攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

2046 / 2046
最強無敵捜査官トリオの誕生!?

 いきなりの宣言。引退の意向を示したエリスさんに、俺も香苗さんも思わず見たのは葵さんだ。

 弟子として、そして友人としてパートナーとしてエリスさんと二人三脚でやってきた彼女のことを、何よりも先に気にしたのだ。

 

 見ればアンジェさんもランレイさんも耳に入ったのか、えっ!? みたいな感じで唖然としてエリスさんを見ている。

 けれど葵さんだけは……あっけらかんと、朗らかに、けれどどこか寂しげにも見えるいつもの笑い声をあげて、応えている。

 

「はっはっはー! ようやく言いましたね師匠、ずーっといつ言うか、いつ言うかって気が気じゃなかったんですよ。もしかして探査が終わるまで言わない気なのかなーって、ほらいつものテンパりが発動したとかで」

「ハッハッハー、エリスさん的にも迷いどころだったけどねー。正直今も緊張したよー、いや引退発表に緊張も何もないんだけど」

「え……え、え? ほ、本当に引退するんですか? エリスさん」

「うん、するよー。まあ段階を置いての形にはなるけど、もう近日中には葵とのコンビも解消だ」

 

 何気ない日常の雑談の延長、そんなノリでやはりすごいことを仰る。どうも冗談でなく、本気で引退されるつもりのようだね。

 いやまあ、それならそれでお疲れ様でしたなんだけども。しかしてあまりに急な話で驚いちゃうよね。

 

 部屋の前、もうモンスターもこちらに気づいて警戒しつつある段で全員止まり、エリスさんの元に集う。

 とりあえずこっちの話を一段落つけてからじゃないと、今から戦う御三方だって気が気じゃないだろう……だからもしモンスターがこっちに来るようならそこは俺が止めるつもりではいるよ。

 

 ともあれ、経緯を聞きたい俺達の視線を受けてエリスさんはやはり笑う。

 どこか晴れ晴れとした、スッキリした表情のままで、彼女はそこに至るまでを語ってくれた。

 

「いやーシンプルにね、そろそろ世代交代だなって。ソフィアさんが引退するって話した時にじゃあ私も引退しまーすハッハッハーってさ。もちろん、葵にはその時にソフィアさん、ヴァールさんとあとマリーも併せてお話済みだよ」

「お、おばあちゃんまで……ていうか葵のことは良いんですか? まだ師匠として教えるようなこととかあるんじゃ」

「ハッハッハー、ないない! そりゃエリスさんの目から見てもまだまだ未熟なところの多い娘だけれどね、葵を舐めちゃいけないよアンジェさん。この子はもう、能力者犯罪捜査官としても探査者としても戦士としても、そして何より一人の人間としても……私の庇護下にいなくたって良いくらい、立派に成長してくれてるんだ」

「師匠……」

 

 慈愛と慈悲、友愛と信頼──一人の人間に対しての、大いなる敬意さえ込めて。エリスさんは葵さんに眼差しを向け、そうして話す。

 ソフィアさんが引退するってなった時点で、あるいはエリスさん的には予定調和なのかもしれない。ともに不老存在であり永年の付き合いだから、終わる時は一緒にって思ったのかもしれないね。

 

 WSOの特別理事である、マリーさんにも話している時点でもうこの流れは止まらないだろう。伊達や酔狂、ジョークで話していい内容でなければ、そうしていい立場の人じゃないからね、あの方も。

 つまりここでこの話を聞いている今、この時点でもうエリスさんの能力者犯罪捜査官引退については確定事項、既定路線というわけだった。

 

「新時代の到来に向けて一区切りがついた。だからソフィアさんも引退を決意した。なら、エリスさんもいつまでも幻のS級だとかって言われながら能力者犯罪捜査官やってて良い場面でもないだろう? 不老だからこそ、いつまでもやっちゃえる身体だからこそ身の引きどころは考えるものなんだ。あの人も私もね」

「それは……そう、かもしれませんね」

「だから引退するわけだし、だからその後の葵の身の振り方もすでに検討済みなのさ。アンジェさんやランレイさんをわざわざお招きして今回の探査に臨んだのもそこが関係してるよ」

「えぇ!? ……ま、まさか、そ、それって!?」

 

 引退への想い、そしてここに至るまでの経緯を端的に語れば、そこで気づいたランレイさんが声をあげて驚いた。薄々勘付く話ではあるけど、今回の探査が能力者犯罪捜査官ばかりになったのはやはり意図的なことか。

 エリスさんがそう調節したんだ。葵さんはもちろんのこと、アンジェさんやランレイさんも同行するように。

 

 なぜか? なんてそんなこと、ここまでの話の流れからして一つしかない。

 葵さんは最初から知っているようでニコニコ笑顔だし、アンジェさんも気づいたようでピンときた様子でいる。もちろん俺も、香苗さんもだ。

 そしてエリスさんは、若く有望な能力者犯罪捜査官トリオに向けて言い放つのだった。

 

「ここでソフィア・チェーホワWSO統括理事、ならびにマリアベール・フランソワWSO特別理事および国際探査裁判所長官からの正式な通達をお知らせするよ、ハッハッハー。能力者犯罪捜査官、早瀬葵」

「はっはっはー! はい!!」

「……能力者犯罪捜査官エリス・モリガナとのチームを解消し、同じく能力者犯罪捜査官アンジェリーナ・フランソワ、シェン・ランレイ両名のチームに加わるように。またフランソワ、シェン両名はチームに早瀬を加えるように、ってね。ハッハッハー、辞令としてはまだだけどトリオ結成だね!」

「私と、ランレイのコンビに……葵が加わるの!?」

「アンジェリーナと、ランレイさんに葵さんが。これはまた、すさまじいチームになりますね……」

 

 ──アンジェさん、ランレイさん、そしてそこに新たなメンバーとして葵さん。

 元よりコンビだったところに加わり、今後はトリオとして能力者犯罪捜査官の活動を行え、と。

 

 WSOならびにその傘下組織、能力者犯罪捜査官の所属元である国際探査裁判所にも話を通した上でそうした通達が来ていたのだ。

 あまりの話に香苗さんも驚くほどだ。まさに最強新世代トリオの結成と、そう言っても過言ではないだろうね。




「大ダンジョン時代クロニクル」
https://syosetu.org/novel/362785/
第二部・第二次モンスターハザード後編─犯した罪に、等しき罰を─
完結しました!第三部は2026の盆から!
よろしくお願いしますー


「大ダンジョン時代ヒストリア」100年史編完結!
https://syosetu.org/novel/333780/
よろしくお願いいたしますー

【お知らせ】
「攻略! 大ダンジョン時代 俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど」コミカライズ発売中!
ぜひともみなさまお求めよろしくお願いしますー!

コミカライズ版スキルがポエミーも好評配信中!
下記URLからご覧いただけますのでよろしくお願いします!
 pash-up!様
 ( https://comicpash.jp/series/d2669e2447a32 )
 はじめ、pixivコミック様、ニコニコ漫画様にて閲覧いただけますー!
 
 加えて書籍版1巻、2巻も好評発売中です!
 ( https://pashbooks.jp/tax_series/poemy/ )
 よろしくお願いしますー!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

真の実力を隠していると思われてる精霊師、実はいつもめっちゃ本気で戦ってます(作者:アラッサム)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

 精霊が当たり前に存在する世界ユグリエル。▼ この世界では精霊と契約を結ぶことで精霊の力を借りて悪魔や邪霊と戦う精霊師と呼ばれる職業が存在していた。▼ 精霊師育成学校ユートレア学院に所属する2年生ローク・アレアスも精霊師の一人として将来を期待されているが、彼には少しばかり不思議な点があった。▼ 精霊師になる上で欠かせないもの、それは契約の儀によって繋がる己の…


総合評価:12496/評価:8.15/連載:119話/更新日時:2026年05月06日(水) 20:47 小説情報

ただのモブ(大嘘)がTSした原作主人公の代わりに逆転世界で頑張る話 ―女性特効ラスボスは俺が倒す―(作者:つくもいつき)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

ラスボスが女性特効なのに原作主人公が女体化した。▼……世界、詰んだ?▼モブに転生した男がTSした原作主人公の代わりに世界を救う物語。▼ただし、この世界の男は原作主人公以外は〈女神の呪い〉のせいで弱いものとする。▼ターゲット:世界を救うついでにモテる主人公を見たい人用▼旧題:腕力逆転(女>男)世界で、主人公の代役に! ―女性特効ラスボスは俺が倒す―▼本作はカク…


総合評価:3773/評価:8.64/連載:87話/更新日時:2026年05月14日(木) 08:30 小説情報

芸術的で文化的な異世界生活を目指して(作者:生しょうゆ)(オリジナルファンタジー/日常)

異世界に転生したからといって冒険する必要はない。▼転生者ジョット・ブレイクはそう考える。別に自分は戦いたくもないし苦労したくもない。好きな時間に起きてオペラなり博物館なりを見に行く生活が理想である。その横にこの世で最も美しい少女を侍らせれば、そこは地上の楽園だろう。▼しかし現実は厳しいのだ。魔術の才能があったばかりに帝国学院に通わされるし、絵画や彫刻を手に入…


総合評価:27762/評価:8.97/連載:75話/更新日時:2026年03月15日(日) 22:03 小説情報

後方師匠面したい系転生者(作者:TATAL)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

ありがちなファンタジー世界に転生したことに気付いた男がいた。▼彼は思う。▼「勇者を導く師匠ポジこそが至高!」▼そして(いるかどうかも分からぬ)勇者が(いるかどうかも分からぬ)魔王を倒す偉業を成し遂げる物語に少しでも関わるため、トンチキな方向性に鍛え上げた剣を今日も振るい、弟子を増やしていく。▼「誰が主人公ポジかも分からんし、取り敢えずそれっぽいのに関わりまく…


総合評価:58249/評価:9.1/連載:48話/更新日時:2026年05月10日(日) 14:36 小説情報

推しの少年漫画に転生した件(作者:暁刀魚)(オリジナル現代/冒険・バトル)

【書籍販売中】▼ 幸運にも、大好きだった少年漫画に転生した百鬼セオ。▼ 自身の前世知識を用いて、不幸になってしまったキャラの救済や、前世でさんざん妄想していた異能を実現するために奮闘することを決意する。▼ しかしセオは知らなかった。▼ 前世にてセオが死んだ後、この作品の続編とソシャゲが始まったこと。▼ そこでセオの知らない新しい設定が生えていたことを。▼ こ…


総合評価:19250/評価:8.5/連載:96話/更新日時:2026年05月17日(日) 20:07 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>