怪人バッタ男 THE FIRST   作:トライアルドーパント

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今話は読者サービスを兼ねたお試し版です。最終話から続くなら、こんな感じになると言うことで。


To be continued……

林間合宿は予想外の形で終わってしまったものの、だからと言ってヒーローを目指し切磋琢磨する日常が終わった訳ではない。

むしろ、“個性”強化のカリキュラムを正常な形で修了する事が出来なかった事で、半ば追い込まれている状況の中に彼らは居る。

 

「昨日話した通り、まずは“仮免取得”が当面の目標だ」

 

「「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」」

 

「ヒーロー免許ってのは、人命に直接関わる責任重大な資格だ。当然、取得の為の試験はとても厳しい。仮免と言えどその合格率は例年5割を切る」

 

「仮免でそんなキツイのかよ……」

 

「そこで今日から君等には、一人最低でも二つ……」

 

「「「必殺技を作って貰う!!」」」

 

「「「「「「「「「「学校っぽくてそれでいて……ヒーローっぽいのキタァアアアアア!!」」」」」」」」」」

 

しかし、そんな状況下でも心が高鳴るモノがあれば、テンションの一つも上がると言うモノ。それが超人社会の誰もが、人生で一度は考える「自分だけの必殺技」を形にする事が出来るとなれば尚更だ。

 

「必殺! コレ即チ、必勝ノ型・技ノ事ナリ!」

 

「その身に染みつかせた技・型は他の追随を許さない! 戦闘とは如何に己の得意を相手に押しつけるか!」

 

「技は己を象徴する! 今日日、必殺技を持たないヒーローなど絶滅危惧種よ!」

 

「詳しい話は実演を交え、合理的に行いたい。コスチュームに着替え、体育館γへ集合だ」

 

かくして、エクトプラズム・セメントス・ミッドナイトの三名が考える必殺技の定義を聞いたA組は、久方ぶりにヒーローコスチュームに着替えて体育館γに集合。

そこはレスキュー訓練で使うUSJと異なり、一見すると特に何も用意がされていない、ただ広いだけの体育館なのだがそこは雄英。此処がただの体育館である筈がない。

 

「体育館γ。通称、トレーニングの台所ランド。略してTDL!!!」

 

「「「「「「「「「「(TDLはマズそうだ!!)」」」」」」」」」」

 

「此処は俺考案の施設。生徒一人一人に合わせた地形や物を用意出来る。“台所”ってのはそう言う意味だよ」

 

「なーる」

 

「質問をお許し下さい! 何故、仮免許の取得に必殺技が必要なのか、意図をお聞かせ願います!」

 

「順を追って話すよ。落ち着け」

 

TDLの考案者であるセメントスの説明と軽い実演の後、飯田が相澤に必殺技修得の必要性を問う。それは正にA組における日常の風景であり、それは無意識の内に生徒にも教師にも安心感を与えていた。

 

「ヒーローとは、事件・事故・天災・人災……あらゆるトラブルから人々を救い出すのが仕事だ。取得試験では当然、その適性を見られる事になる。

情報力、判断力、機動力、戦闘力の他にも、コミュニケーション能力や魅力、統率力と言った多くの適正を、毎年違う試験内容で試される」

 

「その中でも戦闘力は、これからのヒーローにとって極めて重視される項目となります。備えれば憂い無し! 技の有無は合否に大きく影響する!」

 

「状況に左右されること無く、安定した行動を取れれば、それは高い戦闘力を有している事になるんだよ」

 

「マタ、技ハ必ズシモ“攻撃”デアル必要ハ無イ。例エバ……飯田君ノ『レシプロバースト』。一時的な超速移動。ソレ自体ガ脅威デアル為、必殺技ト呼ブニ値スル」

 

「! アレ必殺技で良いのか……ッ!!」

 

「なるほど……要は自分の中に“これさえやれば有利・勝てる”って型を作ろうって話か」

 

「そ! 先日大活躍したシンリンカムイの『ウルシ鎖牢』なんか、模範的な必殺技よ。分かりやすいよね。相手が何かする前に縛っちゃう」

 

「中断されてしまった合宿での『“個性”伸ばし』は……この必殺技を作り上げる為のプロセスだった」

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

「つまり、これから後期始業まで……残り10日余りの夏休みは、“個性”を伸ばしつつ必殺技を編み出す――圧縮訓練となる!!」

 

相澤の言葉に合わせ、セメントスの“個性”によって体育館の床は起伏に富んだものに変化し、何十体と言うエクトプラズムの分身がエクトプラズムの口から現れる。

そして、エクトプラズムの分身と同時に体育館に現れたのは、6人のイナゴ怪人。しかもイナゴ怪人達は全員、何故か黒いジャンパーを着込んでいた。

 

「って、なんでエクトプラズム先生に混じってイナゴ怪人がいるんだ?」

 

「ククク、知りたいか? ならば……お見せしよう……ッ!」

 

不敵な笑みを浮かべながら紡がれたイナゴ怪人2号の台詞に合わせ、イナゴ怪人全員が一斉にジャンパーを脱ぎ捨てる。すると、イナゴ怪人達の腰に見覚えのあるモノが装着されていた。中央に風車を備えたベルトである。

 

「ね、ねぇ、アレって……」

 

「まさか……!」

 

「変身ッ!!」

 

「変身……ブイスリャァアアアアアアアアアアッ!!」

 

「いくぞッ!!」

 

「セッターーーーープッ!!」

 

「アーーーーマァーーーゾォーーーーンッ!!」

 

「変身……ストロンガァアアアアーーーーーーーーッ!!」

 

「「「「「「トォオウッ!!」」」」」」

 

三者三様ならぬ、六者六様のポーズを決めるイナゴ怪人。彼等が一斉に跳躍すると同時にベルトのダイナモが回転し、ライダースーツが異形の体を包み込む。そして、全員が同じタイミングで着地すると、6人のイナゴ怪人は首に巻かれた黄色のマフラーを靡かせ、バッタを模したヘルメットを装着した。

 

「な……に……!!」

 

「変身、した……」

 

「『仮面ライダー』……だと……」

 

「そう……我々イナゴ怪人もまた『仮面ライダー』。我らの王が愛用した『強化服・一式』と『強化服・弐式』で得られたデータを元に、我々イナゴ怪人専用として開発された『強化服・一七五式』を纏った姿よ」

 

「そして、これこそが我らイナゴ怪人最強の姿。今や我々の誰か一人が貴様等全員と戦ったのだとしても……貴様等に勝ち目は無いッ!!」

 

「面白ぇ……!」

 

「言っておくが、コイツ等の相手は俺達から見て、それなりに必殺技が形になっている者からになるので、各自そのつもりで。

尚、各々の“個性”の伸びや技の性質に合わせて、コスチュームの改良も平行して考えていく様に。プルスウルトラの精神で乗り越えろ。準備は良いか?」

 

「「「「「「「「「「ワクワクしてきたぁああああああああああああああああああ!!」」」」」」」」」」

 

明確な目に見える形での逆境を前に、彼等は冷汗こそかいていたが、決して臆する事は無い。何故なら「逆境を覆す事」は、彼等にとって初体験ではないのだから。

 

「「「「「………」」」」」

 

そして、6人のイナゴ怪人の変身を、体育館の外から5人のイナゴ怪人が見つめていた。

 

 

○○○

 

 

各々の必殺技の考案・修得の訓練が始まってから四日後。コスチュームの改良も含め、その歩幅にこそ個人差はあるものの、皆順調に「自分だけの必殺技」を形にし、或いはモノにしつつあった。

 

「オッハー。進捗どうだい、相澤君?」

 

「また来たんですか……ボチボチですよ。漸くスタイルを定め始めた者も居れば、既に複数の技を修得しようとしている者も居ます」

 

「ふむ……その中でもやはり……」

 

「はっはぁ! 出来たぁ!」

 

相澤から状況を聞いたオールマイトがまず目を向けたのは爆豪勝己。戦闘センスの塊である彼にとって必殺技のヴィジョンは入学時から既に複数あり、それを今になって形にしているのだろうと思わせる修得スピードである。

 

「爆豪少年は相変わらずセンスが突出している……」

 

「あ!! オイ、上!!」

 

「馬……ッ!!」

 

爆豪に感心するオールマイトが背を向けた瞬間、爆豪が必殺技で破壊したセメントの的が崩壊し、オールマイトの頭上に向けて落下。爆豪が焦り、相澤がそれに対処しようとした時、彼等は現れた。

 

「「「「「トォオオオオオオオオオオオオオウ!!」」」」」

 

「!?」

 

威勢の良い掛け声と共に、セメントの塊を一発の蹴りで粉砕する赤い影と、それに続く青・黄・緑・桃色の4色の影。その正体は何となく想像がつくものの、オールマイトの危機を救ったソレらは何かを待っている様にオールマイトを凝視しており、オールマイトは期待に応える形で彼等に正体を問う事にした。

 

「えっと……き、君達は一体……?」

 

「アカライダー!」

 

「アオライダー!」

 

「ミドライダー!」

 

「キライダー!」

 

「モモライダー!」

 

「我ら、仮面戦隊!!」

 

「「「「「ゴライダー!!」」」」」

 

それぞれが名乗りとポーズを決めると、5人の背後で爆発が起こり、五色のカラフルな煙が勢いよく上がる。

雄英体育祭で見た記憶のある演出であるが、コスチュームによって見た目がヒーローっぽくなっている事もあってか、何となく前よりパワーアップしている様な気がする。

 

「何ぃ!? 仮面戦隊ゴライダーだとぉ!?」

 

「うむ! そこのショッカーライダー達よ! 我々が貴様等に必殺技と言うモノを見せてやる! そこの人間共を実験台とする形でなッ!!」

 

「「「「「「「「「「え゛え゛ッ!?」」」」」」」」」」

 

「行くぞ! ゴライダーハリケーンだッ!」

 

「「「「応ッ!!」」」」

 

勝手に実験台にされる事に「聞いてないよ!?」と言わんばかりのリアクションを見せるA組の面々と、「そんな事、俺達が知るか!!」と言わんばかりに必殺技の準備にかかるゴライダー。そして観戦の態勢を取るショッカーライダー達と教師陣。

まあ、実戦において対戦相手が此方の必殺技をワザワザ待つ訳がないので、これはある意味ではとても実戦的と言えるだろう。現に名乗った直後に必殺技を世界征服組織にぶっ放すヒーローも存在する訳だし。

 

「ゴライダーハリケーン・視力検査!!」

 

「あん?」

 

「いや、視力検査って何?」

 

「アタックッ!!」

 

モモライダーが何処からともなくラグビーボールの様な物――エンドボールを取り出すと、A組の困惑を他所にゴライダーは一斉に駆け出した。A組の面々はゴライダーが誰を狙っているのか分からず、中には「一度に全員を倒す広範囲攻撃なのではないか?」と必殺技の予想を立てている者もいるが、ゴライダーのターゲットは唯一人である。

 

「いくわよッ!! キライダー!!」

 

「任せろッ!! ミドライダァーーッ!!」

 

「アオッッ!!」

 

「OK! アカライダー! クラウディングトライだッ!!」

 

「オッケイ! トォオオオオオウ!!」

 

モモライダー、キライダー、ミドライダーが空中で華麗にパスを回し、アオライダーがジャンプキャッチしたエンドボールを地面に固定すると、アカライダーは助走をつけて天高く跳躍してバク転を決め、右足でエンドボールに狙いを定めた。

 

「エンドボォーーーーーーーーーーーールッ!!」

 

その時、不思議な事が起こった。

 

アカライダーが勢いのままに蹴り込んだエンドボールが空中で視力検査表に変化し、真っ直ぐ飯田の手元へと向かっていったのだ。

 

「むっ!? これは視力検査表か? 何々……」

 

飛んできた視力検査表を受け取ると、律儀にも視力検査(至近距離)を行う飯田。しかし、飯田のその生真面目な性格が徒となった。

 

「ダ・イ・ナ・マ・イ・ト……何ぃ!? ダイナマイトだとぉ!?」

 

飯田は危険を察知し、視力検査表を手放してその場を離れようとするも、時既に遅し。飯田が手にしていた視力検査表は大爆発を起こし、飯田は爆炎に包まれた。

 

 

 

 

 

 

Coming Soon

 

『怪人バッタ男 THE NEXT』

 




……と言う訳で、副題「激闘! ショッカーライダー 対 仮面戦隊ゴライダー!」でした。

今回はお試し版なので4000字程度にしましたが、『THE NEXT』の掲載版は何時も通りに10000字を超えます。
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