大本営第二特務課の日常   作:zero-45
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 暫く本編お休み頂いてますので、極たまに時系列を埋める形で一話完結物をちょくちょく投稿していきます。


 それでは何かご意見ご質問があればお気軽にどうぞ。


2018/09/16
 誤字脱字修正反映致しました。
 ご指摘頂きました坂下郁様、K2様、リア10爆発46様、皇國臣民様、Jason様、有難う御座います、大変助かりました。


とある深海棲艦の視点

 私の名前はリコリス棲姫。

 

 誇り高き深海棲艦の上位種であり、古い時代の者の一人。

 

 

 え? 古い時代の者って何なのかって? ああそれは……上位種って言われる姫や鬼と呼ばれる者達が生まれ始めた頃から生き残った強者(つわもの)をそう言うの。

 

 そういうのは他にも居るけど、姫や鬼って中々死なないし、私は元艦娘だからあちこち流れて色んな経験を積んでるし、どこに行ってもそこそこ重用されててね、うん。

 

 で、死なないようにって立ち回ってたから無駄に長く生きちゃって、いつの間にか深海界隈でも古株って事でそう呼ばれる内の一人になっちゃってたって訳。

 

 

 まぁそれで色々と名が知れ渡っちゃって面倒だから、今は比較的自由で縄張りの防衛義務も無いほっぽの縄張りでお世話になってるの。

 

 

 それでのーんびりと過ごしてたんだけど、ちょっと最近面白そうな話を聞いたのよ。

 

 

 えっと、なんでもほっぽが最近人間と仲良くなって、色々と友好関係を持つようになったって話。

 

 

 マジ? あの引き篭もりのホッポが外の、しかも人間と交流? それって何の冗談?

 

 

 って思ってたらムツ(港湾棲姫)が移住組……えっと、私と同じで他海域から流れてきた者達に移住しないかって声を掛け始めたの。

 

 

 ほっぽは来る者拒まず、そして戦うのが面倒だから戦闘の義務も無いって事で余所の元艦娘の姫鬼がここに集中しちゃってるし、そろそろテリトリーで抱えるキャパが危ういのは知ってたけど、え、どこかの大ボスがそんなの受け入れ表明でもしたの?

 

 

 でもそういう話があるって事は、戦力としての姫や鬼を欲しいって話なんでしょ?

 

 

 馬鹿ね、そういうのが嫌でここに流れてきた子達にまた戦う為に他へ移れって言ったって誰も手なんかあげ……え? そういう事じゃない?

 

 

 は? 受け入れ先が人間の軍? それも拠点の麾下にってどういう事?

 

 

 ……色々ムツ(港湾棲姫)からの話を聞いたけど、マジなの? 人……と言うか、姫や鬼が恭順して人間であるテイトクの麾下に就いてるって、何の冗談?

 

 えっと今は外地で半独立状態で? しかもそこは原初の者が支配するテリトリー内って……もしかしてほっぽと同格の、あの泊地棲姫の事なの?

 

 

 ……えーと、何か色々ありそうだけど詳しく聞かせてくれない? 面白そうだし、うん。

 

 

 結局話は搔い摘んでという形でしか聞けなかったけど、少ない情報ながらその話は面白いという面が多かったわ。

 

 興味もあったけど、既に幾らか姫鬼が居るって実績と、最悪現地で馴染めなかったら帰ってきていいって話が決め手となって私も移住組に参加する事にしたわ。

 

 

 場所を聞けば南半球ってだけでここ(北極海)より過ごし易そうな場所みたいだし。

 

 ついでに深海棲艦を麾下に置く人間……テイトクって存在になんて言うか……ちょっと惹かれる感じもするのよね。

 

 

 だから物見遊山的な気分で行く事にしたわ。

 

 

 え、なに今回の移住組の責任者? なんで私が?

 

 

 ああそう、確かに私が一番古参だものね、いいわよ引き受けるわ。

 

 何せこう見えても私は古い時代の者だから、ヘタな海域のボスより経験も力もあるのは判ってるわ、任せなさい。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 そんな訳で私は今水母棲姫と幾らかの一線級(Flagship)を連れて指定された島に来た訳なんだけど、ちょっと何? 出迎えも無ければ目の前には目障りな船が立ち塞がってるんだけど?

 

 

「おい、そこの深海棲艦、母艦の進路を塞ぐな、湾内での航行は大型艦に優先権がある事を知らんのか」

 

「……なんで図体がでかいだけの船の為に私達が待機しないといけない訳? 効率を考えればそっちが後から着岸すればいいんじゃないの?」

 

「物の道理を知らんヤツだな、母艦は小回りが効かん上に重要拠点となる、だから軍規上は戦闘員より船が重要という事で優先されるんだ」

 

「それは貴女達の道理でしょ? 何故私達がそっちの都合に合わせなくちゃならないのよ」

 

 

 ……見た事のない種の艦娘ね、もしかして最近邂逅した欧州艦っていうヤツかしら?

 

 船に掲げられてる軍旗も日本の物じゃないし。

 

 

 ここは確か日本海軍の拠点って言ってたわよね? テイトクもそこの所属だって聞いてたし。

 

 え、水母棲姫もそう思う? なら遠慮はいらないわね、ついでにこの拠点の子達にこっちの力を見せるいい機会かも知れないし、少し揉んでやろうかしら。

 

 

 ……あれ? 何か港の方から凄い勢いで誰かが飛び出してきたけど……え? あれって姫級よね? 迎えにでも来たのかしら?

 

 今更って感じもするけど遅いわよ、もうこっちは臨戦態勢に入っちゃってるもの、もし邪魔するならまとめて相手になってやるわ。

 

 

 何せ私は古い時代の者リコリス棲姫、そんじょそこらの姫鬼程度じゃ相手にならないわよ?

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 ……ちょっと待って、聞いてないわよ。

 

 何でこんなとこに"はぐれの防空棲姫"が居るの?

 

 

 アイツって確か西太平洋辺りで大人しくしてたって……あ、西太平洋ってもろ泊地棲姫のテリトリーだったわね、失念してたわ。

 

 

 でもなに? あの戦闘力……確かに防空棲姫って強いって聞いてたけど、こんなに一方的にやられるなんて……あ、ごめんなさい、逆らいませんから殴らないで、バケツがカーンって音を立てて耳が痛いの……

 

 

 結局あのクソ生意気な艦娘と舌戦を交えてさぁこれからって時に横槍……はい、なんでもないですごめんなさい。

 

 いえ、その、確かに調子に乗ってましたけど、この……正座にバケツって組み合わせは古い時代の者としては耐えられ……はい、なんでもないです。

 

 

 え? まだこの罰は軽い方? 大人しくしてないと究極の罰が待ってる?

 

 

 ……究極ってナニ……え? あ、はい、判りましたごめんなさい。

 

 

「……で? これは一体どういう状況なのか提督聞きたいんだけど」

 

「湾内でドンパチしそうになってたから、取り敢えずバケツ正座に処したわ」

 

 

 取り敢えず……取り敢えずで私ボコられたの? 何か扱い軽くないかしら……

 

 いやでも、防空棲姫相手だと、うん、まぁ仕方ないと言えるのかもしれない、しかもアイツ面倒ならどの海域のボスでも関係なしにぶっ倒すってあの"ハグレ"だし……

 

 

「えっと……確認すると、そこで処されてる深海の人達とか艦娘さんて、ウチに着任予定の?」

 

「こっちの列はほっぽのとこから送られてきた姫二人と、一線級(Flagship)十人ね」

 

 

 バケツのせいで声しか聞こえないけど、これってテイトクって人間の声よね?

 

 なんか凄く頼りない感じの軽い言い回ししてる気がするんだけど、もしかしてこの拠点って"ハグレ"が仕切ってるって事?

 

 

 まぁそれなら色々と納得する部分もあるけど、それでも"ハグレ"と普通に喋ってるし、この辺りの人間関係をムツ(港湾棲姫)にもっと色々聞いておくべきだったわね……

 

 

 でも『向こうに行けば嫌でも色々は納得すると思うわ』って茶を濁されて聞けなかったし……

 

 

「こちらも奉行所(執務棟)へ連れて行く前に、少しだけ教育しなければいけないと言う事で、着任のご挨拶は後ほどと言う事でお願いします、Admiral」

 

「ま……待てウォースパイト! わたしは何もやましい事はしていない!」

 

 

 は? 何言ってるの? そっちが先に喧嘩売ってきたんじゃない、なに言ってるのよ!

 

 

「黙りなさい、貴女は他の者達を諌める立場にあるというのに、いざこざの先頭に立つなどと英国艦としての誇りはないのですか? その辺りAdmiralの麾下に就く為の心得をみっちり仕込まなければ、恥ずかしくて着任させる訳にはいきません」

 

 

 そうそう、もっとそのバカを教育して頂戴、って言うか貴女艦娘なのに中々見所があるじゃない、うん、そういう跳ねっ返りは最初からガツーンとやっとくべきよ。

 

 

「あー……えっと二人共、何と言うか程々にね? いやマジで」

 

「まぁこっちは(空母棲鬼)に教育を任せるわ、あの子の方が弁は立つし」

 

「教育ってナニ? 私何も悪い事してないと思うんだけど!?」

 

 

 ちょっと待ちなさいよ! 何で私達がそういう扱いされる訳? 寧ろテイトク! 貴方ここではお飾りかも知れないけど言いなりになってないで少しは自分の意見を言ってもいいんじゃないの!

 

 これでも私は古い時代の者なんだから! もう少し丁重な扱いされてもいいと……あ、はい、ごめんなさい。

 

 

 はい、これから泊地の教育を受けるんですね。

 

 いいえ何も、はい、移動します、え、バケツ被ったまま移動するんですか?

 

 

 ちょっとそれは、あ、いいえ別に文句は、はい、判りました。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

「で? コレが北方棲姫のとこから送られて来た姫級達?」

 

「そうよ、結構跳ねっ返りなとこがあるから、ここの決まり事とか諸々仕込んでやって頂戴」

 

「……は? 何で私が? 今は夜の仕込みで忙しいんだけど?」

 

「キッチリ仕込めば貴女に対するテイトクからの評価がうなぎ上りになると思うんだけど、どう(空母棲鬼)?」

 

「……さて、後はウナギのゼリー寄せハウカットル風味を冷やすだけだから、早速教育してやろうかしら、まぁ私に掛かればこんな仕事なんてチョチョイのチョイよ」

 

「まぁ単純な戦闘力ならワタシとタメで、暇してるのは貴女だけだし、頼んだわよ?」

 

 

 ……ちょっと待ちなさいよ。

 

 なに? "ハグレ"の防空棲姫に変な……飲み屋? に連れて来られたと思ったら、そこの主が空母棲鬼って、しかも二人の会話を聞いてて判ったんだけど、アレと同格って……そう言えば昔聞いた事があるわ、"ハグレ"と殺し合いになった鬼級が居たって……もしかしてアイツ"(みなごろし)の空母棲鬼"!? なんでフィリピン海の大頭目がこんなとこで酒のツマミを作ってる訳!?

 

 

「ボーちゃんどうでもいいんだけど、なんでボクも呼ばれちゃってるのかな、今日はムサシと演習する予定で泊地に帰って来たんだけど」

 

「あーゴメンゴメン色々と邪魔しちゃったわね、でも今日はちょーっと教育する人数が多いから、冬華(レ級)にはそこの一線級(Flagship)達の事を頼もうかと思って」

 

「え~……ボクそういうの苦手なんだけど」

 

「ああ心配しなくていいわよ、今日は取り敢えずどれだけできるかっての見るだけでいいし、やる事は演習だから、ほら、そっちなら大丈夫でしょ?」

 

「……まぁそういう事ならいいけど、あんまり手加減はできないと思うよ? いい?」

 

「ちゃんと演習弾を使う事、それと殴りは禁止、それならいいでしょ?」

 

 

 ……待って、ちょっと待って!?

 

 あのレ級部分的に体が赤いんだけど!?

 

 

 え、もしかしてコイツってレ級elite!? 嘘!? って事はあの"南海の悪魔"なの!?

 

 

 なんで拠点で飲み屋やってて、しかもそこにこんなバケモノ達が集ってる訳!?

 

 

 えっと……横で正座してる水母棲姫が何かを悟った目で遠くを見てるんだけど、ちょっとねぇ戻ってきなさいよ、私だけでこんなの相手にできるワケないし、ねぇちょっと!

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 ……はい、リコリス棲姫です。

 

 現在私は(空母棲鬼)さんに泊地の案内と説明を兼ねた一環という事で色々な部署の責任者に引き合わされています。

 

 

 取り敢えずは執務棟という泊地の中枢で色んな人を紹介されました。

 

 

 えっと、先ず引き合わされたのは、泊地の艦娘の首魁と言うかトップの長門という艦娘。

 

 

 話した感じ穏やかで物静かな人だったんで、ちょっと安心してたのですが、(空母棲鬼)さんが言うにはあの人って昔フィリピンからシンガポール辺りで暴れ回ってた"人修羅"って艦娘だそうで。

 

 

 はい、知ってます、直接戦った事はないですけど、昔私もあの辺りに居ましたので。

 

 寧ろ知り合いがまとめてボコられてて、『あの艦娘はヤバい、目が合っただけで皆死ぬ』って聞いた事がありますもん。

 

 

 いや、まぁ私がほっぽのとこに避難したのも、あ、いいえなんでもないです。

 

 

 で、その隣でニコニコしてた大和さん。

 

 はい、知ってます。

 

 

 風の噂で姫とか鬼の艦隊相手に真正面から攻撃を受けて、それでも殆ど無傷でニコニコしてるバケモノ……ああごめんなさい、そういう噂を聞いた事があるってだけで。

 

 いやいやいや私はバケモノなんて言ってませんから、はい、だから笑いながらジリジリこっちにこないで下さい、ほんとお願いします!

 

 

 それで次に執務室に行って提督の秘書さん達に挨拶しに行ったんですけど……

 

 

 何でそこで潜水棲姫がオヤツをモリモリ食べてるんでしょう?

 

 は? テイトクのとこに遊びにきた?

 

 

 ……潜水棲姫ですよね? あの深海の絶望と言われる姫級ですよね? 何でそんな存在がメイド服着てオヤツ食べてるんですか?

 

 は? え……泊地ではこれがスタンダード? ……スタンダードなんですか……そうなんですか……

 

 

 それで他の方は駆逐艦の艦娘さんと、確かその人は金剛型の、あ、はいこんにちは、これでもちょっとだけ長生きしてますから、はい、艦娘さんの事は詳しくって。

 

 ……はい? えっと? そこの金剛型の人ってあの南海の悪m……アバババ、えっと……冬華(レ級)さんを昔ボコって舎弟にしてたって……嘘ですよね? ちょっ、何で笑ってるんです(空母棲鬼)さん。

 

 

 え、戦艦棲姫もタイマンでボコった? あはははまさか、嘘ですよね? レ級に戦艦棲姫って完全にガチ勢ですよ? そんな訳……え、何で皆さん……えぇぇ?

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 もーなにここ! 深海勢も艦娘もバケモ……ゲフンゲフン、恐ろしい人ばかりじゃないですか!

 

 

 なんなんですかお腹すいたからってごはん食べにいったら、そこの女将さんがあの"鬼人"って!

 

 確か日本海で死んだって聞いてましたよ? 何でこんなとこでおでん作ってるんですか? それにごはん運んできたあの龍鳳って人……あれ"リンガの爆撃姫"じゃないですか、私の事殺そうとしてません? 生きた心地しませんでしたよっ!

 

 

 それでこれからどこに連れていかれるんです? もう私ちょっと休みたいんですk……えっと、すいません、アレなんでしょうか?

 

 あ、いえその……向こうから何か行列と言うか……

 

 

 珍妙な動物に……えっと、バケツ被って縛られ? はい、縛られた人が乗せられてトコトコ歩いてくるんですが。

 

 

 はい? バケツ縛りで泊地引き回し? 何ですそれ?

 

 え、バケツ正座の上位バージョンて……もしかして、何かやらかしたらあの罰を? えっ……なんですそれ人としてあんな罰食らったら生きていけませんって、いやいやいや……

 

 

 ちょっと、ごめんなさい、何であの艦娘? さんハアハアしてるんです? え? 常習犯? そ、そうなんですか……はい? あの人工廠のトップなんですか? え? 夕張さんって言うんですね、そうですか。

 

 

 は? "対潜の夕張"ってあの!? ちょっと待ってその夕張ってあの東シナ海で潜水艦を根絶やしにしたあの? なんでそんな大物がバケツ被って縛られてハアハアしたてんですか!?

 

 え、後でテイトクがケツバット? なんですそのケツバットって? 

 

 聞かない方がいい? ……はぁそうなんですか、いえ、はい、判りました……

 

 

 ところで、質問ばかりしてごめんなさい、ちょっといいですか?

 

 

 あのお店……あ、コンビニって言うんですか、はい、その店先で物凄く殺気立ってジャンケンしてるあの人達って……あ、何か片方の人崩れ落ちましたけど……

 

 えっとなんかプルプルしつつ何かを飲んで……え、えぇ~……ちょっと倒れたまま動かなくなっちゃったんですけど大丈夫なんですかあの人?

 

 

 はい? いつもの事だから気にしなくていい? え? いつもの事ぉ?

 

 

 あ……引き摺られていっちゃったんですけど、あの人駆逐艦ですよね? もう一人の方って明らかに軽巡……いや重巡みたいなんですが、力持ちだなぁ……

 

 

 はい? あの人は特別? はい、医局の責任者さんなんですね? でも駆逐艦の人がそんな重要な部署の責任者って……

 

 

 ハァァ!? "最初の五人"って、あの? 番人? 番人ってあの最初期の艦娘ですよね!? 何でそんな人がこんな僻地でジャンケンに興じてるんです!?

 

 え!? テイトクの身内ぃ? 何なんですそれ、え、もう二人ここに居るぅ!? 番人がぁ!? どういう事ぉ!?

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 ……ああすいません、ちょっと色々とびっくりしちゃいまして、はい、ああいえ大丈夫ですよ?

 

 もう色々あってそろそろ慣れてきましたから、はい。

 

 

 もう何があっても驚きませんって、はい。

 

 いやこれ以上何があるって言うんですかハハハハ……

 

 

 あ、あそこにいらっしゃるのがテイトク様ですか、はい、あいいえ漸くお会いになれるかと思ったらホッとしました。

 

 えっと……色々なバケm……いやいや、艦娘さんとか深海勢を率いてる方にしては線が細い人だなぁって。

 

 

 隣に居る艦娘さんは……っ!? "千里眼"さんですか、はい、えぇ、噂程度なら……そうですか、あの人もそういう系の……

 

 それでもうお一人は……武蔵さん? それって……ああ、やっぱりそっちの武蔵さんなんですね、えぇ最近まで日本海軍の要でしたから、はい、知ってますよ?

 

 

 ……ほんとなんなのここ、私こんなとこでやっていけるのかしら。

 

 あの人間がここのトップなのよね?

 

 

 話に聞く限りは周りの者達からは慕われてるみたいだけど。

 

 見た感じ全然普通の……うん? まぁ見た目ちょっとイカツイ男だけど、本当にあの男がここの支配者な訳?

 

 

 まぁ周りには錚々たる面々が控えてるから何かがあるんだろうけど……

 

 

「ん? (空母棲鬼)君その人は今日来た?」

 

「そうよ、ほっぽの処から来た例の姫級」

 

「そうなんだ、確かちゃんと挨拶してなかったね、自分がこの泊地の司令長官をしている吉野三郎です、宜しくお願いしてね?」

 

「あ……え、えぇ、私は一線級(Flagship)を率いて長き時を海で戦ってきた古い時代の者、リコリス……」

 

「なぁよしのん」

 

 

 ……ちょっと、今私が挨拶してる最中でしょ? なに横から割り込んできてんのよ。

 

 ん? 泊地棲姫? ふーん……陸上型も支配下に置いてるの? 中々戦力が整ってるじゃないここ。

 

 

「え、どうしました海湊(泊地棲姫)さん」

 

「うむ、ちょっとやらかしてしまったので詫びねばならんとよしのんを探していたんだ、で、執務室に行ったら留守で、親潮に聞いたらこっちに居ると教えて貰ったからな」

 

「うん? ……やらかした? ナニを?」

 

「いや、あー……よしのんは『ポンポン菓子』というのを知っているか?」

 

「えぇ……まぁちょくちょくオヤツに出てますし、それが?」

 

「うむ、間宮でそれを作ってるのを見てだな、ウチでもあの機械があったらポンポン菓子を作れるかと思って夕張に発注していたんだ」

 

「……それで?」

 

「あー、その、それでだな、一回一回ちまちま作るのは面倒だなと、ほら、ウチって静海(重巡棲姫)をそっちに嫁に出したせいで細々した事は自分でしなくちゃいけなくなっただろう?」

 

「嫁に出したとかそういう表現しないで? 提督そういう形で静海(重巡棲姫)君をくれって言った覚えありませんから」

 

「いやそれはもう既成事実としてだな……」

 

「既成事実言わない! そこに新しく来た人も居るんだから!」

 

「あー、うん、それはすまん、それでポンポン菓子製造機を作ってくれと頼んだんだんだが、夕張に」

 

「……ほう? メロン子にぃ? それでぇ?」

 

「で、その大型ポンポン菓子製造機なんだがな」

 

「ちょっと待ってみようか海湊(泊地棲姫)えもん、え? 大型のぉ? ポンポン菓子製造機ぃ? ユウバリンコが作ったのぉ?」

 

「ああ、ちまちま作るのが面倒だっんでな、既製品の十倍サイズの物を用意して貰った、しかも太陽光発電とやらで動く自動製造機を用意して貰ったんだが」

 

 

 え? あれ? なんだかさっきまでパッとしない雰囲気だったテイトクが……え?

 

 何か凄く……殺気というか、こう……存在感が増して……

 

 

「試しに使ってみたら爆発した、そしてテイトクの私室が半壊した」

 

「どうしてメロン子にそういう依頼しちゃうの!? 寧ろ何でポンポン菓子製造機という兵器の試し撃ちを提督のマイルームで行う必要性があったのかの詳しい説明をして欲しいんですけどっ!?」

 

「いや、飛行場姫とティーしてたんだが、ちょっとお茶請けが欲しくてな、そこにほら……新たなアイテムがあるという事で、つい」

 

「ティーなら龍王の間でもできるデショ!? なんで海湊(泊地棲姫)えもんはいつもいつも提督のマイルームでティーしちゃうワケ!? ねぇっ!?」

 

 

 ……随分フレンドリーと言うか、ポンポンと突っ込みを入れてるわね。

 

 まぁ上司部下ならこういう関係もアリなのかも知れないけど。

 

 

 テイトクも何だか生き生きしてるし、この人はこういうタイプの人なのかしら……

 

 

「なにしてんのよアンタ……て言うか仮にもアンタはこの海域のボスなんだから、本拠をずっと留守にしたままじゃマズいんじゃないの?」

 

「む? いや別に私が居なくても困ることなんぞないしな、その辺りは構わんぞ、心配するな」

 

「そういう事じゃなくて! 原初の者がそうホイホイと遊び歩いてるのが問題だっていってるの!」

 

「いや、そんな事言われてもここも私の縄張りだし、問題なんかないぞ」

 

 

 ……は?

 

 

 原初の者? って事はこの泊地棲姫ってあの泊地棲姫ぃ!? なんでこんなとこにそんな大首魁が居るの!?

 

 

海湊(泊地棲姫)えもんハウス、あ、ちゃんと提督のマイルームを片付けた後でハウス、そしてペナルティはオヤツ一週間抜きで」

 

「なんだと!? よしのん幾らなんでも一週間オヤツ抜きは厳し過ぎるのではないか!?」

 

「……海湊(泊地棲姫)えもん」

 

「む……なんだ」

 

「ハウス」

 

「……ハイ」

 

 

 原初の者をペット扱いしてるぅぅぅぅ!?

 

 え、なにこの人間!? ただのお飾りじゃないの!?

 

 

 いやいやいや……でもこの空気は普通じゃないし、タメ口で命令してるし……

 

 

 はい……はい? いつもの事? え? (空母棲鬼)さんそれは……

 

 いえ、そうなんですね、ええ、判りました。

 

 

 そっかぁ……えっと、テイトクってあのバケモnもとい先輩方を麾下に置いて、原初の者をペット扱いしてしまえる程凄い方だったんですね。

 

 

 いいえめっそうもない、はい、そんな気は全然。

 

 そうですか、ええ、判ってます、ちゃんとお仕事に励みますのでご安心下さい。

 

 

 ああそんな気を使わなくても、え? カッコカリ? 何ですかそれ? はい……ああ、そういうシステムもあるんですね。

 

 いいえ拒否なんてそんな恐れ多い、はい、寧ろこちらからお願いしたい位で。

 

 えぇ……それにしても拠点のメス全てが嫁ですか、剛気な方なんですねテイトクって。

 

 

 はい、私も心を入れ替えて……ああいいえ末永く可愛がって貰えるよう努力致します、はい、頑張ります!

 

 

 




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