フェイクというには程遠い   作:若葉ノ茶

60 / 60
お久しぶりです。もう忘れてる人多いと思うけどこっそり更新。こっからドレスローザ編へ加速したいけど、またのんびり更新するかも。


どちらに行くのかは決まってる

 

 

 

 

 皆は逃げようとするシーザーに注目していたけれど、俺は違う。

 

 

 ベビー5とバッファローが空から海へ落ちていく。

 それは、オリジナルたるロシナンテが覚えているあの3人の子供時代の記憶からして考えられないもの。

 喧嘩をしていることもあった。ベビー5が騙されてアイス奢らされてと少しだけ歪な仲の良さでもあった。

 

 それでもちゃんと一緒にいた。兄妹のような関係だった。

 あの3人が子供だった頃はこんな殺し合いのようなことが起きるだなんて思わなかったんだ。

 

 

「……ああ」

 

 

 

 もう動いたからには止まらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

「いいか! こっから先は俺ら海兵の領域だ! テメエらは入ってくんなよ!」

 

「貴方たち! みっともない真似はやめなさい!」

 

「何言ってんだよたしぎちゃん! 海賊と海兵は馴れ合いしちゃ駄目だろうが!」

 

「そうだぜ! リードのクソガキがまた海賊に憧れちまう!!」

 

「なにいってんだ! おれはかいぞくにあこがれてねぇぞ! ちゃんとかいぞくになるんだ!」

 

「ほら見ろもう海賊に洗脳されてやがる!」

 

「リードこっちこい! 肉やるから!」

 

「ほんとかー!」

 

「肉くれんのか!?」

 

「テメエにはやらねーよ麦わら!」

 

 

 涎を垂らしたリードがトコトコと歩いて麦わら海賊団より厳つい顔をした海兵が持つ肉につられる。

 ルフィもリードのように近づこうとしたが止められて、腕を伸ばして肉をつかみ、リードがそれを見て「おれのにくだぞー!」と叫びながらルフィから肉を奪おうとしているのが見えた。

 

 

「ちょろすぎじゃないあの子。本当にルフィみたい」

 

「なぁナミ。あいつの見た目ってさぁ────」

 

「ええ、そうね。聞かなきゃいけないことがたくさんあるわ」

 

 

 ローに視線を向けた麦わらのオレンジ色の髪の女と、長鼻の男。もちろん彼ら以外にもリードの見た目とその中身に疑念を感じているようだ。

 

 ちらりと俺の隣にいるローの様子を見るが、俺達の視線に気づいている筈なのに何も言わず、海を眺めていた。

 ドフラミンゴとの戦いについて考えているのか。

 

 

(何でこんなことになったんだろう)

 

 

 ローには幸せに生きてほしかった。復讐なんて望んじゃいない。

 

 ────オリジナルが子供の頃のローを連れていかなければこんなことにはならなかったのか。

 復讐なんて思い付かないように、ローをドフラミンゴの所に置いて……。

 

 いや、あの時ドジをしていろいろあってローを無理やり連れ出していたけれど、そうしなければローは死んでいたかもしれない。

 

 ドフラミンゴに育てられて忠実な部下になり、ベビー5やバッファローのようになっていたかもしれない。

 

 いろんな可能性を考えては、ドフラミンゴと対立しない未来を夢見るのは、俺の弱さが原因か。

 こんな風に考えても意味がないのは分かってる。

 

 立ち上がった俺に、ようやくローが反応した。

 

 

「待て、どこに行くつもりだ」

 

「ベビー5たちのとこ」

 

 

 縛り付けられているベビー5達に近づいた俺を見て、彼女らは怪訝そうな顔をする。

 

 

「何よロナン。助けてくれるの?」

 

「ローの顔を見ろ。んなわけねーだすやん……」

 

 

 バッファローが俺の後ろを見て嫌そうな声を出したので、ローがついてきていることを悟る。

 ローが俺に過保護なのはロシナンテのクローンなせいか。

 

 クローンのせいで、ローが怪我をするのだけは嫌だ。

 

 

「ドフラミンゴが言ってたけど、俺が死んだらまた次の『ロナンじゃない俺(ロシナンテのクローン)』を作るっていうのは本当か?」

 

「……若様がそう仰ったのならね」

 

「オメーが裏切ったんなら、別のオメーを作るのは当然だろ」

 

「なら、クローンを作るための技術はあいつの手元にあるよな」

 

 

 クローンなんてこれ以上必要はない。俺ら以外に生まれていいのか分からないモノは潰す必要がある。

 爆発した研究所から技術を持ち出したとは考えられない。G-5に捕まっていた時に俺らの身体を念入りに調べあげていたから、そこから技術は盗まれたかも。

 

 考えられる最悪はあるけれど、ドフラミンゴが悪用するよりマシな筈だ。

 

 リードは大丈夫。あのガープ中将もいるし、別人格の兄ちゃんがいればリードは守られるはずだ。

 

 

「……おいロナン、何を考えてる?」

 

 

 そういえば、初めて俺の名前を呼んだなとローの方を振り返って笑った。

 にっこり笑ってやったのに、何故かローは目を見開いて変な顔をする。

 

 

「俺もやりたいことをやるだけだよ」

 

 

 ローより先にドフラミンゴを止めなければならない。出来るかは分からないけれど、ローに背負わせてはならない業だ。

 

 俺がやらなきゃいけないんだ。

 

 

 ドフラミンゴがクローンの技術を持っているならそれらを全部ぶっ壊してやる。

 クローンの身体を調べて技術を盗まれたなら、それらも含めて壊せばいい。

 

 それで────クローンたる俺が死ねば、二度とロシナンテは生まれない。

 

 そう信じて前へ向くと決めた。それだけだ。

 

 

 

 

 




変な風に考えてドジってやらかして斜め上の方向に向いたロナンは気づかない。
それがローやリードにとってのブチギレ案件だということを。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

安価で安住の地を見つける(作者:ハンドルを右に)(原作:ONE PIECE)

 海賊辞めてひっそり暮らしたくて助言を求めたつもりだったが、人の心がないスレ民によっていつの間にか安価スレにされて追い込まれてしまった男の末路。


総合評価:38006/評価:8.96/連載:11話/更新日時:2022年11月27日(日) 12:30 小説情報

闇の正義スパンダム(作者:ぬこノ尻尾)(原作:ONE PIECE)

ウォーターセブン編の実質的な敵のボスポジションながら、小物で屑というスパンダムに憑依した主人公。▼どうしようもないほどの力への渇望と狂気を宿し、世界を容易く滅ぼせるほどの力を得てなお、もう二度と戻らない平穏な幸せを求める。▼己さえよければ他はどうでもいい。敵対しないのなら好きにすればいい、敵になったのなら容赦はしない。▼そんな狂気に染まった闇に生きるバケモノ…


総合評価:44879/評価:8.76/完結:85話/更新日時:2022年12月18日(日) 00:00 小説情報

とある黒猫になった男の後悔日誌(作者:rikka)(原作:ONE PIECE)

これは目が覚めたら、少年時代のキャプテン・クロになっていた男の後悔だらけの航海日誌である。▼少年漫画で海賊の世界とか暴力必須間違いなしじゃねぇか!▼海賊になんかなってたまるか俺は静かに生きるんだ!▼残念、現実は非情である。▼※頂き物ファンアートは数が増えて文字数制限に近づいたため、活動報告にてページを作ってまとめさせていただきました▼『FA保管庫』▼http…


総合評価:119394/評価:9.45/連載:200話/更新日時:2026年06月16日(火) 19:00 小説情報

Fate/stay night [Alter Ego of Calamity] ――理外の双貌 (作者:りー037)(原作:Fate/stay night)

冬木市で行われる魔術師たちの殺し合い『第五次聖杯戦争』。▼必勝を期して最強の剣士(セイバー)を召喚したはずの遠坂凛の前に現れたのは、万能の杯すら鼻で嗤う「呪いの王」両面宿儺だった。▼伏黒恵の肉体(全盛期の力)と、一度敗北を知り丸くなった(?)精神。▼二つの極致を併せ持つアルターエゴにとって、この命懸けの儀式は単なる「暇つぶし」でしかない。▼機嫌を損ねれば即・…


総合評価:3812/評価:8.48/完結:52話/更新日時:2026年06月05日(金) 22:51 小説情報

不幸にも虚飾の魔女に懐かれてしまった男(作者:OZ)(原作:Re:ゼロから始める異世界生活)

リゼロ世界に転移してしまったオリ主が不幸にも虚飾の魔女に出会い、▼あまつさえ気に入られてしまった話。▼時間軸的には、スバル転移より少し前からスタート。


総合評価:13921/評価:8.84/連載:22話/更新日時:2026年04月15日(水) 23:49 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>