ウルトラマンエレメント
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『ウルトラマンエレメント』、読了しました。
簡単にですが、感想を書かせて頂きます。
■楽しかったところ
序盤、特に一話から二話冒頭は、世界の説明から怪獣の登場、そしてウルトラマンの活躍を小説ならではのバランスで展開していて、引き込まれました。
(38行省略されています)
その後も、地上の黒ローブが地下へ攻めてくる中盤、火星を含めた三つ巴に発展する終盤と、全編通して他勢力との戦いは読み応えがあり、単純に面白かったです。
最終的に敗北した陣営の人物への落とし前&着地点を与える結末も、納得と安心あり、すっきりした読後感でした。
エレメントは……半分ネタキャラ扱いされてたし……いいのかな……?
ウルトラマンを「放射線による人類の進化形=超人」と再定義したのは、世界設定からの要請とネーミングが上手く重なっていて、ウルトラマンと怪獣が同じ放射能汚染による異常進化形であるという構図も合わせて、興味深かったです。
「ウルトラマンが死んだ人間を助ける」「ウルトラマンと人間が融合する」という旧来の伝統を踏襲しつつ、終盤でそれぞれ逆転させる展開は、驚きましたしワクワクしました。
道具を使って攻撃を切り替えたりパワーアップしたり、敵勢力もウルトラマンを有していたりと、今風のモードを取り入れているところもいいですね。
テレビシリーズでは玩具のサンドバッグになりがちな怪獣や、昨今は登場しなくなった防衛チームが、全編に渡って活躍し、最終決戦に到っても出番があるのも嬉しかったです。ブツを作らなくていい小説のメリットが爆発していたと思います。
■困ったところ
ウルトラマンさえ引き立て役と化すイクタの万能ぶりには、最後まで乗れなかったです。
そういう設定なので仕方ないのですが、ほとんどの問題がイクタに集約していって解決するので、本部長を始め他の人物が相対的に優柔不断や他人任せに感じてしまいました。
上記の影響で、地下世界の人物があまり印象に残りませんでした。多数の人物が登場したのは覚えているのですが、名前や性格を覚えるところまではいきませんでした。
ここは、演じる俳優によって問答無用でキャラクター性が発揮されてしまう実写と違う、小説の難しいところですね。
お話面では、序盤が辛かったです。
特に二話の冒頭で、初めて活躍したエレメントが直後の記者会見で責められ、ヒーローが相対化されてしまうのは、ありそうな描写ではありますが、楽しくはなかったです。その後もリュウザキを失ったイクタの鬱屈が続き、三話四話でもテロリストに黒ローブとダウナーな展開と情勢説明が続いて、うーん、と思いました。
簡単に言えば、ウルトラマンの活躍を見た人々が「やった!」「ありがとー!」と喜び、それを読んだ私の中の五歳児が「見たか! ウルトラマンは強いんだぞ!」とカタルシスを感じる場所が序盤に欲しかったのです。
■まとめ
不満も書いてしまいましたが、引っかかったのは主に序盤で、九〇パーセントは楽みました。
いつか人類の進化形が自然発生した時、核兵器による戦争や怪獣とウルトラマンのことを思い出した旧人類が、新人類を恐れて滅ぼす方向に進まなければいいな、と心配になるくらい、思い入れのある作品になりました。
(エレメントがやられた時に発する「ノワァァ…」も、やられたウルトラマンの声として納得度が高く、我が家の流行語になりましたし)
-追記-
ウルトラマンのカタルシスの件の補足です。
「やった!」感は五話や六話の時点で感じ始めていたので、本当に序盤だけが気になったポイントです。
それゆえに、本作の面白さに到達する前に脱落した読者は多いかも、と想像してしまい、特筆したのでした(本家でも『ネクサス』が苦戦した一因ですね)。
中盤から終盤に向けて戦いが厳しくなるのは原典も同じですし、本作も終盤はきっちり希望でまとめましたし、あまり気にしなくてよいと私は思います。
二次創作として、ジャンルのファンの期待に応えつつ、ファンの期待ゆえにオリジナルがやれないことに敢えて切り込む、そのバランスに答えはないですよね。
次回作も構想があるそうなので、期待してます。
(評価に付ける一言コメントは、作者からの返信機能はないはずなので、気にしなくてオッケーですよ!)
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返信:ネフタリウム光線 2018年12月04日(火) 01:07
感想ありがとうございます!ここまで詳細に書かれている感想を読みますと、隅々まで読破してもらえたのだという喜びがあります。
楽しかったところ、の欄は嬉しさと同時に、ほっとした面もあります。というのもやはり、円谷プロ様が半世紀以上にも渡り築き上げて来た「ウルトラマン」という存在や定義を、たかが二次創作とはいえ覆してしまっていいのだろうか、これを読んだファンの方はどう思うだろうか、と最後まで「これで本当に良かったのかな」と考えていたからです。
困ったところ、は本当にご指摘通りです。イクタの存在を大きくし過ぎてしまったのは、私にとっては物語を書き易くするものでもありましたが、読者の方のそのお気持ちまでは配慮できていませんでした。この影響で、他の人物の存在感などが薄れてしまったことなどについては、私自身も後悔してます。イイヅカたちは、もう少し掘り下げたかった…
以前、評価を付与してくださった時にもコメントをいただいてましたね。返信の仕方がわからず、結果的にスルーも同然のようなことをしてしまい、申し訳なかったです。
その際にも助言してくださっていた事柄ではありますが
展開や情勢描写に重きを置きすぎて、肝心のウルトラマン作品らしさを発揮できていない場面が多くあったことも事実です。このように読者の方からご指摘されることで、改めてひしひしと感じます。
ダークな世界観を描くのは、別にウルトラマンでなくても可能です。ウルトラマン作品だからこそ、おっしゃる通り、そのダークな雰囲気を吹き飛ばせるだけの希望的描写、恐怖の怪獣に恐れを為さず、堂々と立ち向かい、そしてしっかりと倒し、みんなの夢と未来を守らなければならない。
せっかく「未来」というワードを多用する作品でもあったので、序盤から中盤にかけて、そのようなシーンを増やすべきだったな…と、後悔もあります()
長くなりましたが、改めてご感想ありがとうございました!本作の良かったところも悪かったところも、次回作以降に繋げていけるよう努めてまいります!
藤崎糵 2018年02月21日(水) 07:03 (Good:2/Bad:0) 23話 報告
ああそうか、リディオ・アクティブ・ヒューマンはトシツキも含めて4人なのか
-追記-
ラザホージウム、キュリウム、ダームスタチウム、ローレンシウム、フレロビウム
全て放射性元素の名前でしたか
返信:ネフタリウム光線 2018年02月19日(月) 13:00
感想ありがとうございます。そうです
ウルトラマンは知らないのですが、ネフタリウム光線さんの文章が大好きなので第一話一章だけとりあえず読ませていただきました!
地下世界に怪獣と、ロマン溢れるワードの数々が胸を刺しました。
滅亡に向かう世界が平和を取り戻せるのかどうか、私ものんびり見守っていければいいなと思います。
まず冒頭から文章力の高さに引き込まれました。
(53行省略されています)
こういう作風の作品を読むことがほとんど無かった為、私にとっては新鮮でした。
IRIS隊員は結構若者揃いなのでしょうか。
地下法がちゃんと定められているのですね。
世界観がきっちりしている作品は素敵だなあと思います。
いい感じの終末感が漂っていますね。
隊長の言葉遣いが結構好きかもしれません。
トキエダ隊長と言うのですね。
これからもぽちぽち出番はあるのでしょうか。
若い隊員、リュウザキさん。
そこまでOS地区の治安はひどいことに……。
怪獣出現時の緊迫感が読み進めていてワクワクしました。
対処法が催眠のち天上への輸送というのが新鮮。
なるほど、こういう世界なんですね……。
主人公のイクタ・トシツキくんがようやく登場。
白衣が大好きなので勝手にテンションが上がりました。
エースパイロット兼サイエンスチームのチーフ。
イクタくんのスペックが高い。
キャラクターも自由奔放というか、飄々としている感じで好きな感じ。『なのだよ』って好きです。
どんどん登場人物の名前が明らかになっていきますね! 今度はイケコマさん。
部屋に入る時のイクタくんの台詞がマイペースすぎる。好き。
どこか道化を演じているような雰囲気がツボですね、イクタくんは。
怪獣出現は迷い込み騒動と言うのですね。
イクタくんかなり自信家ですねえ、この余裕が完全に崩れることはあるのでしょうか。
こんなこともあろうかと、といった風なイクタくんのやり口が流石。
無礼とはいえ、良くも悪くも天才なんだなあと。
司令官に台詞を取られてちょっと拗ねるイクタくんが可愛い。
大型怪獣の出現もどこ吹く風なイクタくん。
イクタくん有能ですが、これから彼は挫折とか経験したりするのかなー、と何となく興味が出てきたり。
リュウザキさんが猫かぶりというよりイクタくんが尊大すぎるのでは……と思ったらリュウザキさん本人に突っ込まれていて笑いました。
死ぬ瞬間まで人生楽しまないと損。イクタくんのこういう部分を見てかなりどきっと来ました。享楽的で刹那的。瞳に宿る悲しみの理由は一体……?
イクタくんがただの天才じゃないってことがわかって、魅力が増してきたなあと。
もっとイクタくんについて深く知りたいと思いました。
イクタくん達世代は地球の美しかった頃の姿を知らないんですね……何だか切ない。
明晰夢で珍しく他者に口で押されているイクタくん。
謎が謎を呼ぶストーリー展開が好きです。
イクタくんでもやはり放射能クリーナーには失敗していたのですね。
果たしてイクタくんは夢で見た美しい地球の光景を実現させることができるのか。
そして夢の回想。
少しだけこの世界の真実がわかった気がします。
男の名はエレメント。イクタくんはイディア・アクティブ・ヒューマン。イクタくんを選んだ理由はイクタくんが特別な存在だからだそうですが、どう特別なのか明かされる日が楽しみです。
巨大怪獣が恐ろしい。イクタくんの防衛システムが通じなかったとは。
イクタくんが自分を『スーパーエース』と称してはっきりと自信を持っているのが好きです。
呆気なく爆散する三号機に絶句。
こうも簡単に散らされるとは……。
怪獣の脅威が読んでいてありありと伝わってきて手に汗握りました。
今まで余裕たっぷりだったイクタくんが恐怖で笑い出すと『これはもうやばいんじゃないか?』と絶望感が凄まじい。
イクタくんの余裕が崩れたり挫折する姿が気になると先程もちらっと述べましたが、こうも早く見られるとは。
そしていざ見せられると胸が焦燥でざわつきます。
しかしそこに現れたのは光の巨人!
イクタくんとリュウザキさんの命はどうなったのか、あの巨人は一体何なのか!
はー……読んでいて所々息が止まりそうになりました。そのくらい楽しく読めた小説でした。
こちらものんびりペースではありますが読み進めていきたいと思います。
一つの作品を完結させられているのは素直に尊敬できます! この世界の行く末を見届けるのが楽しみです!
では失礼しました!
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青色好き 2018年12月02日(日) 21:44 (Good:2/Bad:0) 1話 報告
完結お疲れ様です! ここまで凝った設定・怪獣を考える事が出来て羨ましいです!
そういえば第1話で「ゴモラ級の~」という台詞がありますが、この世界ではゴモラの他に既存のウルトラ怪獣も存在するのでしょうか?(ぺギラやレッドキングなど)
返信:ネフタリウム光線 2018年12月03日(月) 00:17
わざわざ感想をご記入いただきありがとうございます!光栄です!
質問にお答えします。結論から言えば、存在はしません。「ゴモラ級の〜」という台詞は、当時当作品は1話ということもあり、代わりに例に挙げられる既存のオリジナル怪獣が存在していなかったため、読者の方に少しでも伝わるようにと表現した結果になりました。
他サイトではこの記述は削除していましたが(実は)
ハーメルン様ではそのままになっていましたね
誤解を招く文章でした。申し訳ないです。