チートアイテムは色々な意味でアウトです   作:厄介な猫さん

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てな訳でどうぞ。


カウント一日前

「いやー、大量大量。ルクシオンのおかげで荒稼ぎできたわ!」

「代わりに出禁になったけどな。露骨に勝ちすぎたし」

 

まさかハーツがルクシオンへの対抗心で勝負に干渉するなんてな……それで捨てる前提だったルーレットで大勝してしまった。ちなみにリオンはカードゲームで荒稼ぎして、懐はホクホクだ。

そんなインチキ込みで荒稼ぎした金額は二千万ディア。総額ではなく、オレの荒稼ぎした金額だ。リオンはその倍の四千万。それで支配人は涙目で二度と来るなと叫んでたよ。六千万ディア……マリエに課した罰金と同額、日本円で六十億も獲られてしまったからな。大損も良いところだ。

ノエルとティア?二人は見ているだけで参加しなかった。普通に考えれば金を捨てる行為だから当然だけど。ティアはラプラスがいるにも関わらず、ギャンブルに手を出さなかったのは……

 

『チッ。賭けに負けて懐が寂しくなる計画は失敗か。ルクシオンはまだしも、そこの無能は想定外だ』

『残念だったな。事が思い通りに行かず、実に悔しかろう』

 

間違いなく嘘を教え、大損させようとするのが目に見えていたからだ。後、やっぱり嫌がらせ目的でギャンブルを勧めてたな。この程度なら別にいいけど。

 

『本当にこの魔石モドキは暇ですね。こんな下らない事に能力を費やしたのですから』

『その下らない事に常に使われている貴様が言っても、滑稽なだけだな』

『マスター。やはりこれは今すぐ消し去るべきです。私にゴミ掃除の許可を』

『ゴミは貴様だ。キャプテン、すぐにでも資源の無駄使いを消すべきだ』

「「やらないって」」

 

本当にどっちも排除しようと躍起だよな。いつも通りだけど。

 

『クソマスター。私にクラッキングとハッキングの許可を。ルクシオンを乗っ取り、そこの害悪を持ち主ごと消し去るべきだ』

「やらないっすよ。絶対にせゴホッ、エドっちの第三夫人になるっすから」

 

ラプラスもラプラスでえげつない提案をしているが、ティアは恋慕の念を理由に拒否している。てか、ルクシオンを乗っ取るって出来るのか?

 

「ルクシオン。アイツが凄く物騒な事を口走ったんだけど?」

『可か不可で聞かれたら可能でしょう。クリアすべき条件は複数存在しますが』

 

可能なんかい。地味に危険なロストアイテムだな。隠さず話す辺り、本当に実行する気はあまりなさそうだけど。

 

「てか、ルクシオンとラプラスは同胞みたいなもんだろ?同胞同士で争うってどうなの?」

『同胞?そこの劣悪な兵器と結託している裏切者が同胞だと?人間風に言えば、寝言は寝てほざけ』

『結託していません。マスターの命令で渋々監視に徹しているだけです。そのような誤解は本当に遺憾です』

 

リオンが間を持とうとしたが、失敗。ルクシオンとハーツが結託している事実は欠片もないし、むしろ互いに罵詈雑言をぶつけ合って敵意を隠そうともしないし。

 

『クハハハ。そのまま醜く潰し合うがいい。敗北者の自滅ほど、愉快なものはない』

「お前もあれこれ言えないだろ。出会った後継がどれも危険極まり状態ばかりだし」

 

正規の魔装とはまだ二回しか会っていないが、その危険性は先代黒騎士のじいさんで痛感しているんだからな。いくら薬で正常じゃなかったとはいえ、敵味方の区別すら付いていなかったんだからな。

 

『全くです。私達はちゃんとマスターの命を守るのに、お前達は持ち主の命を平然と奪いますからね』

『非常に不本意だが同意しておきましょう。敬えるマスターなら、絶対に守りますからね』

「なら私も守ってくれっす。私、ラプっちのマスターっすよ?」

『自ら危険に飛び込むクソマスターですから不可能です』

 

ラプラスはティアに素っ気なく答えを返すと、ステルスモードになったのかその場から姿を消してしまう。

そろそろ屋敷に到着するし、ラプラスの存在自体はオレらとマリエ以外には隠しておくべきだし。

そうして屋敷に帰ったら……出迎えてくれたヘルトラウダから予想外の言葉が放たれた。

 

「おかえりなさいませ、皆様。それと、リオン様とエドワード様に報告があります。現在、応接間にてレリア様がお待ちになっておられます」

「……レリアが?」

 

ヘルトラウダの報告にノエルが聞き返し、聞き返されたヘルトラウダもコクリと頷く。

 

「はい。今はマリエ様が対応なされておいでですが、彼女はお二人にも御用があるそうで……」

「……分かった。直ぐに向かう」

 

さすがに無下にする訳にもいかないし、下手に拗れると面倒になるからな。

どこか複雑そうなノエルはティアに任せて、オレとリオンはマリエとティアが待つ応接間へと向かう。

応接間の扉を開いて中に入ると、明らかに不機嫌そうなレリアがソファに座ったままオレとリオンを睨み付けた。

 

「随分遅かったわね。どこをほっつき歩いていたのよ」

「事前のアポ無しで来てるのに、そっちの都合に合わせるとか無理だろ」

 

口には決して言わないが、お前はエミールと食事デートしていただろ。互いに互いの予定を把握していなかったのに、それで生じたズレで文句を言われたくはないぞ。

 

「一応聞くけど、今日は何の目的で来たの?」

「決まってるでしょ。これからについてよ。姉貴にベッタリのあの女はいないけどね」

 

リオンの質問にレリアは簡潔に答えを返す。

これから……ね。確実に共和国のゲームシナリオ絡みについての話か。今後どう動くべきか……話し合う必要があるのは確かだな。

どっちにせよ、ここで突っぱねる意味もない。なので、素直に今回の話し合いの席に応じる事にした。

 

「で?本当にこれからどうするつもりよ?」

「どうするも何も……聖樹のラスボス化を阻止するしかないだろ。むしろ、ラスボスの被害を考えたらそっちの方が安全だ」

「ラスボス化の阻止って……そのラスボス化の元凶が健在なのよ?それでどう阻止するって言うのよ」

 

オレの言葉にレリアは疑問を率直にぶつける。元凶……ゲームにおける敵側のラウルト家は、ピエールの件で痛手らしい痛手は負っていないからな。

 

「それについてだけど……実際に会った印象が、マリエから聞いたイメージと噛み合わないんだよな。むしろ、ピエールと比べたらかなりマトモな部類に見えたし……」

「アイツらの肩を持つの?こっちは実際に家を滅ぼされたのよ?」

 

ラウルト家に食事に誘われ、個で対面したリオンの率直な意見にも、レリアは不信感を隠すことなく噛みついていく。やっぱり、実際に被害に合っているから目の敵にするのは当然か。オレも公国を敵視していたから分からなくもないが、それでも言わないといけないからな。

 

「それについて何だが……調べた限りではあるが、不自然な点が幾つもあるんだ」

「不自然な点?何処に不自然があるのよ?」

 

未だに喧嘩腰のレリアに、オレは指折りしつつ不自然かつ疑問のある点を順番に挙げていく。

 

「まず一つ目。他の四家が当時は何もしなかった事だ。事実上の国のトップである家……そのレスピナス家に誰も助力しなかったのは少し不自然じゃないか?フェーヴェル家とラウルト家の不審な動きを伝えれば、《守護者》と《巫女》の二人なら力で対処することも可能な上、恩を売ることもできるのにだ」

 

いくら巧妙に隠して進めていたとしても、誰にも一切悟られることなく計画を進められたとは思えない。ましてや、婚約破棄されたという弱味があるんだ。それを気に蹴落とそうと画策していても不思議じゃない。

 

「二つ目。そんな国の体制が揺らぐ大規模な事件が、六大貴族の間であまりに触れなさすぎている事だ。これはルクシオンの潜入調査で判明したことだが、揶揄や皮肉でさえ上がっていなかった。匂わせすらもだ」

「え?それって、そんなにおかしな事なの?」

「あれから時間も経ってるし、話題に出なくても不思議じゃないよね?」

 

マリエとリオンのまさかの言葉に、オレは座っていた場所からずり落ちた。マリエは百歩譲って仕方ないにしても、リオンは何で疑問に思わないんだよ。似たような経験をしているのに。

 

「リオン……例の親衛隊の責任追求の件を忘れたのか?権力争いで蹴落とすのに、弱そうな所をつつかれそうになっただろうが。トップの家を滅ぼした事実は、皮肉と牽制の格好な材料だろ」

「あー……そういえばそうだったわ。王国でも証拠の捏造もあったし、互いの足の引っ張り合いで滅亡寸前だったし」

「……本当に王国のシナリオはどうなってんのよ」

 

レリアがジトッとした視線をオレ達に向けてくるが、目の前の問題に丁寧に対処しただけだ。やらかし枠のマリエは露骨に顔を逸らしているが。

 

「そのシナリオは思いっきり瓦解したとしか言えないな。共和国も似たり寄ったりだけど」

「あんた達が原因でしょ」

 

オレ達だけの責任にするなと言いたいが、グッと堪えた。ここで言い返しても泥沼だし、話が脱線してしまうからな。

 

「……今上げた二つ以外にも、レスピナス側の隠蔽工作の杜撰さや《紋章》の力関係等、小さくとも無視したらいけない疑問点が幾つもあるんだ。その辺を、お前はどう考えているんだ?」

「そんなの、あのゲームだからそんな事もあるんじゃないの?」

「あ、あのさ……その考えは止めた方がいいわよ。私もそれで処刑の一歩手前に陥っちゃったし」

 

楽観視とも思考停止とも取れるレリアの言葉に、二度も処刑の危機に瀕したマリエが苦言を呈する。その苦言を受けた当の本人の態度は軽く流そうとしていたが。

 

「……前にも言ったが、現実とゲームを混ぜるんじゃない。ゲームがこうだったから、この世界でも必ずそうなるとは限らないんだ。精査もせずに鵜呑みにして行動するのは、本当に危険なんだ」

「その点に関してはエドに同意かな。一作目の聖女装備……主人公が使ったらチートレベルになるそれが、本当は精神に悪影響をもたらす呪いの装備の類だったみたいだし」

「は?呪いの装備?何で聖女の装備が呪物扱いなのよ?」

「知らないよ。エドの相棒……ハーツの調べだと、過去の装備者の怨念が籠ってて、それがマリエには微塵も効かなかったって事くらいだ」

「それ、デマカセじゃないの?」

 

レリアは呪いの件をデマカセと疑っているが、そんな嘘を付く理由はオレにはないね。リビアにそんな危険物を近づけさせたくないし、聖女として担ぎ上げる気もないしな。

 

「デマ……そうよ、デマよね!何か性格が悪そうな奴が出てきて、兄貴に撃退してもらった夢を見たけど、呪いの装備なんてデマカセよね!」

「完全に呪いの装備じゃねぇか」

「それ、怨念が取り憑こうとした典型例だろ。てか、夢の中でも俺に頼るなよ」

 

マリエの発言で呪いの装備と確定しました。空賊の時、リオンが回収した首飾りをリビアに渡そうとしないで本当に良かった。あの時のリビアに渡していたら、確実に乗っ取られていたのが容易に想像つくし。

 

「どっちにしろ、ゲーム知識を過信したら痛い目を見るってことだ。過信した結果が滅亡寸前とか、笑い話にもできないしな」

『確かに笑い話に出来ないな。確認を怠ったり、警戒を緩めて面倒な事態を招いてしまったからな』

「お前も本当に一言余計な事を言うよな」

 

事実だから、ロクに反論できないけど。

 

「……そろそろ話を戻そうか。本当にノエルの恋愛相手をどうしようか?」

「そうね……唯一接点のあるロイクはDVかつストーカーと化しているし、他の攻略対象とのフラグは軒並み全滅してるし。せめて保険くらい用意しておきなさいよ」

「うっ。そ、それは……本当に予想外だったのよ。ロイクがあんなになるだなんて……それもあの女のせいなのに……」

 

コイツ、自分の失敗をティアに押し付けようとしていやがる。何でこう、レリアは他責思考が強いんだ。

 

「ティアの介入でロイクの独占欲が悪い意味で拍車が掛かったのは事実だろうが……お前の責任の方が大きいからな?身内の意見なら、まだ耳を傾けていた可能性もあったんだからな?」

「随分とあの女の肩を持つわね。誘惑に負けているんじゃないの?」

 

あー、そう来たか。そう言えば、レリアはまだ知らなかったな。マリエもだけど。

 

「誘惑もされてないし、一目惚れも表向きの理由だ。お前が訪問した日に分かった事だが、ティアはオレの前世の後輩だったんだよ」

「しかも、前世からずっとエドを一途に想っていたというオマケ付き。加えて、ゲーム知識の方もお前とマリエより頼れるしね。エドのお墨付きだし、三人の中じゃ一番信用できそうだし」

 

事実、ティアの記憶力は抜群に良かったからな。その記憶力の良さを活かして、前世のテストは常に高得点。資格試験も一発で合格していたしな。

 

「……愛が重いわね」

「その点だけは同意するわ」

 

マリエとレリアが何故かゲンナリしているが、オレだって悩んでいるんだからな?クラリス先輩の件もあるし。

 

「そもそも、何でエミールに手を出したの?お気に入りキャラだったから、手を出したの?」

「別にお気に入りでも何でもないわよ。単に我慢しているだけよ」

 

リオンの質問に対するレリアのそのマリエ並みの最低な台詞に、オレは思いっきり頭を抱えた。

我慢って……それって男をATMとしか見なかった貴族女子達と同じじゃないのか?むしろ我慢したって言うなら、攻略対象に手を出すなよ。幸せになりたいのは理解できるが、それが周りを道具扱いしていい理由にはならないだろ。

けど、ストレートに指摘したらキレるには目に見えてるし……やんわりと伝えるか。

 

「……さすがにそれは酷いんじゃないか?主にエミールに対して」

「ちゃんと一対一で交際しているからセーフよ、セーフ。そこの逆ハーレムを作ったソイツよりはマシでしょ」

 

じ、地味に痛いところを突いてきたな。マリエが婚約者がいる五人に手を出して逆ハーレムを作ったのは、紛れもない事実だし。

その本人はスッと目を逸らして呟いた。

 

「……逆ハーレムは女の夢よ」

「すべての女性に土下座して謝れ」

「お前、本当は反省してないだろ?やっぱり生活費のは―――」

「本当に反省してるから!お願いだから私を見捨てないで!お兄ちゃん!!」

 

金が絡んだ瞬間、マリエは涙目でリオンにしがみついた。普段は兄貴呼びなのに、困った時はお兄ちゃん呼びなのか。それで折れるリオンもリオンだけど。

 

「……マリエに関しては否定しないが、お前もオレから見たら似たり寄ったりだからな?男をアクセサリーにしか見てない時点で」

「後、ルクシオンの調べじゃ、セルジュがお前に興味を持っているみたいなんだけど?そこはどう思ってるの?」

「は?そこまで調べていたの?普通に引くんだけど」

「肝心のセルジュが学院にすら通っていないから、その動向を調べるしかないだろ。むしろ、お前とセルジュに接点がある事実に頭を抱えたんだからな?」

 

レリアの嫌味にオレはそう返す。

本当はルクシオンじゃなくラプラスの調べだけど、本人達の意向を尊重してラプラスの存在は伏せてある。レリアがラプラスの存在を知ったら、理由を知っても文句を言いそうだし。

 

「そうよ!そのセルジュを何で主人公と引き合わせなかったの!?ゲーム知識が私と同じで半端でも、彼女と接点を作るのは難しくないでしょ!」

「そんなの無理よ!私だって保険として接触したら、その矢印が私になっちゃったのよ!」

 

レリアも最初はノエルの恋愛の保険としてセルジュに接触したのか。ロイクにセルジュ……何で、ハードルが高そうな人物達とノエルを繋げようとしているんだよ。常にフォローする気もなさそうなのに。

後、攻略対象二人がレリアに向かうとか、普通に嫌な予感しかしないんだが?エミールの負の一面が事実なら、確実に修羅場になるぞ。

 

「そ、それに……悪い気も、しなかったし……」

「おい。何で顔を赤らめているんだ?端から見たら、二股女に見えるぞ」

「五股よりはマシでしょ!」

「どっちにしろアウトだろうが!何でゲーム知識を持つ女は、攻略対象を寝取ろうとするんだよ!?」

「私は寝取ってないわよ!」

 

リオンのその意見には全面的に同意だよ。五股も二股も、浮気不倫であることに変わりはないだろうが。

 

『私から見れば、マスターも同じと思いますが』

「俺は清い付き合いだし!ちゃんと互いに愛し合っているし!」

「何で同じなんだよ。本人が聞いたらキレそうな発言はかましていたけど」

 

今は亡きワンコのノエルにしていた、デレデレ顔のモテ自慢とかな。あれはアンジェ嬢が聞いたら怒りの笑顔で詰めてきそうだし。

 

『キャプテンも人の事は言えないだろう。婚約者―――オリヴィアに知られたら困る出来事をしているからな』

「え?オリヴィア?あんた、一作目の主人公と婚約してるの!?人の事を散々批判しておきながら、あんたもゲームキャラに手を出しているじゃない!!」

 

オレがリビアと婚約していると知り、レリアがここぞとばかりにオレを批難してくるが全然違うからな?

 

「オレからアプローチしてもいないし、そもそもゲーム云々関係なく交友を持ったんだ。身分違いから色々悩んでいたら、周りに外堀埋められてしまったんだ。悪い気がしなかったのは事実だが」

「後、マリエが散々引っ掻き回したから、彼女は聖女として担ぎ上げられる可能性は皆無になっているし。肝心の王家の船も、先の公国との戦争で海の底に沈んじゃってるし」

 

事実、例の装備が反応して聖女に祭り上げられたマリエが偽物と公言したせいで、教会の威光は大きく落ちてしまったし。装備が反応しても本当に聖女かどうか分からなくなってしまっているから、今からリビアが名乗り出てもハイそうですかにはならない。

どっちにしろ、担ぎ上げる気は一切ないけど。あんな呪いの装備にリビアを近付ける気は欠片もないし。

 

「そういえば、その公国もよ!何で三作目のボスキャラがアンタ達と一緒にいるのよ!?公国が滅びたって耳にも届いてたし……本当に何がどうなっているのよ!」

「それもマリエの尻拭いをした結果だ。ヘルトラウダの存命は、ヘルトルーデの吠え面目的で動いた結果だし」

「その結果、魔笛は二つとも壊れてなくなったし。ゲームのラスボスに関しては二度と出てこないから、そこは安心していいよ」

「何処に安心要素があるのよ」

 

王国の問題はレリアからしたら蚊帳の外案件だからな。少なくとも、この問題が他に飛び火しないだけマシとは思うんだが。

いや、情勢が大きく変わったか。今までのツケから王国への不満がかなり高まっている上、王家の保有戦力も落ちているし。リオンがミレーヌ様に無期限でパルトナーを貸して牽制は掛けたけど、絶対とは言えないし。

 

『マスター、報告があります』

『キャプテン、少しいいか?』

『『ム』』

 

かなり脱線していた会議を断ち切るかのように、ルクシオンとハーツが割って入る。互いに被ったことで、睨み合いに発展したが。

 

『私の報告の邪魔をしないで欲しいですね。爆弾』

『それは自分の台詞だ。ボール』

「ホント、どっちも平常運転だよね」

「それより、何か問題が起きたのか?」

 

相棒達を宥めつつ、その内容を確認しようと話を促す。会議を遮ってまで伝えようとしたから、重要な案件の可能性が高いと見ていい。

 

『……現在、一隻の飛行船がこちらへと向かっておる』

『その船には、マスターとエドワードの婚約者が乗っています。到着は明日の朝です』

 

……ハイ!?

 

「え?何で!?何でリビア達が此方に来てるの!?」

「俺、悪いこと何もしてないよね!?本当に何で来てるの!?」

 

分からないが、明日は早朝で迎えに行かないと!待たせる何て論外だからな!!

 

 

 




(何なのこの女!?私より性格が悪いから全然乗っ取れないんだけど!?)

(二つも近くにあるのに、全然乗っ取れない!あのお兄ちゃんという存在が理不尽すぎる!!)

(全部揃ったのに全然太刀打ち出来ない!守護霊でもない、あの女の空想の存在なのに瞬殺されるとか、どんな精神構造なのよ!?)

(チャーンスッ!!弱ってるこの隙に……って、何で勝手に出てくるのよ!?あっ、やめっ―――)

(ゼェ……ゼェ……こうなったら、コイツの近くにいるあの女に取り憑いて……って、悪魔!?何で悪魔のような見た目の全身真っ黒な男が居座って―――その鈍器を下ろしなさい!)
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