彰とカレンの原作放浪記   作:はないちもんめ

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ここまで早い投稿は久しぶり
後、補足してありませんでしたが冒頭のカレンと千葉が苦労する話は過去の話です。

タイミングとしては彰がレイラを初めて精神崩壊させた直後あたり笑


IF〜もし彰が奪還のロゼの世界にいたら ④

「そこまで言うのであれば良いだろう。今度ばかりは多めに見てやる。ただし! お前たちがしっかり反省させるんだ! 良いな!」

 

ゼロ――ルルーシュ・ランペルージの峻烈な声が室内に響き渡り、謁見の間を退出した紅月カレンと千葉凪沙は、率直に言って、人生におけるあらゆる希望を投げ出していた。

 

あのクズ……桐島彰を反省させる?

 

無理だ。そんな概念、あの男の辞書には一文字も載っていない。

 

「よ、よう。お疲れさん」

 

引き攣った笑みを浮かべて二人を迎えたのは、卜部だった。別件の任務で先ほどまで不在だった彼は、いわばこの場に居合わせなかった「幸運な保護者」である。

 

「……」

 

「……」

 

二人から返事はない。限界まで擦り切れた精神で彰を弁護し、ルルーシュの追及を逃れさせた二人の瞳からは、完全にハイライトが消失していた。

 

「ま、まあ、なんだ! 元気出せよ。ラーメンでも食いに行くか? アイツだって流石に今回は、しばらく大人しく反省して――」

 

その時だった。黒の騎士団の司令部に、血相を変えた団員たちの怒号が響き渡った。

 

「大変だ! 彰さんが独房から脱走したぞ!」

 

「誰だ、手引きした馬鹿は!」

 

「南さんだ! どうやら、秘蔵のサクヤ様の生写真と引き換えに鍵を渡したらしい!」

 

「まだ隠し持ってたのか! なんて抜け目のない……じゃなくて、止めろ!」

 

「遅い! コーネリア殿下が激怒して、側近を引き連れて出陣したぞ! 城内が戦場になる!」

 

「誰か止めろ! 騎士団とブリタニアの全面戦争が起きるぞ!」

 

「誰が止めるんだよ!? こんなの、紅月隊長か千葉隊長しかいねぇだろ!」

 

「隊長! 紅月隊長! 千葉隊長! お早く!!」

 

遠くから聞こえる狂乱の声。卜部の顔はみるみる青ざめていくが、対照的にカレンと千葉の表情は、底なしの沼のように暗く、静まり返っていく。

 

「い、いや、なんだ! 俺も手伝うから! な! 行くぞ二人とも!」

 

「大丈夫ですよ、卜部さん」

 

「そうですね」

 

二人は、これまで見たこともないほど清々しい、慈愛に満ちた笑みを浮かべて頷いた。

 

「「アイツを殺して、私も死にます……」」

 

「だから、待て、待て、待てぇぇぇぇ!! 彰、お前マジでいい加減にしろぉぉぉぉ!!」

 

卜部の絶叫が虚しく響く。それは、黒の騎士団崩壊の一夜。歴史の闇に葬られるべき、知らなくて良い一夜だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……現状は絶望的…とまでは言いませんが厳しい状況と言わざるを得ませんね」

 

場所は変わり、ネオ・ブリタニア占領下の北海道。

 

会議室のホログラム投影機が、敵の防衛線を冷酷に映し出していた。レイラの分析に、サクヤは唇を噛む。

 

「この防衛網は、通常のナイトメアによる強襲では突破不可能です。幾重にも作られた防御フィールド、そして高高度からの長距離砲撃。接近する前に、こちらの戦力は一方的に削り取られるでしょう」

 

アッシュが重い口を開く。

 

「俺でも、あの密度の弾幕を潜り抜けるのは難しい。何か……防衛線そのものを、一瞬で『無』に帰すような圧倒的な火力がなければ、全滅を待つだけになるな」

 

重苦しい沈黙。サクヤは、レイラの隣に立つ男――桐島彰を見つめた。

 

普段はただのクズ。だが、こういう時だけは、誰よりも頼りになる男。

 

「彰さん……何か策が……?」

 

「……一つだけある」

 

「あるんですか!?」

 

流石は英雄……と、アッシュの目が期待に輝く。

 

「圧倒的な火力がなければ作れば良い。俺たち人類はそうやって進化してきた。そうだろ? なあ……天才科学者殿!」 

 

その言葉と同時に、会議室のドアが盛大に蹴破られた。

 

「ハァーーーイ! 呼んだかい彰君! 科学の進歩はいつだって、現場の悲鳴と男の欲望から生まれるものだよ! あははは!」

 

白衣をなびかせ、異常に高いテンションで入ってきたのは、ロイド・アスプルンド。その背後には、巨大な布に覆われた「何か」が載った台車が続いている。

 

「…ダーリン?私はロイドさんが来るなんて聞いておりませんが」

 

どういうことだ?と言いたげなレイラに彰はフッと微笑むと自信ありげに答える。

 

「俺が内密に呼んだんだ…遅かったなロイド! 出来てるんだろうな? この絶望をひっくり返す『最高傑作』が!」

 

「もちろんだよ! 『とにかく一撃で全てを台無しにしろ』っていうオーダー……最高にワクワクしたよ!」

ロイドが台車の布を勢いよく剥ぎ取る。

 

そこに鎮座していたのは、眩いばかりの黄色に輝く、巨大な曲線を描いた砲身。そして根元には、二つの巨大な円形エネルギータンク……。

 

それを見た瞬間、アッシュと黒戸が、それまでの絶望を忘れ、希望に満ちた目で同時に呟いた。

 

「「……ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲じゃねーか。完成度高けーな、おい」」 

 

「アッシュ!? 黒戸さん!? なんで知ってるんですか、そんな卑猥な物体の名前!」

 

サクヤが驚愕して叫ぶが、二人の男は悟りを開いたような顔で、その「バナナ」を見つめている。

 

「サクヤさん……これは、男がいつか必ず行き着く『形』なんだ。歴史の裏側で、常にこの形状の兵器は世界を破滅へと導いてきた……」

 

「そうだ、サクヤ様。その実力は折り紙付きだ。かつてブリタニアの街を火の海にし、数々のブリタニア人のプライドを粉砕してきた、伝説の兵器だ」

 

「いや、そんな設定知らないけど!?なんでそんな設定に詳しいの!? 奪還のロゼ、もっとシリアスなアニメじゃなかったっけ!?」

 

絶叫するサクヤを無視して、彰は素晴らしい…と口に出しながら砲身を撫で回す。

 

「いいかサクヤ、よく見ておけ! この砲身の最大の特徴は、チャージに伴う『膨張・硬直ギミック』だ! 内部温度が上がると、見る間に二倍、三倍へと巨大化・硬直する。そして最大出力時には、先端のシャッターがゆっくりと開き、そこから高純度のサクラダイトエネルギーが……ドピュッと一気に放出されるんだ!」

 

「その効果音やめてくれません!?」

 

真っ赤になったサクヤを無視してロイドは続ける。

 

「彰君、さらに改良を加えたよ!」

 

ロイドが狂喜乱舞してスイッチを入れる。

 

「温まると大きくなるだけじゃない。チャージ完了と同時に、表面の装甲が根元にグイッと引き下がり、真っ赤に熱したコアが露出するんだ! その姿はまさに、一皮剥けた漢の輝き!」

 

「完璧だ、ロイド。欠点はあるのか?」

 

「一発撃つと、次弾装填までに時間がかかることだねぇ。昂りが静まって、膨張もシュルシュルと収まるから」

 

「なるほどな。……いわゆる『賢者タイム』ってところか」

 

二人の変態が固い握手を交わす中、ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲は、不気味な脈動音を上げながら、ゆっくりと、しかし力強く天に向かって反り上がり始めた。

 

「見てくれサクヤ! 立った! 鋼鉄のバナナが天に向かって真っ直ぐ立ったぞ! これこそがネオ・ブリタニアのプライドを、根こそぎ『去勢』する一撃だ……というわけで、サクヤ。お前のナイトメアに、これ付けるから」

 

「いや、絶対に嫌ですけど!? なんで私の機体にこんな卑猥な物体をデコレーションしなきゃいけないんですか!?」

 

「だって、お前『ロゼ』の時には何も付けてないだろ? せめて武装だけでも男らしくと思ってな」

 

「そんな気分一瞬も味わいたくないです! 切実に!」

 

サクヤの悲鳴が響き渡る中、レイラが静かに、本当に静かに、手にしたティーカップを指の力だけで粉砕した。

 

「……ダーリン。そしてロイドさん」

 

「お、なんだレイラ? お前もこの完成度に感動したか?」

 

「ええ……。感動しました。貴方たちが、これほどまでに救いようのないクズだったという事実に。……サクヤ様、アッシュさん。今すぐこのバナナを、開発者ごと北海道の外へ投棄する許可をいただけますか?」

 

「待ってくださいレイラさん! ロイドさんはともかく、バナナを捨てたら戦力が……!」

 

サクヤの葛藤。戦力としては超弩級。しかし、倫理的には超弩級にアウト。

 

「いいかサクヤ、戦争ってのはな、プライドのぶつかり合いなんだ!」

 

彰が、無駄に良い声で説得を始める。

 

「ネオ・ブリタニアの連中が、自分たちの誇る鉄壁の防衛線を、これで更地にされたと知ったらどう思う? 奴らの精神は崩壊し、二度と立ち直れなくなる。これは物理破壊と精神破壊を同時に狙える、一石二鳥の画期的作戦なんだよ!」

 

「最高だよ彰君! さあ、試しにここでお披露目フルチャージをしてみようか!」

 

ロイドがボタンを連打する。

 

「ウィィィィィン……ドクン、ドクン……」

 

砲身が熱を帯び、みるみる巨大化し、会議室の天井を突き破らんばかりに「昂ぶって」いく。

 

男たちは、その勇壮な姿に未来の希望を募らせていく。

 

女たちの瞳は、さらに深い虚無へと沈んでいく。

 

「……サクヤ様。もしかしたら、俺たちは勝てるかもしれないな」

 

アッシュが感極まったように呟く。

 

「……私は、いっそ負けた方が人類の尊厳を守れるんじゃないかって気になってきました」

 

「……アッシュ、俺たちはこうやって日本を解放して……」

 

「いや黒戸さん、何からも解放されてないですよ。私たちは今、馬鹿の呪いに完全に囚われてます」

 

伝説の兵器の圧倒的な完成度を前に、男たちはただ膝をついた。女

 

こうして、北海道奪還作戦は…幕を開ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




…我ながら酷い話になったな…
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