今回は短く、アスティが聖槍の本質に気付く話です。
「なるほど、聖槍にそのような機能が……」
アッシュからの報告を、私は念話を通して聞いていた。
聖槍───それは、謎が多い具現化した
私でさえも解析困難であり、それこそヴェルダナーヴァでもなければ何もわからないものだった。
その聖槍を、偶然にも、ヴェルドラが知っていた───いや、偶然なわけがない。
ヴェルダナーヴァがヴェルドラに教えていたということは、もともと隠す気がないということなのだろう。
つまりは、不特定多数の存在が、聖槍を探ろうとするであろうことを予測していた、ということになる。
聖槍の本当の機能……それを踏まえた上で考えるとするならば。
「…やはり、足りませんね」
聖槍に連なる
恐らく、最低でもあと二つ、最大三つは存在しているはずだ。
だとして、残りの
その
「……記録媒体、か」
記録媒体───ヴェルドラはそう言った。
何を記録している?
記録して、どうするつもりなのか?
なぜ具現化している必要がある?
それに、どうやって
「……いえ、まさか……?」
聖槍には、謎が多い。
その原理はわかっていないことの方が多く、アッシュが扱えているのは、あくまで上辺の力でしかない。
レジーでさえ、あれを完全に制御するのは不可能なのだ。それは、アスティがやったとしても同じこと。
いや、そもそも、アスティでは聖槍を扱うことは出来ない。あれはアッシュのスキルであり、そのアッシュ本人も聖槍を詳しくは知らない。
それに───聖槍は、アッシュに突然宿った力だった。
何の前触れもなく、いつの間にか、突然に。
「……記録媒体……だとすれば……アッシュが扱えるのは……
……
アスティは、自然とアッシュの獲得した
「あのスキルは……改めて考えてみれば、おかしい」
自分の体内に、異次元の世界を創る?
明らかにおかしい。いや、できるはずがない。
ヴェルダナーヴァでさえ、世界を創造するのに膨大なエネルギーを必要としていた。
真似るだけなら、ある程度エネルギーは削減されるかもしれない。だが、そうであっても創るのに必要なエネルギーは膨大。
アッシュに聞いたところ、生物はいないが、環境はまったく同じらしく、魔素も漂っていたらしい。
ならば尚更不可能だ。環境を完璧に再現するなど……一体、何処からそれだけの世界創造に足るエネルギーを持ってきた?
「……繋がっている、とでも言うのでしょうか?」
情報は聖槍が。
創造は理想が。
そして、エネルギーを残りのスキルから持ってくる。
「ヴェルダナーヴァ……とんでもないものを遺していきましたね」
もしも、理想と聖槍が本質を同じとするスキルで、アスティが考えている通りならば………
「
扱いを間違えれば、今の世界は
存在していた過去は崩れ、未来の可能性は掻き消され、現在に生きている命は、全てを忘れる。
────そんな未来が、視えてしまった。
「……最悪ですね。
滅びの原因の大部分はこれだった、というわけですか」
まさか、滅びの原因そのものを育ててしまっていたなんて────
「好都合です。今ならば修正も間に合う」
今の段階で気付けて良かった。もしも気付くのに遅れてしまっていたら、本当に取り返しのつかないことになっていたかもしれない。
だが、今なら大丈夫だ。
「最悪の未来───そんなもの、私が否定する」
そんな未来など、認めない。
私は、その最悪を回避してみせる。
世界が滅びかねないという。傍迷惑な話ですよね。
……遅れてすみませんでした。