周りが強すぎてつらい   作:通りすがる傭兵

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周りが強すぎてつらい

 

 

 

 

 

 

「わたしぃ、頑張った、のにぃ!」

「うんうん、頑張った頑張った」

「朝四時に起きて、頑張ったのにぃ!」

 

目の前のぐすんぐすんとしゃくり上げる少女。特に面識があるわけではない、強いて言うなれば同じ学校の生徒というだけだ。

 

何故彼女が泣いているのかといえば、俺のせいではない、断じて。そもそもの問題こうなることを恐れて女子と関わりを避けてるフシもあるのかもしれない......まあ自分語りはさておき。

 

「でも、それでも一夏くんは優しくて、かっこよくてぇ!」

「腹立たしいことにカッコいいよねアイツ、うんうん。俺だって羨ましいんだよ」

 

どうしてこうなったか、その答えは俺の家族、織斑一夏のせいだ。

どストレートに言うなれば、彼女は失恋の悲しみを俺のとこで吐き出しているところなのである。お陰でだいぶ交友関係は広まったし、話を聞くスキルに関してはそれこそ中学生レベルを軽く超えてしまった。

「しばらく、一人にさせて......」

「うんうん、一人になる事は大切だ。他にも家族とか親しい人に吐き出すことも大事だよ。お大事に」

 

鼻水と涙でベットベトになったハンカチを握り締めながら、彼女はふわふわとした足取りで教室を去っていった。

 

「めでたく100人目、と」

 

いつからかメモにとっていた正の字はこれでちょうど20個。これは記念すべきなのだろうか。

何をするでもなしに空を見上げる。今日も夕日は晴れやかで、俺のモヤモヤとする心とは正反対に晴れ渡り......

 

「そこの君、危なぁいっ! ぬううううううう!」

「きゃあっ!」

 

がしゃんとなにかがぶつかったような音と、何かに耐えるような唸り声。そして聞き慣れた兄の声。

 

「一夏兄、どこに向かっているんだよ」

 

根性で突っ込んできたトラックを止めるとか、チート転生者もびっくりだよ本当にもう。転生者といえば俺のことなんだけれども。

 

 

 

 

 

 

 

 

転生して2回目の生を受けること十数年。

死ぬ前に車に撥ねられるとか、神様に会うとかそんな高尚なこともなく気がついたら子供になってました。その時の驚きようと言ったら......いや本当にもう、思い出したくもない。

 

というか目の前に見知った顔がいたら驚くよね、しかも二次元世界の住人だったんだもの。

はい、ご存知織斑一夏と千冬姉さんの事です、お二人ともイケメンすぎてビックリしたわ。

 

そこから導き出される状況は、俺は「インフィニット・ストラトス」というライトノベルの世界にいるという事。内容についてざっくり言うなれば「ロボとラブコメ」みたいな?

題名にもなっている「IS」は宇宙すら自由に飛び回れるという存在で、何故か女性にしか動かせない。それを動かしてしまった主人公・織斑一夏とその周りを取り巻く人間関係を描くモノ、というのがあらすじだ。

 

内容に関してはまあ読んでいる分には面白いのだが体験するとなると心労がマッハ。しかも家族ゆえに巻き込まれるは必至。

 

(あかん死ぬ)

 

思わず震え上がった。

一歩間違えれば巻き添えで死にかねない、せっかく受け取った第二の生、簡単に失うわけにはいかない。

 

というわけで自分なりに一夏をまっとうな性格に戻そうと働きかけたり、勉強を教えて頭の回転とか知識とかを底上げしようとした結果が......

 

「ぬうううううう、根性があれば、なんとおおおおおおおおおお!」

 

ガラスの一枚向こう側で、生身で10tトラックを持ち上げる化け物です。

 

「どうしてこうなった」

 

......心当たりはないでもない、が。

 

「一夏にい、映画見ようぜー」

「おう、なに見るんだ?」

「ベス◯・キッド」

 

視聴後

 

「面白いなこれ! もっと他にないのか?!」

「カンフー映画はあんま詳しくはないけど、知ってる分なら......」

「みるみるー!」

 

鍛錬法「映画見て飯食って寝る」。

 

某アニメで出ていた鍛錬法を間に受け、実行し、結果を出した......出して、しまったのだ。

その結果がアレである。

誰が織斑一夏をORIMURAICHIKAにしろと言った。

 

そういや箒さんと鈴さんも一緒に映画見てたような......まさかなぁ、いやいや、ないない。

 

そんなこんなでバケモノになってしまった一夏とは正反対に、俺はフツーに成長した。自慢じゃないが成績はかなりよく、落ち着きもあり(当社比)、文学少年(趣味 読書)。

前世の趣味をかなり引き継いでいるらしく、アグレッシブな兄とは正反対に静かな弟としてそれなりに町内では名の知れた人間になった。

というか「織斑さん家の一夏くんと比べれば......」という町内のお母様方の話題で槍玉に上がるのが主だが。ちょっと納得いかない。

 

さて今は中3の1月。私立校の受験は二月中盤なので原作イベントまではもう少しといったところ。俺ももちろん公立校推薦を蹴っ飛ばし一夏と同じ藍越学園を受験することにしている。

原作イベントは死にかけるし、一夏の周りは常に修羅場だし、何よりウサギに目つけられて今の時点で冷や汗ダラダラ。

 

だがそれでも。

俺は空が飛びたいんだよ!

アイキャンフライしたいんだよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Q 本音は?

A 一夏が心配だからです。

 

だってあいつほっとけねえんだよ、見とかないと厄介ごと背負い込んでくるしというか原作キャラだろうが考えがアホだろうが比べられようがそりゃ家族で10年も過ごせば情もわくってもんですよ実際。

 

一夏はいいやつなんだよ、バカだけど。

女子が惚れる理由も分からんでもないな、ありゃ王子様タイプだし。まあ結婚するとして愛想つかすのも早そうなもんだけど......そもそもハードル高いから結婚できそうにない。つまり死ぬまで修羅場かーーーー。

 

IS学園内で嫁を見つけてくれると助かる。じゃないと俺ストレスで死んじゃう。

というわけで俺はIS学園に行くのだ、兄貴の嫁を探すために!

 

「そやって考えたら俺の学園生活不毛すぎひん?」

 

 

 

 

 

 

「俺の名前は織斑一夏! 以上だ!」

 

原作通りシンプルな自己紹介。だがそれはテンパってるとかそういうのではなく、これ以上は必要ない、というメッセージなんだろう。

というか外見みればだいたいわかるよ、このバンチョースタイルやろーめ。というか君全身真っ黒だから浮いてるんだよお前だけ時代が昭和なんだよ何故にwhy?!

 

「秋十くん、次は秋十くんの番ですよ、あのー、あのー!」

「アッハイ、織斑秋十です......この兄の厄介ごとは自分が解決するので、問題があれば何か言ってください......」

「そんな事はないって心配すんなよなアキ! 自分の問題くらい片付けられる! それができずして漢とは言えない!」

「ソウダネー」

 

みんなからの憐憫の視線が痛い。

きっと「頑張ってください」とか思ってるんだろぉ。

 

お前らも巻き添えだからな。購買の胃薬を一組だけで買い占められるくらい苦労することになるからな覚悟しとけよ。

 

 

 

 

織斑秋十

主人公カッコカリ。

ビビリでネガティブ、小心者だがお人好し。一夏がらみのトラブル処理にわざわざ首を突っ込み苦労するマゾ。

周りの人間が揃いも揃って原作よりやばいので心労がマッハ。最近意識して海藻を多めにとっている。

 

 

織斑一夏

ICHIKAと化した織斑一夏。どういうわけか番長キャラに変貌しひたすら人助けをしては惚れられるを繰り返している。朴念仁は据え置きなのでたちが悪い。が、それ以外は良くも悪くも正直なのでよくしばかれる。

 

 

篠ノ之箒

空間すら切れそうなヤベー剣士にランクアップした。竹刀どころか木の棒で居合ができるので鉛筆でも多分イケル。コンニャク以外ならなんでも切れる(自称)。

機体をオーバーロードさせて限界以上を引き出す一刀修羅とか使えるんじゃない?

 

セシリア・オルコット

貴族<騎士道。 剣と盾とビットを振り回すようになった、ライフルは添えるだけ。騎士道に目覚めてしまった結果、公正ではあるもののバトルジャンキーになってしまった。

 

凰 鈴音

ついに八極拳を極めた一撃必殺ガール。二撃は不要。

とりあえず殴ることしか考えてないバトルジャンキーその2、生身で本気を出すと相手が死ぬ。

槍もイケるらしい。

 

シャルロット・デュノア

メインキャラ唯一の良心。聖女(殴打)。

とりあえず笑ってなんでも許してくれるかもしれない母性溢れる女性になる予定。ママーっ!

 

ラウラ・ボーデヴィッヒ

ゲルマンニンジャと化した軍人。ゲルマンCQCは実際ツヨイ。

間違いだらけの日本文化を間に受け、それを一夏が受けてたち、そのほかが乱入し秋十の胃が死にシャルロットが慰める。

もしかすると原作に一番近いかもしれない。

 

 



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