時系列としては12巻ラストの後、13巻での独自展開ですが、そこに至るまでの展開を書ける気がしなかったので書きたかったクライマックスシーンだけを書きました。
アーケードゲーム。IS関連技術のフィードバックによる全く新しい体感型ゲームを謳い新型筐体とともにリリースされたが、大人気ゲームISVSの牙城を崩せずそこまでは売れなかった。
★☆★
AZ-one。それは、二人でエアリアルを操縦する一心同体の関係。
願掛けのハイタッチをするときも、一度も触れあうことは無かったけれども。
俺/私は、この星血戦争を彼女/彼と一緒に戦いぬいた。
★→→→→☆
「インフィニット・ストラトスは、エア・リアルを地球で再現するために創ったものだよ」
コード・ヴァイオレットによって、無人ISが次々と現れ空の彼方へと消えていく。
時結晶――星血を地中に溜め込んだルクーゼンブルク王国で、彼は篠ノ之束と対面していた。
一夏達はいない。彼を束の元に送り届けるために、それぞれの敵と戦っている。
「でもね、エア・リアルを操縦するためのAZ-Oneは要らなかった。束さんに合わせられるような存在が、この世界に存在するとも思えないしね?」
篠ノ之束が語るISの起源。「一人で操縦できるエア・リアル」というコンセプトの元で産まれたものこそが、インフィニット・ストラトスなのだと。
「だから、ISにはコア人格がある。人工的にAZ-Oneを作り上げるために」
相性のいいAZ-Oneを探す必要などない。ゼロから創造してしまえばいいのだから。コアは、装備との相性問題さえクリアすれば人間には不可能なレベルで搭乗者に最適化しようとする。
「そうだよ。そして、君がISに乗ることができた理由は解るよね?」
「俺が、地球のAZ-Oneだったから……」
彼がISに乗れた理由は単純だ。
高いAZ-Oneとしての適性、DePS。
彼だけが、『星と翼のパラドクス』における地球で唯一人のパイロット。本当の意味でのAZ-Oneだったから。
「その通り!君のISのコアは、君とAZ-Oneの最適な同調のデータを採取するためのもの。私の用意した叢咲は、その応用で二人の私をAZ-Oneに設定してる。世界最高の存在の、完全な同調を実現したんだ。つまり」
『君はもう用済みだ』
千冬との決着をつける機体開発の
性能も、物量も、彼のIS一機だけでは立ち向かえない。
それでも、彼は退くわけにはいかなかった。
この世界で唯一、搭乗者に最適化されないISに乗って、彼は叢咲に立ち向かう。
☆→→→★
彼女の端末には、ISナビというアプリが入っている。
ISナビ、というのは地球の「インフィニット・ストラトス」というロボットにまつわる色々な日常を垣間見れるアプリだ。
インフィニット・ストラトスについての基礎知識のレポートだったり、いつかのお昼の一幕だったり、その人の想いであったり。
最近追加されたものは、「篠ノ之束の真の目的」というタイトルだった。
半年前、彼に作り方を教わった「いちごジャムたっぷりのスコーン」を食べながら今日もぼんやりする。
星血戦争が終結してから、早くも一年近い時間が経った。
多国籍企業「キザナ」の介入は戦争の拡大を防ぎ、早期終結させることに成功した。二つの国は協調せずとも衝突せず、巡星は今日も平和だ。
しかし、翔握戦も殆ど無くなりエア・リアルを動かすことの減った今、彼女はあまり飛べずにいる。
その無気力さは同僚に「最近腑抜けていますよ。最の低ですね」と言われてしまった程だ。
しかし、彼女は星血戦争の最大の功労者とまで言われるほどにAZ-Oneとして飛び回っていたのだ。彼女のAZ-Oneと、一心同体になって。
彼がいる地球は、あまりにも遠かった。
そんな中、端末見たことがないメッセージが届く。
『緊急事態発生』
地球の危機を告げる、メッセージが。
『AZ-Oneの危機です。力を貸してください』
★→→☆
468個目のISコアに与えられた役割は、他のものとは異なる。
「彼」の専用機として作られたそれは、AZ-One同士の繋がりの情報を集め、究極のAZ-Oneとなることを目標としている。
468が彼の量子波長に対応するAZ-Oneの位置を割り出し、対象の端末にアプリケーションという形で潜り込んだ。AZ-One二人の量子同調のデータを採取したことで、篠ノ之束は完全な無人ISの制作に成功したのだ。
しかし、コアナンバー468のコア人格はそうして生まれたAZ-Oneに『違和感』を覚えていた。
完璧な同調を行う、そういう風に作られたシステムのはずなのに、束同士のAZ-Oneはバラバラだった。
それは、まさにパラドクス。全く同じはずなのに、全く一致していない。
究極のAZ-Oneの再現という目的を果たすために、468は一つの手段を思い付いた。
ルクーゼンブルクにある豊富な時結晶と、量子転送システムを利用することで起こせる、小さなキセキを。
☆→★
『ISナビ』に突き動かされるように、彼女は格納庫へと走る。
足りないピースが、かちりと嵌まった感じがした。
もう、一人で飛ぶだけでは満足できない。
あの日々が、彼女にとって飛ぶことの意味を変えてしまったから。
AZ-One。
どこまでも遠くにいるのに、一心同体というパラドクス。
それが解消される場所を目指して。
愛機のコックピットに飛び乗って、端末をセットする。
リアライズシステムを起動しても、対応する地球側の筐体がない今はメインモニターには何も映らないはずだった。
しかし、そこに映し出されたのは……
マグではない、小さいエア・リアルの大群とでも呼ぶべきもの。
それに囲まれながら、独りで戦う彼。彼の翼は素早く、鋭く飛翔する。
それでも、まだ足りないのだ。
無数の射撃を避けきれずに、機体の傷が増えていく。
そして、彼女が思ったことは単純だった。
(二人なら、もっと速く飛べるのに)
だから、機体が輝きだした時にも何の不安もなかった。
そして、エア・リアルはパイロットと共に量子テレポートを行った。
☆★☆
遠く離れた巡星と地球、一心同体のAZ-One。
すなわち、星と翼のパラドクス。
触れあうことはおろか、意思疏通すら難しいはずなのに、一心同体の存在。
それが矛盾なく成立する場所があるとすれば――
星と翼が巡りあう場所。
★☆★
視界の片隅に、リアライズ要請のコマンドを見つけた彼は、迷わず承認した。
彼が身に着けたISが解除される。
それでも、上空100メートルで、彼は静止していた。
ISが、自らの一部として、ISナビの先にいるエア・リアルをコール。
乗っているパイロットごと、量子展開した。
彼の目の前に見えるのは、見慣れたコックピット。
そして、久しぶりに――あるいは、初めて。
彼はヒカリ・ソラと対面した。
「会いたかったよ、ヒーロー!」
右手を上げる。
その手に、確かに彼女の手が触れた。
「いくぞ、ヒカリ!」
「暴れちゃおうぜ!」
桜色に揺らめく空間から舞い降りたのは、白とラベンダー色の機体。
機体名、XZM-011ソリディア。
全長40.5mの威容が、地球に降り立った。
せいぜい3メートル程度の大きさしかない無人ISは、ミトライユと天火によって次々と掃討されていく。
「そういう、ことかよ」
篠ノ之束は、理解した。
そのISがもはや彼女の手に余ることを。
「コアナンバー468!エア・リアルと二人のAZ-Oneを量子転送するために自己進化した……?進化の果てにISとしての形すら失った!」
束が唯一許容し得たイレギュラーコア。それは、束の想定を超えた進化を果たした。
何故ならば、そのISコアは
「全てのナンバリングISに失敗作はないけど、お前だけは、お前だけは失敗作だ」
地上から憎悪すら込めた視線を送る束に、ソリディアに乗ったヒカリは叫ぶ。
「そんなところにいないで、こっちに来なよ!」
ホバリングして、くるくる回りながらソリディアは叢咲を撃破していく。
「一緒に、キラキラしよう!」
その言葉に、束は、千冬を殺すために隠していた最終手段――疑似AZ-Oneを搭載したオリジナルのエア・リアルを量子展開。
「AZ-Oneごときが、私を舐めるな!」
地球の空を、二機のエア・リアルが舞う。地球初の翔握戦が始まろうとしていた。
ヒカリ・ソラ誕生日記念(遅刻)
願掛けはいい文明。