某所で一時期連載していた短編読み切りシリーズのまとめ版。
衛宮士郎が召喚されたカルデアのちょっとしたお話。
多少のリメイクあります

1 / 1
一応ネタバレになるから後書きの方に衛宮士郎の設定置いといたよ


衛宮士郎がカルデアに召喚された話

chapter1弓兵との再開

 

立香「エミヤー!」

 

マスターが自分を呼ぶ、それはあの長髪の少女では無くミカンのようなオレンジ色の髪の少女だ。彼女はよく自分をオカンと呼んでいるが今は真名で呼ばれた。こういう時は大抵大切な話の時だ。

 

エミヤ「何だね、マスター。またクーフーリンが何かやらかしたのかね?」

 

あいつ絡みなら自分で対処してもらいたいものだ・・・

 

立香「なわけないでしょ!?エミヤは本当に辛辣だね!?」

 

この元気っ子は本当にトラブルを持ってくるから大変だ。ん?違うのか?では何の用だ?

 

エミヤ「はあー。で、用は何だね?」

 

立香「新しい英雄を召喚したの。」

 

エミヤ「それで?」

 

立香「真名が、『衛宮士郎』って言ってたからもしかしたら関係あるかな〜って思ってさ。」

 

え?今なんと?

 

立香「まあ、似たような名前ってだけだと思うし・・・とりあえず挨拶する?」

 

エミヤ「する。」

 

立香「即答ですか。と言っても後にいるけどね。」

 

エミヤ「え?」

 

俺が振り向くとそこには

 

士郎「久しぶり、アーチャー。」

 

過去の己。魔術師ではなく、サーヴァントとしての己がいた。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

chapter2騎士王との再開

 

アルトリア「士郎!?何故あなたがここに!?」

 

驚愕を隠せない騎士王アルトリア・ペンドラゴン。かつてセイバーと呼ばれた少女。その前にはもう決して会えないと思っていたかつてのマスターの少年があの時と何も変わらぬ姿で立っていた。

 

士郎「や、やぁセイバー。久しぶり、って言っても今は俺も『セイバー』だしマスターでもないからなんか変な感じだな。」

 

アルトリア「え?あなたが、『セイバー』?」

 

士郎「あぁ、俺はお前が通ってきた第五次聖杯戦争とは違う道を通ってきたんだ。聖杯こそ破壊したが、誰一人として生き残らなかった世界をね。」

 

アルトリア「ど、どういう事なんですか!?」

 

訳が分からなかった。目の前にいるのは確かに衛宮士郎だ。自身が好きになった人だ。だが何故かその目には生気が感じられなかった。アルトリアの理解が追いつく前に士郎は言葉を続けた。

 

士郎「文字通りの意味さ、桜も慎二も遠坂も、そしてもちろんセイバーも、誰一人として生還者のいなかった世界、俺はその世界で魔術師の中で聖杯を破壊した魔術師として有名になった。その事は時計塔での授業でも教科書に載る位の出来事だったらしくてさ、ソレが原因で英霊にまでなったんだ。」

 

士郎の語った真実をアルトリアは、いや、セイバーは受け止め切れなかった。一体彼はどれほど辛い思いをしてきたのだろう?どれほど痛い思いをしたのだろう?それを思うだけでも彼女を動かす理由は十分だった。

 

彼女は無言で士郎を抱きしめた。

 

士郎「ちょっ!?セイバー!?何やって、離して!?」

 

彼女の行動が理解できず慌てる士郎だが彼女は優しい笑みを浮かべて彼にこう言った。

 

セイバー「嫌です。あなたはマスターではないのでしょう?ならば暫くこうされててください。」

 

士郎は確かに今は彼女のマスターではない。でも[[rb:大切な人>・・・・]]である事に変わりはないのだ。

 

彼女はその体は綺麗だと思っていたが触れて分かった。心はボロボロだと。彼女は泣きながら彼に言う、「もう、あなたは戦わなくていい。あなたは私が今度こそ守る」と。

 

彼はそっと目を閉じ涙を流した。

 

その光景を遠くで見ていた現在の二人のマスターはこの状況に泣いていた

 

立香「いやぁ、こういう再会って私泣いちゃうんだよねぇ。本当によかったよかった。」

 

エミヤ「・・・」

 

だが赤い弓兵だけはなんか居心地が悪かったらしい

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

chapter3槍兵との再開

 

食堂にて

 

士郎「久しぶり、ランサー。」

 

クーフーリン「おう、久しぶりだな、坊主。」

 

俺は2人目のパートナーであるランサー、真名クーフーリンの元へ来ていた。

俺を坊主と呼ぶその声に少し目が滲む

 

クーフーリン「おいおい、どうしたんだよ。まさか俺が刺した傷がまだ痛むとか言うんじゃねーだろーな。」

 

ニヤニヤしながら心臓の部分を指さす。ちょっと嫌な事思い出させるなよと言って手を払い除ける士郎。そこで士郎は少し俯いて

 

士郎「ちょっと、罪悪感があってさ。」

 

クーフーリン「罪悪感?」

 

俯いたまま士郎は続ける。

 

士郎「あぁ。そっちはどうだったかは知らないけどこっちだとちょっとあってさ。」

 

クーフーリン「具体的にはなんだ?」

 

士郎「俺の世界ではちょっとの間だけお前と契約したんだ。」

 

クーフーリン「へぇ。」

意外だな。とクーフーリンは言う。

 

士郎「俺だって最初は嫌だったさ。でも遠坂のやつがさ、『綺礼のサーヴァントのままだと信用ならないから契約して信用できるようにしなさい!』って言ってさ、俺らの見てる所であの神父をお前が殺したんだ。」

 

クーフーリン「なるほどね〜。にしたってそれじゃ罪悪感なんてないだろ?」

 

士郎「お前はギルガメッシュに負けた。」

 

その一言の重さは・・・さほどでもなかった。

 

クーフーリン「え?なんて言わねーよ。あんなバケモンに勝てるなんざ思っちゃいねーよ。もしそれが心の棘だっていうなら気にすんな。少なくとも俺はその事でお前責めたりなんかしねーからよ。」

 

ホッとしたのか士郎は顔を緩める。

 

士郎「ありがとうランサー。楽になったよ。」

 

クーフーリン「おう。ところでよ、ライター持ってねーか?」

 

士郎「え?ライター?」

 

クーフーリン「これ。」

 

彼が取り出したのは、白い細い筒状のものだった。それを取り出すと同時に赤い影が回収した

 

クーフーリン「え?」

 

無論その正体は言うまでもあるまい。

 

エミヤ「まったく、食堂でこれを吸おうとは、いい度胸だな。」

 

顔を引き攣らせるかつての相棒。俺は何も関係ない・・・そう念じながら士郎は食堂を後にした。

 

クーフーリンのその日の夕食は何の調理もほどこされていない米粒だけだったという。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

chapter4 二人のエミヤと騎士王の狩り

ここは草木が生い茂る深い森。植物達は今日も静かに日々を送っている。その中に4つの影と大きな1つの影。

 

立香「エミヤ!そっち行った!」

 

エミヤ「了解した!」

 

エミヤは自身のマスターである少女の言葉に反応し両手の剣で大きな影の主であるワイバーンの鱗を削ぎ落とす。

 

「GYAAAA!」

 

悲鳴を上げ地面に向かって真っ逆さまに落ちていく。

 

エミヤ「エミヤシロウ!アルトリア!後は任せた!」

 

勢いを付けすぎたために遠くへと飛んでいくエミヤ。彼に呼ばれた二人はそれぞれ剣を携えて走る。方や少女が持つのは最強の聖剣、約束された勝利の剣。隣を走る青年が持つは王を選定する岩に刺さっていた剣、勝利すべき黄金の剣

 

士郎「セイバー、俺が羽を切るからトドメは任せた!」

 

そう言うと青年は少女が答えるより早くさらに加速し翼竜との距離を詰めていく。そこで翼竜は立ち上がり青年に向かって火を吐いた。

 

アルトリア「シロウ!」

 

少女は叫ぶ、だがそれも要らぬ心配だった。青年は笑みを浮かべ呟いた。

 

士郎「熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)

 

青年の前には桃色の花のような盾が投影されておりそれが炎を防いだのだ。そのまま走り青年は叫んだ。

 

士郎「約束された勝利の剣(エクスカリバー)!」

 

青年の持つ剣は少女の持つ剣の形へと姿を変え翼竜の羽を切り裂いた。本来青年が持っているはずがない宝具、それの真名解放。それを可能にしているのは他でもない。彼のスキル『呼応』である。

 

士郎「セイバー!もうこいつは飛べない!殺れ!」

 

少女はその叫びに答えるように剣を掲げ振り下ろした。

 

アルトリア「約束された勝利の剣!」

 

少年と同じ宝具。その一撃は翼竜を一刀両断し、彼らの勝利を報せた。

 

士郎「これで勝った・・・んだよな?」

 

エミヤ「あぁ、エミヤシロウ。私達の勝ちだ。それにしても綺麗に倒したな。エクスカリバーを2回受けて消し飛ばぬとは中々良い固体だ。エミヤシロウ、今夜の調理が楽しみだな。」

 

やっと戻って来たエミヤがマスターである少女と一緒に来ていた。

 

士郎「あぁ、てかわざわざこんな固体と戦う理由あったのか?もっと弱い固体はいたろうに、なんでさ。」

 

エミヤ「なんでと言われても強い固体の方が食べ応えがあると言うものだろう。」

 

士郎「そりゃそうだろうけど・・・って俺ら今日の晩ご飯を狩りに来てたのか!?俺は素材集めとしか聞かされてないぞ!?」

 

そんな事は知らない!と言わんばかりに叫ぶ士郎。

 

エミヤ「アルトリアにそう伝えるよう言っておいたのだが、どういう事かね?」

 

赤い弓兵の視線が少女に向けられる

 

アルトリア「そ、それは、その・・・私が言うと笑われてしまいそうで・・・」

 

この王、自身が大食いである事を自覚しているが故に言えなかったという。

 

エミヤ「まったく、アルトリア」

 

低い声が響く

 

アルトリア「は、はい!」

 

エミヤ「今日はお代わりなしだ。」

 

そう言い残しカルデアに戻っていく赤い弓兵。

 

その瞬間、少女は燃え尽きたように固まった。

 

士郎「セイバー、今回ばかりは俺も味方出来ない。」

 

かつてのマスターにすらそう言われ崩れ落ち倒れ伏せる騎士王がいた。

 

立香「アルトリア」

 

アルトリア「マスタァー」

 

さらには現在のマスターに泣きつく始末である。

 

立香「ごめんね。私も味方できないや。」

 

今度こそ少女の中で何かが崩れ、気付けばカルデアに帰って来ていた。

 

その後アルトリアは本当にお代わり出来ず翌日までお腹が減りっぱなしだったらしい




衛宮士郎の設定
クラスセイバー

ステータス
筋力E
耐久D
敏捷C
魔力C
幸運E
宝具A

保有スキル
対魔力C
心眼B
魔術E
投影魔術B
呼応(本人の力によって新たな宝具を創り出す)

宝具
『無限の剣製』
エミヤ同様固有結界を作り出す

『花の唄(ヘブンズフィール)』
並行世界における自身を一時的に召喚する。

人物
Fateルート、UBWルート、HFルート、このどれにも属さない衛宮士郎でもちろん美遊兄でもない存在。元セイバーのマスターである事に変わりはない。また、好んで使用する武器は干将・莫耶ではなく勝利すべき黄金の剣である。
全体的に見ればエミヤの劣化版である。

何があったか
UBWと途中まで話は同じだがキャスター撃破後に半ば強制的にクーフーリンと契約したりした(言峰はクーフーリンが不意打ちで殺した)。ギルガメッシュ戦はクーフーリンが挑んだが敗北。その後士郎が挑み勝利するが凛が聖杯の破壊と慎二の救出に失敗セイバーの消失が重なる。士郎は勝利すべき黄金の剣を用いて聖杯の破壊に成功するがみんなの死を自身の責任として背負い込みアーチャーに自身を殺すように願い出て殺された。
さらにその後信頼できる人がいきなり大勢なくしてしまった桜は心を病み自殺してしまった。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。