俺の親友は前世は男だったけど、今は幼女になった 作:ボルメテウスさん
翌日、投入された連邦軍との熾烈な先頭に突入、戦闘開始から27時間が経過した。
ティゲンホーフでの戦いは、これまでにない戦いだった。
周囲に囲まれている中で、次々と攻め込んでくる敵に対して、ターニャ達は確かな劣勢を強いられていた。
それでも、その死傷者の数は、連邦軍に比べれば少なかった。
それは、確かに数で劣っている事もあるが、それとは別の問題もあった。
「凄い、本当に、これが人間の技なのか」
そう言いながら、医療班は、その腕を見て、呟く。
先程までの戦闘で運び込まれた隊員。
それは、既に手足がちぎれかけており、命も既に危ない状態だった。
だが、その状態は今は脱していた。
手足は既に縫われており、ベットの上では呼吸をしていた。
「応急手当程度だ、本当だったらすぐにでも手術をしたいが」
「本当に、噂は本当だったのか」
それらを行っていたのはアレクだった。
彼の医療技術によって、本来の死傷者が大きく減っていた。
また、軽傷の者達も見ており、本来ならば、それが原因で死んでいたかもしれない者達も生存していた。
「それよりも次の現場に急ぐ」
「まっ待って下さい!」
アレクはすぐにその場から離れる。
この27時間の間、彼は寝てすらいなかった。
長時間の労働に、少しも間違いもしていはいけない医療現場。
それらは、彼には疲労は確かに蓄積されていた。
それでも、彼を動かすのは、ただ人を救いたいという気持ちだけだった。
そして、そんな彼の元にある運命が来る。
「っ!」
強烈な閃光。
それと共に、見つめれば、既に敵がこちらに攻め込んできたのが分かる。
同時に強烈な爆発は、アレクを護衛していた兵士を吹き飛ばす。
「ぐっ!」
身に掛かる痛み。
それよりも早く、アレクは動いた。
それは眼前にいる怪我人を治す為に。
だが、そんな思いとは別に、アレクは爆風が襲う。
それは、簡単に人を吹き飛ばす事ができ、そのまま近くの地面に打ち付ける。
「がはぁ」
血反吐が出た。
自身の身体の怪我を確認するようにアレクは自分の身体に触れる。
(まだ、動ける。怪我も軽傷。それよりも、先程の兵士の所に!)
そう立ち上がる。
同時に見えたのは。
「ターニャ」
「アレク」
それは偶然だっただろうか、それとも必然だっただろうか。
「なんで「兄さん」っ」
聞こえた声。
それは、壁の向こうにいる敵の言葉。
それは同時にアレクにとっては、この世界においての血を分けた妹。
「メアリー、お前、なんでここに」
「ここに来れば、兄さんを助けられると思って。あの悪魔から兄さんを助けられると」
そう、笑みを浮かべた。
その表情は、確かな笑みだった。
しかし。
「あぁ、主よ、感謝します」
「っ」
聞こえたのは、神への感謝だった。
「悪魔を、仇を見つけさせ、さらには兄を取り戻させる機会を与えてくれまして」
「神だと」
その言葉に、アレクは徐々に怒りを募らせた。
「兄さん、どうか帰りましょう。
私達の「メアリー」にっ兄さん」
それと共に、アレクの表情。
それはメアリーにはこれまで見た事のない憤怒の表情だった。
「どっどうして、そんなに怒っているの」
「メアリー、俺が最も嫌悪する人種が、誰か知っているか」
「嫌悪する人種」
それには、メアリーは困惑を隠せない。
「俺はな、神を、命の理由にしている者を嫌う」
「何を言っているの」
アレクのその表情に、メアリーは叫ぶ。
同時に壁に背を任せているターニャもまた、見つめる。
「命は、神に左右される者ではない。人が人を殺す時、それは自身が背負う罪だ。神の裁きという名で罪を逃れようとする者を、俺は許さない」
「兄さん」
「そして、同時に、命を救う時に、神に全てを賭けている者も。救える力を持つのは、その場にいる人間のみだ。神が関与していないのに、神に感謝し、それによって努力を怠る者を、俺は嫌悪する」
それと共に、見つめる。
「神は、見本となる者として、目指すのは良い。神を、師のように思い、その優しさを教えるのは良い。だが、命の選択を、神に任せるのは許さない!生殺与奪の権を神に握らせるな!!」
その叫びは、戦場で聞いた者はほとんどいないだろう。
だが、確かに聞いた者が二人いた。
一人は、その言葉に心底の絶望を与えた。
そして、もう一人は。
「あぁ、そうだな」
同時に立ち上がる。
それは壁から出て、そのままアレクの前に立つ。
「貴様っ」
「お前の言う通りだ。神に全てを握らせない。この命を、お前の命も、神の手の平では握らせない」
それと共に、ターニャは眼前にいるメアリーに宣言するように言う。
「私達の命、その決定権は私にある。だからこそ、お前に渡すつもりはない」
「お前っ!」
それは引き金だった。
メアリーは、そのまま真っ直ぐと進む。
それに対して、ターニャは、既に考えがあった。
「・・・私に、全てを任せてくれるか」「・・・この世界では、お前以上に信じられる奴はいないよ」
それと共にターニャは笑みを浮かべる。
それはきっと、メアリーにとっては悪魔の笑みだっただろう。
同時にターニャは、そのままアレクを抱え、飛ぶ。
「貴様っ」
すぐにメアリーも銃を構える。
だが、引き金を引けない。
それは簡単だった。
「あいつっ兄さんをっ盾にっ」
それは、愛する者に対して、決して行うはずのない行為。
だが、ターニャはそれを行った。
合理的に、この状況を逆転する為に、冷血に、何よりも愛故に。
ターニャは、アレクを盾にする事で、共に生き残る事を決めた。
今回のラスト辺りで思った事としては、さすがに外道過ぎたのではと、考えました。
果たして、このような行動を取るのか、疑問に思いながらも、映画も終盤。二期は何時になるのか楽しみにしながら、次回も投稿出来るように努力します。