僕のヒーローアカデミア 手マン抹殺RTA デク憑依ルート 作:槍持
その後の“僕”の話をしよう。
高校時代、我ながら爛れた生活をしていたと思う。百ちゃんとの関係ですっかり歪んだ僕は、望まれるがままに、望むがままに色々な女性と関係を持った。
言い訳をするならば、ヒーロー科が全寮制になったのがトドメだった。それまでは曲がりなりにも存在した物理的距離、障壁が無くなったのだから。夏休みの間に築かれた習慣がそのままずるずるとなだれ込み、止める間を失ったのだ。
僕たちはヴィラン連合に目をつけられた。1年生時の林間合宿を開闢行動隊を名乗るヴィラン集団に襲われ辛くも撃退。その後も散発的に単独のヴィランが学外活動中の生徒たちを襲撃。世間からのバッシングに堪えかね、男女で分けた学生寮で過ごすことになった。
そうして1年生の間は平穏に収まるかと思ったが、冬季インターン中に爆豪くんが攫われ、奪還のために起こった神野町決戦。オールマイトのヒーロー引退。
もはや日常になっていたヴィランの襲撃を除けば卒業まで無事進むかと思われた。
僕たちが進学かヒーロー就職かを決める3年生の秋、それは起こった。異能解放戦線の蜂起だ。
蜂起自体はミリオ先輩たち若手エースや僕たち学生有志連合による斬首作戦で鎮圧されたが、複数の大企業や有力議員、マスコミ内にもシンパが紛れていたことで社会の混乱は決定的になった。
既に絶対的英雄はいなかった。
純度の高い異形型個性持ちで構成された「新人類自由同盟」や解放戦線残党が結成したテロ組織「本能解放軍」などのヴィラン組織による同時多発的犯罪。脱獄してついに闇から帰還したオール・フォー・ワン率いる「訃報告ぐ手」。
とてもじゃないが大学でモラトリアムを謳歌しようなどとは思えなかった。クラスメイト達もそうだ。僕たちは平和を取り戻す戦いに身を投じた。
それから10年ほどだったか。僕たちは勝利した。いくつもの犠牲を払って。
飯田くん、切島くんが斃れ、泡瀬くんと骨抜くんが命と引き換えに場を整えた。そうしてたどり着いた、ラスボスの下に。
個性エネルギーの永久機関として改造された死柄木弔、いや志村転弧の死体。エネルギーを取り出されるだけの脳無と化していた敬愛するお師匠の孫の姿を見て、オールマイトは動かずにはいられなかった。体が勝手に動いたんだろう。ついには光り輝き空間を崩壊させ続ける転弧の自我を呼び覚まし、果てた。
自我を取り戻し全てを失った怨嗟を叫ぶ彼を、僕は再び殺した。ワン・フォー・オールの全てを振り絞り、行き場を失くして世界そのものを崩壊させんとするエネルギーの塊を、先代たちの魂が打ち砕いたのだ。
こうして僕は無個性に戻った。
――はずだった。
まさか壊理ちゃんが巻きもどしてワン・フォー・オールの力だけを復活させるとか思わないでしょ普通?
正確に言えば彼女がそうしようと意図したわけではなかったのだけれども。
いつの間にか百ちゃんが作っていた大奥に壊理ちゃんが加わっているなんて僕は知らなかったんだ……。
結果から言えば、僕には20人の子供が出来た。ワン・フォー・オール5%とそれぞれの母の個性を引継ぎ、ようやく傷痕の癒えた世界で皆がヒーローとして励んでいる。
「出久さん、今日は“何歳の体”でしますの? 壊理さんは出逢った年齢でしようと仰ってましたわ」
「いつも思うけど、若返るだけならともかく若返った事実すら巻き戻して元の年齢に戻すっておかしいよね?」
「うふふ。ありがたいことではないですか。幾久しく、私達を愛してくださいましね? 出久さんとなら那由他の夜でも瞬きの如く、ですもの」
百ちゃんの艶やかな笑み、慈しむように煽るように頬を撫ぜる白魚の指に生唾を飲む。僕もすっかり溺れている。彼女たちのためにも生きていたい。たとえそれが永遠だとしても。
まだまだ僕の子供は増えそうだ。
~fin~
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