白兎の動きが速すぎるだけの話。

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あぁ^~白兎がぴょんぴょんするんじゃぁ^~

 

 

『ブモオォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!』

 

僕は薄暗い洞窟内を縦横無尽に移動していた。

 

厳つい顔をした牛と筋骨隆々の人が合体したような気持ち悪い見た目をしているミノタウロスとかいう生き物が獣の雄叫びを上げながら、僕を食い殺そうと執拗に追いかけてくるからだ。僕って、そんなに美味しそうに見えるの?

 

…今日は色々とツイてないね。道を歩けば犬のフンは踏むわ、こうして気紛れでダンジョンに潜り込めば僕の大嫌いなモンスターとエンカウントするし…もう今日は最悪な日だよ。

 

こういう日はさっさとファミリアへ帰宅するに限るね。

 

そう思った僕は、どうやって一定の距離を保ったまま背後から追いかけてくるミノタウロスから逃げ果せようかと足を止めずに考えていると、

 

『ブモオォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!』

 

「増えた!?」

 

聞き覚えのある雄叫びが聞こえたかと思えば正面から別のミノタウロスが現れた。まさかのサンドウィッチである。

 

「うわぁ…面倒なことになってきた…」

 

僕は思わず己の不幸さ加減に溜め息を吐いた。

 

普通に考えておかしいでしょ。なんでミノタウロスがこうもあっさりと姿を現わすの?僕がミノタウロスを惹きつける特性でも持っているとでも?うわっ、何その絶対に使う機会がなさそうな特殊能力は。

 

そんな嫌な想像が脳裏に浮かんだので器用にも走りながら、頭を抱えていると正面からこちらへと迫っていたミノタウロスがいきなり突進攻撃を仕掛けてきた。かなり動きが速いため、躱すのは至難の技に見える。

 

が、僕はその突進を対面衝突するギリギリまで引きつけてから天井に向かって跳躍してミノタウロスの巨体を回避し、そのままスーパーボールのように天井から地面へ跳ね返ってそのミノタウロスの背後へと降り立つと、またミノタウロス二体からの逃走を再開した。

 

よし、これでなんとか少しは時間が稼げるはずだ。彼奴ら(ミノタウロス)は図体が無駄にデカイせいでこの狭い通路で方向転換するのに手間取るからね。

 

ふぅ…なんとか助かったみたいだ…

 

 

 

 

 

『ブモオォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!』

 

「はい?」

 

…なぁんて気を抜いたのが駄目だったみたいだ。まさかの三体目ミノタウロスとは…今日ってどうやら人生最悪の日らしいね。

 

通路の曲がり角という死角からいきなり伸びてきたミノタウロスの右腕を、僕はリンボーダンスでもするかのように体を弓なりにして潜り抜けると、ミノタウロスがその巨体で占拠していた通路とは真逆の方向へと速度を落とさないまま駆け抜ける。

 

「今日は本当に最悪の日だよ…まさかとは思うけど、もう出てこないよね?」

 

『『『ブモオォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!』』』

 

ミノタウロスの重なり合った咆哮が聞こえてきた。

 

振り返ってみれば、三体のミノタウロスが僕を追いかけてきている。

 

いい加減しつこいよ!もう諦めてよ!

 

「って、まさかの行き止まりとか今日の僕どんだけ運悪いの!?」

 

『『『ブルアァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!』』』

 

「へっ?」

 

仕方がないので、壁を背にしてミノタウロスの攻撃を待ち構えていると、一瞬にしてすぐ目の前まで迫っていたミノタウロスが切り裂かれ、血が噴き出した。すると、血飛沫はこちらへと向かってくる…って、へ?

 

いやいやいや!ちょ、これ一張羅なのにミノタウロスの血で汚れるとか洒落にならないんですけど!?洗うのに時間がかかるからやめてほしいんですけどおぉぉぉぉぉ!?

 

心の中でそう叫びながら、ミノタウロスの血の一滴一滴を丁寧に見切ると、僕はブレイクダンスでもするかのように全身を激しく動かして一切合切を躱していき、金髪ロングの美少女の背後へと回り込んだ。

 

「…あれ?いない?」

 

「えーっと、誰を探しているんですか?もしかして僕ですか?それならこっちにいますよ」

 

「あれ?さっきまであそこに居たはずだけど…」

 

こちらへと振り返る金髪ロングの美少女。

 

完全無欠の無表情だけどかなりの美少女だなぁ〜。これは是非ともお知り合いになりたい。

 

おっと、それより質問に答えないと。

 

僕は笑顔を意識しながら美少女の問いに答えた。

 

「さっきの一瞬でこちらに移動しました」

 

「私にも見えなかったんだけど…」

 

「そうですか?僕はいつも通り動いただけなんですけどね、あはは…あっ」

 

「?どうかした?」

 

美少女が無表情ながらも少し心配そうな声音で訊ねてくるが、それを気にするだけの余裕が僕にはなかった。

 

マ、マズイ!今日は神様との月一回に必ずやるパーティの日じゃないか!あまり遅くなると…そ、想像するだけでも恐ろしい!

 

「す、すみません!用事を思い出したので帰ります!」

 

僕はそう言って頭を一度下げると、慌ててその場から駆け出そうとする…

 

「ちょっと待って」

 

「えっ?なんですか?」

 

が、美少女に声をかけられ思わず僕は足を止めた。

 

すると、その美少女は僕の目をじーっと見ながら言う。

 

「…貴方の名前は?」

 

「えーっと、ベル・クラネルですけど…」

 

「そう…覚えておく。ちなみに私の名前は…」

 

「って、ヤバイ!早く行かなきゃ!」

 

美少女が何か言葉を続けようとしていたが神様のお仕置きを食らいたくなかった僕は急いでその場を去った。

 

「アイズ・ヴァレンシュタイン…って、あれ?いない?」

 

 

 


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