とある科学の超人兵士。   作:バナハロ

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久しぶりの投稿なのに短くてすみません。


配慮する相手は選ぼう。

 トリガーとなったのは、あらゆる関係者にとって死角になっていたデパートの施設だ。そこにいた人材派遣の青年が「グループ」の土御門元春に捕まったことから始まった。

 その人材派遣を下部組織が護送している際……その護送車両の中に、突如として現れたゴーグルの少年、誉望万化。それが……少年の両手を切り落とした。

 

「ぐっ、ああああああ⁉︎」

「……残念だ」

 

 別に助けに来たわけではない。本人は助けられると思っていたらしいが、口封じに来ただけである。

 すでに護送の人員も全員倒したし、あとはこの男だけ。懐から銃を抜き、銃口を静かに眉間へ当てた時だ。

 ガタンっ、と車が大きく揺れた。直後、自身の体を浮かせて倒れ込むようなことはなかったが……すぐに理解した。攻撃されていると。

 どうせ両腕を切り落とした後。放っておいても出血多量で死ぬだろう。なら、敵に備えるしかない。

 そう思い、扉を破壊して外に出た直後だ。顔面に見覚えのある盾が飛んで来る。

 

「っ⁉︎」

 

 反射的に首を横に傾けて避けた直後、視認出来ない速度で突っ込んできたのは、ヒーロー。テレキネシスで止めようとしたが、その勢いは止まらなかった。胸に片膝をもらい、車の中に戻された直後、顔面に拳を叩き込まれ、失神させられた。

 

 ×××

 

『片付けた。警備員呼んで』

「了解。仕事が早いのねぇ?」

 

 授業を受けながら、食蜂操祈は適当な返事をする。彼への協力のため、色々と遠距離から情報を流す役割である。

 しかし……まさか本当に美偉の記憶を消させられるとは思わなかった。この子も中々、手段を選ばない。

 

『こいつから得られる情報は多い。食蜂さんなら出来るでしょ?』

「ええ。……けど、良かったのかしらぁ?」

『何が?』

「結局、白井さんや御坂さんにも伝えてないんでしょう?」

『……』

 

 情報収集の役割を担っている際に見つけたのは、これから何かが起ころうとしている事に「スクール」の垣根帝督が絡んでいると言うこと。

 つまり、学園都市第二位の超能力者だ。それと分かるや否や、誰にも相談することをしないで作戦決行に乗り出た。

 

『だって……危ないでしょ。御坂さんでも危ないって』

「あなたは危なくないつもり?」

『大丈夫。……今回は、ちょっと容赦する余裕がないと思うから』

 

 今までは容赦している、と言わんばかりの口ぶりだが、まぁ確かに優しい子だしパンチ一発で人を殺すことさえも可能なのだからキープしていたのは嘘でもないのだろう。

 それを意図的に外すのは結構だが……それでも垣根帝督に勝てるつもりなのだろうか? 

 ……食蜂自身、別に彼とは長い付き合いでもないが、どうも様子がおかしい気がする。

 

「あなた、ヤケになってないでしょうねぇ?」

『ないよ。……ただ、そもそも子供に殺しを命じる暗部って存在が気に食わないだけ。だから容赦しないって決めてんの』

「……それは分かるつもりだけれど、あなたも子供であることを忘れないように。良いわね?」

『……分かってる』

 

 ……分かってなさそうだが……まぁ、それをどうにかする為に自分は協力している。このアホなヒーローは自分が守る。そう思いながら、とりあえず仕事をする事にした。

 

 ×××

 

「なーんか、最近誰かのことを忘れてる気がするのよねー?」

「そ、そうなんですか?」

 

 初春飾利と一緒にパトロールをする固法美偉は、そんなことを呟く。

 

「そうなのよ。家に見覚えのない男の人のパンツとかあるし」

「えっ……そ、それは怖いですね……?」

「怖いわよほんとに……あと、私の部屋に男の人の部屋があったり、初春さんが通ってる柵川中学の制服があったり」

 

 固法美偉は、頭の中で弟の存在を消されている。だから、何故か家にそういう名残のようなものがあっても記憶にないのだ。

 だが……流石にここまで誰かと一緒にいた形跡があると、もしかして同居している人のことを忘れてる? となるものだ。

 

「えっ、それ……」

 

 だが……初春飾利は非色を忘れていない。だから、すぐにピンと来た。それ全部多分、非色のものであることを。そして、非色に関する記憶を消されていることを。

 犯人? それは勿論、察しがついている。非色に依頼された食蜂操祈だろう。あの二人に絡みがあることは知っているから。

 

「……また何か勝手な事してるなぁ……」

「? 何が?」

「あ、い、いえっ、なんでも……!」

 

 隠して良いのだろうか? 話した方が良い気もする……いや、話した所で騒ぎになるだけだ。非色がそこまでするほどの相手なら、絶対に黒子や美偉、そして美琴に佐天も動き出す。

 ……だけど、少し前に佐天が誘拐されたこともあったけれど、明らかに戦い慣れた二人組がバチバチやり合っていたらしい。最終的に二丁水銃も介入し、デパートに大きな被害が生じたらしいが、そんな被害を出したのはヒーローの暴れっぷりだけではない。

 つまり……プロの殺し屋レベルが暴れた後、ということだ。

 

「……」

 

 言った方が良い。そんな渦の中に、非色を一人で行かせるわけにはいかない。

 

「あ、あの……」

「ねぇ、あれ何をしているのかしら?」

 

 声をかけた直後、それを遮るように口を開いた美偉の視線の先では、タクシーの運転手と小さな女の子が揉めていた。

 

「ここで降ろして降ろしてって言ってるのに、どうしてミサカを離してくれないの⁉︎ って、ミサカはミサカはほっぺを膨らませて抗議してみたり!」

「そ、そうはおっしゃられても、目的地までの料金を既にもらっている以上は……」

「その言い訳の隙にミサカはミサカは逃亡を図ってみる!」

 

 そんなやりとりの後、女の子の方は走ってどこかへ逃げ出してしまった。

 

「ちょっと、見に行きましょうか」

「そ、そうですね……」

 

 仕方ない、揉め事を解決するのも風紀委員の仕事だ。まぁこの件を片付けてからでも良いだろう、と初春は美偉と共にあのアホ毛の女の子の後を追った。

 

 ×××

 

 チームの1人、海原光貴が消息不明になった事を確認したが、グループのメンバーは特に捜索を開始することはない……はずだった。だが、この中で一番動きそうにない男が舌打ちをしながら立ち上がる。

 

「チッ……仕方ねェ」

「あら、どうしたの?」

「救援が必要だろォが」

 

 一方通行が、杖をつきながら首を左右に倒す。それを見て、結標淡希が意外そうな顔で声を掛ける。

 

「何よ、助けに行くの? 意外ね」

「うるせェ」

 

 忌々しい事だが、見捨てる気にはならない。自分をぶっ飛ばしたくせに、自分の病室に一々、顔を見せに来ていたあのガキならそうする、そう思うと行く気になると言うだけの話だ。

 ……まぁ、もっとも土御門の話によれば、変身能力を持っているのでどこかの組織に潜り込んでいるらしいのだが。

 だが、その自分に土御門から声が掛かる。

 

「待て一方通行」

「アア?」

「下部組織から連絡が入った。人材派遣が消えたらしい」

「……どォいうことだ」

 

 土御門が捉えた男の事だ。この男の手で犯罪組織が作られてしまった為、捕獲して何をどうするつもりだったのか尋問するつもりだったのだが……残念ながら、そうもいかなくなったらしい。

 

「なら、尚更海原は必要だろ。アイツが潜り込ンでやがる連中なら人材派遣もいンだろ」

「いや、残念ながら人材派遣を連れ去ったのはその組織じゃない」

「どういうこと?」

 

 結標にも問われ、土御門は実に楽しそうな声でわざわざ丁寧に現場の状態から説明を始めた。

 

「現場は、襲撃された車のボンネットに大きな凹みがあり、窓ガラスが破られてヘッドギアをつけた男が拘束されている状態らしい。……つまり、正面から車を強引に抑えた後、様子を確認するために車から出ようとした男を急襲し、気絶させてから中の人材派遣を連行した、ということだ。ご丁寧に警備員まで呼んでそのゴーグルの奴は逮捕されたそうだ。……胸への一発で肋を折られて、顎への一発で顎骨にひびが入っているらしい」

 

 嫌な予感、と一方通行は冷や汗を流す。土御門も、それは楽しそうな顔をするわけだ。

 

「シンプルな暴力と、不殺主義に通報……何処かの誰かが思いつかないか?」

「……勿体ぶらずに言いやがれ」

「二丁水銃以外いないに決まってるにゃー」

「……チッ、あのバカ」

 

 何をしているのか。偶然見かけただけにしては手口が鮮やかすぎる。つまり……事前に情報を得ていて、自分から首を突っ込んで何かをしようとしているのだろう。

 

「あら、あなたあのヒーローと知り合いなの?」

「うるせェ」

「知り合いどころか一回負けた相手だにゃー」

「黙りやがれ」

「えっ、あのヒーロー結構やるのね……」

「イイから、さっさとあのクソガキ探すぞ」

 

 自分が電話をすれば、おそらく出てくれるだろうが。携帯を取り出し、耳にあてがう。案の定、すぐに出た。

 

『もしもーし、アッくん?』

「うるせェ。殺すぞ」

「まずは挨拶大事でしょアッくん」

「相手は年下なんだからそんな凄むなよアッくん」

「お前らも黙ってろ」

 

 ていうか、スピーカーにしていないのに耳が良過ぎる。何にしても、さっさと話を動かした方が良い。

 

「テメェ、今何処にいる?」

『え? ヒーローのアジト』

「それが何処だって聞いてンだよ」

『あの、周囲に黄泉川さんとかいない?』

「いねェよ」

 

 警備員に知られちゃまずい、とか思っているのだろう。こっちだってそんなことを知られたくはないのでそこは安心して欲しい。

 

『木山先生のラボ……って言って分かる?』

「アア。そこにいろよ」

『あーごめん。それは無理。もう直ぐ出ないといけないから』

「テメェ、今度は何に首を突っ込ンでやがる」

『……あ、そっか。アッくんなら強いから相談してみても良いかな』

「アア、話せ」

 

 初めて学園都市第一位の称号が役に立った気がした。こちらとしては非色にも手を引いて欲しいまであるのだが、まぁ言って聞くやつではないのでそこはスルーだ。

 

『今、スクールって連中が利用してた人材派遣って男が目の前にいるんだけど……まーこいつが結構、悪いことしててね』

「……スクールだ?」

 

 そんな奴らがいるのか、と少し面倒な話になる。

 

『メンバーは4人。そのうちの1人は肋折って顎砕いたから残りは3人。人材派遣が仲介して雇ったのは「砂皿緻密」。スナイパーだよ』

「……それを使って何をするつもりだ」

『そこまではまだ分かんない。俺もこれから第二位にちょっかい出しに行く』

「第二位だと? オイ、バカお前何しに行くつもりだ!」

『目的が何にしても捕まえて吐かせれば万事解決でしょ』

「テメッ……待ちやがれ! オイ!」

『もう行かないとだから。アッくんも手伝ってくれるならスナイパーの方よろしく』

 

 切られてしまった。この野郎は本当にどこまでも勝手だ。

 

「上ッ等だあの野郎……!」

「何か分かったのか?」

「敵はスクールって連中らしい。第二位、それから人材派遣で雇ったのはスナイパー。その人材派遣は木山って奴の研究施設にいるらしい」

「結標、木山の研究室を頼む。俺と一方通行でスナイパーをなんとかする」

「はいはい」

 

 本当に困る。あのガキ、ちょっと分からせてやろうか。

 

 

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