アベンジャーズ・ジャパニーズヒーロー   作:ヤカラナリ

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後書きにて重大発表します。


その3・ウルトロン編

流れ…そう、“流れ”でおれはホークアイさんのお宅にお泊まりする事となった。

 

どうでもいいことかも知れないけど【ホークアイ】と初めて聞いた時、“十字の黒大剣を背負った世界一の剣豪”を思い浮かべたのは俺だけだろうか?現実は弓使いらしくヴァンパイア要素のカケラもない“理想のお父さん代表”みたいな人だった訳だが…。

 

 

まぁそんな事はいいか。俺はトンデモナイことに気が付いてしまった。

 

俺は…

 

なんと…

 

 

 

『財布とスマホとパスポートを入れたカバンをワカンダへ忘れてしまったのだ!!!!』

(その1・ウルトロン編参照)

 

コレは由々しき問題だ。

あの人達はみんな世界平和の為に戦っている隣で俺は“一歩間違えるとホームレス一直線”状態であり、この家が何処(の国)にあるかは知らないが、少なくとも俺は“不法入国者”だ。

 

冷や汗が止まらない。

 

(アレ?俺ってこんなに詰んでたっけ?どうしよう…)

 

カバンには財布やスマホだけでなく学生証や家の鍵なども入っていて…いや待て、俺は今何を持って………?

 

 

 

【悲報】俺氏、現在の所持品

シャツ・ジーンズ・パンツ・靴下・スニーカー。

 

ーーー以上(それ以外は何も所持してない)

ーーー異常だろ。

 

 

いや待て、どうしてこうなった?

 

今ならハルクとの戦いで投げ捨てた弾無しの拳銃すら惜しく思えてきた。

 

 

「なんとかしなくては……」

 

 

 

 

 

【side1・ナターシャとバナー博士】

 

行動を起こす。

廊下に出て誰に助けを求めようかと歩いていると誰かの声が聞こえた。

 

(この部屋は…博士とナターシャさんのところか…)

 

思えば何故か俺はこんな必死なのに、なんとなくコメディ感のある困り方をしているのだろう?断片的に聞いた感じ、アベンジャーズはかなり不利な状況になっているらしく…アレだ、かなりシリアスな感じのハズだ。

 

「ダメだ…僕なんかじゃ…こんな家庭は築けない。

君を不幸にしてしまう。」

 

聞こえてしまった、めっちゃシリアス。

扉を見てみると【子供部屋】と書かれていた。まぁアレだ、あの2人はあの兄妹の部屋を借りているという訳か。

 

「私も、化け物みたいなものよ。不妊手術をしたの、戦う為に…。」

 

マジかよ…俺が思う3倍シリアスな話してる。

他のトコ行こう。こんな雰囲気で…あっ

 

 

 

 

 

 

ゴテン!

 

ナターシャが自分の過去を告白し、バナー博士に愛を伝えようとした瞬間

 

扉の前で音がした。

 

『聞かれた!』慌てて扉を開けると、転んだ状態のナナシノがいた。

 

「違う!」

ナナシノは慌てて弁解を始めた。

 

「俺は何も聞いてない!2人の会話なんて聞いてないし!ナターシャの過去の話も聞いてない!なんにも聞いてないから!」

 

 

遠目で見ていたバナー博士は思った。

(ひょっとしてこの人、バカなんじゃ…)

 

 

 

 

ナターシャがナナシノに説教をする事20分

 

解放されたナナシノが申し訳なさそうに自分の現状を伝える2人は唖然とする。

 

「僕…ココまで追い詰められた人見るの初めてかも知れない」

「貴方…想像以上にヤバいわね」

 

先程とは打って変わって同情の眼差しがヤバい。

 

しかも問題なのが…

 

 

「そういえば…ココ何処?」

 

「それは…あれ?」

 

 

【悲報】説教された。

それはそれとして成果無し。

 

 

 

 

(side2・ホークアイ)

俺は2人に別れを告げてホークアイさんの元へ向かう。

とりあえず親に連絡したい。もはや時差やら現状やらを考えたく無い。とりあえず思考停止で親の声を聞いて安心したい。

 

ホークアイさんがいる部屋に到着し何は無くともノックする。

もう変なタイミングで入ってしまうリスクがあっても変な空気を味わいたく無いし、説教されたく無い。

 

「おぉ、ナナシノか…どうした?」

 

扉が開いて中に招かれ、立ち話。

部屋の中にはホークアイさんのみだった。

既婚者に当てはまるのか分からないが、ホークアイさんには謎の『アニキ感』があって安心出来る。

 

 

俺の現状を伝えて電話を借りたいと言うとホークアイさんは困った顔をして暫く考えた後、2、3度頭を振って申し訳なさそうに言った。

 

「済まないが電話は勘弁してもらえないだろうか?ウルトロンはインターネットを自由に閲覧できると聞いた。わずかな可能性とはいえこの家が敵に晒される可能性がある…。」

 

成る程…仕方ない。

 

「あぁ、そうかなんかすいません。我儘言っちゃって…」

 

「いや、君が悪いわけでは無い。

こちらこそすまない。こんなことに巻き込んでしまって。」

 

それな。しかしここまで来ると……誰に文句を言うべきだろうか?ホークアイさんには申し訳ないし、バナー博士に言うのはなんとなくヤダ。ナターシャさんに言えば…説教される?

 

そう思っているとカコンと小気味いい音が外から聞こえた。窓から外を覗くとスタークさんとキャプテンアメリカさんが薪割りをしていた。

 

「成る程…」

 

思えばここに連れてきたのはスタークさんなのだろう(おそらく)そしてアベンジャーズのリーダーはキャプテン・アメリカさんだ。(だってキャプテンって入ってるし)

 

「この文句はあの2人にぶつければいいのか…」

 

「ん?おっおう…そうなるかな?」

 

「じゃあ行ってきます、ありがとうございました。」

 

 

ホークアイさんに一礼して意気揚々と2人の元へ向かう。

 

 

 

 

 

 

 

「…本当に、こんなことに巻き込んでしまってすまない」

 

ナナシノが去ったドアを見つめながら呟くように言うホークアイ。

 

彼はアベンジャーズという場所とその仕事に誇りを持っている。邪悪から市民を守り、その為に戦うこの仕事を。

 

この仕事には怪我が尽きない、自分だって先の戦場で重傷を負った。しかし怪我で済めばマシな方だ。仕事中に死んだ仲間をこれまで何度見てきたことか…それを思うとあんな気持ちのいい青年を戦場に巻き込んでしまったこと、元の場所へ帰すことも連絡をさせてあげることすらも出来ない事が申し訳無く思う。

 

正直彼の事はあまり分からないと言っていい。しかし、“いい奴”だと思う。明るく前向きで、思いやりがある。だが特異な点があってエスパー能力がある。しかしそれはソーやロキといった宇宙人と比べれば微々たるもので、戦闘力的に見ても、戦闘経験が無い事を加味すれば、一般の軍人より低いだろう。

 

初めてスタークから話を聞いた時、青年が暴走したハルクに立ち向かった事を聞いた時、耳を疑った。ハルクを一目見れば普通の人間が勝てない事くらい分かる。自分だってハルクと戦うなんて御免だ。だからどんな戦闘狂の奴かと思えば、なんて事はない。

 

“何処にでもいそうな性格の日本人”だ。特別な人間では無いし、彼の“現状”を聞けば独特の残念感に肩透かしを食らう。

 

ナナシノは自分達が何度も救ってきた普通で普通の市民の1人だ。戦う力を僅かに持っていたとしても本質は普通の青年。

 

そんな彼がこの戦いに踏み込んでしまった事が本当に申し訳ないと思う。

 

 

 

ホークアイはベットに座り溜息をつく。

 

 

どうしようもなく自分が無力だと感じた。

 

 

 

 

 

(side3・キャプテンアメリカ・アイアンマン)

 

カコン、カコンと2人は薪割りをしている。隠れさせて貰っている彼らにせめてもの恩返しのつもりであり、手持ち無沙汰でもあった。

 

作業に慣れてきたキャプテンアメリカは口を開く。

「ナナシノはどういう人物だ?」と

 

スタークは手を止めずに喋り出す。

「エスパー能力を持つ日本人…だな。しかし僕の見立ては真面目で実直な好青年。エスパー能力こそオマケだろう」

 

カコン、カコン

スタークは頭の中で彼の戦いを回想する。

 

ウルトロンと戦う最中、ハルクが暴走していることに気がついた。その時にはもう遅くハルクが街へ入ってしまった後だった。ウルトロンを逃すわけにもいかずマスク内のウィンドウでハルクの様子を横目に見ていた。

 

ハルクを足止めしているナナシノを見て感じた

“彼は恐怖している”その上で“恐怖を乗り越えて戦っている”と。それは自分には無い強さでもある。

 

一度吹っ飛ばされ、また立ち上がり、そこからの側から見ても分かる精一杯の空元気を振り絞った無謀な戦闘は自分には無いある種の“輝き”の様なものも見た。

 

「僕がこういうのもなんだけどね、アイアンマンなんかよりよっぽど【ヒーロー】だよ。彼はね」

 

 

キャプテンは何を感じたのか一層強く斧を振り下ろし、額の汗を拭う。

 

「彼は無関係な一般人だ、戦いに巻き込むわけにはいかない。」

 

「分かってる、しかし…彼が必要な気がする。」

 

サイコキネシスを使う双子の妹は厄介な事に我々に“悪夢”を残した。無論仲間達が自分の力で悪夢を振り払う事を疑っているわけでは無い。

 

しかし、時間が無い。立ち直るための“希望”があるとするなら、それをスタークがナナシノに感じた“恐怖を乗り越えて戦う姿”に重ねる。

 

カコン、カコン、カコン、

 

2人はしばらく無言で薪割りを続ける。

 

「そういえばソーはどこへ行った?」

スタークはなんとなく口に出す、

 

するとキャプテンは薪割りを続けたまま、

「彼は気になることがあると言ってどこかへ行った、ワープゲートを使ったわけでは無いから地球にはいるだろう。」

 

それを聞いたスタークは呟く様に、

「最強のアベンジャーズが今は散り散りだ。」

皮肉交じりに言う。

 

その言葉を聞いたキャプテンは持っていた丸太を腕の力で真っ二つにして、「誰のせいだ」とスタークを睨む。

 

 

 

 

 

 

俺は文句を言う為に庭に向かっていた。

 

スタークさんに言うべきかキャプテンさんに言うべきか?少し考えたがスタークは社長、つまり口が上手い。世界中のほとんどの人が彼のスピーチを聞いてアイアンマンの格好良さに心震わせた事があるだろう。ならばキャプテンさんに言うべきか?

 

 

(そうだな、キャプテンさんに言おう。)

 

そう思って通りかかった廊下の窓から2人を見ると

 

『バギィ』と両手で丸太を割るキャプテンさんが見えた。

 

 

「死ぬわ」

 

何だアレは?ゴリラか?足元に斧あるよ?

斧あんのに腕で薪割りとか筋肉どうなってんの?

文明の利器より筋肉なの?

 

考えてみればアイアンマンとかハルクとかいる中であの人リーダーやったんだよな?強いに決まってるよな?あんなのに文句言ったら、片手でリンゴ砕く要領で頭蓋骨砕かれるわ。

 

よし、

 

 

(やっぱ平和が一番だ)

文句なんて言ってはいけない。アレだろ?あの人達は正義の味方でアベンジャーズだろ。俺みたいな小市民が文句言っていい存在ではない。

 

 

 

(side4・ナナシノ・ゴンベエ)

 

さて、意気揚々とUターンして数歩歩くとリビングに到着した。そこではお兄ちゃんが教科書とノートを反復横跳びする様にカリカリと勉強していて、妹ちゃんは退屈そうに積み木で遊んでいる。

 

俺に気が付いたのか妹ちゃんが俺を指差して「あっ、さっきのお兄ちゃん!」と言った。

 

そんな妹ちゃんをお兄ちゃんが「おい、人を指差すなよ」と諌める。そんな2人に「別に気にしなくていいよ」と言って歩き出し声を掛けた。

 

「コレは…学校の宿題?」

 

ノートを盗み見ると教科書に書いてある数学の応用問題を写してあって、よく見ると計算式が間違っているのか答えがほとんど間違っていた。

 

「うん、でも分からないんだ…。」

お兄ちゃんはバツが悪そうにノートにペンをポツポツとつつく。

 

「お兄ちゃんが宿題終わるまで遊んでくれないの」

妹ちゃんはつまらなそうに呟く。

 

「よし、じゃあ教えてやるよ」

 

そうして俺はお兄ちゃんに宿題を教えながら、片手間に妹ちゃんと遊んだ。そして宿題を終えたお兄ちゃんと妹さんと一緒におままごとをやった。

 

【朗報】アイテム獲得

お兄ちゃんから宿題を手伝って貰ったお礼として“赤と黒の2色ボールペン”、妹さんからおままごと中に“オモチャの指輪(小指にギリ嵌る)”を貰った。

 

 

 




感想にて作者のニワカが露呈することとなりました。
確かにワカンダにはウルトロンの基地は無いですし、時系列にもズレがありました。

なので【この作品内のみで、エイジオブウルトロンとブラックパンサーの時系列が入れ替わりました。】

また、【ワカンダの廃船場にウルトロンのアジトが急遽建築され何の意味もなく放棄されます】

この二点の変更により、【ホークアイの奥さんのお腹にいる子供が三つ子に増えました。】

随時ニワカを晒すごとにそれを修正しそのバタフライエフェクト(免罪符)によってホークアイの子供が増えます。


何人まで増えるのか楽しみですね。

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