海賊王におれは・・・・・ならないから! 作:ダーク・シリウス
ジニーとボニーの手術は順調に進んでいる様子だった。時折、ベガパンクに黄猿と共に顔を出しては全員で研究所の増築工事を手伝い、巨大なピザを囲い、酒を飲み、祭りのように踊る日々を共に過ごして共有した。今日も遊びに足を運んでエッグヘッドで過ごした。
「あとどれぐらいで治るベガパンク」
「一年じゃ。くまのクローン兵“パシフィスタ”も順調に開発できとる」
「そのクローン兵をおれ達にも向けられるんだろ。あーあ、厄介だー」
「笑いながら壊せるじゃろお前さんは」とベガパンクに呆れられた俺は笑みで返した。
「にしてもこの世界は不思議だらけだ」
「どういうことじゃ?」
「そのままの意味だ。色んな種族がいたり悪魔の実があったり・・・ああ、そうだ。悪魔の実の能力者が死んだら悪魔の実はどうなるんだっけ?」
「再びどこかの海で実ることは判明している。じゃが、その場所はまだ判明しておらん。そして面白いことに悪魔の実は兵器にも作用することが最近の研究で判明したのじゃ」
「は? 兵器が悪魔の実の能力を得るだって?」
世にも珍しいどころではない。悪魔の実とは本当に何なのか? 無機物にも影響を与えるなんて初めて知った。
「とは言ってもな。動物系の悪魔の実しか兵器に影響を与えることができん。動物系の悪魔の実は意思が宿っておるのじゃ」
「はー・・・・・凄いな悪魔の実って。もしかして、図鑑とかあったりする? あったらほしいんだけど」
「ぺぺぺ、構わんぞ」
ベガパンクからぶ厚い悪魔の実の図鑑を受け取り、新たな知識を得れた。タダで貰うのはあれなのでこの世界では無用の物をプレゼントした。
「これは何じゃ?」
「携帯電話。それ一つで電伝虫の代わりになる機械だ」
「こ・・・こんな片手で持てるサイズの物が電伝虫の代わりになるじゃと? ―――な、なんという画期的な技術が詰まっておるのじゃ! 今すぐ分解してメカニズムの解明をぉぉぉぉぉぉ!!!」
あ、天才科学者に火が点いた。というか燃えだして自分の研究所に行ってしまった。その流れでおれ達も解散して航海を続けた。
それから一年後のある日のこと―――。
「イッセー、イッセー!!」
ベガパンクの言う通り一年でボニーとジニーの病気は完治した。おれ達もそうだがくまは歓喜で涙を流した。黄猿も祝いの言葉を言うのも珍しかった。これで家族三人幸せに暮らせるなと思いつつ、三人の為にある無人の島でパーティの準備をしていた時、騒がしく何かの紙を持っておれの横に来た大和の声は喜色で弾んでいた。何事かと思って大和を見たら。
「ルフィに懸賞金がついたよ!!」
「―――――」
麦わら帽子を被り白い歯を見せる満面の笑みで撮られ、3千万の金額が首に懸けられたことで海賊の仲間入りを果たした久方ぶりに見る少年の顏が、手配書を受け取った俺の視界に飛び込んできた。
「きたかルフィ」
「立派な海賊になったねイッセー!」
「これからあいつはどんどん強くなっていくぞ。おれ達もうかうかしちゃいられない」
いつか必ずルフィとその仲間達がおれ達と戦うかもしれない。その時に備えてもっと強くなっておかないと、ルフィに笑われてしまうな。ふふ、その時が楽しみだぜ。
「あとね」
「うん」
「でっかい海賊船がこっちに向かって来ているんだけど」
なんですと? 大和が指さす方へ目を向ければ、巨大な海賊船が真っ直ぐこっちに向かって来ているのが初めて気づいた。しかも船首がキツネなのがとても新鮮だ。
「結構な人数が乗っているな。大量だぞ大和」
「メガロー達が喜びそうだね」
魔法で船の向きを変えて、さぁー戦闘だと島に出かけ中の仲間達に一報を入れて先におっぱじめようと敵船に向かって巨大な火炎球を放り込んだ。あっという間に甲板で燃え広がり、悲鳴が聞こえてくる。その中にはこっちに向かって叫んで来る声も―――。
「お前らぁ~!! いきなりなにしやがるんだぁ!?」
「大和、何か怒られたんだけど海賊だから別に悪くないと思うんだが」
「僕もそう思う」
なら別に構わないよなーともう一つ追加で投げ飛ばしたら、更に炎の勢いが増した最中に。
「待て待て待て!! おれ達は戦いに来たんじゃねーんだ!! 話を聞いてくれぇー!!!」
頭・・・いや、髪が動物のように2つに分かれ、鼻が鉤爪のように長い中年男性がおれ達に叫んで来ることに大和と一緒に顔を見合わせて首を傾げた。「「どういうことだ?」」って的に。
・・・・・。・・・・・。・・・・・。
・・・・・。・・・・・。
・・・・・。
「で、お前は何? 海賊だろ。なのに話を聞けって?」
敵船の鎮火は程なくして終わり、こっちも仲間が全員揃い相手の言い分を聞く。
「そうだとも。確かにおれ達は海賊、フォクシー海賊団だ。そして船長はおれ“銀キツネのフォクシー”!!」
「ふーん、そう? で、話って何だ?」
「お前ら、見たところ海賊ではないがただの船乗りじゃねェと見た。どうだ、おれ達とゲームをしないか? 本来は海賊同士で行うゲームなんだがお前達が良ければ海賊のゲームをしようじゃないか」
海賊同士のゲーム? 知ってるか? と大和達に目で訴えるとロビンとセルバンデスが口を開いた。
「名前は『デービバックファイト』。とある海にあるという海賊達の楽園『海賊島』でその昔生まれたという海賊が始めたゲーム・・・・・より優れた船乗りを手に入れる為、海賊が海賊を奪い合ったというわ」
「デービバックファイトとは様々なゲームを行い、勝者は敗者から仲間・海賊旗を奪えますよ」
「仲間はともかく海賊旗を奪うメリットはあるのか?」
「海賊旗はその海賊の象徴、シンボルですからな。奪われた海賊旗は同じ海賊旗を一生掲げてはならない重い決まりがあります」
海賊の世界にはそーいったゲームが存在していたのか。海賊でも知らない海賊はいるだろう。そのことも聞くと二人は首肯した。知らない海賊がいれば知っている海賊もいると。
「銀キツネのフォクシーだっけ。デービバックファイトをやろうと誘っているのは間違いないか?」
「ああ、そうだ。どっちもリスクはあるがメリットもあるんだぜ」
「今知ったばかりだけど、ゲームは誰が決めるんだ? 昔からあるゲームでするのか?」
「そいつはおれが決める。それ以外にもゲームの会場や出店、道具の用意もこっちがするんだ。文句はないだろ?」
あらゆるゲームに関する準備の負担はこっちで負うから、競技の選択権は譲れってことか。超アンフェアではあるが仕方ない面もあるな。
「相談タイムをくれ」
「いいとも」
フォクシーから承諾を得たので、んじゃ・・・お言葉に甘えてそうさせてもらう俺は大和達と話し合った。
「お前ら、どうする? 幸いおれ達は海賊ではないから問題なく断れるぞ。賛否は個人の自由、多数決をするか?」
「僕はやってみたい! デービバックファイトなんて初めてだけどきっと2度と体験できないことだと思うからさ!」
「私も賛成ですな。勝利すれば彼等から金品や食料を全て奪えますので」
「おれもだ。どんなゲームだろうと下等種族に後れを取るわけねェだろ」
「仮に負けようが後から襲えばいいだけだろ」
「ていうか、奴らはおれ達のこと気付いていねェか?」
メガローの疑問に俺たちは、そう言えば? と風な思いを抱いた。
「そう言えばそうね。イッセーはともかく大和の手配書は世界中に知れ渡っているのに」
「まぁ、今回は戦いではなくゲームですから。勝てば知っていようが知るまいが関係ないでしょうな」
ボルサリーノさんは仲間ではないがこの流れ的に参加してもらうことになるだろうな。
「因みに、ゲームをすることになったら不参加の構成員は何もしなくていい感じ?」
「いえ、全員強制参加です」
「だ、そうだぞ興味なさげな仲間達よ。かるーくやって終わりなゲームだったらそれに参加してくれ」
フォクシーに振り返る。
「おれ達は海賊じゃないが、受けよう。デービーバックファイトを」
「フェ~フェッフェッフェ!! そうこなくっちゃな!」
笑うフォクシーから一丁の銃を投げ渡された。フォクシーも同じ銃を持っていて、これで互いがゲームをするという合意の合図をだすそうだ。
「野郎ども、これからデービバックファイトを始めるぞ! すぐに準備を始めろォ~!!」
ウォオオオオオオオオオオオオオオオ~!!!
こうして始まるデービバックファイトであるが。マスクと一体化した帽子を被っているのが特徴のフォクシー海賊団が手慣れた感じで本当に会場や屋台を用意していく様を見て、おれは欲しくなった。ハンコックもレイリーを呼び一緒にゲームをしてもらうことにした。
「ほう、デービバックファイトとは懐かしいことをする海賊がまだいたとはね」
「やっぱり知ってたか。したことは?」
「いや、ないよ。縁がなかったのさ。もしも縁があって参加できたなら、きっと派手に楽しんでいたに違いない。けれど、大丈夫なのかね?」
「なるようになるさ。おれ達は海賊じゃないから胸張って負けても後から取り返す」
なに、海賊の誇り? 美学? そんなのおれにあると思ってんの? 海賊じゃないおれ達がそれを気にするとでも?
「ふむ・・・要は大規模な遊戯をするという事なのじゃなイッセー?」
「そうだな」
「ならば、九蛇の戦士達も呼んでこよう。むさ苦しい男共の声ばかり聞きとうないからの」
「任せる。だけど急いだほうがいいかな? もう完成間近だ」
再びグラン・エレジアに戻るハンコックが、仲間を連れて戻ってきた頃には船長同士がスリーコインを海に投げて銃の発砲することでデービバックファイトが開催した。ゲームをするからには完勝を目指そうか!