女嫌いのあべこべ幻想郷入り   作:回忌

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おかえり

「霊覇…」

 

目の前で眠っている男に手を伸ばす

親友と呼べる男が死にかけてから早くも半日

苛立っている奴もいるんだ、早く目を覚ましても良いじゃないか

俺は肩に重みを感じながら、ため息をついた

 

「体調は変わりない、特に気にする事はないわ」

 

永琳は点滴を変えながらそう言う

彼女にとって彼は今の所患者andモルモットである

その点滴にナニが混じっているかなんて考えたくもない

 

だがまぁ、これだけの医療機器があるのもココだけ

 

それ故に大目に見ている、という感じである

なおこれはほぼ頭の中での考察な為、本当は違うかもしれない

研究者としてのソレが垣間見える時があるので確実にそうだとおもうが…

永琳もこちらが言えないのを知っていてやっている筈だ

 

「全く…」

 

俺は背中の存在を肩を揺らしてあやす

それはキャッキャっと歓声を上げる

 

…ん?

 

「こいしか、通りで違和感を感じたわけだ」

 

「んふふー、やっぱり気付いてくれた」

 

「古明地こいしか、地霊殿ぶりだ」

 

「地霊殿?」

 

「あぁ、知らないんだったな――」

 

魔理沙が地霊殿についての説明を始める

聞く話によれば間欠泉が吹き出す異変の時に元凶が居た建物らしい

妖怪の山に入口があるその地下世界を…制御?する妖怪が住んでいる

こいしの姉であり、正真正銘のさとり妖怪

 

古明地さとり、というらしいが会ったことは無い

 

まぁ妹がさとり妖怪なら姉がさとり妖怪なのは当たり前か

燦莉は頭の片隅にそれを置いておく

 

「この人が霊覇さんねぇー」

 

こいしは相変わらず笑顔のままだ

霊覇の姿を見ても、それは特に変わらなかった

 

それどころか、その笑みが深まった気がした

 

燦莉からはその顔は見えない

ただ、少し背筋が凍ったような感覚が走った

タンクトップのせいだと責任を擦り付け、こいしを下ろす

 

「お前はじっとしとけ…」

 

燦莉は霊夢の方を確認する

こちらは霊覇に比べ、スースーと寝息のような呼吸をしている

これでも意識不明の重体である、これでも

なんせ喉を貫く荒業をしやがったから、普通に即死だと思った

 

ただ、運が良かったのか、何か仕組んでいたのか彼女は死ななかった

 

燦莉からすれば、人間とは思えなかった

とはいえ外の世界なら二度とその目は開くことは無いだろう

この幻想郷、強いて言うなら永遠亭には現代科学を超える超科学が存在する

 

というか、それのお陰で2人は生きている

 

「ふー、生き返った生き返った」

 

ふと、そんな声が後ろからしたので振り返る

そこにはうさ耳に人参のネックレスを付けた幼女

ただその顔が胡散臭くて凄く信用出来ない

 

「お、死んでたか」

 

「うん死んでたよ」

 

「そうかそうか…は?」

 

一瞬凄まじいこと言わなかったかコイツ

なに?死んだ?dead?今生きてんじゃんコイツ

多分俺が凄まじく怪訝な顔をしていたんだろう

彼女は普通に説明を始める

 

「いやいや、ちょっと用事があって永琳に殺された」

 

「用事があってじゃすまんと思うぞソレ」

 

恐らく地獄に行った二人に用事があったんだろう

だからといってこいつを殺すとか躊躇が無いな

多分この兎が何か能力を有しているのだろう

そうでないと今ここにいる意味がわからない

 

「幻想郷の奴らってのは意味がわからん…」

 

「そんなもんだよ、ここの住民は」

 

兎はそう笑う

こんなからから笑ってても年齢は100を超えるというのだから恐ろしい

永琳と輝夜に至っては億を超えるとかなんとか

 

まぁ、人は見かけによらないと言うやつである

 

ただし、ほぼ幻想郷限定である

 

「気狂いなのか変人なのか…」

 

「どっちもだと私は思うよ、そもそもお前さんが言えたことじゃない」

 

手をヒラヒラと振る彼女にぐうの音も出ない

常識的な他人から見れば俺達は異常だ

自由のために命を投げ捨て、仲間のために仲間を売る

結局は敵を殺すため、自分の存在意義を確立するため

 

なんなら殺戮を楽しんでいる側面が俺と霊覇にはある

 

あの爽快感は他に変えられることは確実にないだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…!?霊覇!?霊夢!?」

 

「な、なんだ!?」

 

機器が悲鳴のような音を上げる

心拍計だ、狂ったように変化している

 

なんだ、何が…

 

「――!!」

 

二人に目を移すと、絶句する

何故なら岩のような物が2人を侵食しているからだ

霊覇は顎と左頬が岩に覆われ、腕も石化した

霊夢は頬に染みのように石化が広がる、腕も石化する

 

――瞬間

 

「――お兄ちゃん!!!」

 

「――霊夢!!!」

 

ふたりが飛び起きる

腕に着いていた点滴の線を引きちぎり、霊夢は霊覇に飛びつく

それを霊覇は優しく受け止めた

 

「お兄ちゃん、お兄ちゃん…」

 

「俺は此処に居る、どこにも行かない…」

 

2人は永琳が入ってくるまで、ずっとその身を寄せ続けた

俺と、こいしと、魔理沙は彼女が来るまでそっと、何もせずに

見守り続けた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2人とも、幸せに

 




誤字報告ありがたい

終わりっすね、元々短めで終わるつもりだったんで
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