気が付いたら魔法が使える世界に居た件について 作:awtntn
なお意味が違う模様
Twitterで交流用垢作ったので気になった人は作品説明文からどうぞ
「深雪さん、あなたにはお見合いをしていただきます。」
そう伝えられたのは夏休みに入る前日の夜である。
ついにこの時が来てしまいましたか。
そう思いながら深雪が見つめる先にはモニターに映された四葉家当主である四葉真夜の姿があった。
母である司波深夜、旧姓四葉深夜の様子を知るための定期連絡のようなものをしているのだが、今回はそれはあくまでおまけであり本題として縁談が持ち上がった。
叔母上から話を聞いた限りだと四葉家から申し出から始まった縁談のようだ、当然深雪に拒否権があるわけもない。
「承知いたしました。」
そう一言返信すると、モニターの電源が切れる。
その瞬間力が切れたかのように達也に寄れかかる深雪。
それもそのはず。先ほど縁談の話の際に、せめて相手は誰なのかと聞いたところ、当日までのお楽しみとはぐらかされてしまったのである。
せめて相手が誰なのかわかっていたらこちらで調べ、どのような人物でどのような性格でなど当日までの心の持ちようを作れるもののそれも叶わず。
この不安があと一週間とちょっとの数日続くと考えると、達也は初めて鳳華に怒りを覚えるかもしれない。お前が居なければ、想い人が居なければ深雪はこんな思いをしなくて済んでいたのかもしれないと。
当然だがこの場に鳳華はいない。だからこそこの理不尽な思いを鎮め深雪の頭を撫でる達也。
翌日から目に見えて達也に甘えるようになった深雪。それもそのはず、相手の指定によっては深雪のみが転校し相手の傍に居ないといけなくなる可能性もある。
今ある高校生活ですら卒業まで変わらずにいられるのかがわからないのだ、せめて敬愛している兄と一緒に、今この時を大切にしようとするのは当たり前のことである。
この変わりのない日常を、いつくしむように、深雪は大切に過ごしていった。
***
お見合い当日。指定された時間は夕方であるため、その日に兄である司波達也と共に静岡にあるとあるホテルへと赴いた。といっても達也の場合は兄として相手を見るためではなくガーディアンとしてである。
向かうまでの車内では一切の会話がなく重苦しい空気が流れていた。
「深雪お嬢様、達也様、到着いたしました。」
四葉家の執事が案内を始める。四葉の中では珍しく達也をガーディアンとしてではなく人として扱うこの執事、私が怒って帰ったら困ると考え手配したのかなどと考えたのは現実逃避故か。
他の客が見えないためこのために貸し切りにしたのか……となるとどれほどの相手なのかなど目まぐるしく頭の中をいろいろな考えが駆け巡る。
「こちらにて真夜様がおります、これにて私めは。」
案内された部屋はゲストルームである。この中に叔母上がいるのだと認識すると気が引き締まる。たかが分家の縁談に当主が出る、しかも四葉である。それが必要な相手が私の婚約者になるかもしれないと。
失礼しますと入室すると影武者でも誰でもない、本人である四葉真夜が居た。
「お久しぶりですね、深雪さんに達也さん。九校戦での活躍、深夜がとても喜んでましたよ。」
お久しぶりです、と言葉を返す。表情が堅かったのだろうか、不安を隠せていないのを察してなのかヒントかのように相手について話始める。
曰く、深雪さんはきっと気に入るとのこと。そこまで言うのならば相手が誰なのかをいってくれればいいものを。
「そろそろ定刻ですね。」
時刻は17時前、そろそろ来てしまう。
コンコンコンと扉が鳴る。
「失礼します。」
聞きなじみのある声が聞こえてくる。もしかしたらもしかしたかもしれない、そんなことが本当に起きるのであろうか。心臓の鼓動が早くなるのがわかる。
深雪のこの疑問の回答が得られたのはほんの数秒後だ。
「鳳華……さん?」
先ほどまでの表情とは打って変わり目に見えて明るくなった深雪。ただなぜ彼なのか、そしてなぜ当主が来ているのか、様々な疑問は尽きない。
「四葉家当主の四葉真夜です。ようこそお越しくださいました、こちらにお座りください。」
叔母上の言葉に促されて深雪の対面へ座る鳳華。話には聞いていたが鳳華の後ろには整然とした表情で立っているリーナの姿。
「達也さん、警備の方はお願いしますね。」
その言葉を察して部屋を出る達也。リーナもよろしくお願いねと鳳華が伝えると同様に部屋を出るリーナ。当事者以外がいては話せない話をするのだろうか。
「まずは今回のお話を受けていただきありがとうございます。」
簡単な挨拶から始める真夜。
「お見合いとは別にお話をしたく……。単刀直入にお話します、焔火家には四葉家の分家に入っていただきたくこの場を設けました。」
椎葉家・真柴家・新発田家・黒羽家・武倉家・津久葉・静家・司波家からなる四葉。そこに焔火家を入れるために叔母上が来たのだと理解する。
もしかして私は勧誘のためのエサなのではないのか……そう思考がめぐる。
「Exceed Silver,トーラス・シルバーを超えるのはこの俺だと言いたいのかしら、E・S・ゴールドさん。」
挑発するかのような言葉を並べる叔母上。その言葉にまさかと彼を凝視してしまう。焔火家を四葉に取り込みたいのはこのためなのだろうか。
彼はただ何も言わずにこちら側を見つめてくる。
「ずいぶんとトーラス・シルバーを目の敵にしているそうですね。」
名前の理由なんてそんな大層なものじゃありませんよ。と話す鳳華。
もしこのまま話が進めばお兄様と衝突に……と頭をよぎるがすぐさまその懸念が晴れた。
「彼と技術の発表時期が被ったのはたまたまですし似ているのもたまたまです。むしろ研究の方向性が合いますからね、一緒に仕事してみたいですよ。」
「本当かしら。」
その答えに満足したのかクスリと笑みを浮かべながら一枚の紙を取り出す。まさか今ここで婚姻届を書けなどというわけではあるまい。
「拝借いたします。」
その紙には一体何が書かれているのか、おそらくは四葉家の分家になるにあたりの条件なのか、契約なのか……。
「この紙は深雪さんにお見せしても大丈夫ですか?」
まったく事情が分からない私のためなのか、それとも私が関わっているためなのか。
「えぇ、大丈夫ですよ。」
ありがとうございますと紙を受け取り中身を確認する。
そこに書かれているのはやはり四葉家の研究・開発に協力すること、そして庇護下に入るため安全はより強固なことになる旨が書かれている。
そして……。
「四葉・七草による共同開発への参加と報告。またその権利は七草家が保有する……。」
なぜここで七草家の名前が出てくるのか、そしてなぜ共同開発にも関わらず権利が七草家にあるのか。
考えていた別方向からの中身に困惑する深雪を察して説明を始める鳳華。
「深雪さん、私はすでに婚約者として七草真由美さんが居ます。ですのでこの話が来た際に七草家の御当主に相談しました。」
あっさりと了承したのはこのためだったのですねと納得した姿を見せている。こちらはなにも納得していないのだがと言いたいところだが情報が情報なだけにまだ言葉が出ない。
研究というものはあることがきっかけですぐに達成することもあれば何十年かかっても成果が出ないこともある。それを共同開発とは言え他人の家の出資もありながら利権は独り占め。四葉としては大打撃の条件である。
トーラス・シルバーという懐刀がなければできない芸当である。そこまで鳳華に価値を見出しているのか。
実際には深雪に幸せになってほしいというところに現れた鳳華という、ただ単純それだけの話ではあるのだがそれを知られることはなく話が進んでいく。
「工藤莉奈さんは元USNA軍の魔法師部隊スターズの総隊長候補、アンジェリーナ゠クドウ゠シールズさんでしたっけ?」
級友の隠されていた事実が次々と明るみになり頭が追い付かなくなる深雪。
「情報の隠し方が少々おざなりでしてよ。」
交渉のひとつであろうか、情報を隠すために協力すると。
「焔火家の現当主様からは、今後焔火家を担うのは息子である。このことに関しては息子に決めさせる、とのことでした。」
つまりは今ここで決めろ、ということである。四葉家の現当主が来て後日決めるなどというわけではないよなという圧力を感じる。
再び紙に目を通して思案する。それもそのはず、ここでの回答が今後未来を決めるといっても過言ではない。
「一色家の方には。」
「もちろん、現当主様にはお伝え済みです。」
とんでもない情報を受けてきた深雪だ、なぜそこで一色家がとはもう驚かない。そういうことなのだろうと判断する。
根回しも完璧に済んでいるようであり逃すつもりはない四葉。
「この話……お受けさせていただきます。」
「分かりました……また詳しいことは後日ということで。」
満足したように答え席を立つ真夜。
「ここからはお二人だけのほうが良いでしょうから、私は席を外しますね。」
そういえば今日はそのために来たのだと思い出す。
「今決まったのはあくまで焔火家が四葉の分家になることですからね……。」
確認するために紙をもう一度見る。そこの中には今回の婚約については一切書かれていなかった。唯一書かれているのは焔火家に嫁いだ者も含めて安全を保障することと、将来的に焔火家の子は四葉の当主候補になることのみである。
ここからは如何にして私が鳳華さんを落とすのかの勝負となる。
「承知しました。」
叔母上を見送るために席を立つ。
「そういえば……数件ですが鳳華さんにはまだ縁談が残っております。当主としては受けていただこうと思っておりますのでそのつもりで。」
最後に爆弾を投下して固まっている鳳華と深雪を横目に退出した真夜、それを二人は黙って見送ることしかできなかった。
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それから二人は会話を重ねていった。もちろん互いに知らないことばかりである、会話のネタには困らない。
どれくらい経っただろうか、まだ明るさを保っていた夜はすっかりと暗くなっている。
「失礼します。お食事の用意ができましたのでご案内に来ました。」
鳳華の差し出された手を握りながら案内を受ける。
ホテルの案内人に連れられた先に居たのは優雅に読書を嗜んでいる真夜。
「達也さんたちの分もありますので、一緒にどうぞ。」
全員が席に着くと次々と食事が出てくる。
「食事の前に…深雪さんはどうでしょうか。」
このどうでしょうかは間違いなく今回のお見合いについての確認である。
「深雪さんはとても素敵な女性ですね、そんな方が今後隣にずっといてくれるとなるととても幸せに思います。」
これはそういうことなのだろう。あまりのうれしさのあまり兄である達也の顔を見ると達也もよかったなといった表情を浮かべていた。
そこからの食事会は意外にも真夜のほうから話が振られ和気あいあいとまではいかないものの普通の食事会が行われていった。
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「あの……今回のお話本当に大丈夫だったのでしょうか。」
今は食事会の後に解散…とはならずに会場がホテルだったこともあり、そのまま泊まることとなった。といってもそれ含めて本来の予定だったのだろう。
手配された部屋に向かうとその方向がまったく鳳華と同じであり、もしやとは思ったが同じ部屋であった。どうやら達也とリーナは別室が用意されたようだ。
達也からは何かあったら連絡するようにといわれていたが……。
そこで今夜はどうしようかと話をしていた途中である。
「大丈夫だよ、といっても想定外のことが多かったけどね。」
今回の件はすべて当主である四葉真夜がそばで聞いたものばかりである。常人であるならばその恐れからすべてを受け入れてします可能性もある。
今更撤回できないものの一応ということで聞いたのである。
「それならよかったです……。」
聞いたと同時に改めて婚約するのだと認識する。同室にしたのもそういうことのためなのかなど心臓の鼓動が早くなる。
四葉家であり高嶺の花であった深雪にはそこまで異性に対する耐性が無い。そういうことに対する知識は同学年と同じ程度の知識はあるものの当然実践などあるわけがないのである。
話し合いの末一旦はお風呂に入って頭をすっきりさせようとなりそれぞれホテルに併設されている温泉へと向かった。
約一時間半、心の整理を含めじっくりと時間をかけた深雪。
部屋に戻るとすでに用意された寝間着をきた鳳華がベッドに腰を掛けていた。
その寝間着の隙間から見える鳳華の男としての部分が深雪の心を刺激する。今まで想い人であったものの、立場が許さずにセーブをしていた。そのセーブを外して良いとなった少女はもう誰にも止められなかったのだ。
「鳳華さん……今夜はご一緒してもよろしいでしょうか。」
普段の鳳華ならば、級友としての鳳華ならば一つしか入ってないベッドを深雪に空け渡し自身は椅子で寝るなどいうところであるが今は違う。
「もちろん、よろしくお願いします。」
差し出された手を握ると、その手は翌朝の朝食の時間になるまで離れることはなかった。
九校戦をみた当主「せや、当日まで隠してサプライズにしたろ!きっと深雪さんも喜ぶはず!姉さんも賛同してくれたし!」
なお現実
数件の縁談はある程度誰かは決まってるけど増やそうと思ったら増やせるのでリクエストあったら活動報告のリクエストボックスへ
あと評価感想してくれたらめっちゃ私喜びますお願いします(懇願
横浜編あまりにも何も思い浮かばないんでちょい期間休憩もらいますね