落ち着け、先ずは鋏を下ろそうか。   作:赤茄子 秋

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すいません!今後は頑張って投稿します!


23話 立て籠り事件

家族で賑わう筈のファミリーレストランは、今は恐怖が渦巻いている。椅子や机は即席のバリケードに利用され、中に居た人達は一ヶ所に纏められている。

 

「お願いします、娘を離してください!」

 

そしてバリケードを背にして座る男、浅倉威は少女を捕まえていた。慎重で狡猾で残忍な男は、把握してるのだ。ここからの警察の動きなぞ取るに足らない、予測でき新たな力を手にいれた浅倉からすれば目の前を通り過ぎるハエのようにうざいだけのものとなっている。

 

「始まるぞ…祭りの時間だ」

 

そしてその場で唯一。

 

「(おいおい…どういうことだよ)」

 

城戸真司はミラーワールドに居たということで人質とならずに、難を逃れ…いや、受難を得ていた。

 

この状況で城戸真司が出来ることなどたかが知れているだろう、最悪なのは人質が増えることだ。今の城戸にできるのは隠れていること、そして刑事である須藤へ連絡を取ることだろう。

 

「(須藤さん…)」

 

スマホで須藤へひたすらにメッセージを送るが、既読はつかない。

 

須藤の助けを期待したい城戸だが、事態は刻々と進み続けていた。

 

★★★★★

 

「…警部、どうなさいますか」

 

不安そうに顔色を伺う若い刑事は、無言で「こちらからは打つ手が見当たらない」と返事をするのを見ると無言になってしまう。

 

この状況に陥っているのには理由がある。

 

「機動部隊ですが…到着が遅れてるようで」

 

1つはこれだ、機動部隊が投入できる準備が終わっていないのだ。これで下手に刺激したときに現場の警察官だけで対応が出来るかと言われると、難しいと言える。

 

更に言えば中の状況も把握できていない、中にどれだけの人質がどのように捕らえられているのか、椅子や机でバリケードが作られている可能性も高いだろう。

 

今は立て籠られたファミレスに向けて電話を繋いでいる。現場にできるのは包囲したこの場所でいかに時間を稼ぎ、犠牲者を出さないようにすることだけだ。

 

「警部!」

 

「なんだ、この忙しい時に」

 

一台の車が現場へやって来る。普通の乗用車であり、そこからは三人程刑事が降り立つと遅れて一人の茶色いコートに身を包む男が現れる。

 

「須藤が到着しました!」

 

「っ!!あの、須藤雅史か?」

 

須藤とはあの須藤雅司のことだろう。並の警察官100人と等価かそれ以上と呼ばれているあの須藤雅司のことだろう。

 

数々の難事件を独自に調査、何人もの凶悪犯を逮捕してきたあの須藤雅司だ。

 

少し前までは上司に恵まれなかった等色々と大変であったようだが、その生ける伝説とも呼ばれている男が来ているのだ。

 

その男をチラリと見てみると警部の男は軽く戦慄する。

 

他の刑事が今の状況に少なからず緊迫感を感じているにも関わらず平然としている、まるで自分には関係が無いとでも言ってるようだ。

 

だが、直ぐにその瞳を見て警部にはわかる。

 

「(…研ぎ澄ましている。あの眼光、噂は本当だったか)」

 

決して熱くならず、冷静に、そして静かに闘志を燃やしているのだろう。

 

だが、相手もまた生ける負の伝説とも呼べる犯罪者だ。やくざであろうが子供であろうが苛ついたという理由で惨殺する男だ、並の警察官では奴に立ち向かうことすら不可能だろう。

 

「遅れました、警視庁の矢沢です」

 

「警視庁からわざわざご苦労様です、頼りにさせて頂きます」

 

やって来た警視庁の刑事と軽く挨拶を交わし、もう一度警部はチラリと須藤を見る。その須藤視線は自分達へは向けられていない、立て籠られたファミレスの方へ向けられている。既に浅倉しか見えていないのだろう。

 

呆然としたような瞳をしているが、これも全体的に現場を見ているのだろう。

 

すると一人の警官が駆け寄ってくる。

 

「警部、浅倉と回線が繋がりました」

 

遂にか、こちら側はまだ準備が整のっていない。

 

だがここからが現場の仕事、いかに時間を稼ぐかが重要性となってくる。

 

「…浅倉か、私はここの指揮を任されている山田だ。要望はなんだ」

 

金か?車か?食事か?どれも今の浅倉の欲するものとしてはピンと来ない、そして警部の男の嫌な予感は的中する。

 

「弁護士の北岡を呼べ、そいつと引き換えに人質を解放する」

 

 

★★★★★

 

手塚のスマホが鳴り響く。

 

着信は城戸からだ。今は午後を少しすぎたころ、現在も神崎について調査を進めている最中で、一段落ついたところなのでちょうどよいタイミングだろう。

 

「城戸か、どうした?」

 

城戸からかかってきた電話、内容は簡単に纏めると「須藤さんを知らないか?」と「脱獄犯が来ててヤバい」である。

 

そう聞くと手塚は「わかった、直ぐに…」と城戸を助けるために動こうとするが、その動きは止まってしまう。

 

「…状況は分かった、だが直ぐに向かえそうに無い」

 

何故か、そう訂正し直す。

 

そして「秋山には俺から連絡しておく、そのまま身を潜めていろ」と足早に最後は伝えて無理矢理に通話を切る。

 

普段の彼ならば絶対にやらない行為だ、だが状況が変わってしまったのだ。

 

「神崎士郎、何のようだ」

 

突然現れた、神崎士郎によって。

 

「妙な詮索をするのはやめろ、身を滅ぼすことになる」

 

手塚は驚きを隠せない。

これは警告だ、手塚はコソコソと動いていたわけではないがバレるのには早すぎる。ライダーバトルとは関係ない事の方が聞き込み場所は多かったにもかかわらずだ。

 

流石はライダーを管理してる者だ。どこまで把握しているのか、手塚には検討がつかない。これなら恐らく、妹や他のライダーの動きも注意深く観察しているのだろう。

 

だが同時に収穫もあった。

 

「俺に隠し事をする事は…1人を除いて不可能だ。必ず、ライダーバトルは終わらせる」

 

神崎が警告をしたという事はだ、神崎にとって触れられたくない情報がこの調査の先にある可能性が高いからだ。これは大きな収穫だ、後は見つけることだけだ。

 

それに手塚に真なる意味で隠し事ができるのは、1人を除いて存在しない。神崎は手塚にどんな方法を取っているかはわからないが、心を見せない。それを解き明かすヒントがあれば、手塚に勝機はあるのだ。

 

「警告はしたぞ」

 

すると神崎は消える、やけにあっさりとした警告に拍子抜けする手塚。

 

「わざわざ警告しておいて…何も無しか」

 

何の目的があっての警告か、だが今はそれをゆっくりと考えている時間は無い。

 

手塚は直ぐに城戸の元へ向かうためにバイクを走らせた。

 

★★★★★

 

北岡は嫌な役回りだと思いつつ、その場に来ていた。

 

「ご協力感謝します」

 

「いえいえ、お気になさらず」

 

敬礼をしてくる警官達に囲まれ、大量の報道関係者が居るのを確認する。それを見て北岡は安堵する、これだけ集まったメディアの前で警察が万が一にも守れなければ大問題となるからだ。

 

それと、ここらでクリーンなイメージを見せるために来たのだ。

 

北岡はかなりグレーな仕事も引き受ける、黒よりのグレーの仕事をだ。そんな北岡のイメージアップに今回は持ってこないなのである。

 

「部隊はまだなのか!?」

 

「まだの…ようです」

 

後ろで嫌な会話が聞こえてくるが北岡は聞かなかったことにする。

 

「(なんで準備が終わってないかなぁ、浅倉は殺すときは殺すよ?まずかったかなぁ)」

 

少しだけ北岡は後悔するが、その隣に居た警官を見て少しだけ驚く。

 

「(須藤さん…そうか、刑事だったからな)」

 

北岡も弁護士だ、須藤の噂は嫌というほど耳にはいる。

 

すると北岡は須藤と目があった気がする、直ぐにファミレスへと目を向けたが須藤は北岡から何かを読み取ったのか少しだけ身震いをする。

 

「仕方ない…須藤、北岡さんが入り人質が解放されたと同時に浅倉を…おい、須藤!?」

 

そして、北岡が現場の指揮を取る刑事から話を聞き、ファミレスへ向かおうと歩を進めた瞬間的。

 

「須藤さん!?」

 

北岡も思わず叫ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして何故か、須藤はファミレスの窓を突き破った。




活動報告にて色々と報告したい事がありますので、読んで頂ければ幸いです。

Q,須藤は気でも狂ったのか?

A,はい、半分狂ってます。そういう状況です。
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