白兎が精霊に愛されているのは間違っているだろうか?   作:謎の人でなしZ

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遅くなってしまいすいません


では、どうぞ!





白兎と遠征 9

「――求めるは颶風」

 

 

 

 疾走しながら詠唱を始め、僕の周りに翡翠色の光が現れる

 

 

 

「来たれ、狂嵐を穿ち蒼天をもたらすために」

 

 

 その光は僕を包み込み、その光に呼応するようにその名を呼ぶ

 

 

 

 

「【ウル】」

 

 

 

 

 ――告げると同時に、上空にいた飛竜数匹が灰に変わる

 

 

 

 僕の左手には木の枝で作られた一振りの弓。右手には先程までなかった矢が数本握られていた

 

 

「…………ッッ!」

 

 

 そのまま矢をつがえ、再度上空にむけて発射。同時に後方からの天然武器による振りかぶりを横に転進することで回避、また矢を射出。またもモンスターが灰になる

 

 

 回避した勢いそのままモンスターの群れから距離を取り、一本の矢を構える。そして、ウルと矢に自身の魔力を注ぎ込み、群れに向かって放つ

 

 

 ――矢の雨がモンスター達を襲った

 

 

 否。正確には一本の矢が数十、数百に分裂して降りそそいだのだ。結果モンスターは壊滅、残るのは土煙のみである

 モンスターが周囲にいないことを確認し、軽く一息を吐く

 

 

「えと、ユキ達の方は………」

 

 

 ドッッッカアアアアアアアン―――ッ!!!!

 

 

 瞬間背後で大きな爆発音が響き渡り、ウルの時よりも土煙が舞い上がる

 

「………終わったみたい、だね」

「………危なかった」

 

 僕は遠い目で振り返り、その隣にアイズさんが魔法を使って降り立った。推測するに、爆発に巻き込まれる寸前だったのだろう、冷や汗をかいている。僕も似たような表情をしていることだろう

 

「……少し、すっきりした」

 

 そこにドレスについた埃を払い落としながら、ユキがトコトコと歩いてくる。その表情はどこか清々としていた

 

「やり過ぎじゃない?」

「私、もう少しで巻き込まれるところだった……」

 

 僕とは違い、アイズさんは本当に巻き込まれるところだったらしい。ユキに抗議の目線を送っているが、当の本人はどこ吹く風である

 

「……久々にこの子を使って楽しかった。加減を少し間違えたけど、反省も後悔もしてない」

「……嘘。あの攻撃、わざと私を狙ってた……」

 

 ユキの言い分にアイズが反論し、ユキはそんな彼女を一瞥する。そして、アイズはその眼差しに正面から見つめ返す

 

「「………………」」

 

 結果、生まれるのは無言の圧力による空間。互いに視線を逸らさず、一言も言葉を発しない

 

 

(えっ、何この空気……)

 

 

 そんな場に取り残された哀れな白兎は、フィン達の隊が合流するまで二人の間で冷や汗を流し続けるのだった

 

 

 

□□□

 

 

「……ありがとうございます、フィンさん……」

「いや、本来お礼を言うのはこちらの方なんだけどね……二人に何があったんだい?」

「すいません、僕にも分からないです……」

 

 無事に隊と合流したベルは、フィンの言葉にそう返し、顔を見合わせて苦笑をこぼす

 その原因は、ベル達の隣でハイエルフとエルフに宥められている大精霊と少女にあった

 

 この二人、隊に合流したはいいものの、雰囲気は先程と変わっておらずむしろ悪化しているかもしれない。先頭を走り続け、その中で偶然を装い互いに攻撃をしあっているのだ

 

『あ、モンス「【目覚めよ】――」』

 

『今度はこっちに「……【白の剣舞】」』

 

 アイズがLv6のステータスをフルに活用した剣撃をモンスター越しに放ち、ユキがモンスター越しにメディウムでそれに応戦する。その余波により隊を襲うモンスターは殲滅され灰にかわっていき、少しモンスターに同情してしまった。それを見越したリヴェリアとレフィーヤが何とか二人を落ち着けている状況だ

 

 

「なんかさ~、アイズとユキ仲良くなってない?」

「あの二人を見てなんでそんなことが言えんのよ」

「んー、なんていうか、友達が好きなものを取り合う喧嘩をしてる……みたいな?」

「本当に何言ってんのよ」

 

 

 ティオナの言葉にティオネがそう返す。目の前の光景を見て、ティオナは笑みを零し、ティオネはそんな妹やアイズとユキの雰囲気にため息を吐き、頭を抱えている

 

 隊の後列では……

 

「ベート! ラウル! 手伝えいっ!! 椿を抑えるんじゃあ!!」

「チッッ! クソがっ! 暴れんじゃねえ!!」

「つ、椿さんっ、落ち着くっすよー-!?」

「ええいっ、離さぬか!! なんだあの魔剣は!? あれ程使用して何故壊れぬ! そもそも能力はなんだ!? あの弓も何故矢をあんなに放つことができるのだ!? 矢が分裂したがあれも魔剣の一種なのか? 素材は! 槌の入れ方は! ヴェル吉はこれを知っているのか!? 最早鍛冶師としての興味が尽きんっ!! 手前はもう我慢できぬっ! 知りたい! あの武器たちを調べつくしたくて堪らぬっっ!!」

 

 

 一人の上級鍛冶師を三人の冒険者が取り押さえるという混沌と化している

 

 

(……す、すごい……背後から椿さんの視線を感じる。……いや、主にウルを見てるんだろうけど……)

 

 

 まぁ、その原因は精霊武装を使ったベルにあるのだが、この階層を無事に突破するには必要なことだったとベルは真面目に考えており、ユキはただ久々に力を存分に行使できて満足している。モンスターを殲滅するベルとユキを見たフィン達【ロキ・ファミリア】は明らかなオーバーキルだと、しかし一度ベルの規格外さをその目で、ユキに至っては一度本気で殺されかけている

 

 そのため、モンスターが次々と灰に変わる光景もどこか遠い目で達観しており、何も知らない椿はベルとユキの武器に鍛冶師としての性を我慢できなかったのだ。例外として、一緒に戦っていたアイズ、恋に落ちたティオナはいつも通りの様子だった

 

 

「……次の階層までもうすぐだ。このまま前進する」

「は、はい……」

「うん!」

「はい! 団長!!」

「「……………ッッ!!」」

「ユキ様! どうか怒りをお鎮めください!!」

「アイズさんも落ち着いてくださいっ!!」

「いい加減にしろお主等!! 手前はただあの武器を知り尽くしたいだけじゃ!!」

「今は遠征中じゃぞ!?」

「いい加減にすんのはテメェだろうが!?」

「もう滅茶苦茶っすーー!!?」

 

 

 一行は次の階層に進む経路に向かい、走る速度を上げた

 

 

 

 

 

 

 主にアイズさんとユキがモンスターを倒し続け、大きな被害もなく誰一人欠けず下部へ続く階段を発見した

 

 

「もう53階層……でも、何故か疲労感が凄まじいっす……」

 

 

 ラウルさんが疲れ切った顔で言った。確かに隊のメンバーも数人似たような表情をしている

 

 

「……ベル」

「うん………静か過ぎる……」

 

 

 僕達は無事に53階層に辿りついたが、少し違和感があった。あれ程遭遇していたモンスターがここには一匹もいない。先程まで戦っていたのにも関わらず、だ。まるでこの場所だけ寄り付かないように、静寂が場を支配している

 

「あの、フィンさん……これは……異常事態ですか?」

「ンー……出来ればそうなって欲しくないと思いたいね。さて、一体何が来るかな?」

 

 フィンさんは何か考えるように目を細めながら周囲を見渡している。親指を気にしているが癖なのだろうか?

 

「前進する。各自警戒を怠るな」

 

 

 そして、静寂となってる53階層を進んでいく。だが、一度もモンスターに遭遇せず何だか気味が悪い

 

「………?」

 

 すると、進路上にドドドっと何か音がした。その音は僕以外にも聞こえていたようで全員が警戒心を強めている

 

 フィンさんが片手で指示をだし、各々が武器を構え戦闘態勢をとる

 

 

 そして、進んだ先の光景に目を見開き、硬直する

 

 

 先程の音、それの発生源は、51階層で見た芋虫型モンスターの群れだ。そのモンスターが進路を埋め尽くしている。……はっきり言って気持ち悪い。隣のユキも顔をしかめている

 

「し、新種! なんで!?」

「いや待て、あれは……!」

 

 声を上げるティオナさんに対し、リヴェリアさんが何かを指すように言った。そこに視線を向けると、気持ち悪くて気づかなかったが、通路を埋め尽くす芋虫型の群れの中の、一番巨体な大型の上に、紫紺の外套を身に纏ってる何かが乗っていた

 

「24階層の……!」

 

 アイズさんは知ってるのか、対象を見た途端に驚愕している

 

 全身を布で覆い不気味な文様の仮面を被った存在と何があったのか、だが少なくとも、あの芋虫型モンスターに乗って現れたアレは敵である事は確かだ

 

 

「「……………………」」

 

 

 けど、僕とユキは外套の人物の気配に疑問を持つ

 

 

(……ユキ、あの人からは………)

(……間違いない。アイツからはモンスターの気配が……その中に微かだけど精(・)霊(・)の力を感じる)

 

 

 なぜあの人物からモンスターや精霊の気配がするのか、その力をどこで手に入れたのか謎は深まるばかりだ

 

 

 ――だが、相手も悠長に待ってはくれないみたいだ

 

 

 外套の人物は右手を突き出し、それに合わせるように芋虫型モンスターが列を作って進行する

 

 

「ッッ!?」

 

 

 ――それと同時にウルの能力が発動する

 

 

「フィンさん! 皆さんも横穴に!! 急いでッ!!」

「! 総員、転進!! 横穴に飛び込め!!!」

 

 フィンさんの鋭い指示と共に隊の全員が横穴に離脱する

 次の瞬間、芋虫型モンスターの口腔から夥しい腐食液が放出され、津波と思わせる大量の腐食液が先程まで僕達がいた場所へ押し寄せる

 

 間一髪最後尾の椿さんとラウルさんの背後から、汚泥とも呼べる腐食液が流し込まれる光景が広がった。通路は腐食液によって瞬時に溶解し、ジュウウッと言う腐食音と共に、嫌な異臭と煙を発生させている

 

 

「リヴェリアさん! あの人はッ!?」

 

「早い話、調教師(テイマー)だ」

 

「……最悪」

 

 リヴェリアさんの回答にユキが愚痴をこぼす

 

 相手は統率されたモンスターの群れ。通路も狭く、モンスターで溢れかえっている。そして、なによりも面倒なのはあの腐食液だ。アレに触れてしまえば武器は勿論、武具ごと自身の身体も通路の壁と同じ結末を迎えるだろう

 

 ウルやメディウムを使えば倒せないことはないが、数が多すぎるし、迎撃しようにも、ここではアイズさん達を巻き込んでしまうかもしれない

 

 

 ――また、ウルの能力が発動した

 

 

「ッ! 進行方向に待ち伏せ! モンスター来ます!!」

 

 僕がそう言うと同時に進行方向にモンスターの群れが出現する

 

「右前方! 二つ目の横道に入れ!」

 

 フィンさんが再び指示を出す

 

 隊が横道に入ると、僕は大声を上げる

 

「フィンさん! 僕がモンスターの群れの位置を報告します! だから指示をお願いします!!」

「それは正しいのかい!」

「ユキ達のお墨付きです!!」

 

 短い応答。だが、それで十分だった

 

「よし! 総員ベルの指示をよく聞け! 決して遅れるな!!」

「フィンっ! よいのか!!」

「安心しろ椿。ベルとユキ様が言うなら大丈夫だ。お前らもいいな!」

『了解!!』

「何じゃその一体感は!?」

「……気にしないでいい」

 

 椿さんの言葉にユキがそう返す。ユキには緊急時の対応として隊の最後尾に移動してもらっている。これでモンスターの奇襲も問題なく対処できるはずだ

 

 僕は一度深呼吸、意識をウルに集中させる

 

「次、三時の方角から来ます!!」

「左横穴! 入ってすぐ右斜め、前方を進め!」

「ベートさん! ティオネさん! 横の壁から三匹来ます!!」

「クソッが! 面倒くせぇ!!」

「本っ当にキモイわね!!」

「ユキ! 後方の敵お願い!!」

「……任せんしゃい」

 

 何度離脱・応戦しても芋虫型モンスターが現れるが、僕の言葉を受けて、フィンさんは的確な指示で僕達に逃走ルートを示し、アイズさん達も各々的確に対処してくれる

 

 

 精霊武装【ウル】

 

 このウルは弓矢の武装であり、魔力で作った矢を発射することができる。また、籠める魔力が大きい程、射程が長くなり、威力が増し、連射が可能になる。主に遠距離専用の武器だが、このウルは別にもう一つの能力を持つ

 

 

――その能力は『未来予知』

 

 

 元々このウルの素材は世界樹というこの世で最も古く偉大な巨木で作られている。製作者リンネ曰く、この世界樹は一度も枯れることなく、何百、何千という年月を過ごし、この世界を見守ってきた。その中で、樹自体に時間という概念が宿ったのではないか、というのがリンネの考えである。本人もウルを制作したとき、この能力があることに驚愕していたので余程のことなのだろう

 

 しかし、この『未来予知』にはいくつか条件が存在する

 

 一つは数秒先の未来しか予知できないこと。これは自身の周囲に起こることを断片的な映像でしか知ることができない。感覚的には頭の中にある一部分が静止して浮かびあがってくる感じだ。自分に危機が迫っているときは自動で発動する

 

 二つ目は『未来予知』を使用しているときは攻撃が一切できないこと。なので、相手の攻撃を予知しながら戦うことはできず、無防備状態になってしまう

 

 三つ目に魔力の消費量が大きいこと。僕にはこれが一番キツい。この『未来予知』はユキ達との修行でなんとか任意で発動できるようになったが、発動するだけで魔力と精神力をごっそり持っていかれる。正直、ユキ達との魔力の繋がりがなければ使用できない。僕一人だけだと、一回使うだけで精神疲弊を起こしてしまうだろう

 

 

 これらの理由があり、僕はあまりこの能力を使わない。現在のような異常事態では使用することに躊躇いはないが、普段はユキ達にも使用を控えるように言われている

 

 

 現にウルの未来予知を使用してモンスターの位置を把握しても、僕にはどこに行けばいいのか分からない。こんな状況でも常に冷静であり、広大と思われる迷宮を記憶しているフィンさんという団長(リーダー)がいるからこそ、この能力を十分に活かすことができるのだ

 

 

 

 だけど、それとは別に気になる事がある。

 

 

 

「フィンさん、何か僕たち誘導されてませんか!?」

「勘が良いね、ベル! 僕もそう思っていたところだ!」

 

 

 モンスターが戦術を使う。操っているのがあの外套の人物なのだからあり得ない話ではない

 だが、分からないことがある。外套の人物の目的は一体何なのか? アイズさんは過去に出会ったことがあるような口ぶりだったが、敵の目的はアイズさんなのだろうか? それとも別の目的があるのか……少なくとも、あの外套の人物から感じた精霊の気配からして、精霊関連のことだとは思うけれど

 

 

「フィン! このままだと追い詰められるぞ!!」

 

「………」

 

 

 

 張り詰める声を出すリヴェリアさんに、フィンさんは何か考え込むように思考している。

 

 

 その数秒後、突如顔を上げて最前列を走るアイズさんに向かって指示を出す

 

 

「左折しろ、アイズ!」

 

 

 指示を聞いたアイズさんが言われた通り左に曲がり、僕達も後に続く。左折した先は長大な通路の一本道だった

 

 そのまま通路の半場まで移動した直後、フィンさんが大声を上げる。

 

 

「ここで迎え撃つ! 反転!!」

 

 前衛に僕、ユキ、アイズさん、中衛にフィンさん、ガレスさん、ティオナさん、ティオネさん、ベートさん、後衛にリヴェリアさん、レフィーヤさん、椿さん、ラウルさんが配置につき、迎撃態勢をとる

 

「……アイズさん、先ずは僕が道を作ります。 その後にユキと一緒にモンスターの群れに続いてください」

「うん……分かった」

「ユキも、大丈夫?」

「……私も、あの蟲にはできるだけ触りたくない」

「ハハハ……それには同感だよ」

 

 ともあれ作戦は決まった。ウルを構え、魔力で矢を作り、番え、詠唱する

 

 

「【目覚めよ】」

 

 

 同時にダンジョン内に風が吹き、アイズさんの風とは少し違う、けれどどこか似ている風が僕の周囲を包み込む

 髪には翡翠の髪が混ざり、逆立つ。瞳は深紅から大自然を体現したような深碧へと変わる

 

 その光景に隣のアイズさんや後方から驚愕の雰囲気が伝わってくるが、今は集中させてもらおう

 

 

 イメージとしては、周囲の風を少しずつ集め、回転させる。拡散させず、番える矢の先を中心に螺旋を描かき、鋭く、全てを穿つように

 

 

 狙うは入口より侵入してきた異形のモンスターの群れ及び外套の人物

 

 

 前方にいる外套の人物は僕の変化に反応するように肩を揺らしている

 

 

 が、僕は気にせず風を纏った矢を放った

 

 

 

「――エウロス・レイ」

 

 

 

 瞬間、風神の矢がモンスターの群れ諸共、外套の人物をぶっ飛ばした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 □□□

 

 

 ダンジョン中層――安全地帯

 

 

「はぁ、今日もいつもと変わんねぇなあ~」

「良いデハありませんカ。それガ平和トいうものですヨ」

「ソモソモ我々二ハヤルコトガアマリナイダロウ。 今日ノ分ノ食料ハ集マッタノカ?」

「それは問題ねえよ。 ア(・)イ(・)ツ(・)が深層に修行に行くついでに狩ってきたやつが余ってるからな」

 

 その空間には三十弱のモンスターがいた。種類は様々で、衣服のようなものを身に着けたり、武具を装備している者もいる

 火を囲い、笑い、愚痴をこぼし、言葉を話す。容姿は違うが、その光景は地上で暮らす人々となんら変わりなかった

 

 

「……あぁ、そういえばレットのやつが気になること言ってたな」

「気二なること……ですカ?」

「ここ数日、ヤヴァイ雰囲気の奴が階層を行ったり来たりしてるらしい。まるで何かを探してる見たいだったって」

「ア、それハ私モ聞きましタ。ヘルガモ見たト言ってましたヨ」

「……フンッ、下ラン。ドウセ冒険者共ガナニカ企ンデイルノダロウ」

「でもよ~グロス。困ってたら助けたくならねえか?」

「リド、我々ガ冒険者共二何ヲサレタカ忘レタノカ!」

「いや、忘れてはないけどよ~」

「落ち着いテ下さイ! 二人とモ!!」

 

 赤い蜥蜴人(リザードマン)に詰め寄る石竜(ガーゴイル)の間金髪の歌人鳥(セイレーン)が割って入って止める

 

 と、その瞬間、階層が大きく揺れた

 

「な、何だ!?」

「じ、地震デしょうカ?」

「ダンジョンデ地震ナゾ起コルワケナイダロウ!」

 

 揺れはすぐに収まったが、その直後、何処からか何かが飛来し、壁に激突。瓦礫の山を形成した

 

 

「今度はなんだよ!? 確かに俺っち暇とは言ったけどここまでは求めてねえよ!!」

「言ッテル場合カ! ソレヨリモイキナリ飛ンデキタアレハ何ダ!!」

「だ、大丈夫デしょうカ?」

 

 金髪の歌人鳥が、恐る恐る瓦礫の山に近づくと、いきなり瓦礫の山が四散した

 

「きゃアッ!!!」

 

 金髪の歌人鳥は驚き、尻餅をつく。そして、目の前の土煙が晴れていき、そこに居たのは――深紅の髪に夜空のような瞳を持つ少女だった。しかし、纏う服はボロボロであり、所々に傷ができている

 

 

「はぁ……はぁ……! やっぱり、一筋縄じゃあいかないわね………って、うん? アンタ達は……」

 

 

 少女は息を整えると、目の前の金髪の歌人鳥を、続けて周囲のモンスターを見回す

 

「あ、え、そノ……私達ハ……」

「え、喋った……ハッ! 今はそれどころじゃないのよ!! アンタ達! 早く此処から逃げなさいッ!! できるだけ遠くに!!」

「な、何だ? 逃げる?」

「イキナリヤッテキテ何ヲ言ッテイル! 人間ノイウコトナド信ジラレルカ!!」

「人間じゃないわよ! 私は!!」

 

 石竜の言葉に少女は怒鳴り返すが、すぐに視線を自分が飛んできた方向に戻す

 

「あぁ、もう!! いいからさっさと逃げてくんない!? さもないと――」

 

 少女の言葉にまたも石竜は反論しようとする

 

 しかし、できなかった

 

 

「死ぬわよ!?」

 

「――見つけましたよ?」

 

 

 この場に入ってきた存在によって、石竜を初めとしたモンスターは動きを止めた。否、動けなかった。感じるのは圧倒的な威圧感。辛うじて目線だけ動かすと、淡い桜色の長髪の獣耳少女が鎖と両手に蒼髪と金髪の少女を引きずりながら歩いていた。二人の少女は気絶しているのか反応がなく、なされるがままになっている。獣耳少女は笑顔を浮かべているが、安心感なんて微塵も存在していない

 

 

「くっ、ティナとルナがやられるなんて……!」

「フフフ……二人ともやんちゃだったので、少しオ(・)ハ(・)ナ(・)シ(・)をさせてもらいました……あら、ここにもモンスターがいるんですか?」

 

 獣耳少女はモンスター達を見るが、大して興味もないのか、視線を少女に戻す

 

 

「さて……そろそろマスターについて教えてもらいますよ?」

「……嫌だ、と言ったら?」

「その時は……コレですよ」

 

 

 少女の問いに、獣耳少女は両手に持った二人の少女を近くに寝かせ、拳を握る。その姿に、少女は冷や汗を流す

 

 

「……上等じゃない。ここまで来たら徹底抗戦よ」

「いいでしょう。覚悟あり、ですね。ここではモンスターの皆さんの邪魔になるので、場所を移動しましょうか」

「……願ってもないことだわ。行きましょう」

 

 

 それから、少女と獣耳少女はそれぞれ蒼髪の少女と金髪の少女を背負い、何処かへと去っていった

 

 

 モンスター達が動けるようになったのは、少女達が去って数分後のことだったが、遠くから聞こえる激しい戦闘音と野生の勘により、戦闘音が止むまでモンスター達は誰も行動を起こそうとしなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?

 この遠征編もようやく終わりが見えてきました。まだまだ書きたいエピソードもたくさんあるので頑張っていきたいです。次回も近々投稿したいと思います

この下にオリキャラのプロフィール載せてます。気になる方はどうぞ








名前 ユキ(命名ベル)

性別 女

容姿 銀髪金眼  漆黒のドレス(イメージ ジャンヌ・ダルク霊衣「ノワールピース」)
身長 162C B92 W63 H88

使用武器 メディウム(黒の剣ネメシス 白の剣クラウ)
詠唱  【我願うは破滅と創造 来たれ全てを終焉へと導き救う者よ】【メディウム】


好きなもの ベル 精霊(リンネ、リディヤ、ティナ、ルナなど)家族 兎 甘いお菓子
子供

嫌いなもの ベルを馬鹿にする者



 ベルが初めて出会い、初めて契約した光と闇の大精霊の少女。ベルの家族かつ相棒かつ師匠でもある。ベルと契約している大精霊の中ではリーダー的存在であり、大体の騒動の中心的人物。性格は表情に乏しいながらも、ベルには甘えている。が、家族以外の人物には基本素っ気ない態度をとることが多い
 使用武器はメディウムで、ユキ自身が制作した。黒の剣ネメシスで相手の魔力や精神力を吸収し、白の剣クラウで色々なものを創造することができる。だが、生物などの有機物は創造できない
 戦闘能力は未知数だが、一割の力も出さずに【ロキ・ファミリア】の幹部全員を無力化し、殺気だけで幹部以外の全員を気絶させた。ブチギレると口調が変わる
 掃除や洗濯、道具の作成など一通りのことはできるが、料理だけは壊滅的であり、おにぎりを握るだけでも暗黒物質になり、過去にベルや他の大精霊達を幾度も瀕死に追いやった。本人に下手糞の自覚はなく、いつかベル達に自分の料理を美味しいと言わせることを密かに目標にしている
 

精霊達(オリキャラ)の設定資料集を作る?

  • 優先して作る
  • そんなことより本編かけ
  • 本編の後のあとがきに一人ずつ書く
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