真由美編の続きと思っていた方すみません。
何故か先に深雪ちゃんの方が仕上がっちゃったので、先に投稿させていただきます。
アンケートで
【横島くんと誰とのデートが見てみたいですか?】
1番が真夜さんだったことに驚いております。
2番が深雪ちゃんで3番が真由美さん、4番が小竜姫様、5番が雫ちゃん。
ここまではいいんです。
でもなぜ、6番がリーナと同率で達也なのかwww
なんかとんでもない案件ですw
春休み、横島の親友達は横島の3LDKの自宅マンションにほぼ毎日一日中入り浸っていた。
昼食は全員が横島の自宅で済ますのが慣例で、夕食も親友達の誰かが何時も同席していた。
食事係を毎日行っていたのが、深雪と真由美だった。
兄、達也が横島宅に入り浸ってるため、自然と食事の支度をするのが慣例となってしまっていたのだ。
今日も深雪は食材を買い足すために近くのスーパーマーケットまで買い物に出掛け、横島の自宅マンションに戻ったのだが、いつも騒がしい横島宅が静であった。
「横島さん、お兄様はどちらに?」
「達也はカオスのじーさんと実験に出かけた。夕飯までには戻って来るとか言ってたが……。自分ちに帰れよな」
この頃、達也は無表情ながら活き活きしていた。
ドクター・カオスと魔法開発や魔工技術についての談義が楽しくて仕方がないと言った感じだ。
それに、自分に気を使ってくれるマリアもここに居るため、自宅に居るよりもかなりリラックスしている様にも見える。
「エリカや西城さん達は?」
「さっきまで居たんだけど、エリカの所の道場の用事で帰った、ああ、なんか幹比古と美月ちゃんもその手伝いで駆り出されたらしい」
因みに横島はちょっと前にとんでもない事をやらかし、千葉家の道場にはほぼ出禁状態で、手伝いに誘われる事は無い。
「七草先輩の妹さん達は?」
「なんかアリスの服が同じやつばっかりだからって、マリアと一緒にアリス連れて、デパートに行った」
アリスは同じような服しか自前で持っていなかったため、毎日同じような恰好をしていたのだ。
それを見かねた真由美の双子の妹の香澄と泉美は、アリスにオシャレさせるようにと横島に抗議する。
横島は後で買いに行くと言ったのだが、横島のセンスに疑いの目を向け、自分達でアリスの服を選ぶと言い張った。
その結果、マリアについて行ってもらい、香澄と泉美、マリアとアリスはデパートへと出かける事になったのだ。
因みに今日は真由美と雫とほのかは横島宅には来ていない。
真由美は魔法協会の若手会合に出席。
雫とほのかは、部活の用事があったためだ。
六道芽衣子は不明である。
「そうなのですね」
「なんか、この頃ずっと騒がしかったから、妙に静かと言うか、なんていうか」
横島はホッと息を吐く。
「……昼食の用意しますね」
深雪は何故か居心地が悪くなり、そそくさと食材を抱えてキッチンに向かう。
「深雪ちゃんには何時も作って貰ってるし、今日は俺が作ろうか?」
「大丈夫ですよ」
「いや~、流石に悪いって言うかなんて言うか、じゃあ、手伝わせて」
横島はそう言ってキッチンに入って行く。
「え、ええ」
深雪も横島にそう言われては、拒否することも出来なかった。
いや、そもそも拒否する理由も無いのだが、何故かそんな中途半端な返事が出てしまった。
「で、何を作るの?」
「メインに焼き豆腐と鳥の餡かけ、インゲンの胡麻和え、ニンジンと玉ねぎの味噌汁と香の物少々……です」
「じゃあ、ニンジンと玉ねぎは任せて」
「……えっと、あの」
「大丈夫、大丈夫、ちょっと前まで自分でやってたし、テキトーだけど、あははははっ」
「……それでは、お願いします」
深雪は何時もと違い、何故か言葉の端切れが悪い。
深雪は雪の結晶のワンポイント刺繡の入った白いエプロンを首からかけ、鍋とフライパンを温める。
その横で横島は野菜を洗い、皮剥きを始める。
深雪は何故か何時もの横島宅のキッチンなハズなのに、妙に心がざわつき、居心地が少々悪いように感じていた。
それもそのはず、今この家には達也どころか横島と深雪以外誰もいない。
二人きりなのだ。
それと、知り合って1年弱経つが、深雪は横島と二人きりになる状況もなければ、一対一で話したこともなかったのだ。
そもそも深雪にとって横島は、兄達也の友人の一人というだけの認識であった。
だが、間接的にとはいえ横島と接するうちに、いろいろと感情を動かされてきたのだ。
兄の変な友人から、夏休み頃から兄の仲がいい友人。
二学期からは、横島と兄達也があまりの仲の良さに嫉妬したこともある。
さらには兄達也と横島が男同士好きあっているのではないかとも勘違いもした。
また横浜では、凄まじい力を振るう姿に恐怖したこともある。
そんな深雪の心情も知らずに、横島はいつも通りの軽い感じで深雪に話しかける。
「流石深雪ちゃん、手際いいな、家でいっつもご飯作ってるだけあるな~」
「そ、そうでしょうか?」
「深雪ちゃんって、なんでいっつも敬語?」
「え?その……」
深雪は誰に対しても丁寧な言葉使いをするのだが、友人達とはもう少し砕けた話し方をしていた。
だが、なぜか今の今迄横島に対しては目上の人のように敬語で話していた事に、深雪自身指摘されて、今更気が付いたのだ。
「まあいいや、そう言えば、達也は料理を手伝ったりしないの?」
「お兄様ですか?お兄様にはキッチンに入って頂きません。私がお兄様に出来る事は食事ぐらいしかありませんから……」
「へ?なんで?」
「お兄様はなんでも出来てしまわれるので……」
「深雪ちゃんって、やっぱブラコンだよな~」
「な!?……そ、そうですが、お兄様が優秀なのとどういう関係が?」
深雪はムッとした表情で横島を見上げる。
深雪は面と向かってブラコンだといわれたのは雫に続きこれで二度目で、自分が世間一般ではブラコンにあたることを認識しているようだ。
だが……
「達也って、意外と自分に興味がないことに無頓着なんだよな。その辺を深雪ちゃんがフォローしてるんじゃない?」
「え?……そ、そんなことは……」
「いや、あるね。日常会話でも彼奴結構挑発的だろ、深雪ちゃんが横でフォローしてくれてるから、うまく回ってるって感じだ。風紀委員やってる時って、あいつと組むこと多いからその辺よくわかる。深雪ちゃんも気苦労が絶えないんじゃないかなってさ。あいつなんでもでも知ってる風に澄ましてるけど、意外と抜けてるぞ」
「その、横島さんはわかるんですか?お兄様はその辺がお茶目なので……」
「お茶目?ありゃ、鈍感っていうんだよ!」
さっきは横島に対してムッとしていた深雪だが、今回、達也の悪口を言われているのに怒りがこみあげてこなかった。
それどころか横島の言動に目を丸くして驚いていた。
横島が指摘したことはいちいち当たっていたからだ。
達也は確かに日常お生活において興味がないことにはとことん無頓着だ。
そこを深雪が気を使って全般的にフォローしていたのだ。
達也の服のコーディネイトはもちろんちょっとした日常品の調達はすべて深雪が行っていた。
達也の生い立ちもあり、自身に無頓着なのは致し方がないことだが、普通に高校生に比べるとその辺は劣るところであった。
深雪は自分以外の人間から達也の事で、こうした指摘や話が出てくることに驚いていた。
「そうですね。そうかもしれませんね」
深雪は横の横島に顔を向け自然に笑みがこぼれる。
これは自分以外でも達也の事をちゃんと理解してくれてる人がいることに対しての喜びであった。
「おおっ、深雪ちゃんはそうやって笑った方が断然いいね。みんなも最初会ったときは作り笑顔ばっかりだったし、特に真由美さんなんかめちゃくちゃ作り笑顔だった。魔法師ってみんなこんな感じなんかな~って、最初は思ってたけど。レオ以外は……。今はみんな笑ってるし、達也も無表情だけど、こいつ笑ってるなってのはわかる」
「うふふふっ、そうなんですね。それでは横島さんはどうなんですか?」
「へ?俺?うーん。俺もそうだったかも」
横島の場合、暗示で17歳の頃の横島を再現していたため、作り笑顔と言えば作り笑顔だろう。
横島はベリアルとの闘い以降自己暗示をかけていない。
暗示をかけていた期間がそこそこ長かったためか、高校生らしい振る舞いも自然とできるようになっていた。
「横島さんもです。今の横島さんは話しやすいですよ」
深雪はそう言って、また微笑む。
もしかすると、深雪は横島の自己暗示の性格に違和感を感じていて、それも横島を忌避していた理由だったかもしれない。
「え~、マジで!?まあ、俺の場合、女の子から嫌われまくってるからな~」
「それは横島さんが悪いです。横島さんは普通にしていれば素敵な方なのに、わざわざ嫌われるような真似をするからですよ」
深雪はさっきまで横島と話す事に躊躇していたが、今の横島と自然と会話を楽しんでいた。
「素敵ってなに?え?俺が?」
「うふふふっ、そうですよ」
二人はこうして会話を楽しみながら料理を続ける。
料理をする二人の空間にはほんわかとした空気が流れる。
今の二人の状況を端から見ればどう映るだろう。
仲がいい恋人同士が台所に並んで仲良く料理している図に見えてしまう。
しかも、あの学校一の美女と名高い司波深雪が一人暮らしの男の家に上がり込み、料理を一緒にしているのだ。
学校の連中が見れば、また、リーナと横島の関係のように、嫉妬ブリザードや呪いフレアが降ってきてもおかしくない。
いや……、今のこの二人の姿を見て、心穏やかではいられない連中は何も学校の連中だけではない。
もっと近しい人間が見ればどうなるだろう。
例えば兄達也。
シスコンの鬼と化するのではないか?
リーナや真由美、雫、横島に告白したこの3人が見たらどう思うのだろうか?
修羅場になりかねない。
六道芽衣子はどうだ?
悔し涙をまき散らし、式神暴走で、この辺り一帯が土に帰するだろう。
妹分の氷室要が遊びに来たら、無言の圧力で空気が氷り、物理的な圧力でこのマンションは崩壊するかもしれない。
さらに、竜神の姫が見たら。
嫉妬のあまり、火山爆発。いや、巨大なハリケーンがこの街を襲うかもしれない。
考えるだけで恐ろしい。
そんな懸念など、微塵も感じさせないかのように、横島と深雪の間には緩やかな温かみのある空気が流れる。
「野菜切り終わったし、胡麻和えだから胡麻をすろうか?」
「お願いします。横島さん」
深雪は何故かふと指で唇に触れ、横島に笑顔を向ける。