とある微小特異点、そこでカルデアは彼と遭遇した。
「おや、遅かったな。」
何処にも属さない歴史の中の染みとして現れたそこに、異聞帯の攻略での消耗を押して出撃した。
だが、そこはカルデア唯一のマスターたる藤丸立香にとって極々普通の都市部の光景が広がっていた。
とは言え、差異が無い訳ではない。
より具体的に言えば、秋葉原と祭典開催中の東京ビッグサイトが悪魔合体した上に合体事故を起こした様な、ルルハワによく似た感じになっていたのだ。
「あ、貴方は?」
「あ、どうも。この特異点?異聞帯?の主です。」
「えぇ…。」
立香の困惑した声に、そのサーヴァントはカラカラと笑った。
麹塵色の作務衣に柄から鞘まで漆黒に彩られた刀を佩いた日本人と分かる青年。
「まぁゆっくりしていってよ。」
そう言ってカラカラ笑う姿には何の邪気も無く、立香は拍子抜けした様に脱力した。
「「「「……………。」」」」
だが、生前に多くの戦いを経験したサーヴァント達は、皆一様に警戒を露わにしたままだった。
「俺は…まぁ無名のアサシンだ。用があるなら郊外の山にある家に来ると良い。」
それっきり作務衣のアサシンは消え失せた。
その余りに完成度の高い気配遮断と離脱は、山の翁達に彼らの尊敬する初代を想起させる程だった。
「取り敢えず、ここを見て回ろう。それから決めよう。」
ギャグ路線ならそれで良い。
しかし、そうでないのなら、あの圧倒的実力を持ったアサシンを相手取るしかない。
早々にその確信を得た立香はこの閉じた世界を探索する事にした。
「日本、だよね?」
「えぇ、確かに先輩のよく知る日本の、極一部の光景かと。」
祭典にやってきたオタ達の放つ熱量。
ルルハワを思い出させるそれは、サーヴァント達よりも遥かに多い人数もあって、天井知らずに気温を上昇させ続けていた。
誰も彼もがサブカルチャーへと熱狂し、各々の作品を持ち合い、或いは作品への愛を語っていた。
その他にも己こそがアイドル、己こそが作家であると歌に漫画に小説、果ては映画や演劇にゲーム等、大よそ全てのオタク的娯楽が集結していた。
それに乗りの良いサーヴァント達も以前の経験を活かして参加し、大いに楽しむ中、それに混ざらない者達もいた。
「う~ん。これはどうにも…。」
「……………。」
人のまばらな位置から、作家サーヴァントの二人はその光景を微妙な表情で見つめていた。
「どったの、二人とも?」
「あぁマスター殿。この狂騒、吾輩にはちょっと合わないなーと思ってた所です。」
「どゆこと?」
「端的に言えば、この馬鹿騒ぎには不自然な所がある。」
こうして、作家サーヴァント二人とマシュを伴にして、立香はこの奇妙な特異点の調査を開始した。
そして、徐々にこの特異点の歪さを明らかにしていった。
「ここはな、意図的に祭りの瞬間を切り取られている。謂わば写真の類だ。」
祭典を楽しむオタク達の熱狂。
秋葉原の住人達の趣味への情熱。
そうした瞬間のみを切り取られ、固定され、祭りの一週間前から終わりまでを繰り返し続ける。
それはルルハワによく似た、しかし致命的な差異のある特異点。
「ここはたった一人を楽しませるための箱庭だ。恐らく、最終的にはここが壊れてもどうでも良いと思ってるのだろうよ。」
「でしょうな。でなければこんな杜撰な作りにはしないでしょうし。」
「どういう事?」
作家二人の言葉に、立香は先を促した。
「あの月でも二人といない傍迷惑女も似た様な事をやったが、アレはあいつなりにお前達を慮ってやらかした事だ。が、ここは違う。」
「そう、その通り!これはあくまでここの住人達が作り上げるモノを楽しむためだけに作られた特異点!純粋に娯楽のための図書室と言った方が良いでしょうか。」
「でも、それなら存続した方が良いのではないでしょうか?」
マシュの言葉に、しかし作家二人は否を示す。
「いえいえ、あくまでここの主は読まないまま部屋に積んでた本を消化する感覚でこの特異点を作ったのでしょう。現に繰り返す10日間の中では、新たな作品が生まれていないのです。」
「生まれてしまってはさっぱり消化が追いつかないだろう?要はそういう事だ。そして、消化し終えればここは用済みになる訳だ。」
「それは、また……。」
立香としては困惑しきりだ。
特異点を実験室や使命のための舞台にする者、或いは通常の人類史では実現できない願望を叶えるために特異点を利用する事例はあった。
しかし、最初から使い捨てる予定で特異点を形成する者がいるとは思いも寄らなかった。
いやまぁ新宿みたいな特異点全体が罠という例はあるが、それは兎も角。
「では、この特異点を形成したのは、やはりあの無名のアサシンさんで宜しいのでしょうか?」
「あぁ。奴には嘘偽りは感じられなかった。」
「アラフィフ殿並の嘘つきなら自分すら騙している可能性はありますが、あの御仁はどちらかと言うと…。」
「アサシンの方のエミヤと柳生何某を悪魔合体させた感じだ。」
「何それ怖い。」
「目的のためには常に平静かつ手段を選ばない。尚且つご本人も搦め手含めてとてもお強いという事でしょうか。」
こうして、この特異点の性質を突き止めたカルデア一行は、一路郊外の山の中にある家へと向かうのだった。
「うん、正解だ。」
カルデア一行の推理を聞いた無名のアサシンはあっさりと認めた。
「最近の娯楽作品の生産速度は速すぎて追い切れなくてね。一度ちゃんと追い付こうと思ってこの特異点を作ったんだ。」
以前聖杯を入手した事があったからね。
そう言って懐から出したのは、彼らも見覚えのある見事な黄金の杯だった。
「さて、それを知ってどうする?」
そして、先程までの穏やかな雰囲気を捨てて、抜き身の刃の様な気配を放ち始めた。
同時、近接戦闘でも最上位の面々は立香と無名のアサシンの間に立ちはだかる。
「この特異点を閉じてもらいます。」
「どうしても?」
「どうしても、です。」
月のない夜、波一つ立たない湖面の様に感情の感じられないアサシンの問いに、立香は頷いた。
「確かにこの特異点はオレにとっても馴染み深くて楽しい。でも、こういった事に没頭するのは、今じゃなくても良い。それは、貴方も同じ事だと思うから。」
それはこの繰り返す10日間の中で、立香が得た結論だった。
確かにこの特異点は平和そのものだ。
祭りの時期であるためやや気性が荒くなっている所はあるが、それ以上に穏やかな気質の人々が多いため、大抵の問題は話し合いで解決する。
日本生まれの日本育ちの純粋な日本人である立香からすれば、余りにも懐かしい光景だった。
しかし、この特異点は閉じている。
まるで引きこもりの様に、するべき事から目を逸らし、無理にでも娯楽に没頭している様な、そんな感覚がするのだ。
それは正常な人類史の復活を目的とするカルデアに所属し、多くの戦いを経てきたからこその感覚なのかも知れない。
しかし立香には、人類最後にしてカルデア唯一のマスターには、ここで立ち止まるという選択肢は存在しなかった。
それは今まで打倒してきた、犠牲にしてしまった全てに対しての侮辱だと理解しているから。
「そうか。じゃぁこの特異点は閉じよう。」
「へ?」
その覚悟が伝わったのか、無名のアサシンはあっさりとそう宣った。
「とは言え、条件付きだ。」
「あ、なんかヤな予感。」
ここまで来ればもうお分かりであろう。
「オレに勝って、我こそは人類史を再生させる者だと示してくれ。勝利の暁にはこの聖杯とこの特異点の娯楽作品全てのデータをプレゼントだ。」
「乗った。」
「先輩、決断が早過ぎます!」
マシュの悲鳴染みた突っ込みを黙殺しつつ、立香は更に声を上げた。
「おまけに貴方を召喚する権利もプリーズ!」
「よしよし、勝てたらこの聖晶石30個もあげちゃおう。」
「ヒャァ我慢デキネェ!」
「先輩ー!?」
こうして、この特異点最後の戦いが始まるのだった。
「あ、言っておくけどオレ無敵貫通(3T)で殆ど常にクリティカル出すからね。」
「アイエエエエエ!?サムライ、サムライナンデ!?」
「先輩ぃぃぃぃぃぃ!?」
この後なんとか令呪三回と石二つ使って勝ちましたとさ。
一輝(偽)のFGO的ステータス
筋力C 耐久D 敏捷A+ 魔力E 幸運E 宝具???
カード構成…QQQAB
スキル
心眼(偽・真)…回避状態を付与(1T)+クリティカル威力UP(3T)+防御力UP(3T)
無冠の武芸…NPを獲得+自身のスター発生率UP(3T)+自身のクリティカル威力UP(3T)
天地合一…自身のHPを大回復+自身の状態異常を解除+自身に状態異常無効化状態を付与(3T)
宝具
「参の太刀・運切り/さだぎり」
自身に無敵貫通効果を付与(3T)・敵の強化状態を解除・敵単体に超強力な防御力無視攻撃(OCで威力UP)。
絆礼装
「四の太刀・時逆/ときさか」
無名のアサシン装備時のみ、自身にガッツ状態を付与(1回)+ガッツ発動時、敵全体に超強力な無敵貫通・防御力無視攻撃を行う。
解説
常にクリティカルするスター生産マン。
常にジャック以上に星を安定生産する上、その星を活かしたクリティカル攻撃を連発してくる。
更に宝具を使えば無敵貫通が付く上、強化解除で中ボス程度なら間違いなく即死させてくれる。
問題はスター集中系がない事だが、それが問題ない位には大量の星生産職人なので問題はない。
が、反面HPが低く打たれ弱いので、長期戦を強いられる状態なら回復役と組み合わせよう。
Qコンボを狙うなら、ジャックちゃんとスカディがお勧めである。
NPに関してはガンガンクリティカルしてくれるので、余り心配はない。
宝具に関しては貯めるのも手だが、積極的に使用して無敵貫通を利用していこう。
また、絆礼装は一度限りとは言え極めて強力であり、ボス戦でもイベントでも非常に役立つだろう。