ウルトラマンカイナ   作:オリーブドラブ

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前夜編 ウルトラホピスファイト・ビギニング 後編

 

(悪い予感に限って、よく当たる。……才色兼備な僕の、唯一イヤなところだね)

 

 ――類稀な美貌と瑞々しい肉体、そして濃厚な雌のフェロモン。その色香で周囲を無意識のうちに誘惑していた劉静は、宇宙の「凶兆」に鋭く目を細めて空を見上げている。それは、世界各国のBURK基地に居た他の女傑達も同様であった。

 

 ◇

 

「リュージュ、どうしたんだ? 急に血相変えて窓なんか見て……」

「……分からないのなら黙ってて頂戴」

「な、なんだよ……外に一体、何があるというんだ?」

「燃やしたのよ。光波熱線(プラズマ)の奔流が、あの宇宙(そら)の向こうを……!」

 

 フランス支部のパリ基地に設けられた図書室の窓から、男性の同僚達と共に空を見上げていた小柄な成人女性(合法ロリ)――水色の髪を持つアリア・リュージュ。

 

「……!」

「ん? おいどうしたよクーカ、何かあったのか?」

「……いや。上手く言えねーが……とんでもなく悪い予感がした。こりゃあ……当たる(・・・)ヤツだぜ」

 

 スペイン支部のマドリード基地で今日の飛行訓練を終えた後。屈強な男性パイロット達と並んで廊下を歩いていた、金髪ショートの小柄な成人女性(合法ロリ)ことラウラ・"クーカ"・ソウザ・サントス。

 

「遥か上空からの異常な熱源反応……か。しかしこれほどの数値、まるで星一つが爆発したかのような規模だな……。何らかの侵略行為によるものという可能性も視野に入れる必要がある」

「えっ……? いや、はは……司令官殿、さすがにそれは考え過ぎですよ。いくら侵略者共が何考えてるか分からない連中だからって、そんな突拍子もないことあるわけが……」

「……ない、とは言えないよ。異星人も怪獣も、常に私達の想像を超えて来たんだから」

 

 イタリア支部のナポリ基地に自身の愛機(BURKセイバー)を緊急着陸させた後。同僚の男性パイロット達と共に上空の「異変」を司令部に報告していた、美女パイロット――ブラウンの髪をミディアムウルフカットに切り揃えている、アルマ・フィオリーニ。

 

「……! ねぇ皆、今の感じた!?」

「はぁ? 感じた……って、何をだよ?」

「空が……宇宙の向こうが、大変なことになってる……! そんな気配がしたんだよっ……!」

 

 エジプト支部のカイロ基地に位置する格納庫内で、男性の同僚達と共に愛機の整備をしていた、薄紫色の長髪を持つ褐色美女のナターシャ・ジャハナム。

 

「……っ!」

「おーいナカヤマ教官! 急に授業中断しちゃって、どうしちゃったんすかぁ? 空なんか見ても、今は誰も飛んでませんよぉ?」

「ボーイフレンドが乗ってる旅客機でも探してんすかぁ? はっははは! 教官殿みたいな良い女はもっと遊んだ方が良いっすよぉ? 俺なんかどうです? 空の上じゃあ敵わないかも知れませんが、ベッドの上なら確実に堕とせますぜぇ?」

「……静かにしてください。そこ、きちんと座って」

 

 アメリカ支部のニューヨーク郊外に設けられた航空基地で、血気盛んなパイロット候補生達に座学の授業を行っていた、茶髪ロングヘアの美女――エリー・ナカヤマ。

 

「シャーロット博士、大変です! たった今、ホピス星を中心に凄まじい熱波が……!」

「……貴重な観測対象が一つ、焼け野原になってしまったようね。あの星で何が起きたのか……調べてみる必要がありそうだわ」

 

 そして、オーストラリア支部のアデレード基地に設置された研究施設で。大勢の男性研究者達を従えて、外宇宙の分析に没頭していたシャーロット博士。白衣を押し上げる豊満な爆乳をぶるんっと揺らしている彼女は、愛用の眼鏡を指先でクイっと押しつつ、プラチナブランドのボブヘアーを優雅に靡かせていた。細く引き締まった腰つきに対して安産型の巨尻は大きく膨らんでおり、黒のタイトスカートは内側から破けそうなほどに張り詰めている。

 

 ――劉静やリーゼロッテ達と同様に、今回の「異変」を察知していた世界各国の女傑達。彼女達はそれぞれの基地から鋭い眼差しで宇宙を仰ぎ、その瑞々しく扇情的な女体に緊張の汗を滲ませていた。BURK隊員の制服に包まれた彼女達の肉体は、雄の獣欲を煽る香しい汗でしとどに濡れそぼり、濃厚な雌臭を漂わせている。

 特に、汗が溜まりやすい乳房や桃尻の谷間。下乳の付け根、腋。Y字を描く鼠蹊部。それらの箇所からは、じっとりと熟成された彼女達の芳醇な匂いが、むせ返るほどに濃く滲み出ていた。雄の理性を乱す濃厚なフェロモンが、その箇所から絶え間なく分泌されて行く。

 

 そんな彼女達の蠱惑的な色香と美貌に、周囲の男性隊員達は好色の眼差しを向けているのだが。全方位から身体中の隅々に粘ついた視線を注がれても、彼女達は意に介することなく空を仰ぎ続けている。

 これから始まるであろう「災厄」の強大さを思えば、そのような些事に構っていられる暇などないのだ。あまりに絶大な脅威を予感してしまった彼女達は、全ての意識を上空にのみ向けてしまっている。そんな彼女達の甘い雌の匂いに釣られた不埒な隊員達の1人は、細く引き締まった腰を抱き寄せて桃尻や太腿、乳房に指先を這わせ、さわさわと撫で回している。

 

 極上の色香を帯びた肉体が、目の前で無防備な姿を晒している。普段は周囲からの「視線」を鋭く察知している彼女達が、何かに気を取られているかのように、その警戒を解いてしまっている。そんな千載一遇の「好機」を前にして、つい魔が差してしまったのだろう。

 いつの間にか下着(ブラジャー)の隙間にまで滑り込んでいた男性隊員の指先は、女傑達の乳房の先端(・・)にまで届こうとしている。やがて、その指先は上乳の柔肌をゆっくりと滑り――ついに、先端(・・)の「突起」に触れてしまう。

 

「んっ……はぁっ、あぁっ……!」

 

 乳房の中で最も敏感な部分に触れられた女傑達は思わず、上擦った甘い声を漏らしていた。ぷっくりとした瑞々しい唇から漏れ出る、扇情的な吐息。その香りと反応に気を良くした男性隊員は、さらに「悪戯」を続けようとする。

 

「あはぁあっ!?」

 

 そして、男性隊員が指先で乳房の先端(・・)をギュッと摘み。その刺激に目を剥いた女傑達が甘い声を響かせて、優美な背中をくの字に仰け反らせてしまった瞬間。恍惚の表情で悩ましげな吐息を漏らしていた彼女達の表情が、鋭いものへと一変する。

 女傑達が外宇宙の脅威に目を向けている最中に行われていた「悪戯」は、とうとう一線を超えてしまったようだ。後で「制裁」を加えるつもりではいたが、これ以上「続き」を許せば自分の肉体はさらに甘く火照ってしまう。その「危機感」が、彼女達の身体を動かしていた。

 

「……ふんッ!」

「ぐひゃあぁあッ!?」

 

 いい加減にしろ、と言わんばかりに。彼女達はノールックのまま容赦なく相手の足を踏み潰し、不埒な真似をした男性隊員を悶絶させてしまう。奇しくもその「反撃」は、世界各国のBURK基地内で同時に繰り出されていたのだという。しなやかな美脚で相手の足を踏み付けた瞬間、女傑達の桃尻はその反動でぶるんっと大きく弾んでいた。

 

「ふ、ふぐぉおぉ……! き、効くぜぇ、ナカヤマ教官のキックぅ……! く、癖になっちまいそうだァ……!」

 

 ――そのうちの一つである、アメリカ支部の航空基地に設けられた座学の教室では。エリーに足を踏まれた男性のパイロット候補生が、苦悶の声を上げてのたうち回っていた。彼は激痛に顔を顰めながらも、「新たな扉」を開こうとしている。

 

「……」

 

 そんな彼を侮蔑の表情で見下ろしている金髪美女のパイロット候補生は、教官(エリー)の様子が只事ではないと察していたのか、蒼い瞳を鋭く細めている。白く優美な美脚を机に乗せて両手を頭の後ろに組み、最後列の席で踏ん反り返っている彼女の姿勢は、とても座学を受けに来たパイロット候補生とは思えない態度だ。

 しかし周りの男性陣はそんな彼女を咎めるどころか、その美貌に鼻の下を伸ばしている。彼女は両手を頭の後ろに組んでいるため、芳しい匂いを放つ腋の窪みが扇情的に強調されていた。豊満に実った釣鐘型の爆乳をぶるんっと突き出し、無防備な腋まで見せ付けている彼女の挑発的な佇まいに、男達は下卑た笑みを溢していた。

 

(……エリー・ナカヤマ、か。ふんっ……確かに、パイロットとしての腕は一流かも知れないけれど。この超一流の天才……アメリア様には敵うわけないわね)

 

 彼女――アメリア候補生は、そんな状態が罷り通ってしまうほどに「特別」なのである。歴代最高の成績を叩き出した才色兼備の若手エースである彼女は、BURKセイバーの製造元である巨大軍事企業の社長令嬢でもあるのだ。

 鼠蹊部に深く食い込み、雄の獣欲を掻き立てるY字をこれでもかと強調しているレオタード状の特殊戦闘服。肢体にぴっちりと密着して、凹凸の激しいボディラインをくっきりと浮き立たせているその極薄の繊維が、魅惑的な美貌と豊満な肉体に彩りを添えている。

 

 白く瑞々しい柔肌に、端正な目鼻立ち。蠱惑的な光沢を放つ桃色の唇。艶やかな金髪と、蒼い瞳。パイロットとして鍛え抜かれ、細く引き締まっている腰回り。その腰のくびれに対して、大きく実った安産型の巨尻。肉感的でむっちりとした白い太腿。しなやかで長い美脚。芳しい匂いを放つ乳房の谷間、腋、鼠蹊部、足指。

 そして、100cmを超えている釣鐘型の豊満な爆乳。その豊かな二つの果実は、あまりにも扇情的であった。プロのグラビアモデルでも全く敵わない彼女の美貌とプロポーションには、周りの男性パイロット達もごくりと生唾を飲み込んでいる。白い柔肌から匂い立つ濃厚な雌のフェロモンに、男達は釘付けになっていた。ブロンドの髪先から足指の爪先に至るまで。彼女という存在の隅々に、男達は粘ついた獣欲を向けている。

 

 しかし、誰も彼女の柔肌には迂闊に手を伸ばせない。大企業の令嬢だから、というだけの理由ではない。単純に彼女の「腕っ節」が、同期達の中でも突出しているのだ。所詮は女と侮った同期の1人が、一瞬で関節を外された光景を目の当たりにしている男達は、アメリアの肢体を舐め回すように見つめることしか出来ない。

 

同期の男連中(コイツら)は模擬戦でも喧嘩でも私に勝てない上に、年中サカってる真性雑魚のクソ猿共だからどうでもいいとして……)

 

 アメリアはそんな周囲の粘ついた視線を察した上で、歯牙にもかけず無視していた。自分より弱い男には興味が無い彼女にとって、成績でも腕っ節でも自分に勝てない周囲の男共など眼中に無いのだ。男性パイロット達からの好色の視線など意にも介さず、彼女はエリーの横顔だけを静かに見つめている。

 

(あのナカヤマっていう女教官……大人しそうな雰囲気だけど、なかなかのツワモノね。さっきの蹴りといい、模擬戦の時の無双っぷりといい……。能ある鷹は爪を隠す、ってヤツかしら?)

 

 優美な背中を反り、102cmのKカップという特大の爆乳を誇らしげにばるんっと突き出しながら。芳しい匂いを放つ腋を露わにした格好で、不敵な表情を浮かべているアメリア。彼女はパイロット候補生の身分でありながら、「品定め」をするような眼で教官(エリー)を見据えている。机に乗せた白い美脚を組み替えた瞬間、むっちりとした太腿と豊満な乳房がぷるんっと揺れ動いていた。

 

(ナカヤマ教官がどんな「脅威」に気を取られていたのかは知らないけれど……どんな侵略者が攻めて来たって、この私1人さえ居れば何の問題も無いわ)

 

 エリーの剣呑な横顔から、「侵略」の気配を本能的に悟っていたアメリアは、その上で自分さえ居れば恐れるものはないと確信している。その過剰なまでの自信が、彼女の傲慢不遜な貌に現れていた。類い稀な美貌と才能に裏打ちされたプライドの高さが、彼女の佇まいに反映されているのだろう。

 

(見ていなさい、今に全世界に知らしめてあげるわ。このアメリア様が、BURKのナンバーワン隊員だっていうことをね……!)

 

 不遜に鼻を鳴らす彼女は、独り得意げにほくそ笑む。自分が戦闘機乗り(ファイターパイロット)として誰かに負けるはずがない。その自信と野心に満ちた蒼い双眸は、ギラギラとした獰猛な輝きを放っていた。蠱惑的な桃色の唇に舌を滑らせ、艶めかしくペロリと舐め上げた彼女の眼は、教官であるエリーの横顔を鋭く射抜いている。

 

 だが、彼女はまだ知らない。この先に待ち受けている無様な恥辱(おもらし)と、数奇な運命を――。

 

 ◇

 

 ――その頃。地球からもホピス星からも遠く離れた、とある暗黒の宙域。その外宇宙を航行していたバルタン星団の宇宙船も、光波熱線の「余波」に船体を揺さぶられ、騒然となっていた。船内のバルタン星人達は慌ただしく駆け回り、BURKと同様に情報収集に奔走している。

 

「なんだというのだ、先刻の大爆発は……! 一体、この宇宙で何が起きているというのだッ!? ええいお前達、何をしているッ! 早く状況を報告せんかッ!」

 

 彼らの首魁であるラスヴァーダ船団長は、艦橋(ブリッジ)の艦長席に座したまま両手の鋏を振り上げて声を荒げていた。並外れた「衝撃」によって自身の宇宙船を揺るがされた彼は、焦燥と苛立ちを露わにしている。幾つもの死線を潜り抜けて来た古兵としての直感が、警鐘を鳴らしていたのだ。

 

「はぁ、はぁっ……! ラ、ラスヴァーダ様ーッ!」

「なんだメガヴァーデ、騒々しいぞ!」

 

 するとそこへ、星団の斥候(スカウト)であるバルタン星人――メガヴァーデが、息を切らせて駆け付けて来る。彼はラスヴァーダの前で片膝を付き、切迫した様子で自身が掴んだ情報を報告しようとしていた。

 

「申し上げます! ホピス星がテンペラー軍団に滅ぼされましたァッ!」

「だぁにィッ!?」

 

 その報告内容に驚愕し、勢いよく振り返ったラスヴァーダ。彼は自身が最も恐れている最凶最悪の侵略者達の名を聞き、両肩をわなわなと震わせる。

 あらゆる外星人達にとっての不倶戴天の敵。彼らの攻撃によって、自分達が先に狙っていた惑星の一つが滅ぼされたというのだ。バルタン星人の移住先として、有力な候補に挙がっていたホピス星。その地はすでに、あらゆる生命が尽き果てた死の星となってしまったというのである。

 

「不味いな……! ホピス星も地球も我々、バルタン星人の獲物だというのに! これ以上奴らに先を越されては、我々が征服する前に星そのものが焦土にされてしまうぞ……!」

「しかし今の我々では、奴らには到底及びません……! 如何致しましょうか……!?」

「もはや一刻の猶予もない……! まずは残っている地球を最低限の破壊規模で占領し、地球人共の戦力を接収する! そして我が船団の傘下に加え、共にテンペラー軍団を迎え撃つのだ! そのためにも……早速地球侵略に向けて軍備を増強する! 後に続けメガヴァーデ!」

「はい……!」

 

 これ以上、テンペラー軍団の暴挙を許すわけには行かない。その信念を胸に艦長席から飛び降りたラスヴァーダは、身に纏っていた赤いマントを翻し、艦橋を後にして行く。そんな彼の後に続き、メガヴァーデも足早に歩み始めていた。

 

(地球だけは奴らには渡さんッ……! あの星は我々のモノだッ……!)

 

 ――若かりし頃。テンペラー軍団の首魁に単身で挑み、惨敗を喫していた過去。その忌まわしい記憶を振り切ろうとするかのように、ラスヴァーダはツカツカと早足で艦内を闊歩する。

 バルタン星人随一の天才戦士と持て囃された自分の必殺技が、全く通用しなかった絶望感。恐怖のあまり震え上がる姿を嘲笑された挙句、ほんの「気紛れ」で見逃された屈辱感。その全てを、ラスヴァーダは昨日のことのように覚えていた。

 

(確かに今はまだ、到底及ばんのだろう……。だが、いつかは必ずッ……!)

 

 テンペラー星人の圧倒的過ぎる力を前に「もうだめだ、おしまいだ」と嘆き、膝を着いて絶望していた過去の自分。その忌むべき光景を脳裏から消し去るべく、ラスヴァーダは闘志を露わにしている。

 そんな彼の覇気に満ちた背中を目にしたメガヴァーデも、感服した様子で金色の双眸を輝かせていた。バルタン星人の限界を遥かに超えた、絶大な気迫。その一端を目撃した彼も、ラスヴァーダの勝利を確信している。

 

 ――しかし、彼らはまだ知らなかった。自分達バルタン星団も、破滅の運命を辿ることになるのだと。

 

 ◇

 

 さらに。ホピス星を滅ぼした絶世哮の「余波」は、全宇宙の守護者たる宇宙警備隊の動向にも影響を及ぼしていた。他の次元の宇宙を防衛する任務に就いていた警備隊所属のウルトラ戦士達は、テンペラー軍団の脅威をすでに察知していたのである。

 

 牡羊座A11星と呼ばれる星を守護していた、銀色の巨人。鋭い目付きとスラリとした長身を特徴とする、ウルトラマンシュラ。

 

 牡牛座T22星を防衛しつつ、銀十字軍の見習いとして医療活動にも参加していた紅き巨人。左肩にある銀色の十字紋様と後頭部から伸びている湾曲した1本の角を特徴とする、ウルトラマンメディス。

 

 双子座G33星に着任していた銀色の巨人。細くシャープな赤のラインと、額のクリスタル「ミラリギャザー」を特徴とする、ウルトラマンミラリ。

 

 蟹座C44星と呼ばれる星を護っていた、真紅の巨人。ほとんど赤一色で統一されたボディと逞しい筋肉を特徴とする、ウルトラマンアトラス。

 

 死の星と化した獅子座L71星を調査していた、銀色の巨人。ロケットのような形状を持つ独特な頭部を特徴とする、ウルトラマンヴェルゼ。

 

 乙女座V66星を護る任務に就いていた、元惑星探査員という経歴を持つ銀色の巨人。ウルトラマンゼノンやウルトラマンメビウスに近しいオーソドックスな外見を特徴とする、ウルトラマンリード。

 

 天秤座L79星の守護神として崇められている、銀色の巨人。ボディビルダーを想起させる筋骨逞しい体型を特徴とする、ウルトラマンポーラ。

 

 蠍座S88星を防衛する任務に邁進していた、惑星アルタラの出身である銀色の巨人。たすき掛けのような大きな赤い模様と、その縁をなぞるように細い青いラインが入った左右非対称の模様を特徴とする、ウルトラマンヘリオス。

 

 射手座S99星の防衛任務を長く務めていた、銀色の巨人。初代ウルトラマンをベースに、赤白のヘッドギアや鎧を着用したような外見を特徴とする、ウルトラマンアルミュール。

 

 山羊座C10星という惑星に着任したばかりだった、ウルトラマンリキシの弟子でもある銀色の巨人。ウルトラマンパワードに近しい外見である一方で、ブフ相撲の力士を想起させる模様と体型を特徴とする、ウルトラマンブフ。

 

 水瓶座A18星を数千年に渡り守り抜いて来た、勇士司令部からの出向者である金と銀の巨人。ゾフィーに近しい外見である一方で、身体の一部が金色となっているボディを特徴とする、ギガロ。

 

 そして――魚座P12星に棲む怪獣を皆殺しにしていた、青と銀の巨人。レッド星雲の戦士「レッドマン」を想起させるシルエットと、彼とは対照的な青いボディを特徴とする、ブルーマン。

 

 各々の担当地域から絶世哮の「余波」を感知していた彼らは、自分の持ち場(・・・)から離れるわけには行かないというジレンマを抱えながらも、拳を震わせて宇宙の彼方を見つめていた。

 それぞれ異なる宇宙を守護していた12人のウルトラ戦士達が、一つの宇宙に目を向けていたのである。その様はまるで、星空の彼方から地球を見守っている黄道十二星座のようであった。

 

 テンペラー軍団と戦うべきウルトラ戦士は、自分達ではない。あの宇宙の未来は、ウルトラマンカイナをはじめとする次世代の若者達に託すべきなのだ。自分達には、自分達の持ち場(・・・)がある。それはシュラ達も頭では理解していた。しかしその上で、彼らは別次元の宇宙(アナザースペース)で起きた惨劇から目を逸らせずにいる。

 彼らの「同期」であるウルトラ戦士――ウルトラマンゴウ。その息子であるウルトラマンザインも、いつかはあの宇宙を守護する宿命を背負うことになる。それはつまり、あのテンペラー軍団と対峙することになる未来を意味しているのだ。シュラ達は、戦友(ゴウ)の血を引く若者の行く末を案じ、逞しい拳を握り締めている。

 

 遥か昔、光の国がウルトラマンベリアルの襲撃を受けた際。当時のシュラ達は他のウルトラ戦士と共にベリアルに挑んでいたのだが、彼の圧倒的な強さの前には手も足も出ず、一方的に蹴散らされていた。如何なる技も、あの凶悪な戦士には全く通用しなかったのだ。その時の悔しさを糧に、シュラ達は苛烈な鍛錬を重ねて来たのである。

 かつて味わった敗北の記憶を糧に築き上げた力。それを活かすべき時は、今しかない。例え、それがどれほど重い過ちであったとしても。彼らはもう、目の前で起きている災厄から目を背けることなど出来ないのだ。

 

 宇宙警備隊の正規隊員としての、熱い正義感。その信念が「掟」に反するならばと、シュラ達は「左遷」を覚悟する。マッハ5の速さで宇宙(そら)を翔ぶ12人の巨人達は、流星の如くホピス星へと向かい始めていた――。

 

 ◇

 

 ホピス星を焼き尽くしたテンペラー星人の「絶世哮」は、この全宇宙を文字通り震撼させた。その「余波」から侵略者達の凄まじい力を悟った地球人達も、それ以外の外星人達も、各々の戦いに向けた準備を始めたのである。

 

 今回の異常事態を受け、BURKスイス本部はホピス星で発生した大爆発の実態を調査するべく、「BURK惑星調査隊」の編成を決定。

 その「人選」を託された日本支部の綾川(あやかわ)司令官は、最も実戦経験が豊富な同支部の実戦部隊を中心に、惑星調査隊のメンバーを選抜。オーストラリア支部から派遣されて来た天才科学者・シャーロット博士と共に、最新型宇宙船「BURKスコーピオン」による調査を部下達に命じた。

 

 かくして。日本支部出身の弘原海(わだつみ)隊長を筆頭とするBURK惑星調査隊は、草一つ無い不毛の地と化したホピス星へと飛び立つことになったのである。

 

 ――宇宙警備隊に属する、12人ものウルトラ戦士達。鉄屑の敗残兵と化した、「穀潰しの騎士」。死の星で彼らと巡り会う運命など、知る由もなく。

 






【挿絵表示】


 本章を最後まで読み進めて頂きありがとうございました! 本章は外星編part1(https://syosetu.org/novel/136080/35.html)の前日談であり、ホピス星の滅亡(デデーン)を巡るBURKやバルタン星人達の動向を描いたお話となりました。ここからホピス星の調査、そしてキングジョーとの戦いが始まって行くことになります……(´-ω-`)
 この先の物語が気になる方々は、外星編「ウルトラホピスファイト」を読んで頂ければ幸いです! その外星編からさらに数年後の地球が舞台となっている特別編「ウルトラカイナファイト(https://syosetu.org/novel/136080/5.html)」では、ウルトラマンカイナ達とテンペラー軍団の決着も描かれておりますので、こちらもお楽しみ頂ければ幸いです!٩( 'ω' )و
 ちなみにダス・ライヒ先生原案のブルーマンの元ネタである「レッドマン」は、現行シリーズ「ウルトラマンオメガ」と同じ赤い戦士ということで再び注目されていますね。私も久々に見返してみましたが、やっぱり本当に容赦がない……:(;゙゚'ω゚'):

 本章に登場したバルタン星人のラスヴァーダは聖夜編(https://syosetu.org/novel/136080/55.html)と過去編(https://syosetu.org/novel/136080/30.html)にも登場しております。メガヴァーデは平均以下のクソザコ野郎先生の3次創作「荒島 真己のスキキライ(https://syosetu.org/novel/295056/)」に私が投稿したエピソード「オンセンリョコウ(https://syosetu.org/novel/295056/15.html)」にも登場しております! こちらのお話ではBURKのエリート女性隊員達があられもない姿で戦っておりますぞ(゚∀゚)
 「荒島 真己のスキキライ」は、BURK惑星調査隊に選ばれたエリート隊員達の普段の姿が描かれている日常回メインの作品であり、荒島真己とリーゼロッテのカップリングを軸に、隊員達の新たな一面を描き出して行く物語が展開されております。同作に関連したR-18枠の派生作品(https://syosetu.org/novel/301565/)も公開されておりますので、機会がありましたらこちらの作品群もお楽しみくださいませ! 派生作品の方につきましては前述の通りR-18となっておりますので、その点だけご注意ください(>人<;)

 ちなみにラスヴァーダとメガヴァーデは私が「ウルトラ怪獣モンスターファーム」で育成していたバルタン星人の個体名でもあったので、個人的に愛着があったり……。機会がありましたら上記のエピソード「オンセンリョコウ」もぜひご一読ください〜!(*^ω^*)
 ……ラスヴァーダとメガヴァーデでパロディネタを書きたかったがために本章を執筆したなどと、そのようなことがあろうはずがございません。ささ、外星編part1にお戻りを……m(_ _)m

 また、惑星調査隊の一部メンバー達は柳治先生が執筆された3次創作「シン・ウルトラシスニャーファイト(https://syosetu.org/novel/136080/60.html)」にも登場しております。こちらの作品は拙作とは異なる世界線の物語となっており、新たな解釈で描かれた彼らが活躍しております。気になる方々はこちらも是非どうぞ(^^)
 なお、「荒島 真己のスキキライ」で主人公を務めている荒島真己は、柳治先生が執筆されていた3次創作「ウルトラレディ・リドナ(https://syosetu.org/novel/357715/)」では女体化バージョンで主役を務めておりました。こちらはR-18枠の作品であるため、その点は注意が必要となりますが、機会がありましたらこちらもどうぞよしなに!(о´∀`о)
 前編で仄めかされていた通り、テンペラー軍団は本作世界の宇宙を滅ぼした後、彼女達のような女性ウルトラ戦士が居る次元の宇宙にも攻め入ろうとしていた模様。しかしその前に特別編でカイナ達に処されてしまったので、それが実現することはなかったのですなぁ……(ノД`)

 さらに、本章に登場していた八木夢乃は魚介(改)貧弱卿先生の3次創作「ウルトラマンザイン(https://syosetu.org/novel/291806/)」にも登場しており、こちらの作品では魚介(改)貧弱卿先生原案のサイボーグウルトラ戦士「ウルトラマンザイン」が主役ヒーローを務めております。多種多様なメカを運用するBURKの活躍もしっかりと描かれており、大変ボリュームたっぷりな作品となっておりますので、こちらの作品もぜひご一読ください〜!(*゚▽゚)ノ

 加えて、本章に登場した鶴千契もX2愛好家先生の3次創作「命を照らす者 ~ウルトラマンメディス~(https://syosetu.org/novel/298255/)」では主人公を務めております。こちらは外星編の後日談となっており、重厚なエピソードが幾つも描かれている素晴らしい作品です。この作品ならではのカッコいい新ヒロインも登場しておりますし、本章でちょっこし存在を匂わせていたドイツ支部の「新兵器」も活躍しております。必見ですぞ〜!(*´Д`*)


【挿絵表示】


 さらに余談ですが、本章に登場したアメリカ支部の金髪碧眼美女パイロット・アメリアは、特別編part9(https://syosetu.org/novel/136080/13.html)で初登場して以来、女傑編(https://syosetu.org/novel/136080/21.html)シリーズや米国編(https://syosetu.org/novel/136080/50.html)、新兵編(https://syosetu.org/novel/136080/57.html)でも登場していたキャラです。本章では、そんな彼女の未熟な候補生時代が描かれておりました(*´꒳`*)
 他のBURK隊員達がそうであるように、彼女の物語もここから始まったのであります。彼女はこの先えっちなピンチに遭ったり、屈辱的な「お漏らし」までしたりと色々な受難を味わうことになります。その辺のお話につきましては、上記のエピソード群を参照ですぞm(_ _)m

 また、彼女は上述の「荒島 真己のスキキライ」に私が投稿していたエピソード「キャット・ファイト=ドッグ・ファイト(https://syosetu.org/novel/295056/16.html)」にも登場しており、そのお話では今話と同様に候補生時代の様子を描いております。こちらのお話ではリーゼロッテとアメリアが熾烈な模擬戦を繰り広げておりますぞ!(`・ω・´)
 さらに上述の「ウルトラマンザイン」の「エピソード11 変わり始める世界 5(https://syosetu.org/novel/291806/31.html)」では、経験を積んで立派に成長したアメリアらしき人物も……? 機会がありましたら是非ご一読くださいませ!(о´∀`о)


Ps
 ホピスナイトカスタムはFE3で例えるなら、12連戦前提の調整が入ってるキングジョーって感じ。最後に戦うウルトラマンシュラよりも先に誰かが倒しちゃうと、「◯◯の勝利だ」で強制Sランククリアになるやつ……(´ω`)
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