FAIRY TAIL 〜『大地』の滅竜魔導士 〜 作:紅蓮大地
過去から甦った者達との戦闘に勝利し、ハルジオンにいる妖精の尻尾の一同は、ハルジオン奪還の為の本部に集合していた。
日も落ち、あたりはすっかり夜になったが、無事ハルジオンを奪還できた事に皆が喜んでいる。
「う……」
「目が覚めたか。」
一番傷が深く、眠りについていたエルザが目を覚まし、それをガクラが覗き込む。
「傷が深かったので、完全に回復するまで時間がかかります。」
「大丈夫、キズは残らないから。」
「そういうお前らもボロボロじゃねーか。」
「グレイ様服は・・・!!?」
「・・・お前もな。」
「おお!?いつの間に!?・・・つうか、グラン。お前いつの間にここに来たんだ?確かお前、ボスコの方にいたはずじゃ?」
「あー・・・・・・ボスコで兵隊ぶっ飛ばして、スプリガンの三人に会って、ゴッドセレナと戦って、途中アクノロギアが来て、ゴッドセレナがやられて、アクノロギア殴って、色々あって時間が止まってたからウェンディとシャルルのところまで跳んで移動して、ディマリアをぶっ飛ばして、クソッタレドラゴンをウェンディとぶっ飛ばして・・・・・・んで、今ここ」
「・・・・・・そうか」
グレイは考えることをやめた。もうコイツがめちゃくちゃなのはいつもの事だし、やばい敵と日に四度も対峙してんのに怪我等特になく、疲れてる様子も見られず(まぁ炎神の魔法を使った時はちょっと調子は悪そうだったが)いまだにピンピンしてるのはもう、グランだからで終わらせよう。
「みんな・・・た・・・戦いはどうなったのだ!!」
自分の事よりもまず戦いの事を聞くあたりエルザらしい。その問いかけにグレイはニィッと笑い答える。
「ハルジオン奪還は成功だ。港を取り戻したんだ。ジェラール達はまだ残存兵を追っているが、もう全滅まで時間の問題だろうな。」
「そうか・・・」
「俺達は一旦ギルドに戻る。」
「ギルドのみんなが心配ですし・・・」
「ここはマーメイドとラミアに任せな。」
「はい」
「任せた」
残りは人魚の踵と蛇姫の鱗に任せ、動ける妖精の尻尾のメンバーは一度ギルドに戻る事にしたらしい。
「ならば私も・・・」
「お・・・お前はまだ休んでなきゃダメだ!!」
「そうは言ってられん」
ボロボロの状態でも戦おうとするエルザを制止するカグラ。とここで、この場にラクサスがいない事に気づいたエルザ。
「ラクサスはどうした?」
「あいつはバケモノ2連戦でさすがにダウンしてる。」
「へー・・・大変だな」
「いやお前ほどじゃねぇよ・・・いやホントなんでお前ピンピンしてんだよ」
「そんなモン知らねぇよ。・・・・・・なんだよ、人をバケモノみたいに・・」
十分バケモノだよ、お前は。
「……エルザ。」
「?」
「その・・・なんというか……済まない…」
「何の話だ?」
と、いきなりエルザに謝罪をするカグラ。その顔は何故か赤かったが、その目は何かを決心したような目だった。
何事かと思っていた次の瞬間、カグラはエルザの顔を掴み、そのままキスをした・・・・・・キスをしたぁ!?
「!!?!??!?」
当然、突然そんな事をされたエルザは目を見開き驚愕した。
「「「「「「・・・・・・・・・!!!!!」」」」」」」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんで?」
他の皆もカグラのまさかの行動に驚きが隠さず声も出せない状態だ。あのグランでさえ驚きすぎて口がポカンと開きっぱなしになっている。
「……これで許せ…」
「…………………………………………え?」
それからここは変な空気が漂っていった。
・・・・・・まぁ色々とあったが、とりあえずカグラとエルザのキスについては一旦記憶から消して妖精の尻尾のメンバーはギルドに向かっていった。
本来ならエルザはあの場に残って休息を取らなければいけないが、どうしてもといい、今はグレイにおぶられている。
何故グランではなくグレイなのかと言えば、もし今敵に襲われた時のために、少しでも動きやすいようにらしい。
「・・・ん〜?」
「どうしたの、グラン?」
だが、当のグランは自身の体に触れながら首を捻っている。体調が悪いわけではなさそうだが、何か違和感があるような様子だった。
「いや、なんというか・・・大地とうまく繋がらないというか・・・変な感じだ」
「大地と?」
「炎神の力をまた使った影響だと思ってたが・・・もっと根本的に違う・・・大地が・・・知らない形に構築されてるような・・・・・・ってなんだ?」
「えっ?・・・っ!空が・・・っ!」
「なんだ、光?」
グランが大地への違和感を覚えながら話している途中、まだ夜だというのに空が光り輝く・・・・・・いや、空じゃなく・・・ここフィオーレ王国そのものが光り輝いている。
その光がより一層強くなった次の瞬間・・・
世界が新たな姿へと再構築された。
場所は変わり、フィオーレ王国より遠く離れた海のど真ん中・・・そこにある一つの島・・・否、大地。
「・・・ったく、やっと大地と繋がったと思ったら、何がどうなってんのか」
そこにいたのは、やっと調子の戻ったグランだった。光が静まり目を開けた瞬間、まさかの海のど真ん中というわけのわからない状況だった為、とりあえず海底から大地を無理やり引っ張りそこに着地した。
「大地そのものに影響を与えるほどの魔法・・・ってことはやったのはオーガストか・・・それに並ぶほどの12か・・・なんにせよ、皆と逸れた・・・のか、わざと俺だけを遠くにやったのか・・・まぁどちらにしても、急いで戻らねぇとな」
とりあえず自身の置かれた状況と今起きた事を冷静に考え、敵の仕業と結論づけ、一刻も早くギルドに戻るようにするグラン。
そう、確かに今行われたのは敵、最強の12が一人、アイリーン・ベルセリオンの
これにより、より速くそして確実に戦争を終わらせられるようにしていた。ゼレフが妖精の心臓を手に入れられるように、そしてその障害となる者達をより遠くへと移動させたのだ。
・・・そう、障害となる者達を・・・だ。妖精の尻尾やその他フィオーレの魔導士達は、障害にならず、自身達の手で対処が可能だと決めつけフィオーレ王国に留まっているが、どうしても無視できない存在がアイリーンの中に
一人はグラン。ゼレフや一部の12から話は聞いていた大地の滅竜魔導士。確かに実力は妖精の尻尾の中ではトップクラスだが、それまで。最初は、それほどまでに脅威に思えなかった。だが、フィオーレの大地に付加を施そうとした時、ほんの一瞬拒絶があったのを感じ取ったのだ。それが、意図的で無いものなのは理解したが、意図せず自身の魔法を一瞬とはいえ拒絶できるほどの魔導士・・・これを脅威と言わずなんと言う。
だからこそグランを海のど真ん中まで移動させたのだが、まさか無理やり大地を引っ張り上げるとは思わないだろう。
そして・・・もう一人の脅威・・・そんなもんは決まってる。ソレはもうグランのすぐ近くまで来ていた・・・全ての竜を滅するために
ドガァァァァン!!
「・・・・・・あぁ?」
いざ戻ろうとしていたグランの近くに、何か勢いよく降って・・・いや、降りてきた。
ソレ・・・いや、ソイツが誰かはすぐに分かった。ソイツもまた、ここにグランがいると理解した上でここにきた。
完全なる滅竜のために。
「今ここで破壊してやろう・・・大地の竜よ」
「・・・・なんで日に二度もお前と会わなきゃいけねぇんだよ、クソが」
いきなり現れたアクノロギアに特に動揺せず、グランはブレスを放った。大地の咆哮・・・普通なら避けねばならぬほど強力なブレスをアクノロギアは正面から受けた。
凄まじい轟音と共に舞い上がる土埃・・・その土埃が晴れると、そこにいたのはダメージが全く入っていないアクノロギアの姿だった。
「フンッ・・・つまらん事をするな、地竜よ」
「・・・テメェ・・・なんとなく分かってたが・・・・・・属性なしか」
ダメージが全く入っていないその理由・・・滅竜魔導士はそれぞれに属性がある・・・グランなら大地、ウェンディなら空気、即ち天・・・火、鉄、雷、白、影など・・・ソレらを食し自身の強化、その属性を操る事が滅竜魔導士の基本なのだ。
「そうだ・・・我に属性などない・・・・・・我は魔竜・・・全ての“魔”を喰らいし終焉の竜」
だが、アクノロギアにその属性はない・・・全ての魔法・・・全ての魔力が奴の力となる。
「・・・クソめんどくせぇ・・・・・・・・・が、やるか」
グランは拳を強く握り、構える。対しアクノロギアも残っている右腕に力を込め、同じように構え・・・・・・そして両者同時に駆け出し引いた拳を弾き出す。
ゴオオオオオオオォォォォォォオオオンッッッ!!
凄まじい轟音と同時に、海は裂け、大地は砕かれ、天も割れる。
ここに、全ての“魔”を司どる竜と大地を司どる竜が衝突する。