子宝さんの、おもうてたんと違うんだけど   作:ミレニアムいたっちー

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悩んだあげく、エピローグはなしにしました。
楽しみにしてる方おるか分からんけど、すまんな。堪忍やで。
だってな、エピローグやったらな━━━━ん、こんな時間になんだ?ん!?なんだ、誰だ、貴様っ、何をする━━━━━


おもうてたより、蛇足なんですけど編
おもうてたより、乙女心は難しいみたいなんですけど


ちらほら雪マークが天気図に現れる今日この頃。

賑やかでまったりな1月も終わり、暦はついに2月を迎えた。去年の今頃、色んな意味(主に受験)で死にそうになってた事を考えると、特別やることもなく日がなコタツでヌクヌク出来る今年は天国と言えよう。

 

しかし、早いものだ。

高虎に気持ち伝えてからもう二ヶ月。

かなり覚悟を決めて告白したんだけど、あの日からオレたちの関係は相変わらずだ。懸念していたようは事は少しも起きなくて、高虎はありのままのオレを好きでいてくれた。それまで通り休みの日は何をするでもなく一緒にコタツでまったり。ゲームしたり、映画もみたり。

平日は遊んだりはしないけど、ご飯一緒に食べたながら昼間にあった事とか明日の夕飯の話して・・・・うん。

 

・・・・・そう、そうなのだ。

 

オレたちはあの日から、そんなに変わらなかったのである。いや、厳密にいうとボディタッチは増えた。前みたいにぬいぐるみが如く抱き締められるし、おでこや頬っぺたにちゅーもしてくる。意味もなく二の腕プニプニされたりもするし━━━でも、それだけ。それだけなのである。あいつ、唇にちゅーもしなければ、もっとこう、エッチな事してこないのだ。

 

別にそういう事がしたい訳じゃない。

正直まだ気持ち的に準備が出来てないのは事実なのだ。

実際そういう感じになったら茹で蛸になる自信はある。最後まで出来る気はしない。多分意識飛ばす。そうでなくても限界がきたら即行逃げるだろうし。

だから、高虎がそういう事に慎重になってくれてるのは素直に嬉しい。嬉しいんだけども・・・・それでもやっぱり『何もしてこない』『求めてこない』というのは、それはそれで結構くるものがあったりするのだ。

すごいわがままで贅沢な話だけど。

 

そんな風に少し悩んでいるとオレの元にそれが届いた。

高虎のお姉ちゃんから届いた、一泊二日の温泉旅行券である。絶妙過ぎるタイミングに何故に?と思って高虎のお姉ちゃんに連絡をとってみると、大分遅いけれど俺達への結婚のお祝いなんだそうな。

元々は結婚して直ぐ贈るつもりだったらしいんだけど、その当時大きな買い物をした直後でお金がなく、尚且つ宿の予約も取れなかった為、なんやかんやこの時期にずれ込んだだけらしい。エスパーじゃなくてホッとしたのはここだけの話。

 

 

そんなこんなでオレと高虎は高虎のお姉ちゃんの好意に甘え、新婚旅行ともいえる温泉旅行へと行く事になったのだ━━━━。

 

「ねぇ、どうしよう・・・・天音ぇ、オレ、どうしようぅ。どしたらいいのぅ・・・天音ぇぇぇ」

 

━━━━が、それはそれで問題だった。だって温泉ってことは、だってそういう事なのだから。

 

 

 

頭を死ぬほど悩ませてると、目の前の天音がアイスティーを音を立てながら一口飲み「はっ」と鼻で笑う。

 

「大事な話があると聞いてすっ飛ばしてきてみたら、これか。お馬鹿」

「でもっ、でもな、そんな事言ったってさぁ、分かってるよぉ。オレだってぇ、でもさぁ、だってさぁ・・・・ていうか、今日はシロップ入れないの?」

「何処かの誰かさんのせいで良い塩梅よ。寧ろ、話の如何によっては砂糖吐くまであるわよ」

「?」

 

意味が分からず首を傾げてると、呼んでないのにやってきた弓子がテーブルに突っ伏した。なんかブツブツ言いながら痙攣してる。よくよく見れば、なんかしくしく泣いてる。

あとそんな弓子姿に、オレたちの注文品のパンケーキ持ってきてくれた喫茶店の店員さんが酷く戸惑ってる。ごめんね、店員さん。

 

取り敢えず弓子が激しく邪魔なので、テーブルを空けるように揺すりながら声を掛ける。すると弾かれるように起き上がった弓子は揺すっていたオレの手を胸の所で握り締め、涙の滲んだ顔をぐいっと近づけてきた。

 

「止めて下さい!そんな話っ、私聞きたくありません!!━━━ていうか、どうして藤崎先輩とちゅーしたのに、私とはしてくれないんですか!ずるい!!私だってしたいのに!」

「そういう話してないんだけど、というかお前とちゅーする理由ないからな」

「したいからじゃ駄目ですか!?」

「オレしたくないもん」

「くぅぅぅぅぅ!!」

 

思ったまま断ると弓子は悶絶しながら椅子の背もたれに寄りかかる。弓子は可愛いし、男だった頃なら普通にOKしてたと思うけど・・・今は女だし、女相手にそういう感情湧かんし、何より高虎の嫁だから浮気みたいなことはノーサンキューなのだ。

まぁ、仮に結婚してなくても、こいつとはちゅーしなかったと思うが。色んな意味で。

 

「まぁ、変態はおいておいて・・・・で、結局あんたは何がしたい訳?セックスしたいの?」

「せっ・・・・!?せっ、は、ま、まだ早いと、思うと言いますか、で、でも高虎も、年頃だし、興味があるのは、分かるし、だから、どうしてもって、いうなら、その考えるくらいは、すると言いますか、でも、やっぱり・・・・」

「面倒臭さ・・・・はぁ、恋は人を変えるんだねぇ。昔のあんたなら、面倒臭いと思った時点で考える事すら放り投げてるでしょうに」

 

 

 

「セックス!?セックスは駄目ですよ!先輩!!穢れます!この上なく穢れます!堕天しますよ!?良いんですか!?良いわけないでしょう!!」

 

一人で激しくスパーキングする弓子に、天音は優しいタッチで肩を叩いた。そこから流れるように天音の四肢が弓子の体に絡み付き━━━あっという間にコブラツイストが極っていた。オレでなければ見逃しちゃうね。

 

「良いわけないのは、あんたの頭の中よ!!ていうかっ、あんた!受験シーズンに余裕ぶっこいてて、大丈夫なんでしょーねぇぇぇ!!」

「あだだだだだだだだ!!受験っは、別にっ、もん、だっあまっ、天音先輩!極ってます!完全に極ってますって!折れます折れます!大丈夫ですって!センター試験もばっちりでしたし!!本当にぇ!?あててて!!」

 

ギリギリと弓子の頭を締め上げながら、天音はこっちへと視線を向けた。

 

「兎に角、あんた次第よ。ゆたか」

「オレ次第・・・・」

「高虎くんが無理に関係を進めてくる事は絶対ないわよ。迷ってる限り、あんたの気持ちを絶対優先してくる。相手は中学の頃から下心を欠片も見せず、あんたと付き合い続けてきた猛者よ。私らでさえ、あんたにとっての高虎くんは過保護な兄妹くらいの認識だったんだから。結婚するって聞いて耳を疑ったわよ。まぁ、なぜか納得も出来たんだけど」

「そ、そうなの?」

「そうなの。だから、もし関係を変えたかったら、自分からドーンといきなさい。大丈夫、高虎くんは受け止めてくれるから」

 

ちょっと想像してみる。

確かに受け止めてくれそうだ。

物理的にも。

 

でも、だ。やっぱり不安だ。

不安過ぎるのだ。

 

「でもな・・・・」

「なによ、まだなんかあるの?」

「た、高虎の、高虎の、あれさぁ・・・・でかいんだぞ」

「・・・・・」

 

あの日以来、高虎の距離が近くなって分かったのだが、高虎の股間のそれは猛獣なのである。魔獣といっても良い。

それまでは意識してなかったので気づかなかったが、膝の上に抱っこされた時にお尻に伝わる感触とか、床にゴロゴロしながらじゃれてたりすると見える股間の膨らみとか・・・・見たり触れたりした結果、とんでもねぇ化け物がいる事が判明したのだ。

 

あんまりにあまりだったので、切れたシャンプーを詰め替えるという名目で高虎の入浴時に乗り込んで確認したこともあるんだけど、ふぁっ!?ってなった。おまっ、ふぁ!?ってなった。幼稚園の頃はちびっこウインナーだったのにぃ!ってなった。

 

「・・・・・物理的にさ、もう、なんか、はい、はいらな、ない気がするんだよぉ」

「止めぃ、カフェでなんて話してんの」

「だってぇ!おまえ、すっごいんだからな!おまっ、こんな!こんなだったんだから!何だよあれ!馬鹿じゃないの!?兄貴のなんて、こんくらいだったのに!」

「止めぇなさぁいー!こっちが恥ずかしくなるわ!てか、お兄さんまで引っ張り出すんじゃないのぉ!知らんわ!」

 

弓子を捨てた天音はテーブルをバンってした。

グラスが揺れて、重なってたパンケーキが崩れる。

 

「だって!痛い言うじゃん!最初、死ぬほど痛いっていうじゃん!!それが、あんな、あんな化け物が最初とか!死んじゃいますけど!?死ぬよ!オレ死んじゃうよぉ!嫌だ!裂けちゃうよ!どうしたらの良いの!あまねぇーさん教えてよぉ!」

「どっ、どう、どうしたら良いのか、なんて、い、言われても、そ、それは、あんた、ん、んんんん・・・・人に寄るとしか言えないわよ」

 

キリっとした顔でそういった天音の隣に、そっと弓子が顔を寄せた。

 

「ゆたか先輩、無駄ですって。相談する相手間違えてます。女にしかモテなかった天音先輩が知るわけないじゃないですか。普通に処女ですよ、この人」

「どっせい、ごらぁ!!」

「ほにゃぁっ!?ほ、本当のこと、言っただけなのにい!?ぐぇぇぇ!?ちょ、わ、私としては、嬉しいっ、ことなので、貶めつもりで、言ったんじゃ、にゃいでひゅよ!」

「うるさいわぁ!その口を今すぐ閉じなさい、お馬鹿!締め上げるわよ!!」

「もぅ、しっ締め上げてまひゅよぉ!」

 

二人がわいわいじゃれつき始めた所でさっきの店員さんがしかめっ面した上司っぽい人を連れてきて軽く注意された。定番の他のお客様のご迷惑になりますからと。

それで謝って終わり・・・かと思ったんだけど、隅っこの席に移動する事を促された後「休憩ぶんどってきたわ」と上司っぽい店員さん参戦。色々と相談に乗ってくれた。結果的に何が解決した訳でもないけど、聞けた話は為にはなったし、気持ちを吐き出した事ですこしすっきりしたので無駄ではなかったと思う。弓子は終始上司さん睨んでたけどな。男に誘うなとかなんとか。

 

それから二時間程話してオレ達は解散した。

去り際「女は度胸」とウインクして帰っていった上司っぽい店員さんの背中から溢れる男気・・・乙女気に敬意を称して敬礼したのは、今でも間違いではないと思っている。アドバイスありがとうございます。

 

何も解決しなかったけど。

本当、何も解決しなかったなぁ。

 

 

 

 

 

 

「早かったな。おかえり」

 

女子会を終えて家に帰ってくれば、高虎が台所で料理を作っていた。まな板の上に刻まれた野菜が見える。

 

「ただいまぁー、何作ってんの?手伝う?」

「いや、作っているというか・・・カップ焼きそばの具をちょっと足そうと思ってな。それだけだ」

「カップ焼きそば?なんだよ、夕飯までには帰るって連絡したろ?別にカップ焼きそばが駄目とは言わないけど・・・・そんなの食べるくらいならちょっと待ってろよ」

 

膨れてそう言えば高虎は少し困ったような顔をして「まぁな」と頬を掻いた。

 

「てっきり夕飯まで一緒に食べてくると思ってな・・・・久しぶりだろ?島原と会うの。それに受験関係で忙しい服部が態々来たってきいたからな、話は長引くだろうと━━━」

「でもオレは帰ると言いました。ちゃんとぉ、言いぃ、ましたぁーーー。なんだよ、せっかくお惣菜買ってきてやったのに!ぷん、だ!もう貴様にはくれてやらん!カップ焼きそばでもカップラーメンでも勝手に食べてろ!!・・・・オレのヤツは食べるなよ!お前用のヤツだけだからな!あっ、デカラーメンは良いぞ。どうせ一人だと食べきれないし、あれはあげる・・・・それだけだぞ!!」

 

買ってきた揚げ物を見せびらかしながらレンジの姉御の所へ向かうと、高虎にぎゅっと抱き止められた。万力のような力で体が動かない。不屈の乙女魂で踏ん張ったけど全然脱出出来ない。くそぅ。

 

「なんだよぉ!お前は野菜マシマシの焼きそばでも食べてろ!このカキフライとイカリングはオレが食べる!唐揚げもだ!!」

 

しゃーっと威嚇すると頭のてっぺんにチュウされた。

思わず固まると調子に乗って頬っぺたにもチュッチュッしてくる。

 

「分かった、俺が悪かったから。そんなに怒るな。頼む」

 

耳元で囁かれたそれは本当に申し訳なさそうだった。

隣にある顔をチラ見してみれば、眉を下げながら熱っぽい視線を向ける高虎の瞳がある。

そんな高虎の目を見てると膨らんでいた怒りが萎んでくる。その内割りとどうでも良くなってきたので揚げ物を少し分けてやる事にした。

 

「カキフライは二つやろう。半分こだ」

「おう」

「唐揚げも半分・・・・いや、やっぱりオレは二個だけで良いや。後はやる」

「おう」

「イカリングは一個だけだ。後はオレのだ」

「相変わらず好きだな、イカリング」

 

それから高虎が切った野菜をお肉と一緒にチャチャっと炒めて、味噌汁をパパっと作ってお夕飯にした。

買ってきたイカリングは美味しかったけれど、旅行の件が頭の中を過りまくって食はあまり進まなかった。というか、あの上司店員さんの話してくれた体験談のせいでそれまで以上に色々考えてしまう。

 

高虎はその日も変わらず、アホみたいにおかわりしたけどな。こっちの気も知らないで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っつ!?なんで、今っ、脛を蹴った・・・・」

「べぇ、つぅ、にぃぃー」

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