-カリュブス・トゥーケス-
25歳。サイド3出身。「四海竜」と呼ばれるエースパイロットの1人であり、退却中の「森夜叉」を自身の
-アスピード・ハブラ-
20歳。サイド3出身。「四海竜」と呼ばれるエースパイロットの1人であり、カリュブスの片腕として仲間達を纏めながら付き従ってきた。白桜色を基調とするアッガイに搭乗する。階級は伍長。
-ポルセ・イドゥール-
24歳。サイド3出身。「四海竜」と呼ばれるエースパイロットの1人であり、戦闘狂ではあるものの仲間達への情を忘れない一面もある。呉須色を基調とするゴッグに搭乗する。階級は軍曹。
-イーサン・アリヴァー-
17歳。サイド3出身。「四海竜」と呼ばれるエースパイロットの1人であり、寡黙ながら仲間達のためならば身を呈することも厭わない熱血漢。瑠璃色を基調とするアッガイに搭乗する。階級は伍長。
-リューコ・タカスギ-
18歳。京都出身。京都基地の士官学校を「繰り上げ卒業」した名門・タカスギ家出身の才媛であり、スタイル抜群で生真面目な美少女。ビームスプレーガン装備のジムに搭乗する。階級は少尉。
※原案はMrR先生。
-ユキノ・カツキ-
18歳。京都出身。古来より続く軍の名門・カツキ家の三女であり、愛国心故に親の反対を押し切ってまで連邦軍に入隊した過去を持つ美少女なのだが、命を奪うことへの忌避感はまだ拭い切れていない。ネットガン装備のジムに搭乗する。階級は少尉。
※原案はアルキメです。先生。
-アーデルトラウト・ブライトクロイツ-
20歳。ウィスコンシン出身。名門・ブライトクロイツ出身の高潔な美女であり、一見すると高飛車なようだが、決して仲間を見捨てない熱い一面も持ち合わせている。Kカップの豊満な爆乳の持ち主。ビームスプレーガン装備のジムに搭乗する。階級は少尉。
※原案はダス・ライヒ先生。
-パッチワーク・ビギナーズ-
19歳。ブリストル出身。機械弄りを好む元傭兵であり、軽薄な拝金主義者であるかのように振る舞うが、実は情に厚い一面もある。ビームジャベリン装備のジムに搭乗する。階級は少尉。
※原案は影騎士先生。
-リーサ・ヴァレンタイン-
18歳。ミシシッピ出身。ヴァイス・ヴァレンタインを兄に持つ美少女であり、近接格闘戦における類稀な才覚は兄譲り。ツインビームスピア装備のジムに搭乗する。階級は少尉。
※原案はヒロアキ141先生。
-クレイ・ハルパニア-
19歳。シドニー出身。人情家で兄貴肌な同期達のリーダー格であり、如何なる状況でも仲間達の生還を優先する好青年。ハイパーバズーカ装備のジムに搭乗する。階級は少尉。
※原案はリオンテイル先生。
-クラム・プレスタン-
18歳。レックリングハウゼン出身。戦車兵の父を持ち、MSが戦場の主力になってからも戦車乗りを希望していた寡黙な変わり者。マゼラトップ砲装備のジムに搭乗する。階級は少尉。
※原案は赤犬先生。
――宇宙世紀0079、12月1日。朝陽に照らされたジャブローの大河を行く1隻の
ゴールドホーク隊をはじめとする連邦軍の精鋭達との激闘の後。友軍の潜水艦に乗り込み南米大陸からの脱出を図っていた「森夜叉」は、北大西洋という「出口」を目前にして、かつてない窮地に陥っている。
「8時の方向にMSの反応ッ! 数は7機……連邦軍の追手です!」
「ちくしょう……! あと一歩でジャブローの外だっていうのに、諦めの悪い奴らだぜ!」
慌ただしく戦闘配備に着こうとする乗組員達は、連邦軍の執拗な追撃に悪態を吐きながらも必死に艦内を駆け回っている。そんな彼らの様子を一瞥するルーク・アルフィス大佐は、部下達と共に神妙な表情でMSの格納庫を見下ろしていた。
そこに配備されているたった4機のMS。その僅かな戦力だけが、「森夜叉」の命運を繋ぐ最後の生命線なのである。手摺りを握り締め、真摯な面持ちで4機のMSを見つめるルークは厳かに口を開いた。
「……実に無念であるが、我々『森夜叉』の機体はまともに戦える状態ではない。対処を頼めるか、『四海竜』の諸君」
そんな彼の問いに、4機のMSは妖しくも勇ましい
『言われるまでもありませんよ、ルーク大佐』
『そのために俺達4人は、あの大河であなた達を待っていたのですから』
白桜色を基調とするMSM-04「アッガイ」に搭乗する、アスピード・ハブラ伍長。瑠璃色を基調とするアッガイを駆る、イーサン・アリヴァー伍長。彼ら2人はコクピットの中から、自信に満ちた双眸でルークを見上げている。
『そういうこってす。よーしお前ら、『森夜叉』の皆様にカッコいいとこ見せてやれ! 海の男の意地ってモンをなぁ!』
『へへっ……了解ッ!』
蘇芳色に統一されたMSM-07「ズゴック」を駆るカリュブス・トゥーケス曹長は、リーダーとして戦友達を豪快に鼓舞していた。そんな隊長に敬礼で応えているポルセ・イドゥール軍曹も、愛機である呉須色のMSM-03「ゴッグ」を唸らせていた。
『さぁて……遊びに行ってやろうぜぇ! 「四海竜」、全機発進ッ!』
カリュブス機を筆頭とする「四海竜」の4機は、乗組員と「森夜叉」の面々が見送る中、潜水艦の外へと飛び出して行く。諦めの悪い連邦軍の刺客達に、これ以上の追撃は無駄と思い知らせるために。
◇
南米大陸のアマゾン川から北大西洋の大海原へと繋がる、密林の果て。その出口にまで辿り着いていた
士官学校を「繰り上げ卒業」して間も無い新任少尉達が搭乗しているこの7機は、即座に陸上から潜水艦への攻撃を開始していた。若さに溢れる勢いで引き金を引く彼らは、水中を走る潜水艦目掛けて猛烈な弾雨を浴びせようとしている。
連邦軍本部ジャブローに牙を剥いておきながら、降下作戦が失敗した途端に逃げ出した敗残兵達。そんな卑怯な連中を見逃すわけには行かないという純真な正義感が、彼らを攻撃に駆り立てていた。
先の11月20日に連邦軍の京都基地で発生した大規模な戦闘。その渦中から生還し、ジオン地上軍屈指のエース「五指」の3位すらも退けた新進気鋭の若獅子達。その
『あれがジオン軍の潜水艦……! 追撃部隊からの情報通りね! 皆、攻撃開始よ!』
『この戦いで命を落とされた皆様のためにも……このまま行かせるわけには参りません!』
『ふん……当然だ。この好機を逃していては、我がブライトクロイツ家の名折れだからな!』
リューコ・タカスギ少尉、ユキノ・カツキ少尉、アーデルトラウト・ブライトクロイツ少尉。可憐な美貌を持つ絶世の美少女でもある彼女達は、ノーマルスーツを押し上げる豊満な巨乳を揺らしながら操縦桿を握り締めていた。ジャブロー配属に際して急遽支給されたため、サイズが合っていなかったのだろう。ノーマルスーツの生地は、扇情的な曲線を描く彼女達のボディラインを、ありのままに浮き立たせていた。
京都の戦いを経て精神的にも肉体的にも「成長」した彼女達の肢体は、1人の女性として瑞々しく熟している。豊かに実った乳房を際立たせる引き締まった腰つきと、そのくびれによって強調される安産型の桃尻。そんな彼女達の蠱惑的な肉体は、急遽支給されたノーマルスーツをぴっちりと緊張させている。まるで、生まれたままの裸身にノーマルスーツのデザインを描いているかのようだ。
『……んっ、く、はぁぁ、あっ……! そ、それにしてもこのノーマルスーツ……やっぱりキツイですっ……! 動きにくいし、男の人達の視線が物凄いしっ……!』
『わ、私など胸が全く収まり切らんっ……! ええいっ、出撃直前まで周りの男共も、不躾に私達の身体をジロジロと舐め回すように見て来るし……! 挙句、しつこい連中が何度も身体中を撫で回して来てっ……! 着任早々災難続きだっ! 高貴なるこの私を一体誰だと心得てっ……!』
『2人とも、今は攻撃に集中してっ! わ、私だってこんな格好……死ぬほど恥ずかしいんだからぁっ!』
身体の曲線がくっきりと浮き出るようなノーマルスーツのせいで思わぬ「恥辱」を味わい、羞恥と怒りの表情で下腹部をくねらせているリューコ達。そんな彼女達の愛機であるジムは、60mmバルカン砲やビームスプレーガンを水中に向かって矢継ぎ早に連射している。他の同期達が駆るジムも、それに負けない勢いで潜水艦を狙っていた。
『散々このジャブローを荒らしておいて、旗色が悪くなった途端にトンズラかよ! どこまでも薄汚えクソ共だぜ!』
『ここまで好き勝手しておいて、タダで済むと思ってんのなら大間違いよ! せいぜい私達に見つかった不幸を地獄の底で呪ってなッ!』
パッチワーク・ビギナーズ少尉とリーサ・ヴァレンタイン少尉が駆る2機のジムも、執拗に潜水艦を付け狙い、頭部バルカンを連射していた。普段は犬猿の仲である彼らも、ジオン軍への怒りという一点で心を一つにしている。ぴっちりと肢体に密着しているノーマルスーツの圧迫感にも構うことなく、リーサは豊満な乳房をぶるんっと揺らして吼えていた。
『皆、油断するな! かなりの手負いとはいえ、奴らはあのゴールドホーク隊やプラチナファルコン隊、アイアングース隊まで苦しめた精鋭中の精鋭達だ! 本来なら新米の俺達が太刀打ち出来る相手じゃないってことを忘れるなよ!』
『……精鋭中の精鋭だろうと、まともに動くMSさえ無ければただの的。そんな奴らを俺達の手で仕留める絶好の機会は、今以外に無い。どんな相手が
京都基地で共に学んだ同期達を纏めている、リーダー格のクレイ・ハルパニア少尉。彼の
――陸上から水中への射撃は威力が減衰するとはいえ、7機のジムに一斉に襲われては
この劣勢すらも容易く覆す、4頭の海竜さえ居なければ。
『……ッ!? 奴らの潜水艦から4機のMS反応!? しかも、かなりの速さよ!』
『そんなっ、「森夜叉」の機体はほとんど戦闘不能状態って話じゃ……!?』
『くッ……作戦変更だ! 皆、一旦下がれッ! 潜水艦からこれほどの速度で飛び出して来たということは、この反応は水陸両用のッ……!』
突如潜水艦から現れた4機のMS反応。その予期せぬ
『ご名答だぜ坊や達ッ!』
『うぐわぁあぁッ!』
『きゃあぁあッ!』
猛烈な水飛沫を上げて飛び出したカリュブス機のズゴックが、彼らの眼前に現れる。目眩しとなった飛沫を突き破るように繰り出された両手のアイアンネイルが、クレイ機とリューコ機を同時に吹き飛ばしてしまった。
次の瞬間、陸上に着地したカリュブス機が
『う、くぅっ……! はぁっ、んはぁっ……! 蘇芳色の水陸両用機……まさか、あの「四海竜」ッ……!?』
腹部のコクピットに減り込むほどの爪の威力は、クレイ機とリューコ機を容易く転倒させてしまう。足の踏ん張りが効かない体勢からの攻撃だったため胴体を貫通するほどの威力は出なかったようだが、それでもパイロットに与える衝撃は凄まじいものであった。全身をビクビクと痙攣させて悶絶するリューコは、豊満な乳房をぶるんっと揺らして苦悶の声を漏らしている。
咄嗟に真横のクレイ機に突き飛ばされていたリューコ機は脇腹を掠める形となったため最小限のダメージで済んでいるが、それでもパイロットの全身が痺れてしまったせいで、暫くは身動きが取れない状態となっている。瞬時にリューコ機を庇う形となったクレイ機の方に至っては、パイロットが気絶したため全く動けなくなってしまっていた。
『クレイィッ! リューコォオッ!』
『……このくたばり損ないがぁぁあッ!』
その惨状を目にしたパッチワーク機とリーサ機は、同期の窮地に怒り同時に得物を構えている。パッチワーク機のビームジャベリンとリーサ機のツインビームスピアが、唸りを上げてカリュブス機に迫ろうとしていた。
『筋は良いが……俺達の前に出るには、少々動きが未熟過ぎるなッ!』
『その荒削りな挙動、まだ実戦に不慣れな新兵と見たッ!』
しかし、その攻撃を許す「四海竜」ではない。カリュブス機に続いて陸上に飛び出して来たアスピード機とイーサン機のアッガイが、意表を突くように立ちはだかって来たのである。
『速いッ!?』
『もう陸上にッ……!?』
『こいつは今日の授業料だッ!』
フレキシブルアームを伸ばして突き出された2機のアイアンネイルは、ビームジャベリンやツインビームスピアよりも長いリーチを発揮し、パッチワーク機とリーサ機の頭部を打ち砕いてしまう。
『きゃあぁああッ!?』
『くそぉおぉッ……!』
『リーサッ! パッチワーク……! おのれッ!』
『よくも我が同期達を……許さんッ!』
メインカメラを破壊され転倒したパッチワーク機とリーサ機は、容易く戦闘不能に陥ってしまった。コクピット内のシートに身体を叩き付けられたリーサは、上擦った悲鳴を上げて悶絶し、豊かな乳房をばるんっと揺らして気絶してしまう。その光景を前にしたクラム機とアーデルトラウト機が、マゼラトップ砲とビームスプレーガンを構えようとする。
『ふん……来るか? 連邦の新兵共』
『その蛮勇に敬意を表して、俺達が戦い方というものを教えてやる!』
次々と仲間を倒されても怯まない「活きの良い獲物」を前に、イーサン機とアスピード機は好戦的な姿勢を見せる。だが次の瞬間、頭上から降り掛かって来た大きな「網」が彼らの機体を絡め取ってしまった。
『ぬッ!? なんだ、この網はッ……!』
『連邦の対MS用兵器か!? 味な真似を……!』
予期せぬ「搦め手」に瞠目したアスピードとイーサンは、
『クラムさん、アーデさん! 今ですっ!』
『……恩に着るぞ、ユキノ!』
『さすがは我が友だ! さぁ、我らの怒りを思い知るが良いッ!』
『ち、ちぃいッ……!』
同期の援護射撃に感謝しつつ、クラム機とアーデルトラウト機は2機のアッガイを照準に捉えて行く。「四海竜」専用機としてチューンナップされたアッガイといえど、至近距離でマゼラトップ砲やビームスプレーガンを撃ち込まれればタダでは済まない。イーサンとアスピードの表情が、焦燥に染まる。
『……大人しそうな雰囲気の割にやってくれるじゃねぇか。良い腕してんなぁ、嬢ちゃん』
『えっ……!?』
だが、窮地に陥っていたのはユキノ機の方だった。この混乱に乗じて上陸していたポルセ機のゴッグが、ユキノ機の背後に回り込んでいたのである。猛獣の唸り声のような野太いポルセの声に振り向いたユキノは、ゴッグの
『……ッ!? ユ、ユキノ、逃げろぉッ!』
『後ろだぁあッ!』
『きゃあぁあぁあッ!?』
ポルセ機の存在に気付いたクラムとアーデルトラウトは必死に声を上げるが、もはや手遅れだった。巨大なアイアンネイルで頭を掴まれたユキノ機は、そのまま容赦なく地面に叩き付けられてしまう。一撃で頭部を破壊されたジムはそのまま戦闘不能となり、パイロットのユキノも乳房をぷるんっと揺らして気を失っていた。
『……おのれぇッ!』
『へへっ……さすがゴッグだ、なんともないぜ』
『な、なにッ……!?』
ユキノ機を大破させられた怒りに燃えるクラム機は、「四海竜」に一矢報いるべくマゼラトップ砲を撃ち放つ。だが、その砲撃を真正面から受け止めたポルセ機は平然と佇んでいた。必殺の一撃を意にも介さないゴッグの装甲に瞠目するクラムは、ただ戦慄するばかりだ。
『マゼラトップ砲とは粋なモノ使ってるじゃねぇか。こっちもお返ししなきゃなぁ!』
『がはぁあぁあぁッ……!』
『クラムッ! ……くそぉおぉッ!』
「お返し」と称してポルセ機が撃ち放った腹部のメガ粒子砲。その閃光がクラム機の四肢を焼き、瞬く間に無力化してしまう。しかしこの絶望的な状況でもなお、アーデルトラウト機はビームスプレーガンを手に戦い続けようとしていた。ようやく網から逃れたアスピード機とイーサン機は、ポルセ機を庇うように彼女の前に立ちはだかろうとする。
『ポルセ軍曹! この新兵……まだやるつもりですよ!』
『この状況でも退く気がないとは、何という蛮勇だ……!』
『……大した気迫だ。新兵のくせに、これほどのプレッシャーとは……』
『諦めない……絶対に諦めるものか……! ブライトクロイツ家の名誉のためだけではない……! この私自身の……アーデルトラウト・ブライトクロイツの想いと! 我が同期達との友情に誓って! 刺し違えてでも貴様らをッ……!』
かけがえのない戦友達を傷付けられたことへの義憤。アーデルトラウトはその高潔な精神だけを頼りに、勝ち目のない戦いに臨もうとしていた。新兵とはとても思えない、その悲壮なまでの勇猛さにはポルセ達も思わず目を見張っている。
『……やれやれ。有望な若い奴らがこぞって死に急ぎやがって。聞いちゃいられねぇぜ』
『ぬっ……!?』
しかし、次の瞬間。アーデルトラウト機の背後に回り込んでいたカリュブス機のズゴックは、まるで峰打ちのように背後から繰り出した爪の一撃で、ジムの頭部を破壊してしまう。
『その意気込みは結構。ただ少しばかり、相手が悪かったな』
『ぐっ……が、ぁ……!』
どれほど崇高な信念を抱こうと、実力が伴わなければその想いが結実することはない。その無情な現実を突き付ける一撃が、アーデルトラウト機を沈めていた。頭部を破壊されたジムは崩れるように倒れ、その衝撃でアーデルトラウト自身も、Kカップの豊満な爆乳をどたぷんっと揺らして失神してしまう。
――京都からやって来た、若き7人のサムライ。「五指」の3位すらも退けた彼らの実力は、「四海竜」にはまるで通用しなかった。エースの卵達を乗せた7機のジムが、僅か1分足らずで大破させられてしまったのである。
『さーて、ざっとこんなもんか。見たところまだ新兵のようだし、今回のところはこの辺で勘弁してやろうぜ』
『また見逃すんですかい? 相変わらず、将来有望な若手には甘ちゃんですなぁ』
『こいつら、確かに新兵ではあるようですが……中々骨のある連中でしたよ』
『後々の戦局を考慮するなら、まず間違いなくここで始末するべきですが……』
リューコ達の高い素質を戦闘の中で見抜いていながらも、カリュブスは敢えてとどめを刺さずに撤収しようとしている。そんな隊長の相変わらずなスタンスに、部下達は顔を見合わせて苦笑していた。その反応を意にも介さず、カリュブスは遠い目で水平線の彼方を見つめている。
『……後々の戦局なんて考えるだけ無駄さ。一世一代の大博打……このジャブロー降下作戦が大失敗に終わった時点でな。だったら、この「先」を生きて行く奴らがどこまで辿り着けるか……そいつを見届ける方がよっぽど面白え』
オデッサを失い、劣勢に陥ったジオン地上軍が己の命運を賭けて臨んだジャブロー降下作戦。その賭けに敗れた以上、ジオン地上軍の行く末は目に見えているも同然。だからこそ、カリュブスは単純な勝敗よりも次世代の成長に希望を見出しているのだ。
『……まだ、終わっては……いないわっ……!』
『あぁ……?』
――すると、その希望に応えようとするかのように。ようやく身体の痺れが抜けたリューコが操縦桿を握り直し、
『おいおい、まだやる気のある奴が残ってたのかよ』
『ほほー……やけに骨のある新米共だとは思っちゃいたが、こりゃあ予想以上ですぜ』
『この戦いで倒れて行った人達のためにも……あなた達を逃すわけにはいかない! 京都のサムライ……リューコ・タカスギの名に賭けて、ここであなた達を倒すッ……!』
先ほどの一撃で操縦系統が一部故障しているのか、リューコ機のジムは真っ直ぐ立つことも出来ないほど、姿勢の安定性を失っている。それでも彼女は意地だけを頼りに、カリュブス達に挑もうとしていた。「四海竜」の攻撃を受けてもなお、まだ意識を保っている最後の「サムライ」として。
『サムライだかなんだか知らねぇが、そんなフラフラで大した根性だな。……こんなところで死なせるには惜しいんだが、仕方ねえ。うっかりくたばっちまっても、恨むなよ?』
無益な殺生は望んでいないが、さりとて殺さないように手加減出来るほど容易い相手でもない。そんなリューコ機の気迫に触れたカリュブスは、ため息混じりに操縦桿を握り締める。
『――!』
そして蘇芳色のズゴックが、リューコ機の完全に撃破するべく身構えた時。複数の「新手」の接近を報せる警告音がカリュブス機のコクピットに鳴り響く。密林の奥から響き渡るMS部隊の足音が、少しずつ大きくなり始めていた――。
皆様、大変お久しぶりです! 今回は外伝「オーガ・マスト・ダイ」の最終話で触れていた「森夜叉」の脱出シーンについて掘り下げる番外編となります。
連載当初はこの辺りの内容が「オーガ・マスト・ダイ」の最終話となる予定だったのですが、ゴールドホーク隊をはじめとする連邦軍追撃部隊VS「森夜叉」の構図に本筋を絞りたかったので、こちらのお話は番外編として扱うこととなりましたm(_ _)m
この番外編は前中後編の3部作構成となる予定であり、次回はリューコ達の救援に駆け付けて来た増援部隊のお話になります。第1部「パンツァー・アンド・パンツァー(https://syosetu.org/novel/223795/1.html)」の登場人物も参戦する予定ですので、次回の中編もどうぞお楽しみに!(*´ω`*)
今話は外伝「キョート・フラワーズ(https://syosetu.org/novel/223795/102.html)」の新米士官達が久方ぶりに登場している他、外伝「コバルト・キャリバー(https://syosetu.org/novel/223795/12.html)」でも大暴れだった「四海竜」の戦闘も描かれております。後々のキャリフォルニアベース戦で、「四海竜」は終生のライバルと出会うことになるわけですな(*´꒳`*)
ちなみに「四海竜」のリーダーであるカリュブスにつきましては、X2愛好家先生の作品「九十九 光の気ままな実験録(https://syosetu.org/novel/357309/)」にも登場しております。こちらの作品のエピソード(https://syosetu.org/novel/357309/9.html)では、ジオンが勝利したGQuuuuuuX世界出身のカリュブスが燻銀な活躍を見せております。「オーガ・マスト・ダイ」では「森夜叉」の一員として活躍していたラアス・リュレウ・ソボミも登場しておりますので、ぜひご一読ください!( ^ω^ )
Ps
閃ハサ劇場最新作「キルケーの魔女」観て来ました! シナリオ作画演出諸々全てが圧巻でございましたね……また観に行きたいものであります(*´꒳`*)