇ」

 

「普通なら? その言い方だと違うんでちか?」

 

 

 伊58の問いに髭眼帯は初めてそれと判る程に表情を歪め、ボリボリと頭を搔く。

 

 その仕草に事の真相は余り愉快な物ではないのだろうと周りの者は予想した。

 

 

 何せ発表した内容が本当の事ならば問題はあったとしてもメリットの方が大きいのは確かである。

 

 それが戦力として頼るには心許ない数であったとしても、プロパガンダにも、情報源としても使いようがあるからだ。

 

 

 なのに続報が無い、影も形も。

 

 

 それの意味する答えとは。

 

 

「欧州連合が『邂逅した』と称する深海棲艦は鹵獲した姫級の事らしいんだよね、それも情報をかなり無茶な方法で引き出したとか」

 

「邂逅……協力関係にあったのではなかったのか」

 

「一時期色好い反応もあって、これならいけるだろうと発表に踏み切ったらしいよ、欧州連合の樹立にはそういった面でも色々と箔付けが必要だったんだろう」

 

「それで……今その姫はどうなったでちか?」

 

「英国王立科学研究所で検体になってるらしい」

 

 

 検体

 

 

 その単語が全ての答えであった。

 

 

 つまり欧州連合は深海棲艦との協力関係を得たと発表はしたものの、実際は失敗していたという結末にあった。

 

 深海棲艦の鹵獲というものは、少ないながらもされてきてはいる。

 

 だが意思疎通がとれ、知識を有する個体は殊更事例が少なく、また姫鬼という上位個体の鹵獲というものは、実は殆ど無い。

 

 

 公式的には第二特務課が(空母棲鬼)と戦艦棲姫姉妹を鹵獲した二例のみ。

 

 非公式の物では欧州連合……正確にはドイツが連合発足直前に轟沈寸前の駆逐棲姫を鹵獲した事案と、嘗て飛行場姫達が北方棲姫を頼ったように、戦いたくないという理由の元庇護を欧州連合に求めたという軽巡棲鬼の合計二体のみであるという。

 

 

「待て、その言い方だと欧州連合は、庇護を求めた深海棲艦を……殺したという事なのか」

 

「経緯までは判ってないけど、どうもそういう事らしいね」

 

「……随分な事をしてくれてるわね、助けを求めてきた者をそういう扱いにするなんて」

 

「ウチという前例があるからアチラさんには焦りがあった、しかも連合という各国の思惑が絡む中だったからこそ、そういう事が起こったとも言える、かな」

 

「……それで? テイトクが言う「模倣」にその欧州連合がどう絡んでくるのかしら?」

 

 

 人の麾下に自ら降り、(ともがら)として生きると決めた朔夜(防空棲姫)にとって、人の都合で潰された同族の話は怒りにも似た感情を沸き立たせる。

 

 助けて欲しいと、そう願う裏には「深海棲艦の自分」以外に「艦娘であった自分」がその鬼の中に存在していた筈である。

 

 

 人の為に戦い、沈み、黄泉還った後もまた人の都合で沈む。

 

 

 それはこの上なく不幸で、悔しくて、それ以上に悲しい事だろう。

 

 

 だから朔夜(防空棲姫)は仕方ないと思いつつも、どうしても今の自分と重ねてしまい、そして怒りを静かに滲ませる。

 

 

「邂逅した軽巡棲鬼さんとは別に、駆逐棲姫さんを鹵獲したのはドイツ国内のザルツヴェーデル近郊、つまり陸上だね」

 

「陸上……それは海に面した場所だったでちか?」

 

「位置的には確か海から140km程内陸、そこで大規模な戦闘が勃発して鹵獲されたそうだ」

 

「岸に近い場所ではなく完全な陸の上……それって」

 

「詳細は不明だし、自分はこういう筋が専門だから邪推しちゃうけど、恐らくその鬼さんがしていたのは斥候、若しくは情報収集をしていたんじゃないかなって思うんだ」

 

「……何故そう思うのか理由を聞いていい?」

 

 

 髭眼帯は言葉を選ぶように、そして何かを思い出すように、淡々と事実を先に並べ、次いで自身の考えをそれらに当てはめていく。

 

 

 深海棲艦との戦闘とはっきり吉野が情報を掴んでいるのは先の駆逐棲姫の一件のみ。

 

 

 しかし時を同じくして同規模の戦闘が都合五回ドイツ国内では確認されている。

 

 それらの戦闘はテロ鎮圧の為に行われた物であるとされているが、それを主導した組織も首謀者もそれまで特に目立った動きをしていなかった小規模組織であった事。

 

 更にその戦闘には艦娘で編成した部隊が大量投入されている点と、不自然な程に大袈裟で、しかも情報統制が徹底されている点。

 

 

「まだ軍部と連邦議会が対立関係にあった当時、治安維持目的で軍直轄の部隊を投入するのは殊更難しい状態にあったそうだよ? それなのにこの一連の作戦には寧ろ政府筋が積極的に軍を投入する動きが見られた、つまりそれは……」

 

「相手が深海棲艦だったから、か?」

 

「ついでにこの当時は欧州連合樹立の動きが本格化していた時期でね、その情報を得る為に深海側の勢力から情報収集する為の者達が送られて来た……と、まぁこの辺りは、自分の邪推を多分に含んだ想像の話だったんだけどね……今までは(・・・・)

 

「……今までは?」

 

「そ、ウチが西蘭に居を移した時にね、色々と裏で協定を結ぶ事になった筋が多いんだけど、その中でも特にドイツ連邦の国防大臣さんとは仲良くなっちゃってねぇ」

 

 

 ドイツ連邦共和国国防大臣エメリヒ(Emmerich) ザールヴェヒター(Saalwächter)

 

 嘗て吉野が日本から飛び出す切っ掛けとなった会談に於いて、欧州連合の代表として会談に参加していた男である。

 

 

 元は海軍の将官であり、欧州連合発足と同時に連邦議会に召還され政治の世界に身を置く事になったという経歴を持つ。

 

 

 件の会談の後吉野達が外地へ居を移す事になった時、いち早く接触を図ってきたのもこの男であったが、日本とは軍部の将として関わってきた期間が長く、また、ドイツの軍部が政治的窮地にあった頃から日本との戦時協力を主導してきた立場にあった。

 

 

 その為日本の海軍には元々好意的で、更に言えば自身もガチガチの海軍気質、止めには染谷とも深い繋がりがあり、リーゼロッテを友ヶ島司令長官へ招致するのに一枚噛んでいたのもこの男であった。

 

 そういった縁があり、事後ではあるが腹を割って関係を求めてきたという事情が功を奏し、吉野とこの男は現在はそれなりに情報交換をする関係を築くに至っていた。

 

 

「つまりそのドイツの国防長官さんから仕入れた情報に、その……」

 

恐らく(・・・)、件の深海棲艦達は欧州連合に関しての情報を収集しようとしていたのだろう、と、そんな分析結果が上がってきたとかなんとか」

 

「要するにその一連の裏には、インド洋の「軍」と称する者達が関与しているとテイトクは言うのね?」

 

「あくまで可能性の一つとしてだけどね、でも自分達を「軍」という組織として行動してるなら、そういう事をしてても不思議ではないかなぁと思ってるんだけど」

 

 

 本能のまま、戦う為に生きていると言っても過言では無い異形。

 

 それが今まで深海棲艦と呼ばれた存在に対する各国の認識であった。

 

 

 しかしそれらが組織という体を整え、軍と呼称し統率の取れた行動を展開する。

 

 その組織が得ようしたのは、自分たちが支配するインド洋に巣食う日本の海軍と深く関係する、新たな艦娘を擁する存在となりつつある欧州の国々。

 

 戦力的には問題が無いだろうが、敵が増えれば問題も増える、だから組織としての体を整え、情報収集を行う。

 

 深海棲艦が効率的に戦うという事を覚え、本能以外の部分で敵と対する存在へと進化する。

 

 

 その予想は現在吉野の想像の内にあるだけの物かもしれない。

 

 しかし深海棲艦の一大集団が「軍」と名乗るならば、そういう状態になっていてもおかしくはない。

 

 寧ろ他のインド洋の深海棲艦達が軍という組織形態で海域を支配しているのならば、人間の世界へ情報収集という搦め手でアプローチをするのはインド洋の一派なのではないか。

 

 

 そこから最初の話に戻せば、かの者達が軍という組織を模倣した場合、軍という組織のなんたるか以上に人間社会の内情を掴んでいる可能性が高い。

 

 

「人類に対して圧倒的な戦力を有する深海棲艦が何故そういう形で情報収集なんかする必要があるでちか、迎え撃つのも攻めるのも今のままで充分なのに……」

 

「これまではそれで大丈夫だったけど、今は情勢が違うという認識になったんでしょうね、これであの南方棲鬼がこっちの事を知らなかった謎が解けたわ」

 

 

 朔夜(防空棲姫)の言葉に伊58が首を捻り、逆に長門が何かに気がついた仕草を見せる。

 

 

「ウチが海湊(泊地棲姫)と北方棲姫という勢力と結び付いたせいか」

 

「ご明察、確かに人類対深海棲艦という図式だと人類に勝ちの目は無い、だけど人類側に深海棲艦、しかも原初の者二人が肩入れしたとすれば……」

 

「て言うか実際はどちらにもいいように扱われてるだけという実態があったりするんだけどね……」

 

「そ・れ・で・も、友好的な関係を築いてるのは確かなんだから警戒されてるのは確かだわ、しかも情報封鎖をしているって事は、何か対策を立てている可能性もある」

 

「……殆どの部分は想像の域を出ていないが、ドイツ筋の話を含めると無いとは言い切れないのが問題だと思うぞ、提督」

 

「だよねぇ、でもこちらから何かしらのアクションを取る切っ掛けも無い感じだし、暫くは潜水艦隊を中心とした西蘭周辺の海図作成を実施し、艦隊本部と連携して防衛計画の立案をして貰うつもりでいるんだけど」

 

「……海図、いや海底地図の作成か? 確かにここは軍の支配域の外でそういう物もない、そして拠点を置くならその手の資料はいつかは必要だと思っていたが……」

 

 

 この世界は二十世紀末期には一度文明が瓦解し掛け、漸く持ち直したばかりであった。

 

 広域通信網も物理回線が中心であり、無線系の物は深海棲艦の支配海域で遮断され用を成さない。

 

 

 それと同時に宇宙開発もほぼされていない現状、衛星通信や位置情報の取得、つまりGPSという物も存在しない。

 

 

 つまり海域情報は精度の高い海図と羅針盤、そして光学系の観測機器に依存する状態にある。

 

 

 日本海軍が支配する海域は当然詳細な調査の末海図や海底の形状が判明しており、軍事行動はその情報を元にして行われている。

 

 しかし西蘭島は海湊(泊地棲姫)の支配下にある為、旧時代の海図は存在していても、軍務に使える精度の資料は存在していない。

 

 

 陸地から光学機器を使用して測距した情報、空撮した海域の情報、天体を観測して得た情報、そして多くはそれらでは観測できない部分を海底の地形を計測して繋ぎ、漸く正確な海図が出来上がる。

 

 様々な情報を照らし合わせて作られる海図であるが、それらに利用される情報の多くは潜水艦が拾ってきた海底の情報に依存していた。

 

 

「……なる程ぉ? 珍しくごーやにお呼びが掛かったと思ったら、そういう裏があったでちか」

 

「この前の着任でウチの潜水艦隊はごーや君を始め、イク君、ニム君、イヨ君にゆーちゃん、そしてシオイ君にヒトミ君が居る、まぁまるゆ君に(潜水棲姫)君は別件で外せないけど、水上艦の子を護衛として充て、潜水艦隊の子は一艦隊に二人、三艦隊編成で回せば作業の負担はかなり減る」

 

「ツーマンセルで海底情報の収集でちか? ……それだとちょっと探査情報の精度が落ちる可能性があるでち、重要範囲……西蘭島周辺と船団護衛を必要とする航路は三人一組で、他の部分はてーとくのやり方でやればいいと思うでち」

 

「少なくともその「重要範囲」の情報は早急に揃えて欲しい、暫く無理をさせる事になると思うけど大丈夫かい?」

 

「大本営じゃそれが当たり前だったでち、仕事の完了は大体……半年を目処に、それ以上の期間短縮は情報精度の低下を覚悟して欲しいでちよ?」

 

「一年後に新たな軍団編成を外部に向けて告知予定だからそれまでに整えてくれればいいかな、広域情報は取り敢えず航空機による観測で賄う事でなんとかしよう、いいね?」

 

「……新たな軍団編成?」

 

 

 長門すら初めて聞く髭眼帯の言葉に場の注目が一点に集る。

 

 全ての視線を受け、それらを確認し。

 

 

 それでもわざと、ニヤリと笑みを浮かべ髭眼帯は宣言する。

 

 

「誰かに遠慮をする事も、耐える事にももう飽きた、これより西蘭泊地は専守防衛の戦力とは別に打って出る……『攻勢の為に編成した艦隊』を設立する」

 

 

 何事も突出せず。

 

 争いは出来るだけ避け。

 

 協調が第一として行動してきた髭眼帯。

 

 

 その男が言った、『攻勢の為に』と。

 

 

 決して是としなかった、麾下の者を武力とする艦隊を常設するという。

 

 軍としては国益と国民の為に奮われるという力を、それでも人の代理として命を摩り潰す行為と忌諱していた者がやるという。

 

 

 その行為は誰の為に? 何の為に? 誰に向けて?

 

 

 そんな疑問もある事は確かだが、それでも泊地麾下の者達は奮い立つ。

 

 

 何故ならば、己達は戦う為に生まれた戦舟(いくさぶね)

 

 受肉し乙女の身体を持つ存在であっても、生まれ、現世に在る意義は戦場にこそある。

 

 主が戦うと言うのならば、それは本懐であり、摩り潰れたとしても本望、寧ろ望む処であった。

 

 

 こうして時勢の変化と、特定困難な勢力との邂逅は吉野の覚悟を固めさせる切っ掛けとなり、「攻める為の常設艦隊」設立となった。

 

 

 同時にそれは、これまで西蘭の麾下に所属しているだけ(・・)と認識される、過去とされてきた者達─────────

 

 

 ─────────そんな者達を切り捨て、吉野の下へ追い遣った強者(つわもの)達の本当の力がどれ程の物なのかを。

 

 

 世界が知るのはこれより一年と少し先になるのであった。

 

 




・誤字脱字あるかも知れません、チェックはしていますが、もしその辺り確認された方は、お手数で無ければお知らせ下さい。
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・また言い回しや文面は意図している部分がありますので、日本語的におかしい事になっていない限りはそのままでいく形になる事があります、その辺りはご了承下さいませ。

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